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プロとして高い評価を得るには? ~ウディ・アレン監督の作品から考える~

プロとして高い評価を得るには? ~ウディ・アレン監督の作品から考える~
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映像翻訳者としてスキルアップするには、英語でのコミュニケーションスキルが役立つとMTC・石井清猛映像翻訳ディレクターは力説します。
 
セリフの役割を理解できれば
説得力のある字幕が作れる

いまや世界共通語とも呼ばれる英語には、意思の疎通をよりスムーズにするためや、相手に自分の考えをより強く伝えるための「話す」「書く」テクニックが数多くあります。その中の一つがJVTAの新しいスクールであるGCAIで教えている6センテンス・メソッドです。これは英語で論文を書く際の基本として使われ始めたFive paragraph essay structure(5段落論文構成)をベースに私たちが作り上げた構成の方法です。プレゼンテーションの原稿を(1)Attention grabber(冒頭のつかみ)、(2)Topic sentence (テーマの導入)、(3)Body 1(具体的な内容1)、(4) Body2(具体的な内容2)、 (5)Conclusion(結論)、(6)High impact closer(最後のオチ)という6つの役割にしたがって書き分けることで説得力が上がり、聞き手に話の内容を理解してもらいやすくなります。このメソッドの効果が発揮される場は、プレゼンだけに限ったことではありません。映画やドラマの作りなどを考えていく際にも役立ちます。
 
6センテンス・メソッドが、訳文を考える際にも大きな助けになるとはどういうことか、ウディ・アレン監督作品の『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)の1シーンでみていきましょう。
 
ミッドナイト・イン・パリ_表紙

主人公のギル(オーウェン・ウィルソン)が魅力的なフランス娘・アドリアナ(マリオン・コティヤール)と語り合いながら夜の街を散歩するシーンで、パリの素晴らしさを次のように語っています:
 
(1) You know, I sometimes think, “How’s anyone gonna come up with a book, or a painting, or a symphony or a sculpture that can compete with a great city?”
(2) You can’t, ‘cause, like, you look around, every… every street, every boulevard is its own special art form.
(3) And when you think that in the cold, violent, meaningless universe, that Paris exists, these lights…
(4) I mean, come on, there’s nothing happening on Jupiter or Neptune,
(5) but from way out in space you can see these lights, the cafes, people drinking, and singing…
(6) I mean, for all we know, Paris is the hottest spot in the universe.
 
【和訳例】
(1) 時々思うんだ。この街の美をしのげるような小説や絵画や、交響曲や彫刻を人は生み出せるんだろうか、ってね
(2) 無理だ。だってこの街は、どの路地も大通りも芸術品だから。
(3) 考えてもみてよ。こんなに冷たく無意味な宇宙の中に、このパリの灯りが存在するなんて
(4) 木星や海王星は、ただ浮かんでいるだけの何もない惑星だ。
(5) でもこの街の光は、カフェは、飲んだり歌ったりしてる人々は、宇宙からでも見えるんだよ。
(6) 僕たちの知る限り、パリは宇宙一、ホットな場所だ。
 
6センテンス・メソッドを理解していると、このシーンのセリフにはそれぞれ以下のような役割があることが分かります。
 
(1) 冒頭のつかみ
(2) テーマの導入
(3) 具体的な内容1
(4) 具体的な内容2
(5) 結論
(6) 最後のオチ
 

斜体になっている訳例のセリフ、‘~ってね。’‘考えてもみてよ。’‘~なんて。’ ‘でも’は原文にはありませんが、日本語になったときの流れを分かりやすくしていることにお気づきでしょうか? (5)の結論を引き出すための「冒頭のつかみ」「具体的な内容」という役割が理解できれば、行間に潜むギルの想いを読み取ることができ、結果としてこうしたセリフをさし込むことができるのです。
 

映像翻訳者として長く活躍するためには、こういったコミュニケーションスキルを活用することが大事です。
 

4月から始まる新しい‘GCAI’で学ぶということ。それは、例えばより高みを目指そうとする脚本家が、アクターズワークショップに足を運ぶのと似ていると思います。より良いト書きやセリフを書くために、脚本家が演技を学び始めるように、映像翻訳者はグローバルなコミュニケーションスキルを学び始めることができる。それは、映像コンテンツを翻訳する人間として抜きん出た存在になるための、入り口だと思います。(MTC・石井清猛)
 

4月16日(土)、コミュニケーションスキルを総合的に身につける新カリキュラムがスタート! 現在、体験レッスン受講生募集中。
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GCAI公式サイト>> http://gcai.jp/

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