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修了生5名が字幕を担当 『グリーン・ライ ~エコの嘘~』が3月28日(土)劇場公開

修了生5名が字幕を担当 『グリーン・ライ ~エコの嘘~』が3月28日(土)劇場公開
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レジ袋の有料化やクールビズなど個人レベルでも環境問題への取り組みが問われる今、「真のエコとは何か」に警鐘を鳴らすドキュメンタリー映画『グリーン・ライ ~エコの嘘~』が3月28日(土)から劇場公開されます。この作品の日本語字幕をJVTAの修了生5名(小林雄介さん、中島麻美さん、森藤真代さん、安井理津子さん、山田まゆさん)が担当しました。世界で起きている環境問題に切り込む内容にどのように取り組んだのか? 翻訳チームの森藤真代さんに話を聞きました。
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JVTA まずこの作品の概要を教えてください。

 
森藤真代さん(以下、森藤さん) タイトルの「グリーン・ライ」(Green Lie)は企業が「環境に優しい」「エコ」「持続可能」などとうたう商品を販売する陰で環境破壊を行い、消費者を欺いていることを意味しています。
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どこかのんびりした優しい雰囲気のブーテ監督は、私たちとあまり変わらない消費者としての一般的な感覚を持ち、環境保護のために“sustainable(持続可能)”のラベルが付いた商品を買うこともありました。そんな監督とグリーンウォッシング(環境配慮をしているように装いごまかすこと)に詳しいジャーナリストでしっかり者のカトリンが、“環境に優しい”商品の背後にある真実を探る旅に出ます。

 
JVTA  翻訳で意識したポイントがあれば教えてください。

 
森藤さん 「sustainable」「sustainability」がキーワードとして、作品中に何度も出てきます。日本では「持続可能」という訳が使われることが多いのですが、表現に統一性を持たせつつ、「持続可能な」「エコな企業」「サスティナブル」「持続継続性」「環境に優しい」などと、それぞれのパートで文脈に合わせて分かりやすい言葉にしました。タイトルに含まれる「green」の訳語にも同様の工夫をして、全体として「グリーン・ライ」や「エコの嘘」の意味合いが伝わるようにしました。その他にも環境問題に関する用語について、なじみがあり分かりやすいものを採用するようにチームで検討を重ねました。
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(c)e&a film

 
JVTA 実際にあった環境問題も触れており、調べものや言葉の選び方にも気を配ったのではないでしょうか?

 
森藤さん そうですね。実在の企業が抱える環境問題を取材しているため、リサーチは念入りに行いました。なかでもブラジルの先住民が土地を奪われている問題に関してはなかなか資料が見つからず、海外のニュース記事をネットで探したり、大きい図書館で調べたりと事実確認に苦労しました。それぞれのパートでも、環境汚染を引き起こした事件の詳細や科学的な根拠、各企業の主張に関する事実確認などが大変だったのではないかと思います。
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(c)e&a film

 
JVTA 専門家へのインタビューの場面も多いですね。

 
森藤さん 世界的に有名な学者であるノーム・チョムスキー氏が、環境問題と政治体制や社会構造との関係について話す場面があるのですが、抽象的な概念や考えを分かりやすい言葉で表すことが難しかったです。著書を何冊か借りてきて関係がありそうな箇所を読みましたが、作品中で語っていることとぴったり合うわけではなく、原文や全訳と本を見比べて、「チョムスキー氏の言いたいことは何か」を考えながら時間をかけて字幕にしていきました。
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(c)e&a film

 
JVTA ドキュメンタリーの翻訳では、こうした周辺情報のリサーチが必須ですね。

 
森藤さん ドキュメンタリー作品や時事ニュース動画などの翻訳は、正確かつ分かりやすい表現にすることが難しくもあり、やりがいの1つだと思います。そういった作品は世の中の最新事情を扱うことが多いので、表現も必ずしも定着しているものばかりは使えず、説明に苦労することも多いんですね。本作では何となくモヤっとしたままの表現を残さないようにチーム全員で心がけました。そういう難しい部分にしっくりくる表現が見つかった時や、読んですんなり頭に入ってくるような表現にまとめられた時は、霧が晴れるような感じがして、いろいろ悩んだ苦労が報われた気持ちでした。
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(c)e&a film

 
JVTA 最後にご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。

 
森藤さん 映画は軽く親しみやすいトーンで始まり、だんだんとシビアな現実が明らかになり、語られるテーマも重くなっていきますが、最後に人々の力強さと変化への希望も描いています。社会問題に鋭く切り込んだ作品なのでシリアスな内容ですが、監督の普通の消費者としての視点を代弁するようなコメントのおかげもあって、肩の力を抜いて鑑賞できる作品に仕上がっています。
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日本でもレジ袋有料化やプラスチックストローの廃止の動きに伴い環境問題への関心が高まっている今、タイムリーな内容の本作をぜひご覧いただけると嬉しいです。

 
JVTA ぜひ多くの方に観ていただきたいですね。ありがとうございました。

 
『グリーン・ライ ~エコの嘘~』
2020年3月28日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
http://unitedpeople.jp/greenlie/


 
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