News
NEWS
voiceinTYO

日英映像翻訳科受講生 鈴木みきさんインタビュー

日英映像翻訳科受講生 鈴木みきさんインタビュー
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

2017年4月期から日英映像翻訳科の総合コースに入学した鈴木みきさんは、プロのメイクアップアーティスト。メイクの仕事で外国人と交流する機会が多いそうですが、最近ではテレビ局の依頼で街録や外国人のインタビューの通訳をするなかで、「もっとしっかり英語を学んで、自分のボキャブラリーや表現を増やしたい」と思い、日英映像翻訳の学習を始めました。通学を開始して約4カ月の鈴木さんにクラスの様子や講師陣の魅力、日英翻訳ならではの難しさ、課題に取り組む想いなどを聞いてみました。

 
◆実際に日英映像翻訳を学んでみていかがですか?

鈴木みきさん すごく楽しいです。個性豊かな先生が沢山いて全力で教えてくれるから、すごく自分の中に新しい知識が入ってくるんですよね。そこから派生してさまざまなことに興味が湧いて、本当に毎週とても楽しみです。物事の見方が大きく変わり、世界が広がりました。入学時は英日か日英か迷いましたが、日英を選んで本当に良かったと思っています。

 
◆クラスの雰囲気はいかがですか?
鈴木みきさん 社会人が通うクラスでもあり、はじめはお互いに気を遣っていたのか「質問してみんなの邪魔をしてはいけないのかな」という感じでした。でも、今は活発に質問がでて、いい雰囲気になってきました。クラスメートと軽く飲みに行ってから打ち解けた気がします。講師からも「クラスメートとはチームを組んで仕事をする可能性もあるので大切にしたほうがいい」とアドバイスされたので、これからもっと交流を深めたいですね。

 
◆印象に残っている講義はありますか?
0K9A4106 - コピー
鈴木みきさん 特に楽しかったのは、映画監督で脚本家、スクリプトドクター、さらに心理カウンセラーでもある三宅隆太先生の講義です。翻訳者はいかに登場人物のことを理解しなければいけないのかを実感しました。この人はどういう意図でこの言葉を言ったのかを100%理解し、それをどう伝えるのか。すべての作品は人間の心理からできていると感じました。その根本を学ぶことで、もっと深く作品理解ができるのではないかと思い、実は通信でストレスケアカウンセラーの勉強を始めたんです。翻訳もそうですが、フリーランスでメイクの仕事をする上でも相手を理解することが一番大事。コミュニケ―ションがうまくいけばすべてが上手くいくはずですよね。人の心理が分れば、これまでは興味がなかった作品も面白く見られそうです。翻訳のテクニックだけを教えてもらっていたら、私はこの気持ちにたどりつけなかったと思います。

 
●課題に取り組む時に気をつけていることはありますか?
鈴木みきさん 作品の設定とキャラクターを理解するように意識しています。他の人のレビューを読んで自分なりに考えてみたり、監督がどういう想いで作ったのかなどといったバックグラウンドを知ったりすると誤訳はしづらいのかなと。講義内ではクラスメートの訳も見られるので「こういう考え方やアプローチがあったのか」と、とても参考になりますね。同じセリフでも本当に何通りもの言い方があるので、「なんて面白いんだろう!!」って、その面白さに憑りつかれています。答えが一つではないのが難しいのですが、そこがやはり楽しさでもあります。本当にみんなセンスがあってすごく勉強になりますね。同じ場面でも人によって全然違って見えるし、人柄までが変わってしまう…。そのキャラクターを作品の中にどうやって活かしていくのか。それが一番難しくて苦労しているところです。

 
◆作品解釈は映像翻訳に必須ですよね。
鈴木みきさん はい。私は、「起承転結のアップダウンをきちんと理解できない」と悩んでいたのですが、さまざまな課題に取り組むうちに、作品の見方がだんだん分かってきました。今でもベストではないのですが、「これはまずい」という段階は脱し、今はどういう風に考えていったら解決できるのかという糸口が見つかったという気持ちです。

 
でも解釈ができたところで、今度はそれを英語字幕で表現するのがまた難しい。こういう人柄っていうことは理解したけど、それを英語でうまく全部アウトプットできるかというと、できるセンテンスもあれば、どうしてもできないセンテンスもあります。ネイティブが見てナチュラルで、日本人独特な習慣や心情を英語でも上手く表現していくテクニックが必要だと分かってきました。

 
◆日英の場合、日本の文化を伝えるのも大変ですよね。
サンクトペテルブルク1
鈴木みきさん 最初は文化を伝えようと必死でしたが、「伝わらないと意味がない」と思うようになりました。セリフとしては普通の表現でも「この感覚って日本人特有だな」と思うことを、そのまま直訳で英語にしても伝わりません。直訳は簡単にできるけど、この言い方ってフェミニストがみたら不快なのでは?と悩んだり…。そういう細かい部分に翻訳者としては一生苦労するのだろうなと思います。文化が分からないと意味が通じないセリフって本当に沢山ありますし、単純じゃない社会のバックグランウンド、例えば男女の距離感や上司と部下の関係などすごく日本らしい表現が多いと改めて思っています。

 
◆一般的に「よろしくお願いします」などの決まり文句も難しいですよね。
鈴木みきさん もっと微妙なものもあると思います。上司と部下の普通の会話だけどすごく微妙な距離感、尊敬語謙譲語なども含まれるニュアンスや言葉の温かみなどがあり、複雑ですが、英語にするとどうしてもフラットになってしまう。その人間関係を英語で表すのが難しいですね。でもそこにだけこだわる必要はないのかなと思うようになってきました。作品によっては、日本の文化を伝えることが目的ではなくて、全体の流れを視聴者がきちんと理解できるかどうかの方が大事なのだと考えられるようになったんです。ナチュラルで分かりやすい表現を意識して、時には日本の文化を押し付けないことも必要なのかなと。

 
●印象に残っている講師の言葉があるそうですね。
サンクトペテルブルグ2
鈴木みきさん ジョナサン・ホール講師の「意味のない訳をつけるな」という言葉です。受け身で映像を見ていると、なんてことのない会話だったりするセリフもありますよね。でも「映画には絶対にそのシーン一つひとつに意味がある」ということを教えてもらいました。このシーンやセリフがあることで、次のシーンにつながっているといったことを見逃していたんですね。全体の構造がもっと分析できるようになったら、どこが大事で、どこがつなぎのシーンかという構成が見えてくると思いますが、まだ私はそこまではいたりません。今は全部のシーンの全部のセリフ、たわいもないセリフも見逃さず、映像の中に映っているものひとつにしてもしっかり意識しないと誤訳するなと思っています。課題で取り組んでいた時に私はそれほど意識していなかった箇所が、講義で他の人の訳をみて、「そういうことだったのか」と初めて気づくことも多いですね。

 
◆将来どんな映像翻訳者になりたいですか?
鈴木みきさん 翻訳だけでなく、通訳もしていきたいです。映像翻訳を始めたもともとのきっかけは通訳の仕事をよりパワーアップしたいという気持ちでしたから。メイクも陰で支える仕事ですが、私はそういう立場が好きなので、映像翻訳者は向いているかなと思っています。ファッションやメイクなどに関する作品などがあれば、経験も活かせそうですね。

 
映像翻訳の魅力はいろいろなジャンルに取り組みながら様々な世界を知っていけること。自分の引き出しも増えていくし、人としても育ててもらえます。これから私が何を目指していきたいかが見えてきて、今はとても楽しみです。

 
◆今後の鈴木さんのご活躍を楽しみにしています。ありがとうございました!

 

鈴木みきさん 公式サイト
http://www.mikisuzuki.com/

 
★日英映像翻訳科の詳細はこちらをご覧ください!
http://www.jvtacademy.com/chair/course4.php

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page