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「新しい才能が広まるトリガーになる」 仏最大級日本映画祭プログラマーが映像翻訳に力を注ぐ理由

「新しい才能が広まるトリガーになる」 仏最大級日本映画祭プログラマーが映像翻訳に力を注ぐ理由
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「KINOTAYO(キノタヨ)現代日本映画祭」をご存知ですか? フランスでの日本映画の普及を目的として、2006年に設立された同国内最大級の日本映画祭です。2019年は11月26日に、パリでの上映を皮切りにスタートします。JVTAは同映画祭のチーフプログラマー、ディミトリ・イアンニさんと対面。そこで、映画祭や映像翻訳者への思いを伺いました。
 

kinotayo
↑ディミトリ・イアンニさん
(「ニッポン・コネクション」会場にて)
 

新作映画をフランスの観客に
「“KINOTAYO”はフランスの観客に今の日本映画の魅力を知ってもらうための映画祭です。毎年秋ごろに、製作18カ月以内の新作・フランス初上映作品を中心に上映します。14回目となる今年は、『君の鳥はうたえる』(三宅唱監督)、『岬の兄妹』(片山慎三監督)などのコンペ部門11作品に加えて、特別上映として『典座 -TENZO-』(オープニング上映/富田克也監督)、『初恋』(三池崇史監督)、そしてクロージングに1926年に日本で上映された『狂つた一頁』(衣笠貞之助監督)を上映します」。
 


 

新たな才能を伝えたい
有名映画監督以外にも、面白い映画を撮る人はたくさんいることを、映画祭で伝えたいと語ります。「フランスで日本映画を観る機会は、90年代と比べて減少しています。90年代といえば、日本映画が国際的に脚光を浴びた年。例えば1997年には北野武が『HANA-BI』でベネチア国際映画祭・金獅子賞を受賞した一方、河瀨直美も劇場映画デビュー作『萌の朱雀』でカンヌ国際映画祭、カメラ・ドール(新人監督賞)を受賞しました。また、フランスで評価の高い黒沢清の出世作『CURE』が作られたのも同じ年です。その頃はフランスで年間10から20の日本映画が劇場公開されていました。ですが、現在はアニメ作品を除けばおよそ5作品まで減っています。私たちはKINOTAYOで、日本の新しい才能をフランスに紹介したいんです」。
 

最も力を注いでいるのが、映像翻訳
そのためには、映像翻訳者の存在こそが重要だと断言します。「私たちが一番予算を掛けているのは、映像翻訳です。そして、フランス語字幕での上映にこだわっています。地方でも開催される本映画祭では誰もが英語字幕で作品を楽しめるとは限りません。だから、日本語ネイティブの翻訳者に日仏字幕翻訳を依頼しています」。
 

映像翻訳に投資をすることには大きな意義があるそう。「“映像翻訳されている”ということがトリガーになるのです。数年前、塚本晋也監督の『野火』をフランス語字幕付きで上映したことがありましたが、その後、あるフランスの配給会社から字幕付きDVD・ブルーレイとして世に出したいという相談が来ました。いつか大きな結果に結び付くのが、映像翻訳に力を注ぐ理由です」。
 

ディミトリさんの日本映画との出会いは黒澤明監督作品。「もう、30年以上前のこと。ティーンエイジャーだった私は深夜に放送されていた『7人の侍』をたまたま見て、痺れてしまったんです。鮮烈な闘いのシーンは今でもまぶたに焼き付いています」。
 

KINOTAYO現代日本映画祭
●開催期間
【パリ】2019年11月26日~12月9日
【地方会場】2019年11月26日~2020年2月2日
 

公式ウェブサイト
https://kinotayo.fr/jp

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