News
NEWS
voiceinTYO

【KODAKメールマガジンの翻訳】「1 stop push process」あなたならどう訳す?

【KODAKメールマガジンの翻訳】「1 stop push process」あなたならどう訳す?
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

翻訳者の活躍の場は映像だけではありません。企業のウェブサイトや英語のサイトの日本語版、書籍など多岐にわたります。コダック ジャパンが配信するメールマガジンもその一つ。「KODAKメールマガジン」は、KODAKの映画用フィルムで撮影された映画やCMの撮影監督コメントを中心に、国内のシネマトグラファー、撮影助手、ディレクター、プロデューサー等業界関係者、約3000人に不定期で配信されています。このメールマガジンの記事で多いのは米国コダック本社が発信する英語記事の翻訳版、それをJVTA修了生の林 愛沙さんが2017年11月から担当しています。撮影の現場や監督の裏話など専門的な内容が多い記事に取り組む林さんにお話を聞きました。

 
kodak_m2
※「KODAKメールマガジンより」
 
◆このサイトならではの難しさをお教えてください。
林 愛沙さん(以下、林さん) 公開前の作品についての記事も多いため、本編中のシーンについて解説している文章などは、自分が訳している内容と、実際の映像が合っているのかどうか確認できないのが難しいところです。

 
納品した後から本編を見て、自分が思っていた通りの映像が映っていてほっとすることもありますが、「そういうことだったのか」と、そこでやっと理解できることもあります。
細かいシーンについてのこだわりなどを語っていることも多いので、海外のレビューやトレーラーを見て、本編を見られないなりに、どういうシーンなのかを調べるようにしています。

 
◆読者が業界関係者ということで、専門用語を調べるのも難しそうですね。
林さん はい。これは専門用語だろう、と分かる単語は、調べれば訳語が見つかることが多いのですが、大変なのは、簡単な英単語に専門用語としての意味があるのに気づかないことでした。

 
最初につまずいたのは「stop」という単語で、当たり前に知っている言葉だと思っていたのですが、どうしても意味が合わず、訳文が成立しなかったのです。前後の単語と組み合わせて検索したり、他の文脈での使われ方を調べたりするうちに、「1 stop」で「1段」の意味になることが分かりました。そして、「1 stop push process」で「1段増感現像」と訳せばいいのだと気づいて、すっきりしたのを覚えています。

1段増感
※「KODAKメールマガジンより」
 

 
専門用語は原文で検索をかけて、英語で意味を理解してから、それを日本語で何と言うのかを調べることが多いです。また、メールマガジンが実際にアップロードされた時には必ずチェックするようにしているのですが、その時に用語の使い方などが訂正されている時は、次に生かすようにしています。

 
◆記事の翻訳と映像翻訳との違いはどんな点ですか?
林さん なるべく原文に添うようにとは思っていますが、メールマガジンなので、日本語の文章として分かりやすいことを心がけています。読んでいる人にはっきり伝わるように、説明の言葉を足したり、文章の順番を変えたりすることもありますが、そこが映像翻訳とは違う点かもしれません。映像翻訳は短い字数制限の中で情報の取捨選択が求められるので、やむを得ず、省く言葉もありますよね。日本語の文章の書き方については、まだまだ勉強が必要だなと日々感じています。

 
◆これまでの記事で特に印象に残っているものや難しかったものは?
林さん たまに公開中の作品をテーマにしたお話を頂くことがあるのですが、その時は本編を見てから翻訳ができるので、自分自身も入り込んで取りかかれる気がします。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、映画館に観に行くつもりだった時にお話を頂きました。本編を楽しんだ後に、メールマガジンで裏側を知ることができたので、「1度で2度おいしい」という感じでした。

 
スターウォーズ
※「KODAKメールマガジンより」
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の記事はこちら
starwars
※「イーストマン・コダック社のHPより」
※記事文末に記載されているリンクから原文を読むことができます。
https://www.kodak.com/motion/Blog/Blog_Post/?contentId=4295015464

 
また、好きな監督が新作を発表する時は、もしかしたらお話を頂けるんじゃないかと楽しみだったりもします。最近だとグレタ・ガーウィグ監督の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は、公開を楽しみにしていたので、メールマガジンで翻訳に携われた時はとてもうれしかったです。このメールマガジンでお話を頂いて出会えた作品もたくさんあるので、今後も続けていけたらうれしいなと思っています。

 
若草物語
※「KODAKメールマガジンより」
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の記事はこちら
※原文はこちら

 
◆映画好きの知識を活かせるという意味で映像翻訳者にぴったりなお仕事ですね。原文と翻訳版を比べて読むのも勉強になりそうです。今後の記事も楽しみにしています。ありがとうございました。

 
【KODAKメールマガジン】
バックナンバー:https://www.kodakjapan.com/backnumber 
配信登録:http://bit.ly/Kodak-motionjp-regist 

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page