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『世界で一番貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』が劇場公開 字幕は修了生の草刈かおりさん

『世界で一番貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』が劇場公開 字幕は修了生の草刈かおりさん
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ドキュメンタリー映画『世界で一番貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』が3月27日(金)から劇場公開されます。字幕をJVTAの修了生の草刈かおりさんが手がけました。

ホセ・ムヒカ氏はウルグアイの元大統領。収入の大半を貧しい人々のために寄付し、職務の合間にはトラクターに乗って農業に勤しむという姿勢が注目を集めました。国内外で多くの人に支持され、日本でも彼に関する書籍が複数出版されています。この作品の魅力について、字幕を手がけた草刈かおりさんに話を聞きました。


© 2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A, RASTA INTERNATIONAL, MOE

 
◆修了生・草刈かおりさん(日本語字幕を担当)のコメント

 
●ムヒカ氏の名言が満載
この映画の最大の見どころはムヒカ氏の語る印象的な言葉です。
例えば、
“時に悪は善になり、善は悪になる”(過酷な投獄経験のおかげで多くを学んだ)
“政治の世界に必要なのは、心は大きく財布は小さい人物だ”
“大勢の国民に選ばれたなら、大勢の国民と同じ暮らしをすべきだ”
“命を奪うためでなく命を愛するために投資せよ”(環境問題に触れて)
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© 2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A, RASTA INTERNATIONAL, MOE

 
深い内容をシンプルな言葉で表し、詩のようにリズミカル。さらに、対比や並列なども用いて独特の表現をするので、聞いた後や読んだ後に“なるほど”と一瞬、耳や目を止めてしまうような余韻を残すのです。

 
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© 2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A, RASTA INTERNATIONAL, MOE
映画の中で奥さんのルシア・トポランスキー上院議員も言っていますが、どんな立場のどんな人々にも伝わるよう、独自のこのような表現でメッセージを伝えています。ムヒカ氏の心に響く言葉をぜひ味わってください。

 
●“音楽で綴るムヒカ氏の半生”
映画を彩る音楽も見どころの1つです。
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© 2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A, RASTA INTERNATIONAL, MOE
クストリッツァ監督らしく音楽三昧の映画でもあります。全編を通して哀愁を帯びたロマンティックなタンゴが流れ、サンバやムルガがアクセントとして効果的に使われていて、“音楽で綴るムヒカ氏の半生”という趣さえあります。タンゴは郷愁そのものだと語るムヒカ氏は、トラクターを運転しながら情熱的なタンゴを口ずさみ、夜になると奥さんと2人で酒場へ行き、ウルグアイのタンゴ歌手リカルド・オリベロの歌に酔いしれます。

 
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サンバは街の様子を描く場面で何度か使われ、首都モンテビデオの人々の活気や熱気を効果的に表しています。

 

ムルガはカーニバルで演じられるミュージカルで、ウルグアイの伝統芸能のようなもの。私はわりとマニアックな音楽にも詳しいのですが、ムルガは初めて知りました。独特の扮装をした歌手と打楽器奏者のグループが、社会風刺や批判を比喩的に盛り込んだ歌や寸劇を演じます。本作ではアガラテ・カタリナというカーニバルのチャンピオンチームが登場します。
アルゼンチンとブラジルの間に位置するウルグアイらしい音楽が全編を通して楽しめる映画です。

 
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© 2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A, RASTA INTERNATIONAL, MOE

 
●劇中に流れる歌の歌詞も字幕に翻訳
ムヒカ氏の言葉を訳す際には、その独特の表現をそのまま伝えながら、字幕としても伝わりやすくなるように心がけました。

 
また、歌の歌詞は一部を除いてスクリプトには載っていなかったのですが、自分が観客だったら映画の本筋には直接関係ない歌でも歌詞の内容を知りたいと思いますし、本作は音楽が見どころのひとつでもあると感じたので、歌詞を調べてスペイン語から訳しました。(本作はスペイン語作品で、他の部分はスペイン語スクリプトと英訳スクリプトを支給していただきました)

 
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スペイン語は学習中のため英語よりは訳すのに多少時間がかかりましたが、歌詞字幕を訳すのは大好きですし、タンゴ愛好家による“タンゴのスペイン語辞典”などにも助けられながら愉しく訳させていただきました!

 
●翻訳作業で苦労したのは調べもの
まず政治の内容であるという点が大変でした。詳しいわけではないのでイデオロギーや用語について一から調べる必要があり、時間がかかりました。政治は言葉がすべての世界なので特に難しかったです。

 
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© 2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A, RASTA INTERNATIONAL, MOE
さらにウルグアイという国の情報が少なく、その点も調べるのが大変でした。情報が見つかったとしてもスペイン語のサイトであることが多く、スペイン語を学習中とはいえ調べるのに少々時間がかかりました。また、ムヒカ氏がシンプルな言葉を使う分、幅広い意味に取れる場合も多く、その点も苦労しました。最終的にはラテンアメリカに詳しい専門家の方にチェックしていただき、字幕を仕上げました。
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©CAPITAL INTELECTUAL S.A.

 
●訳したムヒカ語録がノベルティのポストカートに!
このように、奥深い映画ならではの苦労はありましたが、ムヒカ氏の名言やタンゴの名曲の歌詞を訳すのはやりがいがあってとても楽しかったです。本作の劇場前売り鑑賞券には限定特典として「ムヒカ語録ポストカードセット」(詳細はこちら)が付くのですが、自分が訳したムヒカ氏の言葉がノベルティになって嬉しかったです。ムヒカ氏の人柄同様、パワフルで愛にあふれる本作をぜひ劇場で味わってください。

 
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皆さんもぜひ、ムヒカ氏の名言や音楽、歌詞などの字幕にも注目してみてください!
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『世界で一番貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』
3月27日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
公式サイト:https://pepe-movie.com/

 
●私も字幕を作ってみたい!という方はオープンスクールへ!
詳細・お申込みはこちら

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