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修了生の小林美麗さんが企画、翻訳した洋書の日本語版が発売!

修了生の小林美麗さんが企画、翻訳した洋書の日本語版が発売!
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JVTA修了生の小林美麗さん(ペンネームは市ノ瀬美麗)が翻訳を手がけた書籍『クィア・ヒーローズ 世界を変えた56人のLGBTQヒーローたち』(株式会社ジーオーティー)が2022年4月に出版され、話題となっている。小林さんはこれまで、ミュージカルの台本翻訳や、映画『ビューティフル・ボーイ』の原作本、『イエスの遺言書』などのミステリー小説の書籍翻訳を数多く手がけてきた。同書の編集を手がけた株式会社ジーオーティーの高村敏博さんと翻訳者の小林さんにお話を伺った。
 

◆洋書の日本版発売を自ら企画し実現!
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『クィア・ヒーローズ 世界を変えた56人のLGBTQヒーローたち』は、小林さんが英語版を見つけて感銘を受け、日本語版発売の企画を持ち込み、出版が実現した。もともとLGBTQに関心があり、子供向けの絵本などがないかと海外のAmazonで探していたところ、原書の『Queer Heroes: Meet 53 LGBTQ Heroes From Past and Present!』のカラフルな表紙が目に飛び込んできたという。
 

「世界中のLGBTQの偉人を紹介している作品ということで、さっそく読んでみると、古代から現代まで、さらに、欧米だけでなくアジア・中東・アフリカなどの著名人が載っていて、とても興味深く、また、差別や偏見を乗り越えて力強く生きた(生きている)人たちの勇気に感動を覚えました。日本ではまだLGBTQのロールモデルが少ないこともあり、若い世代がLGBTQの理解を深めるのに最適の本ではないかと考えたのです。ぜひ日本でも出版してほしいと思い、翻訳出版の企画書を作成したところ、ありがたいことにジーオーティーさんに採用していただけました。」(翻訳者の小林美麗さん)
 

編集を手がけた株式会社ジーオーティーの高村敏博さんは、歴史的偉人たちの中にもLGBTQの人々が(あたりまえに)存在してきたのだという視点でとりあげており、素直に面白いなと興味を持ったと話す。
 

「大変おもしろい切り口の企画で、また日本にはそうした類書がまだないこともあり、企画者の市ノ瀬(小林)さんに翻訳もお願いする形で日本版を出版させていただくこととなりました」(編集・株式会社ジーオーティー 高村敏博さん)
 

◆世界的に活躍する56名を収録
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同書には、クイーンのヴォーカリストのフレディ・マーキュリーや、アップルCEOのティム・クック、イギリスの小説家、ヴァージニア・ウルフ、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ、テニスの女王マルチナ・ナブラチロワなど、世界的に活躍する56名が紹介されている。(日本版には原書に加え、美輪明宏氏、南定四郎氏、下山田志保氏などが追加収録されている)。
 

「調べものはほとんどインターネットを利用、専門用語などは、LGBTQ関連の本を何冊か購入して参考にしました。人数は多かったのですが、ほとんどが有名な人たちばかりで、逸話などもよく知られているものが多かったので、裏取り自体はそれほど大変ではありませんでした。ただ、あまり有名でない人の場合は、ネット上の情報が曖昧なことも多く、正確な情報が見つからなかった場合は申し送りをつけるようにしました。この点は映像翻訳と同じですね。」(翻訳者・小林美麗さん)
 

◆子どもたちに伝えたいという想いを込めて
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この作品には、“より多様性が求められる次世代の子供達が、LGBTQ+への理解を深め、より身近に感じてもらうための教養書”という想いが込められている。
 

「ロックスター、詩人、作曲家、映画監督、実業家、スポーツ選手、政治家、などなど実はあらゆる分野で活躍する人たちの中にLGBTQの人々がおり、それは決して『クィア』なことではなく、あたり前のことなのだと実際の偉人たちを取り上げながら紹介しています。さらにカラフルな絵柄を交えた絵本という形式で子供たちにもわかりやすいのも魅力です。」(編集・株式会社ジーオーティー 高村敏博さん)
 

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同書では、オールカラーでイラストと共に各人物が一人ずつ紹介され、ですます調の文体と易しい表現で分かりやすく解説されている。一方、小林さんがこれまで翻訳を手がけた書籍の多くは大人向けのヒューマンドラマやミステリー系。どんなことを意識して翻訳に取り組んだのだろうか?
 

「全体を通して、子供向けの本なので“分かりやすくやわらかい表現で”と編集者さんから指示があったのですが、普段あまり子供向けの文章を書いたことがなかったため、苦労しました。専門用語などはなるべく分かりやすくするため、訳注を付けたりしました。また、カタカナ表記と日本語表記を併記したほうが分かりやすそうな言葉については、例えば『ホモフォビア(同性愛嫌悪)』『ジェンダーロール(男女の役割分担)』などのように表記するようにしました。」(翻訳者・小林美麗さん)
 

◆映像翻訳と書籍翻訳の両方に経験が活かせる
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小林さんは、書籍翻訳の経験を重ねた後、JVTAとアルクが共催する映像翻訳Web講座を修了し、2021年1月に映像翻訳者としてもプロデビュー。現在は主に、配信用のドラマやアニメ、バラエティ番組の字幕や、テレビ番組のVOの翻訳などを手がけている。書籍翻訳と映像翻訳の両方の経験が相互に活かせると話す。
 

「字数が限られている映像翻訳では、制作者の意図を汲み取って短く簡潔にまとめることを学びました。その点が、出版翻訳でも、冗長で分かりづらい文章が出てきた際に、著者が言いたいことを汲み取って自然な読みやすい日本語で表現するのに役立っていると思います。また技術面ではないのですが…、欧米の小説では聖書やシェイクスピア作品の一節がよく引用されています。そのため、日本語訳の聖書とシェイクスピアの本をひととおりそろえてあります。映像翻訳でもたまに聖書やシェイクスピア作品の言葉が出てくることがあり、そういう時にすぐに調べられる資料として役に立っています。」(翻訳者・小林美麗さん)
 

◆自分だけのLGBTQヒーローを見つけてほしい
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同書は、子供向けだがLGBTQに関する理解を深めることができる1冊として大人にも響く内容だ。差別や偏見を乗り越えて活躍した古今東西のLGBTQの偉人たちの物語からは、きっと勇気をもらえるはずだと小林さんはいう。
 

「LGBTQだから特別というわけではなく、性別や性的指向にかかわらず、人間は誰もが自分の人生の主役であり、活躍することができる、歴史に名を残すことができるという力強いメッセージが、本書には込められています。LGBTQに関心がある人や、自分のアイデンティティに悩んでいる子供や若者はもちろん、世代や性別に関係なく、すべての人に読んでもらいたい作品です。」(翻訳者・小林美麗さん)
 

「子供たち、特に自らの性的アイデンティーに悩む子供たちが本書を通じて、憧れ、尊敬でき、ロールモデルとなる自分だけのLGBTQヒーローを見つけてもらえたら、本書の出版に関われた一人として心から喜ばしい限りです。」(編集・株式会社ジーオーティー 高村敏博さん)
 

JVTAは、セクシュアル・マイノリティをテーマとする作品を上映する映画祭「レインボー・リール東京」を字幕制作で毎年サポートしている。誰もが自分らしくいられるために、ぜひ多くの人に手に取ってもらいたい。
 
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「クィア・ヒーローズ 世界を変えた56人のLGBTQヒーローたち」
文:アラベル・シカルディ
イラスト:サラ・タナト-ジョーンズ
翻訳:市ノ瀬美麗
公式サイトはこちら

 
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