【第21回難民映画祭2026が11月5日に開幕】翻訳者ならではの支援のカタチ 難民一人ひとりの背景を字幕で伝える
11月5日(木)から12月6日(日)まで、「第21回難民映画祭2026」が開催される(主催:特定非営利活動法人 国連UNHCR協会)。JVTAはこの映画祭を2008年(第3回)から、字幕制作でサポートしており、 JVTAの修了生の有志がプロボノ(職業の専門性に基づく知識や経験などを生かして行う無償の社会貢献活動)で字幕翻訳を担ってきた。翻訳者ならではの支援のカタチと言える。今年もオンラインと劇場で上映される8作品のうち、JVTAの修了生18名がチームとして2作品『私の武器、それはコメディー』と『故郷へ続く青空の下で』の字幕を制作した。また、JVTAは大学の授業でも字幕制作を指導。青山学院大学では、『極寒の森に取り残された人々』、明星大学では『気候変動に揺れる世界』の字幕を大学生が手がけている。
2025年末時点で、紛争や迫害により故郷を追われた人の数は世界で1億1780 万人。この数字はシリア危機が発生した2011年当時の約4000万人の実に3倍であり、世界人口の70人に1人が難民に相当する。国外に逃れる難民、国内で他の場所に移動する国内避難民の約8割は女性と子どもたちで、その避難生活は平均17年に及ぶという。
難民映画祭担当の山崎玲子さん(国連UNHCR協会・渉外担当シニアオフィサー)は、毎年約100本の作品を収集し、30本ほどに絞った作品を観て、映画祭の趣旨や作品の舞台となっている地域、作品のテーマなどを考慮しながら上映作品を選出する。今年のラインナップには、ロヒンギャ難民、気候変動、アフガニスタン、ロシアによるウクライナ侵攻、ガザ地区、シリア紛争、イスラエルなどのテーマが盛り込まれている。ドキュメンタリー作品が多いのもこの映画祭の特徴だ。オリジナルの言語もさまざまだが、基本的に英語字幕がある作品を選んでおり、翻訳者は英語字幕から日本語字幕を作っていく。翻訳に欠かせないのは丁寧なリサーチだ。それぞれの地域で何が起こっているのか、政治的な背景や紛争の原因は何かなどを翻訳者が把握しなければ、視聴者に正しい情報を伝えることはできない。さらにチームで話し合いながら、セリフの口調やトーン、言葉遣いなどを統一し、全体の流れを整えて字幕が完成する。

「修了生の皆様が作ってくださった字幕を最終確認するときに、そこに添付されている膨大なリサーチ情報を見ていつも圧倒されます。字数が限られている中、話者の心情や社会背景を考慮しながら、最も伝わる表現は何かを考え抜いて生まれた翻訳であることに、いつも感服しています。話者にとことん向き合う作業なのだと感じます。映画の制作者や出演者が伝えたいことは、皆様が制作してくださった字幕にのって、今年も多くの人たちの心に届くことと思います。難民映画祭にご協力いただきましたことに、心より御礼申し上げます。」(国連UNHCR協会・渉外担当シニアオフィサー、山崎玲子さん)
難民映画祭は、11月5日にスタート。オンライン視聴と上映会の受付はすでに始まっている。公式サイトでラインナップを確認し、まずは気になった作品を観ることから始めてほしい。
◆難民映画祭
・オンライン開催(全国どこからでも視聴可能)
2026年11月5日(木)~ 12月6日(日) 32日間
※7作品をオンライン配信
・劇場開催
2026年11月5日(木) TOHOシネマズ 日比谷・〈別館〉スクリーン12
2026年11月30日(月) イタリア文化会館・アニェッリホール
※その他オンラインセミナーを6回開催






