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担当ディレクターに聞く!映画祭における映像翻訳とは?

担当ディレクターに聞く!映画祭における映像翻訳とは?
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映像翻訳者が手がける作品といえば、劇場映画や海外ドラマ。動画配信サービスが勢いを増す中、そんなイメージを持っている方は多いかもしれません。しかしあらゆるジャンルの映像があふれる動画時代、翻訳者の活躍の場はそれだけに留まりません。ドキュメンタリー番組、スポーツ番組、リアリティ番組、インタビュー映像、企業VPなど、翻訳が必要とされる場面は数多くあります。今回はそんな中で、日本映像翻訳アカデミーが約20年にわたり字幕提供という形でサポートし続けている「映画祭」というジャンルから、2つの映画祭をピックアップしてご紹介します。現場で字幕のディレクションを行う2人の映像翻訳ディレクターから話を聞きました。
 
◆『レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~』
「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」という名称で1992年より開催がスタートした、セクシャル・マイノリティをテーマとする作品を上映する映画祭。さまざまなセクシュアル・マイノリティについての作品上映を通じて、より多様で自由な社会を創出する場となることを目指している。
 
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<担当ディレクターからの声>
LGBTQをテーマに扱う作品の翻訳をするにあたって、言葉選びはとても慎重に行う必要があります。同性愛者やトランスジェンダーなど、ついジャンル別にまとめて考えてしまいがちですが、実際はもっと複雑で「同性愛者だから〇〇だ」とか「トランスジェンダーだから〇〇だ」のように簡単に言い表すことはできません。登場人物の背景や話し方、性的指向などをきちんと理解してから翻訳しないと、大変な間違いにつながってしまうこともあるんです。LGBTQ当事者の方が見て不快に思わないよう、配慮して言葉を選びたいですね。例えば「同性愛者だから女性口調」なんて、安易なイメージで判断してしまうのは絶対にNG。作品解釈や視聴者目線での考え方、作品に適した言葉選びなど、この映画祭でLGBTQ作品ならではの視点を学ぶことで、映像翻訳者としてのスキルの幅も広がるはずです。
B_パンフの表紙

 
◆『UNHCR難民映画祭』
国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所とUNHCRの日本での公式支援窓口である国連UNHCR協会が共催し、難民問題をより多くの人に広く知ってもらうことを目的に行っている映画祭。難民の人々にフォーカスした映画だけを集めて上映している。
 
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<担当ディレクターからの声>
ここ数年、シリア危機やロヒンギャ問題など、ニュースで難民問題について耳にする機会が増えました。とはいえ日本で暮らす我々にとっては、どうしても遠い国の出来事という感覚があるのが現実だと思います。この映画祭はより多くの人に難民問題に関心を持ってもらい、何かしらの形でサポートというアクションを取ってもらうために開催されており、私たちは映画祭がスタートして間もない頃から、字幕制作という形での支援を続けています。毎年多くの修了生が集まり、チームを組んで1つ1つの作品に向き合います。なじみのない世界の情勢や文化について詳しく調べて掘り下げたり、互いの翻訳原稿に納得いくまでチェックを入れたり、作品に込められたメッセージを正しく届けられるよう、妥協のない作業が繰り返されます。文字どおり寝る間も惜しんでハードな作業を終えた後、会場の大きなスクリーンで作品が流れ、自分たちの訳が視聴者の心を打つ瞬間を目にした時の達成感は忘れられないと、チームに参加した誰もが口にします。社会的に意義のあるテーマだけに、参加する翻訳者は強い責任感、使命感を抱いて翻訳にあたります。日本映像翻訳アカデミーが関わる多くの映画祭の中でも、そのテーマに共感し、リピーターとして毎年のように作業に参加してくれる修了生が数多くいるのが特徴です。
A. Soufra
 
エンターテイメントとして楽しめる映像作品に字幕を付けることは、映像翻訳者としての醍醐味ではあります。しかし、それだけに留まることなく幅広いジャンルの作品を手がけることで、スキルを磨き、視野を広げることができるのです。これからもJVTAは様々な映画祭をサポートし続けていきます。
 

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★UNHCR難民映画祭上映作品『アレッポ 最後の男たち』が4月13日(土)から劇場公開!
担当した映像翻訳者からのコメントはこちら
 
★2017年のレインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で、修了生が担当した作品『カランコエの花』がグランプリを受賞
当時の様子はこちら
 

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