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映画『パルメ』 スウェーデン首相の人生に迫る意欲作

映画『パルメ』 スウェーデン首相の人生に迫る意欲作
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2013年11月30日、渋谷のユーロスペースにてスウェーデン映画祭が開幕しました。今年が初の試みとなるこの映画祭では新旧のスウェーデン映画の傑作全14本が上映されます。JVTAはこの映画祭のPRに協力しています。初日の30日には、3作品の監督が舞台挨拶に登壇。会場には幅広い年齢層のスウェーデン映画ファンが集り、ロビーでは監督と談笑したりサインを求めたりする姿も見られました。今回は、『パルメ』の上映の様子をご紹介します。

『パルメ』は、1986年に暗殺されたオロフ・パルメ首相の人生に迫るドキュメンタリー。クリスティーナ・リンドストロム監督(写真下左)は、「パルメは20世紀のスウェーデンで最も重要な政治家です。この作品は、政治家としてだけでなく、1人の人間としてのパルメを紹介しています」と語りました。

同作品では、家族や元同僚など親しい人物の証言から、上流階級に生まれた幼少時代、民主主義に目覚めた学生時代など1969年に首相に就任する以前の姿も丁寧に描かれています。リンドストロム監督曰く、パルメ首相の家族がこのような取材に応じたのは初めてとのこと。休暇に妻と息子たちとくつろぐ貴重な映像には穏やかな素顔も垣間見えました。

上映後のQ&Aでは、社会民主党が40年あまりにわたって政権を握り福祉国家を作り上げた功績についてなど熱心な質問が投げかけられました。「制作のきっかけは、若い世代にも彼のことを知ってもらいたいという想いでした。そのためスウェーデンでは学校での上映も行っています」とリンドストロム監督。この作品がスウェーデンで上映された時は25万人、テレビ放映時は140万人と多くの国民が鑑賞し、その後あらゆる場で国民が政治や生活環境について率直に語り合う機会が増えたそうです。

監督と共に登場したスウェーデン大使館広報文化担当官のアダム・ベイェ氏(写真上右)が涙で口ごもる場面もありました。その理由について後ほど尋ねたところ「ラストシーンでパルメ首相のお墓に花を手向けたアンナ・リンド氏は後にスェーデンの外務大臣になりました。しかし、彼女もまた2003年に暗殺の犠牲者に。これらの暗殺事件は国民に衝撃を与え今もトラウマとなっているのです」と解説してくれました。

スウェーデン映画祭ではこの他にも1920年のサイレント映画『霊魂の不滅』をはじめ、1960年代の『天使のともしび』、『天使なんかあるものか』、2012年の『コックピット』、『フリッカー』、『ノーベル殺人事件』など時代を超えた名作の数々が上映されました。映画を通してスウェーデンの文化や政治、歴史に触れられるイベントとなりました。

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