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Vol.22 王様と私

Vol.22  王様と私

【最近の私】 我が家の裏にコンドミニアムができるそうです。うちの犬及び近所の犬たちは、今まで自由に走り回れる環境に過ごしていましたが、ご近所の数や車の数が増加してきて、犬たちのライフスタイルも少し変化せざるを得なくなりそう。先に住んでいた犬たちが後からやって来た人間に合わせなければならないことに、申し訳なさを感じながら、人間と動物がハッピーに共存するにはどうしたらいいのだろうと頭を悩ませ中です・・・。
 

先月、日本に一時帰国した際、俳優の渡辺謙さんがニューヨークのブロードウェイでミュージカル「王様と私」に挑戦する姿を追ったテレビ番組をみました。
 

「王様と私」は、大好きな作品の一つ。子どもの頃、西洋由来のものとは一味違う、シャム国王のエキゾチックな衣装や背景の装飾に魅了されたものです。そのシャム国が今のタイだと知ったのは、ずっと後のことでした。
 

さて、こんなに有名な映画だから、タイでもさぞ人気だろうと思ってその話題をよく口にしたのですが、多くのタイ人は誰一人として知らず。後でわかったのですが、実はタイでは上映禁止だったのです。 タイ人は自分の国の王様を大変尊敬しています。映画の中の王様の描かれ方の中に受け入れ難い点が少なからずあったのでしょう。
 

このように、タイ人が王様を敬う心は私たちが思う以上に深いのです。
 

王様と私
 

■「王様カラー」の黄色は大人気!
 

まだタイにきたばかりの頃、タイ人の友達に「何曜日生まれ?」と聞かれ、「知らない…」と返したら大変驚かれました。
 

タイでは、「その人が何曜日に生まれたのか」がとても重要。曜日には、それぞれ意味を持つ‘色’がついています。月曜日は黄色、火曜日はピンク、水曜は緑、木曜日はオレンジ、金曜日は青、土曜日は紫で日曜日は赤。「月曜日だから黄色を着よう」と曜日の色に合った服を日々選んでいる人もいます。
 

現在のチャクリー王朝9代目プミポン国王は、国民からとても尊敬されています。そのため、国王の誕生日である月曜日の黄色も大人気です。黄色のポロシャツやTシャツが品不足になり、あるポロシャツは価格の高騰を防ぐためにタイ商業省はなんと、上限価格を設定したのです!
 

2006年には、国王即位60周年を記念して王様の長寿を願う「Long Live The King リストバンド」が大流行しました。出会う人がみな黄色い(実際はちょっとオレンジっぽい!?)リストバンドをつけている光景は、国王の人気の高さを肌で感じさせてくれました。
 

黄色いシャツを着る幼稚園のノイ先生

黄色いシャツを着る幼稚園のノイ先生


 

■王様への敬意はこんなところでも!
 

タイ人の家やお店、公園や公共の建物などの壁面には、必ずと言っていいほど王様の写真が飾ってあります。今のプミポン国王と5代目のチュラーロンコーン国王の人気が高いようです。また、街では王様用の黄色い旗や、” We Love King”のステッカーをつけた車などをチラホラ見かけます。
 

こんな出来事もありました。初めてタイの映画館で映画を見た時のこと。席についてなんとなくポップコーンを片手に予告編を見ていたら、突然画面が変わって観客全員が立ち上がるではないですか。 実は、タイでは映画本編の前に国王賛歌が流れるのです。その間はみんな起立、終わるとすみやかに着席。それから映画が始まります。最初は驚きましたが、少し厳かな気分にさせられたのを覚えています。
 

タイで日々接している王様の存在感。そして偶然にも日本で久しぶりに出会った「王様と私」。1956年の名作でユル・ブリンナーが演じた王様をあらためて見直したくなり、同時に、日本人の渡辺謙さんが演じたシャム国国王を見たくなりました。
 

そう、ひょんなことからタイに関わり、この国のことが少しだけわかってきた今、こんなことを思います。
 

私の人生も今やすっかり「タイ王国と私」だなぁ。
 

小さい時に見て心惹かれたあのエキゾチックな国に、今、身を置いている私。そんな運命の不思議をあらためて実感するのでした。
 

満開の黄色い花)

満開の黄色い花)


 

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Written by 馬場容子(ばば・ようこ)
東京生まれ。米国大学でコミュニケーション学専攻。タイ、チェンマイに移住し、現在は郊外にある鉄工房でものづくりをするタイ人パートナーと犬と暮らす。日本映像翻訳アカデミー代々木八幡・渋谷校時代の修了生。
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花と果実のある暮らし in Chiang Mai
チェンマイ・スローライフで見つけた小さな日常美