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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第75回 “JULIE AND THE PHANTOMS”

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ  第75回 “JULIE AND THE PHANTOMS”
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    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

    “Viewer Discretion Advised!”
    これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
    Written by Shuichiro Dobashi 

    第75回“JULIE AND THE PHANTOMS”
    “Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系・ケーブル系に加えてストリーミング系が参戦、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。

     

     

    コロナ不安、失恋、夫婦喧嘩への処方箋は、心温まる学園ミュージック・コメディ!
    “Julie and the Phantoms”は、『ハイスクール・ミュージカル』(2006)のテイストを持つ、楽しくて心温まる学園ミュージック・コメディ。コロナの不安を癒し、失恋の痛手を緩和し、夫婦喧嘩の怒りを鎮める処方箋として、一人で、恋人と、友人と、あるいは家族でイッキ観して欲しい珠玉の小品だ!
     

    “Step into your greatness. Don’t give up. Stand tall!”
    ―カリフォルニア州ハリウッド、1995年
    ルーク(チャーリー・ギレスピー)、アレックス(オーウェン・ジョイナー)、レジー(ジェレミー・シェイダ)の3人は、新進気鋭のロックバンド「サンセット・カーブ」のメンバーだ。彼らは憧れのオルフェルム劇場での演奏を2時間後に控え、劇場裏で腹ごしらえをしている。
    「ん?このホットドック、なんか味が変だぞ」
    数分後、3人は食中毒で死んだ。
     

    ―ロサンゼルス、現在
    ジュリー・モリーナ(マディソン・レイエス)は父親、弟と3人暮らしの高校生。ソングライターだった母親は1年前に亡くなった。ジュリーも歌とピアノの才能に恵まれているのだが、大好きだった母親の死を今も克服できず、音楽を避けている。ジュリーは学校の音楽クラスからも外されてしまった。
     

    ある夜、ジュリーがガレージで母親の残した「サンセット・カーブ」のCDを聞いていると、25年前に死んだメンバー3人がゴーストとなって現れる。そのガレージは、ジュリーの母親が音楽スタジオとして使う前は彼らの練習の場だったのだ。
    驚きと恐怖でゴーストから逃げ回るジュリー。だが、やがて死後も純粋に音楽を愛する彼らの存在を受け入れる。
     

    嬉々として演奏を始めるルーク、アレックス、レジーを見ているうちに、ジュリーの音楽への情熱が戻ってきた。
    久しぶりにピアノを弾きながら母親の書いた歌を歌うジュリーを見て、3人のゴーストはその才能に仰天する。
     

    3人はジュリーが音楽クラスに戻れるよう画策する。ホログラムと偽って彼女のバックバンドとなり、学校のフットボールチームの激励会で飛び入り演奏をしたのだ。4人は生徒と教師から圧倒的な声援を受けた。
     

    こうして、驚天動地のバンド“Julie and the Phantoms”が誕生した!
     

    必見のシャイアン・ジャクソン!
    ジュリーを演じたマディソン・レイエスは16歳、演技力も歌唱力も文句なし。映画/ドラマ初出演とは思えないライジングスターだ。
     

    ジュリーに儚い想いを寄せるルーク、センシティブで優しいゲイのアレックス、能天気でお人好しのレジーを、チャーリー・ギレスピー、オーウェン・ジョイナー、ジェレミー・シェイダが絶妙のチームワークで演じた。演奏もすべて彼らが実演しているという。
     

    圧巻なのが、3人をダークサイドに引き込もうとする邪悪なゴースト・マジシャンのケイレブを怪演したシャイアン・ジャクソン。最近では“American Horror Story”の常連になっているブロードウェイのベテランアクターだ。ジャクソンが第5話で披露する“The Other Side of Hollywood”は絢爛豪華で別格の味わいで、ミュージカルファン必見だ。
     

    その他、ジュリーの親友フリン役のジェイダ・マリー、アレックスに一目ぼれするゴーストのウィリーを演じるブーブー・スチュアート、さらにジュリーのライバルで底意地の悪いキャリーを演じたサヴァンナ・リー・メイと、芸達者な若手アクターたちが集結した。
     

    アメリカン・ショービジネスの層の厚さは底が知れない。これだけストリーミング・ドラマが増えても、才能ある新人、無名の実力派中堅スターが雨後の筍のように現れるのだ。
     

    ミュージックに乗ってイッキ観だ!
    製作総指揮/共同監督のケニー・オルテガは振付師出身で、ディズニーのTV映画『ハイスクール・ミュージカル3部作』が代表作だ。オルテガはNetflixとコンテンツ制作の複数年契約を結んでいる。
     

    このジャンルには“Glee”という傑作ドラマが存在する。(厳密にば”Glee”はミュージカル・ドラマ、本作はミュージック・ドラマだが、ここでは区別しない。)アクターたちは美形&イケメン、才能&個性のかたまりだ。誤解を恐れずに言えば、“Glee”のストーリーは一種のファンタジーだし、役者の才能をひけらかすような演出が多少クサかった。その点“Julie and the Phantoms”は、ティーンエイジャーをティーンエイジャーらしく描いている。それでも歌と演奏に驚き、感動させられる。この平凡さが非凡なのだ。
    また“Glee”では過去の名曲がかなり使われていたが、本作で使われる楽曲はすべてオリジナルだ。
     

    このドラマは全編が優しさに包まれていて心地よい。ジュリーと3人のゴーストたちは、逆境を乗り越えて前向きに生きようとする。学園モノなので恋愛ファクターもあるのだが、珍しいことにラブシーンはおろかキスシーンもない。
     

    『ハイスクール・ミュージカル』のテイストを残しつつ、良い意味での素人っぽさが新鮮で好感が持てる。
    若干長いパイロット以外は1話約30分(全9話)なので、ミュージックに乗ってイッキ観してしまう。
     

    “Julie and the Phantoms”は、「前向きに生きる」というアメリカらしいシンプルで力強いメッセージが自然に伝わってくる、楽しくて心温まる学園ミュージック・コメディ。コロナの不安を癒し、失恋の痛手を緩和し、夫婦喧嘩の怒りを鎮める処方箋なのだ!
     

    本作はNetflixオリジナルで、シーズン1を配信中。シーズン2の制作決定が待たれる。
    尚、Netflixの「心温まる系ティーンエイジャー・ドラマ」では、“The Baby-Sitter’s Club”もお勧めだ!
     

    <今月のおまけ> 「My Favorite Movie Songs」#53
    Title: “That Thing You Do”
    Artist: The Wonders
    Movie: “That Thing You Do” (1996)

    トム・ハンクスが監督・脚本を手掛けたミュージック映画の佳作。邦題は『すべてをあなたに』。

     
    写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
     
     

     
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