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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ  第87回 “ONLY MURDERS IN THE BUILDING”

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ  第87回  “ONLY MURDERS IN THE BUILDING”
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    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

    “Viewer Discretion Advised!”
    これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
    Written by Shuichiro Dobashi 

    第87回“ONLY MURDERS IN THE BUILDING”
    “Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系・ケーブル系に加えてストリーミング系が参戦、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。

     
    新春第1弾は、底抜けに楽しいミステリーコメディ!
    ’80年代を代表するコメディアン、スーパーマルチタレントのスティーブ・マーティンと、スーパーバイプレイヤーのマーティン・ショート。この2人にDisneyが生んだスーパースターのセレーナ・ゴメスが加わり、超強力なチームが生まれた。
     

    これはお年玉か、それとも1カ月遅れのクリスマス・プレゼントか。
    “Only Murders in the Building”はお洒落で遊び心満載、底抜けに楽しいミステリーコメディなのだ!
     

    “This sends the investigation into a whole new direction” (by detective Brazzos)
    ―マンハッタン、アッパーウェストサイド
    セントラルパークの西側に荘厳とそびえる’アルコニア’は、富裕層やセレブご用達、14階建ての由緒あるアパートだ。
     

    チャールズ・ヘイデン・サベージ(スティーブ・マーティン)は、14C号室に28年間住んでいるベテラン俳優。はるか昔に『ブラゾス』という刑事ドラマに主演して人気を博したが、今は仕事のオファーもない。実質的に引退している孤独な老人だ。
     

    オリバー・パットナム(マーティン・ショート)は、10D号室に30年間住んでいるブロードウェイのベテラン監督。『スプラッシュ』という世紀の失敗作を演出してからは、仕事のオファーもない。家賃を滞納している孤独な老人だ。
     

    メイベル・モラ(セレーナ・ゴメス)は、12E号室に住む若いアマチュアの画家。叔母に頼まれて住み込みで部屋の改装をしている。10年前に起きた殺人事件のトラウマに悩まされる孤独な女性だ。
     

    ある晩アルコニアで警報が鳴り響き、避難したチャールズ、オリバー、メイベルは、近くのレストランで鉢合わせする。全員がポッドキャストの犯罪実録番組のマニアだと分かり、3人は意気投合した。
     

    警報が鳴ったのは、9A号室の住人ティム・コノの死体が発見されたからだった。担当の刑事は拳銃自殺と断定した。
     

    偶然にも事件の1時間前、3人とティム・コノは同じエレベーターに乗り合わせていた。その時の言動からは、コノが自殺するとは思えない。
     

    「これは自殺ではなく殺人? 犯人はアルコニアの住人かもしれない!」
    チャールズ、オリバー、メイベルは協力して真相を探り、進捗をポッドキャストで放送することにした。俳優と舞台監督も揃っている。孤独だった3人に、突然友人と生きがいができた。
    オリバーは、ポッドキャストのタイトルを“Only Murders in the Building”と決めた!

     

    スティングが歌い、容疑者に!
    クリエーター兼共同脚本も務めたスティーブ・マーティンは、SNL(“Saturday Night Live”)と映画で‘80年代のコメディ・シーンを席巻した。『天国から落ちた男』 『ペニーズ・フロム・ヘブン』 『スティーブ・マーティンの四つ数えろ』 『二つの頭脳を持つ男』 『スティーブ・マーティンのロンリー・ガイ』 『オール・オブ・ミー/突然半身が女に!』(酷い邦題だ) 『リトルショップ・オブ・ホラーズ』 『愛しのロクサーヌ』など、映画ファンなら彼の名前を聞かない日はなかった。スタンダップ・コメディアン、タップダンサー、脚本家(エミー賞)、劇作家、小説家、ミュージシャン(バンジョーの名手、グラミー賞)でもあり、歌って踊れる知的なスーパーマルチタレントだ。もう76歳だが、本作のチャールズ役で初のドラマ主演を果たした。
     

    オリバー役のマーティン・ショートは71歳、スティーブ・マーティンの盟友でやはり‘80年代にSNLで活躍した。マーティンと共演した『サボテン・ブラザース』、『インナースペース』が代表作だが、脇役として本領を発揮するタイプだ。本作や、Netflixのスタンダップ・コメディ“An Evening You Will Forget for the Rest of Your Life”(2018)でも、マーティンを脇から支えて真骨頂を見せた。ショートも多才で、エミー賞脚本賞とトニー賞を受賞している。
     

    この2人は本役で仲良くゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされた。(最近物議をかもしているアワードだが、ノミネートはいいことだ。)
     

    メイベルを演じたセレーナ・ゴメスは、Disneyの大ヒットドラマ“Wizards of Waverly Place”でブレーク、主役の魔法使いアレックスを4シーズン演じた。ソロ歌手あるいは「セレーナ・ゴメス&ザ・シーン」のヴォーカルとしても大人気だ。
     

    ゲストも超豪華で、ネイサン・レイン、ティナ・フェイ、ジミー・ファロン、ジェーン・リンチらに加えて、スティングがアルコニアの住人として登場する。スティングは歌を披露し、さらに容疑者となる!
     

    冒頭シーンからして華麗なミスディレクションなのだ!
    まず、アニメによる粋なオープニング・クレジットと、いかにもミステリードラマといった趣のテーマソングが楽しい。原題名になぜ“Only”がつくのか気になっていたのだが、その納得の理由も劇中で明らかにされる。
     

    画面にこの華やかな3人が揃うだけで強烈なケミストリーが働き、期待に胸が高鳴る。アマチュア探偵たちが誤った自説を自慢げに披露しながら、少しずつ真相に迫っていく。とにかく楽しい。なにかと大騒ぎをするマーティンとショートを尻目に、クールにふるまうゴメスがまた笑いを誘う(『ゴーストバスターズ』のビル・マーレイを思い出す)。
     

    実は本作の隠れた脇役がアルコニアだ。物語の大部分がこの歴史あるアパート内で進行するので、閉塞感が笑いに対するスパイスとして効いている。怪しくもおかしい登場人物たちの頻繁な出入りのために、エレベーターと各部屋が小道具として効果的に使われる。上質な推理小説を読んでいるようで、贅沢感さえ漂う。
     

    いきなりパイロット(第1話)で投下されるツイスト、謎が謎を呼ぶ展開、深まる疑心暗鬼、明かされる秘密、次々と現れる陽気な容疑者たち(昔こんなタイトルの推理小説があった)と、サービス満点で一瞬も飽きさせない。
    さらに30秒の冒頭シーンが華麗なミスディレクションになっていて、鮮やかなシーズンフィナーレ(最終話)に呼応するという凝った仕掛けも用意されている。
     

    “Only Murders in the Building”はゴールデングローブ賞最優秀作品賞ノミネート、お洒落で遊び心満載、底抜けに楽しいミステリーコメディなのだ!
     

    本作はDisney傘下のhuluオリジナルで、邦題は『マーダーズ・イン・ビルディング』。Disney+の新カテゴリー’STAR’で、シーズン1(約30分 × 全10話)を視聴できる。シーズン2の制作も決まっている。
     

    尚STARでは、日本未公開だった抱腹絶倒のヴァンパイア・コメディ“What We Do in the Shadows?”(邦題『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』、本ブログ第72回参照)も観られるぞ!
     

    <今月のおまけ> 「My Favorite Movie Songs」 #62
    Title: “When the Sun Goes Down”
    Artist: Corey Hawkins and Leslie Grace
    Movie: “In the Heights” (2021)

    良質なミュージカルでした。このトリック撮影は、フレッド・アステアの『恋愛準決勝戦』(1951)で有名になった。
     
    写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
     
     

    ◆バックナンバーはこちら
    https://www.jvta.net/blog/5724/



     

    ※※特報
    同コラム執筆の土橋秀一郎さんがJVTAのYouTubeチャンネルに登壇しました!
    ◆【JVTA+スピンアウト】海外ドラママスター・土橋秀一郎プレゼンツ!
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