日本のモンスターがハリウッドで蘇る! 『GODZILLA ゴジラ』の予告編
最近、日本のコンテンツが海外で注目を浴びている。現在公開中のトム・クルーズ主演の映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』も、日本の同名小説が原作だ。今回は、日本を代表するモンスターであるゴジラがハリウッドで蘇った『GODZILLA ゴジラ』の予告編を紹介したい。ちなみにゴジラは1998年にハリウッドで『GODZILLA』として製作されているが、ゴジラが怪獣というより恐竜(ティラノサウルス)のような描かれ方で、ゴジラ映画ファンの評価はあまり高くない。さて、新作のゴジラはどうでしょうか。
予告編は、渡辺謙の「1954年、我々は起こしてしまった。当時の水爆実験は、あれを殺すためだった」のセリフから始まる。1954年とは、ゴジラシリーズ第1作目『ゴジラ』のことです。今回の新作は、第1作目との関連性が強い。例えば、新作で渡辺謙が演じる芹沢博士は、第1作目で平田明彦が扮した芹沢博士と同じ名前だ。また「当時の水爆実験」とは、同じく第1作目で水爆によってゴジラが目覚めた設定のこと。新作では、実はあの水爆でゴジラを倒そうとしていたというストーリーになっているようだ。
監督のギャレス・エドワーズはデビュー作『モンスターズ/地球外生命体』で高い評価を得て、早くも2作目にしてハリウッド大作を手がけることになった。エドワーズはゴジラが好きだったそうなので、ゴジラ映画の監督として適役といえるだろう。
予告編を見ると、2組の男女が登場する。ブライアン・クランストン演じる研究者ジョーと、彼の妻ジュリエット・ビノシュの夫婦。そしてアーロン・テイラー=ジョンソン演じる軍人と妻。ゴジラが街を破壊するだけではなく、人間たちのドラマもちゃんと組み込まれているようです。アーロンはこれまで『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』でジョン・レノンを演じたり、『キック・アス』シリーズではヒーローに扮したりと、ビートルズ好きでヒーローが好きな自分としては、個人的にうらやましい仕事をしていますね。
軍隊がゴジラを殺そうとするなか、芹沢は「人間は自然には決して勝てない」と言う。2011年の東日本大震災、それから起こった原発事故のように、ゴジラは自然災害と核の恐怖の象徴として、人間たちの前に現れているのか。
モンスターが登場する映画の予告編では、怪物の姿はなかなか明らかにはならない。この予告編でも、ゴジラの姿も尻尾から全体へと、少しずつ露わになっていく。ゴジラの風貌は日本版に近く、ビジュアル的には合格ではないでしょうか。芹沢は言う。「怪物の名は…ゴジラ」と。今までのハリウッド映画では、ゴジラの英語発音は「ガッジーラ」となっていたが、芹沢にあえて日本語発音の呼び方をさせるところに、この映画に対するポイントが高くなりますね。予告編の終盤は、ゴジラと命がけで戦い、愛する者を守ろうとする人々の姿を描き、昂揚感と悲壮感を盛り上げていきます。人類はゴジラに勝てるのか。結末は映画館で確かめてきます!
今回注目した予告編:
『GODZILLA ゴジラ』
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・クランストン、ジュリエット・ビノシュ、渡辺謙
7月25日から公開
公式サイト:
http://www.godzilla-movie.jp/
【written by 鈴木純一(すずき・じゅんいち)】映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
【最近の私】お気に入りの番組は、NHK BSの『にっぽん縦断こころ旅』。火野正平さんが自転車で旅する姿に、癒されています。
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