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明けの明星が輝く空に 第155回:ヒーローがいた場所:特撮ロケ地

明けの明星が輝く空に 第155回:ヒーローがいた場所:特撮ロケ地
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戦い終えた本郷猛(仮面ライダー)が坂道を駆けてくる。道ばたには2匹の子犬。本郷はそれに気づくと、1匹を笑顔で抱き上げた。
 

これは、『仮面ライダー』第7話のエンディングシーンだ。撮影されたのは、川崎市多摩区の寺尾台(①)。小田急線読売ランド前駅北側の高台にある住宅街だが、恥ずかしながら、ここがロケ地だったことはつい先月まで知らなかった。「恥ずかしながら」というのは、僕が通っていた小学校がすぐ近くにあり、寺尾台には何人も同級生がいたからだ。
 

映像を見ているときに、身近な場所が撮影に使われていることに気づいたのは、前回の記事で触れた二ヶ領上河原堰(②)を含め3、4カ所ある。また、ネット上に出ている情報から、近辺にロケ地が多いことも知っていた。そこで今回の記事のテーマに選んだわけだが、改めて調べてみると予想以上に多かった。そこで今回は、ライダーシリーズ中心に紹介しよう。Googleマイマップで、この記事に対応した地図を作成したので、ぜひ参照していただきたい。➡明けの明星が輝く空に_特撮ロケ地 (本文中の丸囲み数字は、地図上のものと共通。)
 

それにしても、なぜこの地域にロケ地が多いのか。それは、『仮面ライダー』の撮影が行われた東映生田スタジオ(③)が、やはり読売ランド前駅の近くにあったからだ。場所は、寺尾台から見て西の多摩美という地区で、日本女子大学西生田キャンパスのすぐ脇。前回の記事で触れた第2話「恐怖蝙蝠男」の冒頭の場面(https://www.jvta.net/co/akenomyojo154/)が撮影された道路とマンション(④)は、スタジオから歩いてわずか数分の距離だ。ちなみに、多摩美という地名は「美しい多摩丘陵」が由来で、多摩美術大学とは無関係である。
 

寺尾台の北西に広がる菅馬場(すげばんば)の住宅地(⑤)一帯も、造成地だった当時、『仮面ライダー』のアクションシーンに使用されたようだ。小学生の頃、この造成地周辺の雑木林に、よくカブトムシを採りに行った。たまたま何かの撮影現場に出くわし、追い返されたこともある。一体何の撮影だったか不明だが、一緒にいた父によると、上半身裸の女の人がいたそうだから、少なくとも特撮作品ではないだろう。
 

寺尾台の東にある小田急線の多摩川橋梁(⑥)周辺は、『仮面ライダー』第6話のロケに使われた。また、駅名にその名前を残すのみとなった向ヶ丘遊園(⑦)は、有名だった大階段などが第4話などで確認できるが、ウルトラシリーズでも使われた有名なロケ地だ。(この2カ所は、僕が自分で気づいたロケ地だ。)そこから少し離れた場所に、『ウルトラマン』でバルタン星人が潜んでいた長沢浄水場(⑧)がある。所在地は川崎市なのに、なぜか東京都水道局の施設で、川崎市上下水道局の浄水施設も隣接しており、ややこしい。ともかく、『仮面ライダー』では建物の外観が、本郷猛の所属する「城南大学研究所」として幾度となく登場している。我が田近家のお墓がある霊園からも近いのだが、長沢浄水場を初めて訪れたのはほんの数カ月前だった。お彼岸に珍しく1人で墓参りをしたので、そのついでに足を伸ばしたのだ。
 

長沢浄水場は生田スタジオから見て東南の方角だが、正反対の北西方面には、京王相模原線沿いに稲城市の南山という地区がある。今では住宅地として整備が進んだが、まだ造成地だった当時はここでも撮影が行われたという。山が削られてできた崖は壮観で、電車からもよく見えたことを覚えている。通称「稲城グランドキャニオン」と呼ばれていたそうだ。
 

その南山の一番東のはずれ、京王よみうりランド駅のすぐ近くには、「ありがた山」(⑨)という、まるであの世とこの世の狭間のような場所がある。急な斜面に整然と並んだ古い墓石は、聞くところによると4000体以上。みな無縁仏だ。20年ほど前だったか、僕は近くを散策していて偶然そこに行き着いた。予想もしていなかった異様な光景に驚くと同時に、霧の中のような、非常にうっすらとした記憶が蘇ってきた。確か子どもの頃に来たことがある。誰と、何のためか、全く覚えてはいない。だけど確かに、その光景には見覚えがあったのだ。
 

ありがた山がロケ地になったのは、『仮面ライダーV3』(1973~74年)第33話だ。主人公の風見志郎が、悪の組織の戦闘員たちや怪人とアクションを繰り広げる。4000体もの無縁仏が並ぶ特異な場所だけに、特撮とは関係なく残す価値がありそうだが、ここにも開発の波が押し寄せてきた。土地区画整理事業によって南側の土地が削られ、真新しい道路が開通。現在ループ状になっているその道路の真ん中には、読売巨人軍の施設ができるそうだ。いまのところ、ありがた山は手つかずだが、果たして今のままの形で残されるのか。ありがた山のように異界といった言葉が似合う場所は、東京近辺に多く残されてはいない。再開発が、自然以外にそんなものまで削ってしまうとしたら・・・。造成された景色の中、ポツンと佇むありがた山の眺めに、やるせない気持ちが湧いてきた。
 

追記:今回の記事を書くにあたって、yart先生(https://www.blogger.com/profile/09352180926770118250)のブログ『仮面ライダーロケ地大画報』の情報を大いに活用にさせていただきました。ここにお礼申し上げます。
 

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Written by 田近裕志(たぢか・ひろし)
JVTA修了生。子供の頃から「ウルトラセブン」などの特撮もの・ヒーローものをこよなく愛す。スポーツ番組の翻訳ディレクターを務める今も、初期衝動を忘れず、制作者目線で考察を深めている。
【最近の私】「ロマンチスト」と言われたことが何回かある。歴史好きだったり、花や紅葉の写真をよく撮っているので、そう思う人がいるらしい。でも考えてみれば、特撮ファンは誰でもロマンチストだ。虚構を現実のものと想像して楽しんでいるのだから。
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明けの明星が輝く空に
改めて知る特撮もの・ヒーローものの奥深さ。子供番組に隠された、作り手の思いを探る
 

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