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JVTAロサンゼルス校スタッフが見つめた もう一つのアカデミー賞授賞式

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=特別寄稿  今年のアカデミー賞を振り返る=
JVTAロサンゼルス校スタッフが見つめた
もう一つのアカデミー賞授賞式

JVTAロサンゼルス・スタッフ、ハリウッド映画ウォッチャー/Keiko Kurosawa

 
私が住むロサンゼルスでは、映画業界関係者向けに試写会やQ&Aが頻繁に開催され、私も日常的にスターや監督などに会って話を聞く機会があります。映画賞の投票シーズンは連日のように特別イベントに声がかかります。

  
Disney Golden Globes Post-Show Celebration, The Beverly Hilton, Los Angeles, CA, USA - 5 Jan 2018
※Photo Credit: Jordan Strauss
ゴールデン・グローブ賞のレッドカーペット
『ジョジョ・ラビット』Chelsea Winstanle (製作), Taika Waititi (監督・製作・脚本・出演), Carthew Neal (製作), Christine Leunens (原作) 

 
アカデミー賞授賞式当日、私はその会場の近くで、人気エンタメ・サイト「コライダー」の記者たちと一緒に授賞式を観ました。賞が発表されるにつれ、今年はパラサイトの年か!という期待が渦巻いています。

 
でも私は「『ジョジョ・ラビット』!」と願っていました。一般的な評価や盛り上がりからみれば、”主役”とは言えない作品ですが、この映画こそ、今、世界のあちこちで出ている不穏な動きに対し、警告を発する重要な作品だと信じていたからです。
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※『ジョジョ・ラビット』より
Photo Credit: Kimberley French; © 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved 

 
作品賞を含む6部門で候補になり脚色賞を受賞した本作は、ヒトラー政権下のドイツでヒトラーを崇拝する10歳の少年が、自分の愛国心に疑いを持つようになっていく過程を、強烈な風刺コメディに仕立てて描いています。最も注目すべき点は、この映画に「反ヘイト」という強いメッセージが込められているということです。
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※『ジョジョ・ラビット』より
Photo by: Kimberley French. © 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

  
■アメリカの若者の6割以上が「アウシュビッツ」を知らない!
2018年に、アメリカ人の41%とミレニアル世代の66%が「アウシュビッツ」が何かを知らないという衝撃的な調査結果が発表されました。さらにミレニアル世代の22%はホロコーストのことを聞いたことがないと答えたのです。

  
本作の監督・製作・脚本を手がけ、空想上のヒトラーを演じたタイカ・ワイティティは、Q&Aセッションで、いまだに戦争や虐殺などが起こっていることや、この調査結果にも触れ、「あの時、何が起こったのかを忘れないために、僕たちは語り続けていく必要があるんだ。それをやめると、また同じことが起こってしまう。それが僕がこの映画を作った一番の目的だ」と強調しました。その場に同席していたスカーレット・ヨハンソンやサム・ロックウェルら主要キャストも大きく頷き、いつもは、とても楽しくておもしろいタイカが、神妙な表情だったのが印象的でした。
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※※タイカ・ワイティティ監督とJVTAロサンゼルス校留学生の郡司恵さん。タイカは、いつもおもしろくてとても優しい
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※ジョジョの母親ロージー役スカーレット・ヨハンソン。本作品でアカデミー賞助演女優賞候補に 
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※クレンツェンドルフ大尉役は、オスカー受賞俳優サム・ロックウェルが好演
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※『ジョジョ・ラビット』より
Photo by Larry Horricks. © 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

  
■”ヒストリー(history)”ではなく、”ヒズ・ストーリー(his story)”を!
原作者のクリスティン・ルーネンズに、この小説を書いた理由を私が尋ねると、「史実だけを書いても人の心に届きません。単なる”ヒストリー(history)”ではなく、”ヒズ・ストーリー(his story)”、”ハー・ストーリー(her story)”であることが必要です。その上で、大局的な観点から、子どもたちまでがどのように危険なイデオロギーに巻き込まれていったかを描きたかったのです」と優しい口調で教えてくれました。「最近のアメリカや世界情勢をみると、このストーリーは本当に今必要なものになっていますね」と悲しげでした。
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※原作者クリスティン・ルーネンズとJVTAロサンゼルス校留学生の郡司恵さん

  
最近、ロサンゼルス・タイムズ紙は、ロサンゼルスのヘイト・クライムが5年連続で増加の一途をたどっていると報道。全米では、過去10年間で月別ヘイト・クライム件数が最大だったのは2016年11月で、ちょうど前回の大統領選挙が行われた時期に合致し、その次に多かったのは2018年10月で、中間選挙直前だったと指摘しています。

  
そんな今こそ、この映画の、笑いを媒体にして訴えているメッセージが、広く深く伝わっていくことを願ってやみません。

 
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※アカデミー賞脚色賞を受賞したタイカ・ワイティティ監督と、原作者クリスティン・ルーネンズから、『ジョジョ・ラビット』の脚本とポスターにサインをもらいました。

 
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