JVTAの修了生、和泉珠里さんが日本語字幕を手がけた映画『サウンド・オブ・レボリューション～グリーンランドの夜明け』のDVDが、2月７日（水）にDVDで発売されました。

 

この作品は、北欧5カ国（スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランド、フィンランド）にフォーカスした作品を集めた映画祭「トーキョーノーザンライツフェスティバル（TNLF）」で2017年に上映されました。JVTAは毎年、このイベントを字幕制作やアテンドなどでサポートしています。和泉さんは、2017年のTNLF開催時に『サウンド・オブ・レボリューション～グリーンランドの夜明け』の字幕をてがけました。そこで今回は和泉さんに作品の見どころと翻訳時のエピソードを聞いてみました。

 
★『サウンド・オブ・レボリューション～グリーンランドの夜明け』
1970年代にデンマークの統治下にあったグリーンランドで、人気を集めたロックバンド「スミ」の活躍を追ったドキュメンタリー。初めてグリーンランド語で歌った彼らの曲は大きな共感を呼び、当時のグリーンランドの人口の20%が彼らのファーストアルバムを購入したと言われています。

 
◆日本語字幕担当　和泉珠里さんのコメント
『サウンド・オブ・レボリューション～グリーンランドの夜明け』というタイトルどおり、デンマーク統治下にあった暗い時代のグリーンランドが自治権獲得に向けて動き出すまでを追ったドキュメンタリーです。そのムーブメントのきっかけとなったロックバンド“スミ”の活躍がこの作品の主題です。

 
私を含め、多くの日本人にとって北欧の文化や歴史は馴染みの薄いものだと思います。ネット上の情報量も少ないのでTNLFの作品を翻訳する時には調べ物で苦労するのですが、この作品に関してはドキュメンタリーで、しかも北欧の中でも小国のグリーンランドの歴史を追う内容だったので特に大変でした。これまでスミの存在を知りませんでしたが、当時の若者の心を動かしたというメッセージ性の強い歌詞の訳にも力を入れました。今後この作品を見てくださる多くの方に、彼らの熱い気持ちが伝われば幸いです。

 
『サウンド・オブ・レボリューション～グリーンランドの夜明け』
作品の詳細はこちら
http://www.mplant.com/sume/index.html

 
和泉さんは、今年のTNLFでも『オルハイム・カンパニー』の字幕を担当。こちらについてもコメントを頂きました。

 
★『オルハイム・カンパニー』

息子ヤーレの視点で少年時代を回想する物語。独裁的で暴力的な父親をノルウェーの個性派俳優、クリストッフェル・ヨーネルが熱演しています。ノルウェー国際映画祭でノルウェーのアカデミー賞とも言われるアマンダ賞の主演男優賞と助演女優賞を獲得した秀作が今年日本で初上映。

 
◆日本語字幕担当　和泉珠里さんのコメント
今年、字幕を担当した『オルハイム･カンパニー』は、とにかく“繊細”が詰まった作品でした。主人公は思春期を迎えたヤーレ。アイデンティティや甘酸っぱい初恋以上にヤーレを悩ませるのが酒癖の悪い父親との関係でした。ただし、この父親が単純に悪い人ではないのがポイントです。中年に差し掛かり、自分が思い描いていた理想の人生と現実とのギャップに悩む中で、お酒に手を出してしまうというタイプ。そのあたりを監督がとても繊細に描いていたので、字幕が邪魔しないように気をつけました。

 
多言語作品に字幕をつける時には英訳スクリプトをいただくのですが、大体の場合、かなり大雑把に訳されています。そのまま訳出すると話が流れないこともあるので、監督の意図をくみ取りながら自然な日本語で表現するよう努めています。今回もそういう部分はありましたが、ストーリーも演技も素晴らしかったおかげか割と素直に翻訳できました。上映が3回のみなのがもったいないほどの秀作なので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらと思います。

 
『オルハイム・カンパニー』の上映スケジュール
2月12日（月） 16:30
2月14日（水） 16:30　
2月15日（木） 14:00

 
詳細はこちら
http://tnlf.jp/movie

 
「トーキョーノーザンライツフェスティバル（TNLF）」は2月10日から渋谷のユーロスペースでスタート。ぜひ皆さんも北欧映画の魅力に触れてください！

 


 
「トーキョーノーザンライツフェスティバル（TNLF）」　北欧映画の1週間
2018年2月10日（土）～2月16日（金）
ユーロスペース
公式サイト　http://tnlf.jp/