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専門誌を読みこんで日本語表現力を磨く JVTA代表 新楽直樹講師インタビュー

専門誌を読みこんで日本語表現力を磨く  JVTA代表 新楽直樹講師インタビュー
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皆さんは、“品質が高く、マナーのいい文章”にきちんと向き合ったことがありますか? 

 
インターネットの普及により、皆さんが情報を得るのは主にPCやスマートフォンのWeb記事だと思います。Webの記事は情報や内容を分かりやすく伝えるためのもので、あたかも日常会話のような文章が多いという特徴があります。また、あらゆる記事が溢れており、メディア媒体が掲載している記事なのか、一般の人が書いたブログなのかを見分けるのが難しくなっています。どの記事のコトバが洗練されているのか、すぐには判断がつかないのではないでしょうか?

 
◆おすすめは衣食住に関する専門誌
コトバを磨くなら、専門誌をじっくり読みこむことをおすすめします。テーマの優先順位は、まず食、ファッション、インテリア・エクステリア、そして車。いわゆる衣食住ですね。こうした身近な話題は映画・ドラマ・ドキュメンタリーの中にサブアイテムとして頻繁に登場するもの。衣食住について書かれた良い文章をじっくりと読み込み、言葉の使い方や専門用語、語られるポイントといったそれぞれのトーンを知っていれば、字幕や吹き替えの原稿をつくる際も必ず役に立ちます。例えばホラー映画でもその家のつくりや構造が物語の展開のキーポイントになっていることがあります。それを的確な言葉で伝えられずに、字幕で「何のこと?」と視聴者に考えさせてしまったら“恐ろしさ”も半減してしまいます(笑)。

 
★BRUTUS(ブルータス)(マガジンハウス)
https://magazineworld.jp/brutus/
衣食住に関するあらゆる記事を網羅しており、1冊でいろいろ学べる。男性だけでなく女性にもおすすめ。


 
◆「情報を得る」のではなく「コトバをじっくり見る」
専門誌を手にしたら、「文章や日本語表現をみる」という視点でじっくり読んでみてください。もちろん、1回目はコンテンツそのものを楽しんでかまいません。しかし、2度目は文章だけをみてみましょう。タイトルのつけ方やリード文の作り方、全体の構成はどうなっているのか? 「である調」の記事と「ですます調」の記事から受ける印象の違いなども読み取れるはずです。

 
ぜひ挑戦してほしいのが食の専門誌です。誰にも身近なテーマでありながら、味を表す表現や食材の詳細、専門的な調理法や調理器具などについて書くことは、プロのライターでも非常に難しいもの。人気店の情報を得るのではなく、文章としてじっくり味わってみましょう。自分の中にはないフレーズがたくさん使われているはずです。それを1から10まで暗記する必要はありません。よく使われている言い回しや初めて知った情報をメモするなどして自分の中にストックをつくることが大切なのです。好きな食べ物に関する話題ならより楽しく取り組めるでしょう。

 
★dancyu(プレジデント社)
https://www.president.co.jp/dan/
美食探訪のグルメ雑誌。1990年創刊。雑誌名は「男子厨房に入るべからず」に由来。


 
ファッション雑誌にも、例えばレッド・カーペッドを歩くセレブの衣装やメイク、流行の小物アイテムなど、多くの専門用語やブランド名などが使われています。皆さんはファッションに詳しい人たちがみて違和感のないコトバでこうした記事を書ける自信がありますか? どんな表現が日本語として自然なのか、日本での定訳は何か、読者が求めているディテールは何か? などを感覚的に知らなければ、これは非常に難しいことです。科学や医療の専門誌といった難しい内容ではなく、日常的に見ている雑誌でも専門的な内容は誰もがたやすく書けるものではありません。どんなに調べても頭をひねっても、自分の中にない感覚や表現で文章を書くことは不可能です。日ごろからコトバを意識していないと、こなれた表現は急には出てきません。大人の女性を対象にした女性誌の日本語は洗練されているのでぜひ読んでみてください。

 
★an・an(マガジンハウス)
https://magazineworld.jp/anan/
フランスの女性向けファッション誌『ELLE』の日本語版『an・an ELLE JAPON(アンアン エルジャポン)』として1970年に創刊。


 
◆日常のコトバへの向き合い方が自然でこなれた表現を生む
ベテランの翻訳者がいい原稿を書くのは、多くの作品に取り組み、綿密なリサーチを重ねるなかでさまざまな知識をストックし、それぞれのトーンにふさわしい表現を身につけてきたからなのです。日本にはない概念や文化が出てきた時、いかに自然に日本語として落とし込むのか、それは翻訳者の力量にかかっています。専門用語はただ意味を知っているだけでは文章として使いこなすことはできません。それが文章のなかでどのように使われているのか、どんな動詞と組み合わせるのかを見極めていく必要があります。ですから、日常からきちんとした文章に数多く向かっている人こそが自在にコトバを使いこなせるプロになれるのです。

 
JVTAでは長きにわたり、AOLの人気連載、Autoblogの翻訳記事を担当していますが、実はそのチームのほとんどが女性です。多くの人がはじめは車のことを全く知りませんでしたが、レギュラーで記事翻訳に取り組むうちに専門知識を蓄え、今では得意分野として活躍の場を広げています。車に関する話題も映画やドラマ、サスペンスやアクションにはつきものです。しかし、「この車の魅力を文章で書いてみてください」と言われ、ポイントをスラスラ書ける人は稀だと思います。車好きが見比べているメリットや特筆すべき搭載機能は何か? これも普段自動車に関する記事を読まない特に女性には難しいはずです。Autoblogはかなり専門的な内容で学びが多いので、ぜひチェックしてみてください。

 
★Autoblog(AOL)
全米トップクラスの自動車サイト。JVTAが日本語版の翻訳原稿を担当。

http://jp.autoblog.com/

 
★カーグラフィック(カーグラフィック)
1962年に創刊され、50年以上経った今でも世界にファンを持つ車雑誌。
http://www.cargraphic.co.jp/


 
「日本語表現力をどのようにスキルアップしたらいいか分からない」という人は、思い切って1冊専門誌を購入して、じっくりと読んでみましょう。紙の媒体は後から修正もきかず、文字量も限られているため、Webの記事以上により細かく作りこまれています。大手出版社から発売されていて広く知られている雑誌ならなおさらのこと。1冊読み込むだけでもさまざまな学びがあり、今後も大事な資料として使える指針になります。ぜひ挑戦してみてください。

 
◆新楽講師も指導する日本表現力強化コースは2018年2月開講
無料説明会を開催
https://www.jvta.net/tyo/japanese-writing-counseling/

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