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【UNHCR WILL2LIVE映画祭2019】今世界では108人に1人が故郷を追われています 

【UNHCR WILL2LIVE映画祭2019】今世界では108人に1人が故郷を追われています 
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2006年、難民問題を広く知ってもらうことを目的に「UNHCR難民映画祭」が誕生しました。第3回からはJVTAが字幕制作でサポート。毎年、多くの修了生がボランティアで協力しています。14回目を迎える今年、同映画祭は「UNHCR WILL2LIVE映画祭 2019」と名前を変えて新たなスタートを切りました。今年も上映作品全7作品のうち、3作品の字幕をJVTAが担当、23人の修了生が手がけています。

 
UNHCR WILL2LIVE映画祭2019(メインビジュアル)

 
JVTA東京校で行われた字幕翻訳者を集めたキックオフミーティングには、主催の国連UNHCR協会・渉外担当の山崎玲子さんが駆けつけてくださいました。難民問題の現状やUNHCRの活動、映画祭の新たなコンセプトなどについてお話を伺います。

 
◆国連UNHCR協会 渉外担当 山崎玲子さん

◆JVTAの字幕協力はとても心強い
山崎玲子さん
 

まず、JVTAの皆さまには長年このイベントを支えていただきまして、心より御礼申し上げます。毎年、字幕制作に大勢の方が手を挙げてくださっていることに、職員一同大変心強く感じております。

 
◆難民の数は過去最多の7080万人 この10年で2倍に
P4_教科書
※画像提供:国連UNHCR協会

 
難民とは、自国にいると人種、宗教、国籍、政治的意見や、特定の社会集団に属するなどの理由で迫害を受ける、または迫害を受けるおそれがあるため、国境を越えて他の国に逃がれた人たちです。また、武力紛争を逃れるため、他国に逃がれた人のことも難民と呼んでいます。国境を越えずに国内にとどまっている人も非常に多く、彼らは国内避難民と区別しています。こうした状況にある人たちは増え続け、第2次世界大戦後で最も多く、現在7080万人(タイやトルコの人口に匹敵する数字)に及んでいます。この10年で実に2倍になっているのですが、具体的に「世界では108人に1人」がそのような状況におかれているというと、その深刻さをお分かりいただけると思います。彼らの2人に1人は18歳未満 の子どもです。

 
◆避難生活は約17年にも及ぶ
Greece. UNHCR staff member assists refugees on shoreline
※画像提供:国連UNHCR協会

 
難民の人たちの避難生活は17年にも及ぶと言われています。この間はほとんど正規の就労の機会がないため、UNHCRは、将来の生活を再建するための職業訓練や、暴力を受けたり目にしたりしたことによるトラウマのカウンセリングなども行っています。一番の理想は平和が戻った故郷に帰ることですが、その願いが叶わない人も世界には沢山います。避難先で市民権を得て定住、または違う第三国に定住して生活を再建していく人もいます。実は日本でも第三国定住といってタイやマレーシアで長い間避難生活を送っていたミャンマー難民の人たちを2010年から毎年約20人ほど受け入れています。このほかにもUNHCRの支援対象者には、平和が戻って帰還した帰還民やさまざまな事情で国籍を持てない無国籍者もいて、実際には7480万人の人たちが支援を必要としています。特に多いのは中東、アフリカです。

 
◆難民の出身国はシリア、受け入れ国はトルコが最多
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※画像提供:国連UNHCR協会

 
難民の出身国で現在最も多いのはシリアです。シリアで紛争が発生したのは、2011年の3月の東日本大震災とほぼ同じ時期でした。そのほかアフガニスタンや南スーダンでも紛争が長期化しているほか、昨今はベネズエラからも多くの難民が出ています。

 
IMG_6403
※画像提供:国連UNHCR協会

 
こうした難民の約8割が近隣国に逃れており、受け入れ国の負担は相当なものです。例えばパキスタンには隣国のアフガニスタンから多くの難民が逃れてきています。受け入れ国の1位はトルコ。観光国ですが、世界でもっとも多くの難民を受け入れている寛容な国です。トルコよりもっと小さな国でシリアの隣国のレバノンでは、人口の5人に1人がシリア難民です。それぐらい沢山の人たちを受け入れているのです。国内避難民が最も多いのはコロンビアです。日本にいると遠い南米のことはなかなか分かりませんが、実はコロンビアも多くの国内避難民を抱えています。

 
◆日本は1981年に難民条約に加盟し、政府が難民を保護
Bangladesh. New Rohingya arrivals at transit centre
※画像提供:国連UNHCR協会

 
日本にも、1970年代のベトナム戦争の前後、連日多くの人々が粗末な船に乗って流れついてきました。いわゆるボートピープルと呼ばれた人たちです。日本政府はその時に受け入れを決断をし、その後1981年に難民条約に加盟。以降、日本に逃れてくる難民はUNHCRではなく、日本政府が認定し、難民を保護・支援しています。現在は当時逃れてきた人たちの2世、3世も日本に暮らしています。

 
◆日本のUNHCR親善大使はサムライギタリストのMIYAVI
Syria. Providing assistance for the most vulnerable in rural Aleppo
※画像提供:国連UNHCR協会

 
こうした難民の現状を世界に発信しているのが、世界各国のUNHCR親善大使の皆さんです。その代表ともいえるアンジェリーナ・ジョリーは、自らUNHCRに「難民のために自分ができることはないか」とコンタクトしてきたのが活動に関わるきっかけとなりました。長い間親善大使として活動してきましたが、2012年には彼女のためにUNHCR特使という特別な称号が作られました。今も年に数回は難民のもとを訪れ、現地の様子を世界に発信しています。

 
日本のUNHCR親善大使は、サムライギタリストとして世界で活躍中のMIYAVIです。アンジェリーナ・ジョリーが監督を務めた『不屈の男 アンブロークン』に役者として抜擢されたことをきっかけに難民問題に興味を持ち、レバノンやタイの難民キャンプを訪問して理解を深め、2017年から親善大使に。その後も毎年現地に足を運び、難民の人たちと音楽のセッションをしたり、日本でも自ら情報発信したりすることに尽力してくれています。UNHCRと言えば、緒方貞子さんをイメージする方も多いと思います。緒方さんは、1991~2000年の間、第8代国連難民高等弁務官としてUNHCRを率いていました。

 
◆日本では個人の寄付金が9割を占めている
P4_調理器具
※画像提供:国連UNHCR協会

 
UNHCRの活動に対し、日本政府はアメリカ、EU、ドイツ、スウェーデンに続き、世界で5番目に多くの費用を拠出しています。各国政府による任意の拠出金だけでなく民間からもUNHCRの活動を支えていこうと、国連UNHCR協会はUNHCRの公式支援窓口として2000年に設立されました。、日本の市民社会の皆様から集まった2018年の寄付金総額は約36億円。そのうち91%が実は個人からの寄付金に支えられています。難民の現状を知り、難民支援への共感を醸成していくために、この映画祭も大きな役割を担ってきています。

 
◆東京から始まった難民映画祭に世界も注目
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※今年8月に行われた記者会見とプレ上映会の様子
国連UNHCR協会事務局長、星野守氏と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表のダーク・ヘベカー氏

 
映画祭の開始以来、来場者は昨年までに7万3000人を超えました。当初は字幕のない作品も上映していた手作りの映画祭でしたが、3回目からJVTAさまとのご縁を頂き、今ではすべての作品を素晴らしい字幕付きでご覧頂けるようになったことに、スタッフ一同、毎年感謝しております。東京で始まったこの映画祭は、バンコクやソウル、香港などアジア各国にも広がっています。他国のUNHCRの事務所も注目しており、作品の選定などについて問い合わせを受けることもあります。映画を通じて難民問題が一般の人に届くきっかけになるのは、日本だけではないのだと実感しています。

 
◆映画祭の新たなコンセプトは難民の力強さを伝えること
D. 判決、 ふたつの希望_著作権表記_PHOTO TESSALIT PRODUCTIONS  ROUGE INTERNATIONAL
※2019年上映作品 『判決、ふたつの希望』 (原題:L’insulte)
監督:ジアド・ドゥエイリ ©TESSALIT PRODUCTIONS – ROUGE INTERNATIONAL

 
新しいコンセプト「WILL2LIVE」には、「Will to live 」をキーワードに、逆境に立ち向かう力、そういう難民の逞しいイメージをもっと強く発信していきたいという想いがこめられています。2020年の東京オリンピックには、リオに続き再び難民選手団が結成されて日本にやってきます。日本国内でも彼らをきっかけに難民問題に関心を持ってくれる人が増えることを期待しています。

 
E. ナディアの誓い − On Her Shoulders_著作権表記_RYOT Films
※2019年上映作品  『ナディアの誓い - On Her Shoulders』(原題:On Her Shoulders)
監督:アレクサンドリア・ボンバッハ ©RYOT Films

 
リオ五輪水泳女子バタフライに出場したシリア出身のユスラ・マルディニ選手は、粗末なボートでギリシャに逃れる地中海で船が故障したときに、姉たちとボートを押して20名の命を救ったという壮絶な体験をしました。今では、UNHCRの親善大使として活動しています。リオ五輪柔道男子90kg級に出場したコンゴ民主共和国出身のポポル・ミセンガ選手は、幼いころ国内の紛争を逃れ、たった一人で森をさまよい、保護されました。その後、出合った柔道に救われるも劣悪な環境だったため、現在はブラジルに逃れ、練習に励んでいます。2人とも東京オリンピックを目指して練習に励んでいます。

 
◆今年は東京と名古屋で開催
ソフラ ~夢をキッチンカーにのせて~ - コピー
※2018年上映作品『ソフラ ~夢をキッチンカーにのせて~』© Lisa Madison

 
今年は、東京、名古屋で上映します。一方で本祭と併行し、学校パートナーズや法人パートナーズを通じて、企業や大学が1年間自主的に上映してくださるという活動も進めています。昨年も32校の大学や、11法人の企業・団体が自発的に上映会を企画してくださいました。皆さんに字幕をつけていただいた映画は、こうして年間を通じてさまざまな場所で観ていただいております。昨年のメイン作品『ソフラ ~夢をキッチンカーにのせて~』は、レバノンに暮らすパレスチナ難民の女性が料理で起業する姿を追ったドキュメンタリーですが、明るくポジティブな内容でとても人気を集めており、あちらこちらで上映されました。

 
◆字幕は難民問題をダイレクトに伝える鍵
F. 僕の帰る場所_著作権表記 E.x.N K.K.
※2019年上映作品 『僕の帰る場所』 (原題:Passage of Life)
監督:藤元明緒 ©E.x.N K.K.

 
去年は観客から「字幕にあったセリフがすごく心に刺さった」という声をいただきました。皆さまは字幕を通じて難民の皆さんの現実に触れています。そんな皆さまの力作が難民への共感を広げることにダイレクトに繋がっていることをひしと実感しています。本当にありがとうございます。今年の映画祭でもあらたな来場者の方たちとのご縁が生まれ、難民への共感の輪がさらに広がることを願っております。ひきつづき、どうぞよろしくお願いいたします。
G.  ヒューマン・フロー 大地漂流_著作権表記_2017 Human Flow UG. All Rights Reserved.
※2019年上映作品 『ヒューマン・フロー 大地漂流』(原題:Human Flow)
監督/製作:アイ・ウェイウェイ ©2017 Human Flow UG. All Rights Reserved.

 
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今年、JVTAが字幕を手がけた作品は下記の3本です。


 
A. ミッドナイト・トラベラー_著作権表記_Hassan Fazili
※『ミッドナイト・トラベラー』 (原題:Midnight Traveler)
監督:ハッサン・ファジリ ©Hassan Fazili
B. 難民キャンプで暮らしてみたら_著作権表記_Salam Neighbor
※『難民キャンプで暮らしてみたら』 (原題:Salam Neighbor)
監督:クリス・テンプル、ザック・イングラシー ©Salam Neighbor
C. イージー・レッスン — 児童婚を逃れて_著作権表記_clipse Film
※『イージー・レッスン - 児童婚を逃れて』 (原題:Easy Lessons)
監督:ドロッチャ・ズルボー ©Éclipse Film

 
映画を通して難民1人ひとりの人生に想いを馳せることが、支援の一歩になります。皆さんもどうぞ会場に足を運んでください。JVTAはこれからもこの映画祭をサポートしていきます。

 
◆UNHCR WILL2LIVE映画祭 2019 公式サイト
https://unhcr.refugeefilm.org/2019/

 
【関連記事】“UNHCR難民映画祭”が「UNHCR WILL2LIVE映画祭2019」へ 難民の力強く生き抜く強さを伝えたい
『ミッドナイト・トラベラー』の翻訳者インタビュー
https://www.jvta.net/tyo/2019will2live/
【関連記事】翻訳者だからこそできる難民の支援【UNHCR WILL2LIVE映画祭2019】難民1人ひとりのストーリーを知る
https://www.jvta.net/tyo/2019will2live3/

 
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\2019年・10/6(日)開催/
字幕翻訳・吹き替え翻訳が学べる日本映像翻訳アカデミーでは、映像翻訳の仕事に興味がある方に向けたイベント「オープンスクール」を開催しています。
詳しくは:https://www.jvta.net/tyo/open-school/
 


 

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