News
NEWS
voiceinTYO

翻訳者だからこそできる難民の支援【UNHCR WILL2LIVE映画祭2019】難民1人ひとりのストーリーを知る

翻訳者だからこそできる難民の支援【UNHCR WILL2LIVE映画祭2019】難民1人ひとりのストーリーを知る
Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page

9月21日(土)、東京の九段下のイタリア文化会館で、「UNHCR WILL2LIVE映画祭2019」が開幕します。世界では今、7000万人を越える人々が迫害や紛争によって命を危険にさらされ、故郷を逃れることを余儀なくされています。この映画祭は、こうした難民の現状を映画の上映という形で伝え、国内で支援の輪を広げることを目的に2006年に「UNHCR難民映画祭」としてスタートし、14回目を迎える今年、同映画祭は「UNHCR WILL2LIVE映画祭 2019」と名前を変えて新たなスタートを切りました。新しいコンセプト「WILL2LIVE」には、「Will to live 」をキーワードに、逆境に立ち向かう力、そういう難民の逞しいイメージをもっと強く発信していきたいという想いがこめられています。JVTAは第3回から字幕制作で協力しており、今年も上映作品全7作品のうち、3作品の字幕をJVTAが担当、23人の修了生が手がけています。
UNHCR WILL2LIVE映画祭2019(メインビジュアル)

 
この映画祭で上映されるのはどんな作品なのか。今回はJVTAが字幕を手がけた作品の翻訳を手がけた修了生の中からリーダーとして各パートの取りまとめを担当した修了生、2名に話を聞きました。

 
■『イージー・レッスン - 児童婚を逃れて』
 

修了生・志村 紀恵さん(翻訳チームのリーダーを担当)
(翻訳チーム:鹿目 直子さん、築山 由さん、大塚 千枝さん、津野 紀美子さん、佐藤恭子さん、富川美保子さん)

C. イージー・レッスン — 児童婚を逃れて_著作権表記_clipse Film
※『イージー・レッスン - 児童婚を逃れて』 (原題:Easy Lessons)
監督:ドロッチャ・ズルボー ©Éclipse Film

 
◆難民映画祭への関わり
今回初めて参加しました。在学中から難民映画祭を1つの目標にしていましたが、JVTAで行われた翻訳のキックオフミーティングで国連UNHCR協会の山崎玲子さまから難民問題の実情や”WILL2LIVE”に込められた思いを伺い、単に作品を翻訳する以上に意味のある経験だと感じました。
IMG_6389 - コピー
※JVTA東京校のキックオフミーティングの様子です。
※国連UNHCR協会の山崎玲子さんのメッセージはこちら

 
◆この作品の翻訳で意識した点、これから観る人へのメッセージ
この作品は、児童婚から逃れて単身ハンガリーに渡った17歳のカフィアが、白人社会の中で懸命に生きる姿を追ったドキュメンタリーです。主人公のカフィアは、平和なハンガリーで何不自由なく暮らしているように見えますが、胸の内には複雑な思いを抱えています。故郷を離れざるをえなかった悲しみ、家族と別れて暮らす孤独、そして、残してきた最愛の母への思い…。本作では、それまでおそらく誰にも言えなかったであろう複雑な胸中が、少しずつ明かされていきます。
P4_調理器具
※写真提供:国連UNHCR協会

 
カフィアが生まれ育ったのは、思いを口にすることすら許されない社会です。作品をとおして心情を打ち明けるのは、とても勇気のいることだったのではないでしょうか。翻訳に際しては、勇気をもって打ち明けたカフィアの思いを丁寧にすくい上げ、それが損なわれることなく観客に伝わるよう、言葉選びに気を配りました。また、チーム翻訳でひそかに苦労したのが、カフィアの口調です。17歳という年齢は、子どもと大人のちょうど境目あたり。そのためか初稿の段階では、担当パートによって、やや子どもっぽい、妙に大人びているなど、微妙なブレがありました。どう寄せていくかをメンバーの皆さんと相談しながら探り、最終的に1つに仕上げていきました。
Brazil. Venezuelans are relocated to the Jardim Floresta shelter
※写真提供:国連UNHCR協会

 
“難民”というと、どうしても遠い国で起きている問題という漠然とした印象を持ってしまいますが、『イージー・レッスン - 児童婚を逃れて』 は、生身の人間の内面を映し出した、どこか親近感を覚える作品です。自分らしく生きようとしてもがくカフィアの姿を1人でも多くの方に見ていただき、何かを感じ取っていただけたら嬉しいです。

 
■『難民キャンプで暮らしてみたら』

修了生・和田 望さん(翻訳チームのリーダーを担当)
(翻訳チーム:上野昇治さん、小畑 愛沙子さん、小林 美麗さん、宮本 和子さん、武藤 麗子さん、ナウタ 山田 麻衣子さん、山中理会さん)
B. 難民キャンプで暮らしてみたら_著作権表記_Salam Neighbor
※『難民キャンプで暮らしてみたら』 (原題:Salam Neighbor)
監督:クリス・テンプル、ザック・イングラシー ©Salam Neighbor

 
◆難民映画祭への関わり
私は今回が初めての参加でした。JVTAのメールマガジンで難民映画祭の記事は目にしていたものの、自分が関わることになるとは思っていませんでした。しかし、今回翻訳者として関わらせていただいたことで、自分の世界が広がったように感じます。「難民」と聞くと、どこか遠いところにいる人々を無意識に想像していた自分に気づかされました。翻訳者として貴重な経験をさせていただけたことだけでなく、自分の意識を変えられたことが大きな収穫だと思います。
Greece. UNHCR staff member assists refugees on shoreline
※写真提供:国連UNHCR協会

 
◆この作品の翻訳で意識した点、これから観る人へのメッセージ
この映画では2人のアメリカ人が、ヨルダンのザータリ難民キャンプに滞在します。そこでシリア難民の日常生活を体験し、難民問題の現状を世界に伝えます。2人が出会った人々は、平和を望む、心優しい難民キャンプの「隣人」たちでした。翻訳する時は、難民の方々の温かい人柄が伝えられるよう意識しました。
P4_教科書
※写真提供:国連UNHCR協会

 
チーム翻訳では、役割を分担し、協力して翻訳作業に取り組みました。共有シートを活用してその都度浮かんだ疑問点を挙げていき、相談を重ねながら、よりよい作品に仕上がるよう努力しました。私が初参加だったこともあり、リーダーとして至らない点もたくさんあったかとは思いますが、チームの皆さんに助けられ、無事完成させることができました。

 
この映画の中で、私が最も心を奪われたのは、難民の男の子ラウフの笑顔です。彼がこの先の人生も、ずっと笑顔で幸せに暮らしていけるように、私たち一人ひとりが支援を続けていかなければならないと思います。この映画を通して、シリア人難民を遠い存在の「難民」として捉えるのではなく、「隣人」として身近に感じていただけたらと思います。

 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Bangladesh. New Rohingya arrivals at transit centre
※写真提供:国連UNHCR協会

 
「UNHCR WILL2LIVE映画祭 2019」は、9月21日(土)にスタート。今年は東京、名古屋で上映されます。上映会場やスケジュールは公式サイトでご確認ください。皆さんもぜひ、会場に足を運び、難民一人ひとりのストーリーを知ることから支援を始めてみませんか。

 
◆UNHCR WILL2LIVE映画祭 2019 公式サイト
https://unhcr.refugeefilm.org/2019/

 
◆今年JVTAは『ミッドナイト・トラベラー』の字幕も担当しました。
(翻訳チーム:伊藤 淳子さん、川下 盛代さん、川嶋 のぞみさん、桐原 麻衣さん、清水 香さん、田島 佳子さん、原 茉未さん、増渕 裕子さん)
翻訳担当者のコメントはこちら
A. ミッドナイト・トラベラー_著作権表記_Hassan Fazili
※『ミッドナイト・トラベラー』 (原題:Midnight Traveler)
監督:ハッサン・ファジリ ©Hassan Fazili

 
 
\2019年・9/21(土)開催/
字幕翻訳・吹き替え翻訳が学べる日本映像翻訳アカデミーでは、映像翻訳の仕事に興味がある方に向けたイベント「オープンスクール」を開催しています。
詳しくは:https://www.jvta.net/tyo/open-school/
 


 

Tweet about this on TwitterShare on Google+Share on FacebookShare on TumblrPin on PinterestDigg thisEmail this to someonePrint this page