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JVTAで授賞式 今年の❝ニチコネ❞第1回ニッポン・オンライン賞は『アリ地獄天国』

JVTAで授賞式 今年の❝ニチコネ❞第1回ニッポン・オンライン賞は『アリ地獄天国』
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ドイツ・フランクフルトで行われている世界最大の日本映画の祭典「ニッポン・コネクション」(ニチコネ)は今年6月、初のオンライン開催となりました。6日間で2万5200人以上の観客数を記録。観客のオンライン投票により、第1回ニッポン・オンライン賞は、土屋トカチ監督のドキュメンタリー映画『アリ地獄天国』が受賞しました。土屋監督には副賞として次回作の英語字幕をJVTAが制作します。おめでとうございます! 先日、JVTAにて授賞式が行われ、土屋監督(写真左から2人目)と同映画祭のプログラム&ゲストリレーションの菅谷まゆさん(写真左)が来社。上映後の反響などについてお話を聞きました。
※一瞬だけマスクを外して記念撮影
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◆受賞作『アリ地獄天国』の見どころ
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※『アリ地獄天国』より

 
土屋トカチ監督 引っ越し会社で働いていた30代の若者の成長物語。会社での理不尽な待遇を労働組合に相談し、改善を求める活動を追ったドキュメンタリーです。いわゆる労働問題の中で彼がどう変わっていったのか。それをどうやって周りが支えたかというのが一番の見どころだと思っています。実はこの作品の中には、同じように悩んでいた僕の友達もいます。僕は彼を支えられなかった…。仕事が違っても、会社からひどい扱いを受けたという苦しみは2人とも同じだと思い、この作品を撮りました。働く環境を改善できた人とできなかった人がいる。その対比も描いています。
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※『アリ地獄天国』より

 
◆受賞について
土屋トカチ監督 まず、賞を頂いたことに驚きと感激がありました。次回作の英語字幕、そういう副賞もあるのかと。ニッポン・コネクションらしくていいですね。
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他の映画祭だと賞金が出たりしますが、そうではなく「新作を作ったら応援するよ」というのはすごく励みになりました。次回作を作らないと実を結ばない賞。これは結構ハードルが高い…。でももっと先を応援してくれているというのが嬉しいですね。現在、人権問題を扱ったドキュメンタリーを製作しています。
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※『アリ地獄天国』より

 
菅谷まゆさん 「ブラック企業」や「過労死」という言葉は世界でも意外と広く知られています。ドイツ国内でも社会問題に関心が高いと感じています。今年20周年を迎えたニチコネでは、エンタメ系の話題作から社会問題を扱ったドキュメンタリーまで長編・短編、時代、メジャー、インディーズ、さらに時代も問わず、幅広い作品を上映しており、コアなファンの方も多いと思います。カルチャー部門では文化はもちろん、日本そのものを紹介したいという想いもあります。『アリ地獄天国』は、日本の労働問題のリアルな実情を捉えたことが世界の観客に響いたのではないでしょうか。

 
◆オンライン上映後の反響は?
土屋トカチ監督 日本で働いた経験のある海外の視聴者(主にドイツやヨーロッパ)からコメントをもらいました。「日本は大好きだが、二度と日本で働きたくない」という声が結構多かったですね。「日本で1年働いた間、すべての失敗を自分のせいにされた」という人もいました。「この映画を観て自分の体験を思い出した」と長いブログのリンク先が送られてきたり、以前の映画祭で知り合ったカナダ人の方が「大推薦する」とメッセージをくれたりと率直な感想を聞くことができました。もちろん日本からも反響がありました。オンラインという新たな形になり、その中で賞までいただけるとは本当に驚きました。映画館の大画面じゃなくてもいい音響じゃなくても響いたのかな、ちゃんと観客の心に届いたのかなと思い、とても嬉しかったです。今回はオンライン開催の期間中、いつでも自由に視聴できたので初日から口コミでどんどんアクセス数が増えたと聞いています。
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※『アリ地獄天国』より

 
菅谷まゆさん それがまさにオンライン映画祭のメリットで、最初に観た人の口コミで開催期間中にどんどん反響が広がっていきました。一番の違いはドイツに行かなくても世界中で観られるということ。世界40カ国から6日間で2万5200人以上のアクセスがありました。ニチコネのことをずっと知っていたけど一度も見られなかった方から、アメリカや日本国内からも参加できた、こんな感じなんだと分かり、本当に良かったという声を頂いています。これまでは基本的にフランクフルトの会場で観た人が投票という形式でしたが、今年は初めて世界の視聴者からのオンライン投票になりました。恒例となっているアワードセレモニーも中止になり、日本映画界に特別な功績を残した人物に贈られる「ニッポン名誉賞」もなかったため、この作品が今年の唯一の受賞作品です。おめでとうございます。

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JVTAは今年もジョナサン・ホール講師によるレクチャーや英語字幕ワークショップ、日本語を学ぶ世界の人たちに向けたミニレッスンをニチコネで開催。受講生・修了生の皆さんも初めて日本から参加できた方も多かったでしょう。お2人のお話から、オンラインを使った今後の映画祭の新たな可能性が見えました。

 ニチコネロゴ
JVTAは、土屋トカチ監督の次回作を英語字幕でサポートします。どんな作品に出合えるのか、楽しみですね。土屋監督、関係者の皆さん、おめでとうございます。
◆『アリ地獄天国』公式サイト:https://www.ari2591059.com/
© 2019-2020 Group Low Position/Office Shirahamadai
◆ニッポン・コネクション 公式サイト:https://nipponconnection.com/en 

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