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【SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 × JVTA】英語字幕PROゼミとは?

【SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 × JVTA】英語字幕PROゼミとは?
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“若手映像クリエイターの登竜門”として知られる「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」が9月25日(土)~10月3日(日)、 オンライン配信で開催される。今年で第18回目を迎えるこの映画祭はこれまで、『孤狼の血 LEVEL2』の白石和彌監督、『浅田家!』の中野量太監督、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、『岬の兄妹』の片山慎三監督など、新進気鋭のクリエイターを数多く生み出してきた。JVTAは毎年、国内コンペティションのノミネート作品を英語字幕制作でサポート。今年も長編部門4作品と短編部門2作品の英語字幕をJVTAで学んだ翻訳者が手がけている。
 

 

JVTAでは毎年、この映画祭とコラボした英語字幕PROゼミを開講。英語字幕PROゼミとはスポッティングから英語字幕づくりに取り組み、日英映像翻訳科の講師や翻訳ディレクターによる2度のフィードバックを受けられるゼミ形式のワークショップだ。今年も6人が参加し、2本の短編映画『小山田喜久太郎』と『OKAN』の英語字幕を担当。それぞれ3名の翻訳チームに分かれ、綿密な話し合いと細かい指導の下で英語字幕を完成させた。JVTAは、仕事としての実績を積みながらプロの指導によりさらなるスキルアップができるこうしたゼミで修了生のデビューをサポートしている。自分が英語字幕をつけた作品が映画祭で上映される「英語字幕PROゼミ」とは何か? 作品の見どころ、参加者の声と共に紹介する。
 

『OKAN』(英題:Mom)
舞台は近未来の日本。主人公の直人は、部屋にひきこもりVR空間で仮想彼女と過ごしている。そんな直人に小言を言う母親を疎ましく思っていたある日、母親が急死。直人のもとに、母親が生前に契約していた「故人再構築プログラム」が届く…。

 


 
チーム翻訳はJVTAではよく使う手法だ。映画祭など短い期間に多くの作品の字幕が必要な案件や、アワードなど速さが問われる案件、連続ドラマなどにもよく用いられる。
 

「憧れのクレジット付き映画字幕翻訳のゼミということで、受講前から楽しみでしたが、少人数で二度にわたる丁寧なご指導は期待以上でした。個々の字幕についてのコメントはもちろん、Bトラック(テロップや看板など文字情報の字幕など)のスポッティングなど、翻訳者として経験値が一段と上がりました。個人的には、“ずんだ餅”の箇所の訳に知恵を絞りました」(澤山玲子さん)
 
JS_Okan
©釣部東京
 

講師の指導だけではなく、チームのメンバーと意見を出し合うことで、新たな発見もある。
答えが一つではない映像翻訳の奥の深さを実感すると共に、字幕をよりブラッシュアップしていく過程を体験することができるのだ。
 

「今回、始めてPROゼミを受講いたしました。3人での共同作業ということで、最初はどのように進めていけばいいのか分からず戸惑いました。はじめは解釈が難しいと感じましたが、他の方々の意見を聞いて、そうか、そういう解釈もあるのかと思い、この『OKAN』という映画に愛着がもてるようになりました。また、自分が翻訳したものへの全く思いもつかなかったようなアドバイスなど、自分1人の作業では得ることができなかった貴重な体験であり、より良い翻訳となったことを実感。本当に勉強になりました」(柴田直子さん)
 
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©釣部東京
 

近未来と思われる設定だが、登場人物の心象風景は素朴な人間感に基づいているので、ストーリーも登場人物の心情も理解しやすかったと話すのは斎藤いずみさん。一方で、近未来の世界観を支えるテクノロジー関連の表現が多く、日本語でも長いので、必要な情報を取捨選択しながら的確な表現で無理なく読める字数内に収めるには、背景のリサーチが鍵と感じたという。また斎藤さんが気を配ったのは、いわゆる卑語の訳し方だ。
 

「全編関西弁で、主役の落ちこぼれてやさぐれてしまった青年が4文字語(four-letter word)になるような台詞もバンバン発します。オリジナルの空気感を残しつつ、許容範囲内の表現で、全体のトーンの維持、程度の差等のバランスを意識しながら、各台詞が鮮明になるように訳出するのは結構なチャレンジでしたが、講師の方やチームの皆さんからFBをいただきながら練り上げるのは大変良い経験でした。ぴったりの訳に辿り着くと、翻訳冥利といいますか、やりがいを感じました」」
(斎藤いずみさん)
 
JS_Okan_SUB2
©釣部東京
 

作品の詳細はhttps://www.skipcity-dcf.jp/films/js07.html
 

『小山田喜久太郎』(英題:Kikutaro’s Journey)
人物のレンタル業というユニークな仕事をテーマにした作品。主人公は、劇団俳優の小山田喜久太郎。どんな役にもなりきるという代行業を生業としている。今回のミッションは、行方不明になっている野生動物写真家を演じること。依頼人である彼の妻と彼の父親と共に年末年始を過ごすことになる…。

 

 

映像翻訳を学ぶ人にとって、映画の字幕を手がけ、自分の字幕がついた映画を見るのは夢であり、目標の一つという人も多い。今回、この作品のチーム翻訳に参加した矢仲ゆき子さんもその一人で、迷わず参加を決めたという。
 

「通常の講座では課題作品全編にわたって字幕に関わることはありませんでしたし、いつも一人で悶々と訳に取り組んできたので、PROゼミでは、『全編の翻訳』を『共訳』という私の想いが叶ったという感じでした。さて、映画には宮澤賢治の童話が挿入されています。この童話は海外にも紹介されていますが、訳者によって作品の解釈や表現が異なることから、今回は既訳には囚われず私たちで訳をつけました。何度も意見を出し合い、検討を重ね、映画の物語と宮澤賢治の物語のどちらにもしっくりするような訳になったと思います。ぜひ多くの方に見ていただきたいです」(矢仲ゆき子さん)
 
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PROゼミでは、字幕制作ソフトを使い、字幕を使ってスポッティング(映像の中で字幕の出るタイミング“IN点”と消えるタイミング“OUT点”を取っていく作業)から手がけていく。ゼミを受講しながらプロの翻訳者の仕事を体験し、実践的な字幕づくりを学べるのだ。
 

「PROゼミに参加したことは、日英翻訳の実践コースで学んだスキルを活かしながら、スポッティングや翻訳のコツを教えていただく貴重な機会になりました。また、2回の講義でいただいたフィードバックのおかげで、原文のユーモアやトーンをよりよく伝えるように字幕を磨くこともできました。3人で作業を分担し、意見やアドバイスを交換し、チームワークの大事さを実感しました」(フローレンス・クリックさん)
 
JS_Oyamada-kikutaro_SUB1

セリフの翻訳で難しいのは、難しい表現より、むしろ、シンプルな表現だ。同じ言葉でも各シーンでの文脈に合わせて、英語での表現を変える工夫も必要になる。各自が作成した字幕を一つひとつ細かく見ながら、講師が指摘し、チーム内で話しあうことでより自然で伝わる言葉を探していく。
 

「短いセリフのニュアンスを英語で表現するのに苦労しました。作品内では『おお』というセリフが何回か登場しました。日本語では同じ『おお』という相づちでも、前後の流れで全く意味が変わるとFBでアドバイスをいただいたので、前後のニュアンスに合わせて、OhやWhatなどで翻訳し、驚きや疑問などを感じるようにしました」(田島有希さん)
 
JS_Oyamada-kikutaro_SUB2
 
作品の詳細はhttps://www.skipcity-dcf.jp/films/js05.html

 

「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」はオンライン配信で自宅から楽しむことができる。ぜひ、英語字幕にも注目しながら楽しんでほしい。未来の巨匠の作品をどうぞお見逃しなく!
 
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「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」公式サイト
https://www.skipcity-dcf.jp/

 
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