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【活躍する修了生・藤野玲充さん】スウェーデン語を学び、北欧作品の翻訳を手がける

【活躍する修了生・藤野玲充さん】スウェーデン語を学び、北欧作品の翻訳を手がける
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EUフィルムデーズは、欧州連合(EU)加盟国の在日大使館・文化機関が提供する作品を一堂に上映する映画祭。5月28日(土)から東京、京都、広島で順次開催される。20回目となる今年はEU加盟全27カ国が参加し、EUが重視する文化的多様性と社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン:社会的に弱い立場にある人を排除・孤立させることなく、共に支え合う社会)をテーマとした作品がラインナップされている。JVTAは日本初公開となるスウェーデン映画『走れ、ウイェ!走れ!』の字幕を担当、修了生の藤野玲充さんが手がけた。この作品は同映画祭のオープニング作品だ。
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藤野さんはスウェーデン語を学び、現在は「北欧語書籍翻訳者の会」の一員として活動中。ブログ記事の執筆や、ブッククラブの運営に携わっている。また、映像翻訳者として映画、ドラマ、ドキュメンタリー、アニメ、リアリティショーなどに加え、コロナ禍以降は、企業VPやセミナー動画など幅広いジャンルの字幕づくりを行っている。藤野さんに、北欧映画の魅力や、今回担当したスウェーデン映画『走れ、ウイェ!走れ!』の見どころや翻訳について聞いた。

Spring Uje Spring / Run Uje Run
© Johan Paulin_Filmlance International
 

◆北欧の文化への興味が得意分野を拡げた
もともと北欧の文化に興味があったという藤野さん。旅行をしたり、映画を見たりするうちに、言葉を理解したいと思うようになった。現地の友人ができたことも大きいという。
 

「その体験を活かしてこれまでスウェーデン語のショートフィルムをいくつか(北欧つながりでノルウェーの映画やフィンランドのドキュメンタリーも)担当させていただきました。今回は長編作品をまるごと一本担当できてうれしかったです」(藤野玲充さん)
 

イングマール・ベルイマン(スウェーデン)、カウリスマキ兄弟(フィンランド)、ラース・フォン・トリアー(デンマーク)など日本でも北欧映画は根強い人気がある。北欧の作品にはハリウッドとはまた違う魅力があると藤野さんは話す。
 

「スウェーデンを含む北欧諸国の映画は、ハリウッドなどの作品に比べると、セリフや演出が控えめで余白や余韻を感じられる作品が多いと思います。退屈に感じる人もいるかもしれませんが、私はそこが魅力だと思っています」(藤野さん)

Spring Uje Spring / Run Uje Run
© Johan Paulin_Filmlance International
 

◆『走れ、ウイェ!走れ!』は歌手ウイェの自伝的な作品
『走れ、ウイェ!走れ!』はパーキンソン病と診断されたポップ歌手のウイェ・ブランデリウス本人と彼の家族が出演する自伝的映画だ。スウェーデン本国では2021年のゴールデン・ビートル賞で最優秀作品賞、最優秀脚本賞、最優秀男性主演賞を受賞している。
 

「翻訳をする中で、パーキンソン病の詳しい症状や進行の仕方を初めて知りました。ウイェは周囲に病を打ち明けず、今までどおりの日常を送ろうとしますが、だんだんと綻びが生じていきます。そんな彼の言動にハラハラしたりしんみりしたりする一方で、病気との向き合い方についても考えさせられました。この作品は各所でウイェ自身が歌う曲が挿入されています。スウェーデン映画としてはにぎやかなほうですが、決して派手な感じではなく、各シーンに合ったポップな音楽が映画を引き立てています。調べたところ、最初は舞台で上演され、次にラジオドラマとなり、最終的に映画として制作されたようです。映画の中にも舞台的な演出が入っている箇所があり、そんなところも魅力です」(藤野さん)
 
Spring Uje Spring / Run Uje Run
© Johan Paulin_Filmlance International
 

◆原語が分かるから気づけた微妙なニュアンス
北欧映画など多言語の作品を訳す時も、多くの場合は英語字幕から日本語にしていく。今回、藤野さんも英語字幕を基に作業を進めた。しかし、原語が分かるからこそ、正しく解釈できる箇所もある。それが多言語翻訳者の強味だ。
 

「まだ幼い次女のベガが、直前に母親が長女に向かって言った言葉を真似ているシーンがありました。英訳では別の単語に訳されていましたが、私は、同じ単語を言っているという認識で日本語字幕に訳出しました。原語の音を注意深く聞けばスウェーデン語が分からなくとも気づくかもしれませんが、英訳だけ見ていたら見落としてしまうことがあります。また、スウェーデンの文化や歴史・時事ネタを知っていることで、セリフやシーンの意味を汲み取りやすかったように思います」(藤野さん)
 

Spring Uje Spring / Run Uje Run
© Johan Paulin_Filmlance International
 

◆英語とスウェーデン語でリサーチ
主人公のウイェは、実在の人物。現地での活動や知名度なども調べる必要がある。藤野さんは英語とスウェーデン語の両方でリサーチを進めた。
 

「基本的には英語でリサーチを行いました。ウイェについて調べたところ、彼の大おじにあたるハリー・ブランデリウスは、1930〜40年代に活躍した歌手として著名のようです(劇中の曲の歌詞でも親戚で一番著名な人物として名前が挙がります)。ウイェ自身はバンドとしてアルバムを数枚出していますが、そこまでメジャーな存在ではなかったようで、映画内でも、有名なバンドではないことを揶揄するようなシーンがありました。またバンド活動以外にもラジオ番組でパーソナリティーをつとめたり、絵本を執筆したりとマルチに活動していることが分かりました。本作がスウェーデン国内で高く評価されたことから、現在は知名度が上がっていることと思います」(藤野さん)
 

基本的には英語でリサーチしたが、やはり現地のサイトにしかない情報もあったという。
 

「ストックホルム市内の場所や原語の歌詞を調べるにあたってスウェーデン語のサイトを参照しました。特に娘のベガがくちずさむ歌は出どころを調べるのに苦労しました。世界的に有名ではないことを調べる際は英語の情報は少ないので、やはり現地のサイトが頼りになります」(藤野さん)
 

EUフィルムデーズでは今年、EU加盟全27カ国が参加し、各国の傑作が一挙上映される。さまざまな国の作品の魅力を知る貴重な機会なので、ぜひ公式サイトを覗いてほしい。JVTAでは、日々あらゆる国や地域の作品の翻訳を担当し、オリジナルの言語も多岐にわたる。多言語の知識や文化を理解していることは、翻訳者にとって大きな強みとなる。こうした得意分野のある方はぜひ、今後活躍の場を拡げてほしい。
 

Spring Uje Spring / Run Uje Run
© Johan Paulin_Filmlance International
 

■字幕担当ディレクターよりひとこと
映画作品の場合、英語以外の言語を直接原語から訳すということは稀です。大抵の場合は英語字幕から訳すことになりますが、英語に訳された言葉に含まれないニュアンスを原語から感じることができると、訳された言葉の再現性も高くなり字幕もより立体的になっていきます。少しでも勉強したことがある言語があれば、そういった経験は必ず字幕に活きてくるので、ぜひ大切にしてほしいです。(メディアトレンスレーションセンター 先崎進)

SpringUjeSpring frame5_Photo Frida Wendel
© Johan Paulin_Filmlance International
 

◆『走れ、ウイェ!走れ!』
監督: ヘンリク・シュッフェルト/2020年/スウェーデン/
東京 国立映画アーカイブ
2022年5月28日(土) 13:30
2022年6月8日(水) 18:40
 

京都 京都府京都文化博物館
2022年6月23日(木) 13:30 
2022年6月25日(土) 17:00

詳細はこちら
 

◆EUフィルムデーズ 公式サイト
https://eufilmdays.jp/
 

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