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【監督インタビュー】ドキュメンタリー映画『Dr.Bala』が国際映画祭で注目を集めるまで 「『作品を理解して訳をつけることの重要性』を感じた」

【監督インタビュー】ドキュメンタリー映画『Dr.Bala』が国際映画祭で注目を集めるまで 「『作品を理解して訳をつけることの重要性』を感じた」
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各国の映画祭で注目されている日本のドキュメンタリー映画がある。『Dr.Bala』(Koby Shimada, 2022)だ。ロサンゼルスインディペンデント映画祭で長編ドキュメンタリー部門のBest Director、ヒューストン国際映画祭の教育部門でRemi Award金賞に選出されるなど、現時点で8カ国11の国際映画祭でノミネートもしくは受賞にも輝いている作品だ。毎年1週間の夏休みを利用して東南アジアでの国際協力を続ける大村和弘医師の、12年間の足跡をまとめたドキュメンタリー映画である。
 

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監督はロサンゼルスを拠点に映像制作を行うコービーシマダ(島田公一)監督。大学卒業後、PCメーカーで営業担当として働くが、やがて渡米を決意。役者を志し、1999年にロサンゼルスへ渡った。その後、役者仲間とともに自主映画を制作したことをきっかけに、作る楽しさに目覚めて制作側へ転向。現在は企業や病院向けのプロモーションビデオ制作の仕事をしつつ、映画制作を行っている。
大村医師との出会いは2006年。当時救急救命科としてUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に留学してきていた大村医師と、トーランスの日本人ラグビークラブで知り合ったという。やがて大村医師から東南アジアでのボランティアの話を聞き、後々ドキュメンタリーにしたいという話になった。
 

「2008年に自分が日本に一時帰国した時にカズ(大村医師)も同じタイミングで日本に帰国、ラグビークラブのメンバーで、元メンバーの一人が住む熱海の家に泊りがけで集まることになりました。その時カズは東南アジアに行き、泊まり込みでボランティアをしていた時期で、ミャンマーやカンボジアでの活動のことを温泉に入りながら、またはしゃぶしゃぶを食べながら聞いたのがこのドキュメンタリーの始まりです。その時の映像も本編で使われています。」(シマダ監督)
 

大村医師は自身の夏休みを利用して東南アジアでの国際協力を続け、現地の医療を発展させた人物の一人である。本作は大村医師が長年情熱を注いできた国際協力の活動を通じて、国を越えた人との繋がりや続けることの意義を伝え、さらに「人生で大切なことは何か?」という点に目を向けさせる作品だ。
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※シマダ監督と大村医師
Photo:シマダ監督より提供
ミャンマーで開かれた耳鼻科の学会後のパーティーにて。監督が歌を歌い始め、大村医師も舞台に上がって共に歌い始めたとのこと。2人の仲の良さがうかがえる。

 

JVTAはこの『Dr.Bala』の英語字幕を制作。JVTAで日英翻訳の講師も務める南久美子さんが字幕翻訳を担当した。シマダ監督自身はロサンゼルス在住。周囲には日本語と英語の両方に精通した関係者がいたはずだが、JVTAへ英語字幕制作の発注を行ったのはなぜなのか?
「予算が少ないというか、ないということもあり、元々は自分の知り合いなどにお願いして英語字幕をつけようと思っていました。しかし英語の表現も重要になると感じていたところ、知り合いからJVTAを紹介してもらいました。」(シマダ監督)
 

実はそれよりもずっと前に、シマダ監督はJVTAのロサンゼルス校で体験レッスンに参加したことがあったと言う。その際に「日本語字幕だと1秒間に4文字が基本」など、字幕には色々なルールがあることを知り、字幕制作はなかなか一筋縄ではいかないと思ったそうだ。
そして今回、実際に制作された英語字幕を見たシマダ監督は、ただ内容を翻訳するのではなく、「作品全体を理解して訳をつけることの重要性」を改めて感じた。
 

「例えばミャンマーで手術が始まるシーンで、カズがビルマ語で「タナカ2倍にしてきたの誰?」と言い、現地の人が笑うシーンがあります。
この「タナカ」とはミャンマー特有のメイクで、顔に白い塗料を塗るん
 です。日焼け止め代わりに日常的に塗る人もいますし、パーティーやイベントなど、特に気合が入る場面で塗る人もいます。

しかし短いシーンでは、このような伝統文化の細かいところまでは説明できません。そこを字幕制作者の南さんは、“Who’s wearing makeup for the camera?” と、端的にそのシーンで必要な要素を英語に訳してくれました。音楽や音声の調整をスタジオで行った際、そのシーンをアメリカ人が観て笑いが起き、その時に『あっ、伝わったな」と感じました。」(シマダ監督)
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Photo:シマダ監督より提供
※喫茶店にて、大村医師と少年。日焼け止め効果もあるタナカは女性だけでなく、男性が塗ることもある。

 

ただ言葉の通りに訳すのではなく、シーンを伝えるための翻訳をする。AIが発達して翻訳ソフトも発展している昨今だが、「その国や地域の文化・慣習を理解して翻訳し字幕をつけることが重要」だと、シマダ監督は話す。さらに字幕が出るタイミングや長さも、観ている人にリズムを与える役割に繋がっていると感じたそうだ。
 

そしてシマダ監督が「伝わった」と感じた通り、『Dr.Bala』は8カ国11の映画祭でノミネート、受賞をしている。アメリカをはじめ、アジア以外の国でどう評価されるのか心配だったと言うシマダ監督。しかし今回の結果から、国を超えても作品がしっかりと伝わったことがうかがえる。
 

最後に、シマダ監督に今後の日本の映像作品に関する思いを聞いた。

「韓国語で制作された作品である『パラサイト』(ポン・ジュノ監督、2019年)がアカデミー賞受賞という画期的なことを成し遂げてくれて、日本語の作品の可能性も広がったと思います。脚本をしっかりと作ることで、アニメだけでなく日本の実写映画ももっと広がっていけばと感じています。『Dr.Bala』も今のところ8カ国11の映画祭でノミネート、受賞というありがたい評価を頂き、しっかりした内容を伝えられれば国を越えても観てもらえるという気がしています。」(シマダ監督)
 

シマダ監督は2022年8月27日に、ハリウッドのRaleigh Studiosで開かれるロサンゼルスインディペンデント映画祭の授賞式に長編ドキュメンタリー部門のBest Directorとして出席予定。今後シマダ監督からどんな作品が届くのか、楽しみである。
 

KobyProfilePhoto
Koby Shimada
福岡生まれ。1999年、東京からロサンゼルスへ移住し、俳優として映画と関わり始める。ラストサムライ、スパイダーマン2、インセプションなどに出演するも友人と自主映画を制作し、作る側の面白さに魅了され、カメラ、音声、照明としてスタッフとして多数の学生映画、インディペンデント映画に参加し経験を積む。
2003年にビデオプロダクション会社KOBY PICTURESを立ち上げ、監督として映画、CM、プロモーションビデオ、ドキュメンタリーなど数多くの作品を作り続ける。
彼のスタイルとしてはコマーシャル、病院のプロモーションビデオ、コーポレートビデオにもオリジナルの脚本を加え、医師として、会社の商品としての思いを物語として表現し、ストーリー性を重視する。
 

■『Dr.Bala』公式サイト
https://www.kobypics.com/drbala/jp
 

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