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ロジカルリーディング力を鍛える⑱ 文字の表面ではなく、その裏に見える情景を訳す

<strong>ロジカルリーディング力を鍛える⑱ 文字の表面ではなく、その裏に見える情景を訳す</strong>

ロジカルリーディング力 強化コースは“プロの映像翻訳者が持つ思考プロセス”を伝授し、映像翻訳に必須の「英文解釈力」を着実にレベルアップさせることを目的としています。

英文読解を高度な知的活動と捉え、英文を「何となく読める」レベルから脱却し、確実な根拠に基づいて理解した内容を自分の言葉で説明できるようになるまで考え抜くトレーニングを行います。英字紙の社説やコラム、政治家のインタビューなど、深い内容の素材を訳しながら、英文を貫く論理の見出し方、筋の通った訳文の作り方を学びます。具体的にどんな講座なのか、山根克之講師が解説します。

<文字の表面ではなく、その裏に見える情景を訳す>
タイトルを見て難しい話と思われた方もいるかもしれませんが、複雑な話をするつもりはありません。むしろ極めて単純な話です。ナショナルジオグラフィックのサイトに双子のテレパシーはあるのかという問題を論じた記事が掲載されています。

冒頭にこう書かれていました。自分なりに頭の中で訳してみてください。

They finish each other’s sentences, show up wearing the same outfit without planning it, and sometimes even claim to feel each other’s pain.

JVTAの受講生・修了生、翻訳に興味のある方であれば、文頭のThey finish each other’s sentences「彼らは互いの文を終わらせる」と訳すことはないでしょう。日本語として意味の通じない文は訳文とは言えないからです。

「互いの文を終わらせる」とはどういうことでしょう?もちろんfinish each other’s sentencesをネットで検索すれば、解説しているサイトがいくつも見つかります。でも機械的に意味を調べるだけでは「文字(英語)」から「文字(日本語)」への単なる変換に終わってしまいます。もっと深くイメージをとらえるために、2人が会話をしている情景を思い浮かべてみましょう。

A「小学校時代にいろいろなハプニングがあったけど、忘れられないのが…」
B「学芸会のセリフ飛び事件ね。主役の子がいきなり震え出したんだよね。しかも…」
A「それを見て担任の先生も顔が真っ青になってた」
B「そうそう、あれで緊張が連鎖して、みんな声が出なくなったり、セリフをかんだりしてたよね」

Aの「忘れられないのが…」を受けてBが「セリフ飛び事件」、Bの「しかも…」を受けてAが「それを見て担任の先生も顔が真っ青になってた」というように、相手が言おうとしていることを先回りして言っています。これが「互いの文を終わらせる」のイメージです。この状況を想像できれば、「同時に同じことを思いつく」「言いたいことを先読みできる」「考えがシンクロする」など、いろいろな訳し方が出てくると思います。情景が思い浮かべば、辞書や解説サイトに出てくる定義に縛られることもなく、「こんなふうに訳してもいいかもしれない」と選択肢をいくつも持てるようになります。翻訳とは文字から文字への単なる変換ではなく、情景を訳すのだと考えてみましょう。

ロジカルリーディング力強化コースは、英語で読んだ内容を頭の中で整理し、自分の言葉(日本語)で再構築して説明する力(=ロジカルリーディング力)を養う方法を毎回さまざまな角度から考えていきます。情景を丁寧に思い浮かべることは「英語で読んだ内容を頭の中で整理」するために大切な要素の1つです。

(Text by ロジカルリーディング力強化コース 主任講師 山根克之)

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