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海外映画祭で絶賛の『メランコリック』 Q&Aセッションで見えた撮影舞台裏

海外映画祭で絶賛の『メランコリック』 Q&Aセッションで見えた撮影舞台裏
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名門大学を卒業後、うだつの上がらぬ生活を送っていた男。ある夜、たまたま訪れた銭湯で働くことになった彼は、そこが閉店後の深夜、風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知る。そして同僚は殺し屋であることが明らかになり…。
 

現在、アップリンク渋谷ほかで全国公開中の映画『メランコリック』(田中征爾監督)をご存知ですか?
 


 

長編、短編、インディーズ作品など幅広いジャンルの作品が上映される世界最大級の日本映画祭、第19回「ニッポン・コネクション」(ドイツ)で、会場の観客らの投票によって面白い作品を選出する賞「ニッポン・ビジョンズ観客賞」を受賞した同作は、国内でも映画ファンのあいだで話題となっています。
 

映画祭での上映後のQ&Aセッションに密着していたJVTAが見たのは同作をはじめとしたこれからの日本映画への期待感と関心、そして観客の心をつかんだ『メランコリック』の舞台裏でした。作品を観た後のドイツの観客と、田中監督のQ&Aセッションの様子をお届けします。
 

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Q. 仕事をしながら映画を制作されたと聞きました。詳しく教えてください。
 

田中:この映画は、プロデューサー・俳優であり、主人公の和彦を演じた皆川暢二の呼び掛けで始まったプロジェクトです。私は月曜日から金曜日までは会社に勤めているので、金曜日の夜から日曜日の昼まで撮影、というのを5週間続け、合計で10日間で映画を撮影しました。
 

Q.「銭湯で映画を作る」というのは、アイデアが先だったのですか? それとも、“銭湯で映画を作ることができる”というチャンスがあったから、銭湯が舞台の映画になったのでしょうか?
 

田中:まず最初に「死体を処理する人」を主役にした映画を作ろう、というのが決まって。その次に、一番“それ”をやるのに合理的な場所はどこか? 銭湯だ! という順番ですね。
 

Q. 主人公のキャラクターは、どんなインスピレーションがあって作り上げられたのでしょうか?
 

田中:まず皆川から、映画にアクションやサスペンスの要素を入れたい、と。ただ、僕が最も影響を受けたのが、ウディ・アレンだったりするので、主人公の人物像は完全に、ウディ・アレンの影響を受けています。ですから、彼はメガネを掛けているし、細かいことを気にするし、ウジウジしている――というキャラクター造形になっています。
 

撮影場所は“奇跡の銭湯”

Q. 撮影場所としてどの銭湯を選んだのですか? そして、銭湯のオーナーは、映画のアイデアを聞いた時にどう反応しましたか?
 

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田中:主人公の同僚の松本役を演じた磯崎義知が「近所に銭湯がある」と教えてくれました。もし、そこが撮影場所として決まれば、彼は撮影に来るのが非常に楽だということで(銭湯に)電話をしたんですね。そこは普通に営業をしている銭湯なんですけど、快く、「いいよ」と言ってくれて。
 

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その銭湯で撮影して、すごく良かったです。演出・ディレクションしている時に、たまに「ああ、こういう小道具欲しいな」ということが何度かあったんですけど、するとどこからか、オーナーの声が「あるよ!」と聞こえてくるんです(笑)。すぐにセットの備品をまかなえたっていう、奇跡のような場所でした。
 

Q. この作品を上映された後は、その銭湯はお客さん増えましたか、減りましたか?
 

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田中:実はもう、かなり地元に密着している銭湯で、たぶん、増えても減ってもいないと思います。ただ、この映画のポスターは「主人公がデッキブラシを持っていて、奥に死体と松本がいる」というもの。店内の壁に貼ってくださっているのですが、その影響でお客さんが減る可能性はあります。(会場、笑い声に包まれる)
 

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「メランコリック」という言葉の響きに魅せられて

Q. 最後の質問です。タイトルは、なぜ『メランコリック』にしたのでしょうか? 私は、『メランコリック』のことを友人に話した時に、タイトルを伝えると、「え、なんでそんなタイトルなの」と聞かれたことがあります。
 

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田中:ひょっとしたら、これは日本人的な感覚なのかもしれないですけど「メランコリック」とは、もちろん“憂鬱”という意味ですけど、その意味を全く考えず「メランコリック」という音の響きだけを聞いた時に、なんか、僕はすごく、かわいく感じるんですね。
 

ものすごく憂鬱なものかもしれないけれど、それをコーティングしているものは何かすごくかわいらしくて、尊重するに値するもの。そういうものが、人生だな、と思って。
 

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この映画自体も、登場するのは人殺しだし、ものすごく良くないことをやっているんですけど、ちょっと笑いがあったり、家族のシーンがあったりと、かわいい部分もあります。僕が思う人生の姿と、映画というのがすごく表されているのが「メランコリック」という言葉です。
 

『メランコリック』公式サイト
https://www.uplink.co.jp/melancholic/
 

「ニッポン・コネクション」公式サイト
https://www.nipponconnection.com/nc-2019-japanese.html
 

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