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伊日翻訳で活躍する修了生が字幕を担当!ダンテの『神曲』にまつわるドキュメンタリーが上映

<strong>伊日翻訳で活躍する修了生が字幕を担当!ダンテの『神曲』にまつわるドキュメンタリーが上映</strong>

イタリアの詩聖、ダンテ・アリギエーリに捧げる記念日の3月25日、イタリア文化会館でドキュメンタリー映画『ミラービレ・ヴィジオーネ』が上映される。この作品の日本語字幕をJVTAの修了生、杉本ありさんがイタリア語から翻訳した。杉本さんは出版社勤務を経てイタリアへ留学。JVTAで映像翻訳を学び、伊日、英日翻訳の翻訳者として活躍。昨今は、コメディからシリアスな刑事ものまで、イタリアの映画やドラマの字幕を数多く手がけている。

◆イタリア文学最大の詩人による名著を、現代の視点から解釈
ダンテの『神曲』は、地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成る長編叙事詩。ダンテ自身が語り手となり、地獄、煉獄をめぐり天国にたどり着くというあらすじである。ドキュメンタリー映画『ミラービレ・ヴィジオーネ』は、この地獄篇を現代的な視点からダンテの人生と共に読み解いていく。

「イタリア語学習者であれば誰でも、ダンテ・アリギエーリという名も、彼の『神曲』という作品についても、一度や二度は必ず耳にしたことがあるはず。そしてダンテと聞けば、わし鼻が特徴的な彼の横顔もすぐに目に浮かぶはずです。そのくらい、現代のイタリアでもダンテの存在は大きく、とりわけ『神曲 地獄篇』はイタリアの国民的文学と呼べるのではないかと思います。イタリアの高校生は、学科にもよるかと思いますが、学校でみっちり学ぶと聞きます。」(杉本ありさん)

杉本さんが翻訳を担当したのは、『神曲』の本文ではなく、それを現代社会に照らし合わせて解説している部分だ。そのまま訳したのでは、ダンテに馴染みのない日本人の視聴者は何が言いたいのかと頭を抱えてしまう箇所も多く、訳語を選ぶのに苦労したという。ダンテの言いたかったことと現代の問題とをリンクさせるための解釈にも時間を要した。

「翻訳には苦労したものの俯瞰して全編を見ると、ダンテがたどった地獄の道を一緒に旅している気分が味わえる作品だということに気づきました。何より驚いたのは、ダンテは700年以上先の、この現代社会に警鐘を鳴らしていたのではないかと思えることです。」(杉本ありさん)

◆翻訳作業を通して改めて感じたダンテの「奥深さ」
字幕翻訳にあたり、杉本さんは図書館から複数の資料を取り寄せ、個人的にも書籍を購入し、ダンテの人生を改めて学び直した。ダンテが生きた中世のフィレンツェやダンテが放浪していた数々の町に思いをはせたという。政争に敗れたダンテはフィレンツェを追放されたあと、ヴェローナやボローニャなどを放浪し、ラヴェンナで亡くなる。現代ならば日帰りもできるような距離だが、当時のイタリアはフィレンツェもヴェローナもボローニャもそれぞれが「都市国家」。フィレンツェを追われ他の都市国家へ行くのは、現代で言う「亡命」と同じことになる。「愛した故郷はすぐそこなのに、その故郷に帰ることがかなわなかったダンテ。ダンテの悔しさは想像に難くない」と杉本さんは慮る。

「その一方で、“亡命したからこそ『神曲』は誕生した”とも言われているそうです。亡命者だからこそ故郷を客観的に見て、社会を批判できたのだと。ちなみにダンテは嫌悪していた人物を作中で何人も地獄に落とし描いているそうです。うらみつらみをペンで晴らしたんですね。ダンテの人間らしい一面を垣間見ることのできるエピソードだと思います。そんなことを思いながらこの作品を観ると、面白さも深まるかもしれません。」(杉本ありさん)

杉本さんは、映画やドラマの字幕翻訳のほか、児童書の翻訳など多くのイタリア語の作品に携わってきた。そんな杉本さんも映画『ミラービレ・ヴィジオーネ』の字幕翻訳を通して改めてダンテの奥深さを知ったという。イタリアの国民的文学、ダンテを知る貴重な機会、ぜひ会場に足をはこんでみてはいかがだろう。

◆上映会「ミラービレ・ヴィジオーネ」
2026年3月25日(水)18時30分(開場18時)
イタリア文化会館ホール
主催:イタリア文化会館
イベント公式サイトはこちら
※※公式サイトより、事前に申し込みが必要

杉本ありさん(イタリア語翻訳者)
出版社勤務を経てイタリアへ留学。帰国後、フリーランスの編集者として活動。その後、一念発起してJVTAに入学し、映像翻訳の世界へ。字幕の代表作に『ほんとうのピノッキオ』『ダーク・グラス』『ヴァニーナ カターニアの殺人課』『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』など。また訳書に『コミック密売人』(岩波書店)、『ローラとわたし』(徳間書店)、『飛ぶための百歩』『フォグ 霧の色をしたオオカミ』(岩崎書店)などがある。

◆こちらも注目!
【杉本さんが字幕を担当】映画『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』が2026年6月19日から劇場公開。
「1970年代、ローマの衣装工房で働き、それぞれ悩みを抱えながらも強く生きる女性たちの物語です。手芸好きの私は、工房の様子を見ているだけでワクワクしました。翻訳は孤独な作業が中心ですが、人と何かを作ることのすばらしさを教えてくれる一本でもあります。」(杉本ありさん)

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