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多言語翻訳ルートマップ! ~JVTAから飛び立ったマルチリンガルたち~ 〈イタリア語の映像翻訳〉

多言語翻訳ルートマップ! ~JVTAから飛び立ったマルチリンガルたち~ 〈イタリア語の映像翻訳〉
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コロナ禍となっておよそ1年。不自由な日常が続く中でも、言葉と文化の壁を行き来して働くJVTA修了生がいます。英語のみならず、さまざまな言語で未来を拓く映像翻訳者のこれまでとこれからをご紹介! 気になるキャリアへの直行便、離陸します!
 

* * *
 

Flight004:「仕事の幅を広げるための、翻訳力を磨く」
映像翻訳者・杉本ありさん(伊/英/日)
 

「Rosso(ロッソ)」「Oggi(オッジ)」「ALBA(アルバ)」「ティラミス」――ファッションブランドから雑誌、時計、そしてスイーツまで。実は、日本人はあらゆるところでイタリア語と触れている。
 

豊かな食材に支えられた食文化やモノ作りへのこだわりなど、日本人はさまざまな側面でイタリアに共感し、魅せられてきた。「好き」を出発点に学び続け、仕事の幅を広げ続けてきた翻訳者・杉本ありさんもそのひとり。「大学の恩師がイタリア語の翻訳者だったこともあり、この国のことをいろいろと教わっていたんです。その後、美術書を専門とする出版社に就職。ルネサンス美術に魅せられながら働きました」。
 

仕事をしながら語学学習を続けた杉本さんは、やがて拠点をイタリアに移した。「語学学校に通いながら、ライターやコーディネーターの仕事をしたり、日本の商社のミラノ支社でアテンド通訳をしたりしていました」。その頃の経験を経て、帰国後は翻訳の仕事も増えていったという。「テレビ番組でタレントがイタリアを訪れることも多く、番組に使う取材テープを訳す“素材翻訳”の仕事を多く手掛けました。サッカーなどのスポーツ関連の翻訳もたくさん手掛けました。想像以上にニーズがあったのを覚えています」。次第に、杉本さんの目標は翻訳者として次のステップに向かう。
 

“職業訓練校”で知った
出版翻訳と映像翻訳の違い

「イタリア語の翻訳の仕事は、エンタメやアート、スポーツの領域で活躍できるものの、実務翻訳はほとんどないと思います。児童書の翻訳などをすでに手掛けていましたが、翻訳者として仕事の幅を広げたいと思い、映像翻訳者の道を模索しました」。日本映像翻訳アカデミー(JVTA)のオープンスクールに参加したのはそんな時期だった。「私がJVTAを選んだのは、学校代表の新楽さんが『日本映像翻訳アカデミーは“職業訓練校”です』と言っているのに惹かれたからです。イタリア語と違って、英語にはあまり自信がなかったけれど、仕事につなげたくて英日映像翻訳科で学び始めました」。
 

学校では映像翻訳の手法やルールを理解し、ジャンルを問わず対応できる翻訳力を身につける。それは、出版翻訳の世界とは大きく違ったという。「文芸書を翻訳する際は、日本語にすると細やかなニュアンスが抜け落ちてしまうことも。読者に、ネイティブが読んだ時と同じ気持ちになってもらうためには、文化的背景を書き足すことが時には必要です。字幕の場合は、よりシンプルに、効果的に伝える力が求められます。例えば、すでに映像に映っている要素はあえて言葉にしません」。翻訳力を高めていく中で、印象的だった出来事があったとか。「ある授業で、自分が好きな映画をクラスメートに紹介する課題があって。その時は『ニュー・シネマ・パラダイス』を紹介したのですが、卒業後、ご縁があってテレビ放映版の同作品の字幕翻訳を手掛けることができたんです。仕事をしながら学校に通うのは大変でしたが、努力して良かったなと思います」。
 

字幕の仕事に携わり、フランス映画やインド映画の仕事も回ってくるようになったとか。「もちろん英語スクリプトからの翻訳でしたが、どう考えても原語より英語スクリプトのほうが短いことが多々あります。イタリアの作品に、イタリア語スクリプトと英語スクリプトがついてくることもありますが、なぜこの英語に? と思うことも少なくありません。かつては重訳が一般的だったと聞きますが、他言語の翻訳者も多くいますので、オリジナル原語からの翻訳が当たり前になることを願っています」。
 

これからも、言葉を学び続けていく
「コロナ禍になって、以前のように国内外の行き来は減りました。翻訳は元々孤独な仕事ですが、人と会うことが減り、ますます孤独を感じる日々です。そんな中でも、少しでも楽しめることがあればいいなと思い、今度はスペイン語を学ぼうかと考えています。日本人の友人がスペイン語をやっていたり、スペインに住んでいるイタリア人の友人がいたり――ずっと興味があったのです。イタリア語とスペイン語って、とてもよく似ているんですよ。世界の変化を感じながら、自分を磨くことを楽しみ、これからも新しい仕事に取り組んでいけたら嬉しいですね」。
 

【知っておこう!】
「イタリア語の翻訳を手掛けていくなら、聖書の知識は必須です。イタリアの数々の作品の根底には、キリスト教の精神があると思います。また、アレッサンドロ・マンゾーニの長編小説『いいなづけ』も読んでおくといいでしょう。同作はイタリアでは誰もが読んだことあるような、国民的文学。さまざまな作品に影響を与えています」(杉本さん)
 

〈杉本ありさんプロフィール〉
大学卒業後、出版社勤務を経てイタリアへ留学。訳書に『りっぱな兵士になりたかった男の話』(講談社)、『ローラとわたし』(徳間書店)、『コミック密売人』(岩波書店)、『飛ぶための百歩』(岩崎書店)など。字幕作品に『3大テノール 夢のコンサート』『きっと大丈夫』『こどもたち』『ラベック姉妹』『ピノッキオ』など。
 

<多言語翻訳ルートマップ!>
Flight001:「日・中・英、どの言語の翻訳も“作品解釈力”がキーワード」
映像翻訳者・幡野 珮蘭さん(中/英/日)インタビュー
Flight002:「スペイン語プラス英日翻訳で、より高く飛べる」
映像翻訳者・杉田 洋子さん(西/英/日)インタビュー
Flight003:「日本語表現力とロジカルリーディング力で、描いた夢に近づく」
映像翻訳者・Y.Hさん(露/韓/英/日)インタビュー
 

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