2021年3月17日、JVTAのSTAY HOME応援企画「吉本興業×ニッポン放送の映像コンテンツ＆イベントプロデューサーが語る　私たち、こんな翻訳・通訳の人材を求めています！」が開催されました。ニッポン放送のエンターテインメント開発局副部長・後藤隆志さんと、吉本興業のコンテンツ事業本部映像事業センター所属・YDクリエイションプロデューサーの村本陽介さんが登壇し、150名の参加者が現場で求められるプロ人材の実像に耳を傾けました。
 

司会・進行の浅川奈美講師が、まずは「プロデューサー」という仕事の実際を伺います。お二人は「何に携わるか、何のジャンルに取り組むかで役割はだいぶ変わる」としたうえで、“予算”と“スタッフ”を調整する、地道な仕事だと口をそろえます。映像コンテンツのプロデューサーである村本さんは自身が携わったドラマ『火花』(原作：又吉直樹)にまつわるエピソードや、海外の動画配信事業者が製作する映像作品の作り方について解説しました。一方、後藤さんが主に手掛けるのは映画や演劇・音楽コンサートなど、多くのお客を迎えるエンターテインメント興行。プロデューサーは数字（収益）と向き合う仕事であり、予期せぬ壁にぶつかっても「逃げない、白旗を上げない」ことが仕事だと語りました。
 

エンタメの最前線が求める“言葉のプロ”
海外とのやり取りや打ちあわせも多いお二人。意外にも、ネイティブレベルの英語を操っているわけではないとか。
「簡単なメールのやりとりはやりますが、大きな会議などでは社内外の通訳スタッフの力を借りています」（村本さん）
「交渉相手がどういう意図を込めて、その言葉を使っているのか？　そこを汲み取るために通訳の方のスキルは必須です」（後藤さん）
そんな二人が求めるプロとは、“同じ目的意識を持って、仕事に取り組んでくれる人材”。
「エンターテインメント業界に関しては、そこが“マスト”だと言い切れます。そのプレゼンや交渉におけるゴールを共に目指して、阿吽（あうん）の呼吸で動いてくれるパートナーです」。（後藤さん）
「限られた時間の中で、我々の思いを伝えた上で相手の同意や了承を得る。それさえ達成してくれれば、プレゼンの内容をその人なりにアレンジしてもらっても構わないんです」。（村本さん）
――しかしながら、そんな人材は稀有だとも。最前線の現場が渇望するプロが明らかになったところで、次のテーマに移ります。
 

どうなる？　エンターテインメントの未来
コロナ禍の今となり、エンターテインメントの世界も大きな影響を受けています。村本さんも後藤さんも「必死になって仕事をしている」現状を語ります。オンライン対応を一斉に始めたことで売り上げの大幅な減少を防ぐことができたものの、オンラインでできることの限界も感じているそうです。また、インターネットを使いこなせない人が娯楽から離れてしまう、そんな危惧もあると言います。「崖っぷちで、厳しい状況は続く。その中で生き残るためには、何か“武器”を持っていないと難しいのではないでしょうか（村本さん）」。
 

最後はQ＆A。「芸人のYouTube進出、どんな影響が出ている？」「音声SNS『Clubhouse』はラジオのライバルになると思う？」など、“これから”を考えさせられる質問が飛び交い、セッションは終幕となりました。“白旗を上げない”ことが大切なプロデューサーの仕事。そこに寄り添う言葉のプロにも、どんな時代でも学び続ける粘り強さが必要なのかもしれません。
 

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