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第20回難民映画祭が11月6日に開幕 青いバラにこめた思いを字幕で伝える

第20回難民映画祭が11月6日に開幕 青いバラにこめた思いを字幕で伝える

第20回難民映画祭が11月6日(木)に開幕する。

この映画祭は、日本初の難民に焦点をあてた映画祭として2006年にスタートし、今年で20回目を迎える。これまで、270作品が上映され、10万人以上が参加した。JVTAは第3回(2008年)からプロボノ(職業の専門性に基づく知識や経験などを生かして行う無償の社会貢献活動)で字幕制作に協力し、映像翻訳者ならではの支援のカタチを続けてきた。今年も9作品のうち、7作品の字幕翻訳に携わっている。また、JVTAの広報スタッフと受講生・修了生7名が同映画祭の広報サポーターとして活動中だ。

◆映画祭予告編

現在、紛争や迫害により故郷を追われた人は1億2320万人(2024 年末時点)。これは世界人口の67人に1人という数字だ。シリア危機があった2011年の4000万人と比べ、約3倍に増加しており、避難生活は平均して17年にも及ぶという。

今年のポスターにデザインされている青いバラの花言葉は「奇跡」「夢が叶う」。20年にわたって映画祭を支えてきた人たちへの感謝と亡くなった人への哀悼の意がこめられている。

難民映画祭では毎年、困難な状況に置かれた人々、一人ひとりの背景や物語を捉えた作品を集めて上映してきた。難民映画祭担当の山崎玲子さん(国連UNHCR協会・渉外担当シニアオフィサー)は、毎年約100本の作品を観てリストアップし、映画祭の趣旨や作品の舞台となっている地域、作品のテーマなどを考慮しながら上映作品を選出するという。

難民映画祭担当の山崎玲子さん(国連UNHCR協会・渉外担当シニアオフィサー)

上映される作品は毎年、海外で制作されたものが多くを占めています。そのため、日本語字幕が、制作側の想いを鑑賞者に伝えるとても大切な手段となっています。毎年、JVTAの修了生の皆さんには、字幕制作開始前に開催されるキックオフミーティングで私共の想いも直接共有しています。映画製作者、映像翻訳者、映画祭の主催者が大きなチームとなって日本の鑑賞者に想いを届けようと取り組んでいるのだと感じ、このプロジェクトならではの熱意や気迫などを毎年ひしと感じています。これだけ多くの方が、膨大なエネルギーと時間を費やして協力してくださっていることが、私共も活動を続けていく、いつも大きな原動力になっています。
難民映画祭は、最後には「希望」を感じてもらえるイベントでありたいと思っています。絶望したくなる状況に追い込まれても、人間には、未来を変えていく力がきっとあるはず。見てくださった人に、そんなメッセージを感じていただきたいと思っています。
いま振り返ってみると、難民映画祭が始まった当初は、こんなにも長く続くことになるとは思ってもみませんでした。20周年 - それは「節目」で あると同時に、「続いてしまった現実」を映す鏡でもあるのだなと感じています。紛争や迫害で故郷を追われた人の数は戦後最多となっているという現実を前に、難民映画祭が、一人ひとりにとって、「世界を想う。平和を問う。」機会となることを心から願っています。(山崎玲子さん)

今年は6月にJVTAの翻訳チームのキックオフミーティングが行われ、37名の修了生がチームを組んで6作品(1作品は予告編のみ)の字幕制作を開始した。また、JVTAの指導のもとで、青山学院大学と明星大学の学生たちもそれぞれ1作品ずつ字幕制作を行った。

難民映画祭の上映作品の舞台はさまざまな国や地域であり、オリジナル言語もさまざまだ。今年の上映作品は、スーダン、ウクライナ、シリア、ケニア、アフガニスタン、ヨーロッパなどが背景となっている。こうした多言語の作品にも基本、英語字幕があり、翻訳者はそれをもとに日本語字幕を制作する。ドキュメンタリーが多いのも特徴で、まずその作品の舞台となる国の背景のリサーチを行い、事実関係を把握することから作業が始まる。1つの作品を複数の翻訳者がチームを組んで担当し、各自で翻訳。その後それぞれが作成した字幕を照らし合わせてさらに話し合いを重ね、用語や口調や全体の流れを統一しながら1つの字幕に整えていく。映画に映し出された一人ひとりの物語を伝えるために翻訳者は言葉を選び、真摯に字幕づくりに取り組んできた。映画鑑賞の際はぜひ、そんな字幕にも注目してほしい。

◆今年、JVTAが字幕制作に携わった作品
『見えない空の下で』
『アナザー・プレイス』
『バーバリアン狂騒曲』
『ラジオ・ダダーブ』
『あの海を越えて』

カブール・ビューティー(予告編のみ)
『ハルツーム』(青山学院大学の学生の指導)
『希望と不安のはざまで』(明星大学の学生の指導)

第20回難民映画祭2025
2025年11月6日(木)~ 12月7日(日)

【オンライン開催】
2025年1月6日(木)~12月7日(日)

【劇場開催】
2025年11.月6日 (木) TOHOシネマズ 六本木ヒルズ(東京)   【上映作品】『ハルツーム』
2025年11月13日(木) TOHOシネマズ なんば(大阪) 【上映作品】『ハルツーム』
2025年12.月2 日(火) イタリア文化会館(東京) 【上映作品】『あの海を越えて』
2025年12月 3日 (水) イタリア文化会館(東京) 【上映作品】『ぼくの名前はラワン』

公式サイト:https://www.japanforunhcr.org/how-to-help/rff
※オンライン鑑賞、劇場鑑賞ともに、(A)寄付つき鑑賞、または、(B)無料鑑賞、から選択してお申込みください。

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◆国連UNHCR協会の公式サイトでJVTAの字幕支援の紹介記事が掲載
◆JVTAの修了生7名も参加する難民映画祭広報サポーターのnoteはこちら


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