ニーズの高まりを実感するゲームの分野を学ぶ

コマ単位受講制度 体験談 鈴木綾さん
日英映像翻訳 総合コース「ゲーム翻訳」
日本のコンテンツが海外で人気を集めるなか、日英映像翻訳者のニーズが高まっている。
映画やドラマはもちろん、世界で人気を集めるアニメやマンガなどそのジャンルは幅が広い。中でも昨今増えているのがゲームの翻訳だ。1996年にスタートし、今年で35回目を迎える東京ゲームショウは、毎年多くの人の人が訪れる人気イベントとなっている。そこでJVTAでは2024年10月期より日英映像翻訳科の総合コースに「ゲーム翻訳」の授業を新設した。
JVTAは、こうした最新の授業を過去の修了生も受けられる機会を作りたいと2024年秋から「コマ単位受講制度」を開始。過去の受講時にはなかった授業やプロになった今だからこそ復習したい授業を単発で受けられる制度を導入した。
鈴木綾さんは、日英映像翻訳の実践コースを2024年9月に修了し、2025年に日英映像翻訳者としてデビュー。現在は、映画やドラマ、講演会やオンデマンドの授業、映画のコメンタリーなど、様々なジャンルを手がけている。今回、コマ単位受講制度を利用し、受講生時代にはなかった「ゲーム翻訳」を受講した。
◆ゲーム翻訳のニーズ増加を日々実感
一般に公開されている映像翻訳者の募集情報をリサーチしていると、ゲーム翻訳が必ずあがってくるので、とにかく今ニーズが増えていると感じていました。そんな時、JVTAのメルマガでコマ単位受講制度を知り、仕事の幅を広げていくために受けてみようと思いました。」(鈴木綾さん)
実は、鈴木さん自身はほとんどゲームをすることはないという。現在は友人宅でたまにやるくらいでゲーム機も持っていない。子どもの時は好きだったものの、社会人になってからは多忙でなかなかやる時間もないうえに、やりはじめたら性格的にハマってしまうとわかっていたので敢えて避けてきたと話す。
◆ゲーム翻訳は操作のマニュアル作りでもある
「実践コースを修了以来、久しぶりの授業で緊張しましたが、ゲーム翻訳の知識が全くなかったのでとても興味深い内容でした。作品の世界観を伝えるなどドラマや映画の映像翻訳と似ている部分もあるのですが、ゲームの場合はそれに加えてシステム関係の翻訳もあります。例えばコントローラーの使い方や設定画面の解説など、ゲームを操作するためのマニュアル的な要素も含まれるので、一つの作品の中でもより多くの知識が必要になってくると感じました。」(鈴木綾さん)
◆指導するのは第一線で活躍するデビン・ニール講師
JVTAの授業は自らもプロの映像翻訳者として活躍する講師が指導するのが特徴だ。ゲーム翻訳の授業を担当するのは、ゲームおよびアニメ翻訳を専門とする日英翻訳者であるデビン・ニール講師。これまでに『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』、『ポッ拳』などのゲームや、『未来少年コナン』、『ツルネ ―風舞高校弓道部―』、『宝石の国』などのアニメ翻訳を手掛けている。
「ニール先生曰く、『ゲーム翻訳は映像翻訳よりも意訳が好まれることが多い』とのこと。アイテムや技の名前を考えるのは楽しいですし、より想像力も必要になってくるのかな?と思いました。想像力(妄想力)だけは自信があるので、いつかチャレンジしてみたいと思います。作品の規模にもよりますが、仕上げるのに何ヶ月もかかる場合もあるようなので、作品に対する思い入れがより強くなっていきそうだなと感じました。」(鈴木綾さん)
◆一筋縄ではいかない作業の難しさを知る
ゲームの翻訳の場合、操作によってさまざまな画面や表示にリンクするため、プラットフォームやテキストを表示させる場所によって枠の大きさが異なる。そのため、どの位置にどのように文字が入るのかを常に考えて翻訳することが求められる。これもいわゆる映画やドラマの字幕とは違うポイントだ。
「ゲームの制作段階から翻訳することも多いため、SST(字幕制作ソフト)で作業する時のように実際に映像で仕上がりを確認しながら進めることができない場合が多いのは驚きでした。ニール先生の授業はわかりやすく非常に勉強になりました!」(鈴木綾さん)
◆注目は日々進化するAI翻訳
最近は大好きなバラエティ、映画、ドラマなどのエンタメ系の作品を手がけることが多いという鈴木さん。先日は、映像クリエイターの登竜門として知られる「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」で上映された全編関西弁の映画『お笑えない芸人』(西田祐香監督)で英語字幕を手がけ、同作が「スペシャル・メンション」を受賞するなど確実にキャリアを重ねている。関西在住の鈴木さんにとって「お笑い」または「バラエティ」は元々好きなジャンルでとにかく楽しいという。
「今後またコマ単位受講制度を利用するとしたら、『AI翻訳』ですね。受講中はなるべく『AIに頼らない翻訳』を心がけていたのですが、ここ一年だけでも驚くほどの進化を遂げているのを感じています。自分の翻訳の効率、質を上げるために利用できるツールが他にあるのなら再度学んでおきたいと思っています。1年後、2年後は授業の内容もさらに進化していくのではないでしょうか。」(鈴木綾さん)
「ゲーム翻訳」の授業は、鈴木さんのように個人的にはゲームにあまり馴染みがない人にも分かりやすい内容となっている。すでに日英の翻訳者として活躍する中で、さらにキャリアの幅を広げたいと考えている人にもおすすめだ。日英映像翻訳のコースには、字幕や吹き替えの概論以外にもマンガや映画祭カタログ、ストーリー概論、YouTube動画、企業VPなどさまざまなジャンルの実践的な授業を行っている。ぜひコマ単位受講制度を利用して活躍の場を広げてほしい。

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