~ヒット映画・ドラマから考える~ コメディの翻訳はやっぱり難しい⁉ PART2

コメディ作品の翻訳の難しさやヒントを人気作品のセリフから考えてみようというこの企画。今週は『フレンズ』からもう1シーンをご紹介します。いかにもアメリカの作品らしいセリフです!
フレンズ(シーズン6 「空想世界でつかまえて PART2」)
ジョーイの部屋に遊びにきたレイチェルが、部屋にあった陶器の犬の置物に目を留める。
Rachel: Ohh, I mean it’s just so realistic!
Joey: I know. Yeah, his name is Pat.
Rachel: Pat the dog. Oh! Oh! I get it!!
レイチェル:この犬 リアルね
ジョーイ:だろ? 名前はパットだ
レイチェル:“犬をなでろ”(ルビでパット・ザ・ドッグ)
レイチェル:ウケたわ
原文のオチは「犬のパットね」というセリフとpat(なでる)が掛かっていること。日本の視聴者にはpatの意味を解説しないとそれが分からないので、上のような字幕になっています。先週の例題もそうですが、これも翻訳者泣かせのセリフ。皆さんが担当翻訳者ならどうしますか?
【翻訳のポイント】
コメディの場合、セリフが二重の意味になっていることがパッとわかるからこそ笑えるわけです。もちろん、この「パッと」が大変なのですが、このセリフならば少なくともpatに「なでる」と意味があることを視聴者に瞬間的に分かってほしいところです。そう考えると、見本訳の「なでろ」にだけ「pat」と英語でルビをつけてもいいかもしれません。「視聴者・観客にできるだけ短い時間でセリフを理解してもらうための字幕」。それを心がけるのもコメディの翻訳には大事なことの一つです。
こうしたコメディを翻訳する場合に大きなヒントになる課外講座が12/7(水)に開催されます。映画コメンテーターであり、現在はアメリカでスタンダップコメディアンとしても活躍するこはたあつこさんの講座です。この解説のように、コメディを日本語訳から考えると、「煮詰まってしまう」ことが多いですが、こはたさんの講座では、コメディの訳を原文から考えてみます。つまり、このセリフは「アメリカ人にとってなにがおかしいのか?」という点にフィーチャーして、訳のヒントを探そうという試みです。もちろん、映画コメンテーターとしてのこはたさんおすすめのコメディ映画の紹介といったコーナーもあります。ぜひ、興味のある方はお申し込みください。
※この講座の参加受付は終了しました。
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