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映像翻訳を通して、アーティストの心に触れる 映像翻訳者・小池綾さん

映像翻訳を通して、アーティストの心に触れる 映像翻訳者・小池綾さん
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洋楽――特にロックにまつわる仕事で、多くの翻訳エージェントやクライアントが信頼を寄せる映像翻訳者・小池綾さん。映像翻訳という仕事を見つけたことは「“ずっと探していたパズルのピース”を見つけたみたい」と語ります。映像翻訳を起点に自分の道を進む、彼女のキャリアを覗いてみましょう。
 

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英語を使って、大好きな洋楽ロックに携わるまで
洋楽ロックバンドのインタビュー映像や、ドキュメンタリーが私の得意分野の一つです。好きなジャンルはオルタナティブ・ロック。特にシンプルプランというバンドが好きで、私自身がインタビュアーとして彼らの話を聞く機会もいただきました。翻訳のための“調べもの”は至福の時ですね。
 

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映像翻訳という仕事を知ってからJVTAで学び始めるまでは、とても早かったと思います。「英語を使った仕事をしてみたいな」という思いがずっとあったものの、「じゃあ、英語を使うって具体的にどんな仕事があるんだろう――」と模索していた時期があって。英語が使えて、しかも大好きな音楽や海外ドラマにも携わることができる映像翻訳者を目指して勉強を始めたらすごく楽しかったです。「できるかな?」という不安よりも、楽しいから突き進んでいった感じです。気づいたら今に至っています(笑)。
 

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仕事を通してアーティストの心に触れる
好きなアーティストに関する仕事の発注をいただくと、かなりテンションが上がります。インタビュー映像の字幕翻訳の場合、アーティストも考えながら喋って、本音が出てくるんです。その人が手がけた作品の裏側――制作の裏事情だとか、どういう風に作ったとか、そういう質問への受け答えを訳すので、おのずと深いところまで知ることができます。
 

訳を作るにあたっては「裏取り」(=情報の正しさを確認する作業)をしないといけません。いろいろと動画や文章を調べていくうちに、「ああ、こういう人なんだ」と新たな一面を見つけることも。自分のデスクで仕事をしているのですが、自分の家にいながら、アーティストへの親近感がどんどん湧いてきます。
 

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でも、大好きな洋画ロックや人に携わっているからこそ、つらくなったこともあるんです。私、リンキン・パークというバンドが大好きで、彼らのインタビュー映像の字幕翻訳を受注したことがあるんです。仕事を通じて彼らをもっと知ることできました。リンキン・パークのライブにも行く予定だったんですけど、ボーカルのチェスターが自ら命を絶ってしまい(※)――。直接会ってもいないのですが、翻訳する映像素材のインタビューで生の声を聴いて、日本語に翻訳し、彼の人間性に触れていたからこそ、衝撃的でショックでした。それまで翻訳していた中で、そういうことがあったのは初めて。本人の想いに寄り添って翻訳するという意味では、彼を近くに感じていました。本人の言葉を、日本語で、日本のファンに伝えるお手伝いができたと思っていたので。だから、今でも楽曲は胸が詰まるので、あまり聴けないんです。
 

※2017年7月20日、ロサンゼルスの自宅で死亡しているのが発見された。
BuzzFeed News「リンキン・パークのボーカル、ベニントンさん死去 自殺か」
https://www.buzzfeed.com/jp/bfjapannews/chester-bennington
 

これからも、映像翻訳と生きていく
気が滅入った時は、海外ドラマを見ます。私はスクリプト(台本)がなくてもセリフを聞き起こすことができるのですが、それは英語を集中的に学んだというよりは、学生の頃に呼吸するようにドラマを観ていた影響が大きいです。海外ドラマを楽しむことは今でも私の“呼吸”。翻訳をしていて煮詰まった時も息抜きにちょうどいいんですね。職業柄、「この字幕は何だ!?」と気になって止めてしまうことはありますが(笑)。それと、音楽フェスも大好きです。今年のサマーソニックも参戦してきましたよ。
 

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映像翻訳は私の天職だと思っています。字幕は文字数制限があって、シーン1秒に対して4文字程度です。その中にぴったりはまる言葉を探すって、私はパズルみたいだな、と思っています。英語を使って仕事をしたかった私の中では、この仕事を見つけたこと自体が「探していたパズルのピースを見つけた」みたいな感じ。
 

ぴったり、はまっている感じです。
 

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