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[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

今週の1本 『君の名前で僕を呼んで』

今週の1本 『君の名前で僕を呼んで』
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8月のテーマ:太陽

 日本で今年4月に公開された映画、『君の名前で僕を呼んで』は、もうご覧になりましたか? アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、脚色賞、歌曲賞の4部門でノミネートされ、脚色賞を受賞。批評家などからの評価も高い話題作です。日本公開版の吹き替え翻訳を、JVTA修了生の瀬尾友子さんが手がけました。

 
時は1983年、太陽がまぶしい北イタリアの避暑地で、両親と夏を過ごす17歳のエリオ(ティモシー・シャラメ)の初恋の物語です。エリオの父親(マイケル・スタールバーグ)は大学教授で、家族の公用語は、英語、イタリア語、フランス語。エリオは、読書をしたり、クラッシック音楽の編曲をしたりする、とてもインテリジェントな高校生。そこにエリオの父親の夏の間の助手として、アメリカから24歳の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)が訪れ、家族と一緒に暮らすうちに、エリオは激しい恋に落ちていきます。

 
原作は、2007年に出版されたアンドレ・アシマンの同名の小説で、当時、とても話題になりました。小説は、エリオの視点(一人称)で書かれており、エリオの戸惑いや心の揺れ、初恋の喜びや痛み、オブセッションが、細部まで描かれています。映画化の話が出たときに、これをどうやって映像にするのだろう、ナレーションを使うのかな、と思っていましたが、なんと、ナレーションはなく、すべてカメラと演技でエリオの心情を描いていました。この脚色を手がけたのは、『日の名残り』などで何度もオスカー候補になった監督、ジェームズ・アイヴォリーで、本作でアカデミー賞脚色賞を受賞しています。

 
うつくしい映像や、主演のティモシー・シャラメとアーミー・ハマーをはじめ、二人を取り巻く俳優陣たちの演技がすばらしく、感動的な作品です。ちょうどルカ・グァダニーノ監督やキャストが映画賞に向けてプロモーションをしている時に、上映イベントで彼らに会い、直接話を聞くことができました。

 
※記事のトップの写真
主演のティモシー・シャラメとアーミー・ハマーから映画のポスターにサインをもらいました。

 
撮影は、北イタリアのクレマという街(このエリアに監督の自宅がある)とその周辺エリアで行われました。監督によると、撮影で使用したのは1カメラ、1レンズ、35ミリフィルムで、製作費は低予算の350万ドル、撮影は5週間で、大半は時系列で撮影したとのこと。ロングショット&ロングテイクが多く、特にエリオの告白シーンは、エリオの感情や二人の距離感などが出ています。

 
原作には、ラブシーンも細かく描かれており、ジェームズ・アイヴォリーはこうしたシーンをかなりストレートに脚本に書いていたようですが、グァダニーノ監督が表現のしかたを変更したそうです。主演俳優二人の出演契約内容に全裸は出さないという項目があったのは事実ですが、監督は、契約内容によって表現が制限されたということではなく、この作品では細かく見せる必要性が感じられなかったので変更したと話していました。

 
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※Q&Aセッションでのルカ・グァダニーノ監督

 
実際に会ったティモシーは、本当にエリオのようで、私が彼に、演技がすばらしかったと伝えると、恥ずかしそうに微笑みながら、「ありがとう!とてもうれしいです」と答えてくれました。最後のシーンでは、フォーク・ロックのシンガー・ソングライター、スフィアン・スティーヴンスがこの作品のために書き下ろした曲の一つ、『ヴィジョンズ・オブ・ギデオン』が流れますが、ティモシーは、このシーンの撮影時に、実際に耳に小さなイヤフォンを入れてこの曲を聴いていたそうです。

 
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※ Q&Aセッションでのティモシー・シャラメ

 
エリオの父親役のマイケル・スタールバーグは、昨年大活躍で、『シェイプ・オブ・ウォーター』でも重要な役を演じていましたね。『君の名前で僕を呼んで』の最後のほうで、エリオに対して言う言葉は、とても感動的です。

 
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※Q&Aセッションでのマイケル・スタールバーグ

 
アーミーもとても優しく、以前会った時にも、ロサンゼルス校留学生と一緒に写真を撮ってくれました。彼は、実生活では、大富豪のハマー家の御曹司です。ロサンゼルスにあるハマー美術館や、ロサンゼルス・カウンティ美物館のハマー・ビルディングでは、ハマー家の美術コレクションが展示されています。アーミーのことは、『ソーシャル・ネットワーク』の頃から好きで、私がアーロン・ソーキンとジェシー・アイゼンバーグからサインをもらった『ソーシャル・ネットワーク』の脚本を見せると、アーミーは「脚本を持ってるの?これはすごいな」と言って、サインをしてくれた後に、「やっぱり、もう1回サインするよ」と言って、彼が演じた双子のウィンクルボス兄弟の分のサインをくれました(超レア!)。彼の奥様でテレビ・パーソナリティーのエリザベス・チェンバースには、彼女のインスタがまだフォロワーも少なく、一般には非公開のプライベートの頃からフォローさせてもらっていました。

 
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※アーミー・ハマーとロサンゼルス校留学生(当時)の落合菜々さん

 
そんなお気に入りのアーミーが、小説『君の名前で僕を呼んで』を朗読・録音したオーディオブックが今、出ています。これは「Unabridged(完全)版」ですので、オーディオブックを再生しながら本をスクリプト代わりにして読むと、英語の勉強にもなります。(なお、一般的に、著名人が朗読をしたオーディオブックは、「Abridged (省略)版」であることが多いので、本を一緒に読んで英語の勉強をしたい場合には、購入の際にご注意ください。)この原作には、びっくりするようなシーンもいくつかありますが、詩的に描かれています。

 
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※Q&Aセッションでのアーミー・ハマー

 
よく聞かれる質問の中から、ネタバレにならないものについてお答えします。

 
* 小説・映画のタイトル、Call Me by Your Nameの意味は何か?
作家のアンドレ・アシマンの説明をご紹介します。

 
“They call each other by each other’s names, by their own names. It’s a form of intimacy. The ultimate form of intimacy between two human beings. You are me and I am you and I’ll give you my name and I’ll take your name and we won’t be severed ever for life.”

 
アンドレは、本作品のプロデューサーのピーター・スピアーズと共に、エリオ宅でのディナーに訪れるゲイのカップル役でカメオ出演しています。ライトブルーのスーツを着ているのがアンドレで、パステルピンクのスーツを着ている背の高い男性がピーターです。

 
映画は原作と異なる点がたくさんありますが、アンドレは、この映画を高く評価しています。主演の二人の俳優についても、完成した映画を観たら、自分が小説を書いていた時にイメージしていたエリオとオリヴァーがどんな容姿だったかを思い出せなくなったほど、ティモシーやアーミーがすばらしかったと述べています。

 
* エリオとオリヴァーの関係や年齢差は合法か?
この映画・原作の舞台になっているイタリアやヨーロッパの多くの国々では、合法。インターポールやEU当局のウェブサイトによると、イタリアは14歳以上ならOKですが、当事者のうち、成人しているほうの人物が、未成年者である相手に権力を行使できる立場(たとえば教師など)にある場合だと、最低年齢は16歳。アメリカの場合は州により異なりますが、カリフォルニア州では、最低年齢が18歳のため、たとえ合意の上であっても違法。

 
* 映画のクレジットに、ビル・パクストンへの献辞があるが、どういう関係なのか?
本作プロデューサーのピーター・スピアーズの夫、ブライアン・スワォードストロムはタレント・エージェントで、2017年2月に亡くなったビル・パクストンを初期の頃から担当し、親友でもあったそうです。ブライアンが、グァダニーノ監督作品に出演したティルダ・スウィントンや本作主演のティモシーのエージェントでもあることで、監督とビルが知り合い、友人となったとのこと。ピーターは、ビルとブライアンが2016年にカンヌ国際映画祭に行く途中で、クレマの撮影現場に寄った時にみんなで撮った写真を添えて追悼ツイートをしていました。

 
* この映画の続編は作る予定か?
グァダニーノ監督は、スケジュール的にも内容的にも、すぐに撮影はできないが、続編を製作する意思があることを教えてくれました。楽しみですね! 

 
映画、本、オーディオブックともに、どれもいいので、ぜひお楽しみください!

 
※吹き替え翻訳を手がけたJVTA修了生 瀬尾友子さんのコメントはこちら
http://www.jvta.net/tyo/cmbyn-movie/

 
『君の名前で僕を呼んで 』(原題: CALL ME BY YOUR NAME)
アメリカ公開年: 2017年
監督:ルカ・グァダニーノ
製作:ピーター・スピアーズ、ルカ・グァダニーノ、ジェームズ・アイヴォリーほか
原作:アンドレ・アシマン
脚色:ジェームズ・アイヴォリー
出演: ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール、エステール・ガレル
主題歌: 『ミステリー・オブ・ラブ』、『ヴィジョンズ・オブ・ギデオン』、スフィアン・スティーヴンス作詞・作曲・演奏

 

Written by 黒澤桂子

 

〔JVTA発] 今週の1本☆ 8月のテーマ:太陽
当校のスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。

 
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