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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第34回 “You Me Her”

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ  第34回 “You Me Her”
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今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

“Viewer Discretion Advised!”
これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
Written by Shuichiro Dobashi 

第34回“You Me Her”
“Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社にその道の才人たちが集結し、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。
 

“Throupling”を描く、スーパーセクシー・ロマンティック・コメディ!
あなたが恋に落ちた相手が一人の男性(または女性)ではなく、『ひと組のカップル』だったら…。

 
“You Me Her”は、倦怠期の中年夫婦と若いエスコート(コールガールの今風な表現)の三角関係ならぬ「三人関係」(“throupling” ※)を描く、斬新で刺激的なスーパーセクシー・ロマンティック・コメディだ!

 
※“throupling”:3人が相互に愛し合っている状態を表す造語。2人だと“coupling”で3人だと“throupling”、三人関係にある3人が“throuple”。

 

「三人関係」の行く末は?
舞台はオレゴン州ポートランドの郊外。冒頭、ジャック(グレッグ・ポーラー)とエマ(レイチェル・ブランチャード)はセックスカウンセリングを受けている。
ジャックは高校の副校長で、エマは建築家というエリート夫婦、2人は愛し合っているし、子供も欲しい。でも、お互い仕事に疲れて、セックスする気になれない。結婚生活は行き詰まっていた。

 
ある日、ジャックは能天気な兄のアドバイスを実践して、インターネットで自営のエスコートを呼び出す。安ホテルに現れた若い女性(プリシラ・ファイア)はあまりにも魅力的で、ジャックは一目惚れしてしまう。だがエマを裏切ることができず、セックスの代わりに会話で我慢する。2人はすぐに意気投合した。
彼女の本名はイジー。心理学を専攻する地元の大学院生で、アパート代を稼ぐためにエスコートをやっているのだった。

 
ジャックはイジーとの一件をすべてエマに告白する。翌日、今度はエマがイジーを呼び出す。夫が惚れたエスコートに興味を持ったのだ。その結果、なんとエマもイジーの魅力に参ってしまう。エマは過去にレズビアンの経験があることをジャックに打ち明ける。
この日から、ジャックとエマの性生活は劇的に改善される!

さらに驚いたことに、イジーもジャックとエマが忘れられず、2人に激しく魅かれていた。3人は、お互いに恋に落ちてしまったのだ。

 
ついに3人は同居し始める。浮気でも不倫でもない、「三人関係」が始まった!

 

コメディ3種ミックスの相乗効果!
刺激的な新生活を楽しむ3人。だが、やがてお互いの嫉妬・疑惑・怒り・戸惑い・不安が複雑に入り組んだ感情に圧倒される。この空前絶後の状況は、「はたから見るととても可笑しいが本人たちは大まじめ」という“sitcom”らしい笑いを引き出す。セックスジョーク(ダーティジョークではない)がスパイスとして効いていて、面白さは増幅される。

 
セックスシーンは刺激的だが過激ではなく、そのサジ加減がちょうどいい。アメリカの民放でも放送できるレベルだろう。ストーリーを聞けば「セックスで売るお下劣ドラマ」という印象を持ってしまいがちだが、エンターテインメントとしての低俗性はそのままに、人間ドラマとしても結構マジメに作ってある。

 
“You Me Her”には、ロマコメ、“sitcom”、セクシー・コメディの3種ミックスによる相乗効果が出ている。笑っちゃうけど切ないのだ!

 

魅了するプリシラ・ファイア!

イジー役のプリシラ・ファイアはカナダ出身、顔でなく目で笑うのがとってもキュート。全盛期のメグ・ライアンと、『気になる嫁さん』の榊原るみ(古すぎるか)を足して2で割ったようにチャーミングで、老若男女を魅了する。

 

ジャック役のグレッグ・ポーラーは、“SNL”出身の人気コメディエンヌ、エイミー・ポーラーの弟。美女2人に愛されるフツーの情けない男という難しい(?)役どころに、みごとにハマった。

 

エマ役のレイチェル・ブランチャードもカナダ出身。長身モデルのような美人で、「ケイト・ブランシェットの40歳の娘」というイメージだ。奔放なプリシラ・ファイアと対照的に、才色兼備の熟女の魅力を発揮している。

 

ロマコメの生命線はケミストリーだが、主役3人に3方向で見事に働いた。実はグレッグ・ポーラーがキャスティングのキモで、もしジャック役がイケメン俳優だったら、これほどのケミストリーは働かず、本作の評価は“Fifty Shades of Grey”並みだっただろう。

 

脇役陣も充実していて、中でもイジーのルームメイト、ニーナ(メラニー・パパリア)がいい。イジーの元カレのアンディ(ジャロッド・ジョゼフ)に魅かれているが、勝気なニーナは恋に落ちまいと懸命にガードを固める。2人のぎこちないロマンスは微笑ましく、これだけでロマコメが一本撮れるほどだ。

 

本作は「僕と君と彼女の関係」の邦題で(なぜか原題と順番が違う)、Netflixがシーズン2まで配信中。約25分 X 20エピソードを一気観だ!

 

<今月のおまけ> 「ベスト・オブ・クール・ムービー・ソングズ」 ⑬
Title:  “You’ll Be in My Heart”
Artist: Phil Collins
Movie: “Tarzan” (1999)


フィル・コリンズ再登場!このクリップは泣ける。

 

 
写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
 
 

 
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