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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第43回 “The Good Fight”

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ  第43回 “The Good Fight”
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    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

    “Viewer Discretion Advised!”
    これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
    Written by Shuichiro Dobashi 

    第43回“The Good Fight”
    “Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社にその道の才人たちが集結し、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。
     

    “The Good Wife”からのスピンオフ!
    「アリシアの出ない“The Good Wife”なんか観たくない!」 (※1) なんて考えている人はきっと損をする。
    (※1) “The Good Wife”でジュリアナ・マルグリーズが演じた主人公がアリシア・フロリック。大物政治家と結婚して専業主婦となったが、夫の浮気・汚職スキャンダルをきっかけに弁護士としてカムバックする。

     
    “The Good Wife”からのスピンオフは、生き馬の目を抜くシカゴの訴訟社会で、知力と情熱で勝ち抜いていく3人の女性弁護士を描く、スリリングでトリッキーなリーガルドラマだ!

     
    あのダイアン・ロックハートが破産!
    ドナルド・トランプの大統領就任演説を観て、ダイアン・ロックハート(クリスティーン・バランスキー)は引退を決意する。もうこの国に未練はなく、夢見ていた南仏への移住を決行するときだ。

     
    マイア・リンデル(ローズ・レスリー)は晴れて司法試験に合格し、ダイアンが代表パートナー(事務所に自分の名前が付いているパートナー)のロックハート法律事務所に採用される。マイアの両親はダイアンと旧知の仲で、ダイアンはマイアの名付け親だった。

     
    ダイアンの送別パーティの翌日、マイアの父親ヘンリー・リンデルが、巨額な投資ファンド詐欺の首謀者としてFBIに逮捕される。そのファンドにはダイアンも出資していた。

     
    ダイアンは出資金を失い、さらに全財産も凍結されて破産する。復職は残ったパートナーたちから拒否され、弁護士仲間にもヘンリーのファンドを勧めていたため、白人社会からも締め出されてしまう。
    マイアは父親の投資詐欺に加担していたという噂からネット上の餌食となり、ロックハート法律事務所をクビになった。

     
    ダイアンに救いの手を差し伸べたのは、意外にも旧敵のエイドリアン・ボーズマン(デルロイ・リンドー)だった。エイドリアンは黒人だけの法律事務所レディック&ボーズマンの代表パートナーで、同社は多発する白人警官による黒人虐待をビジネスの中心にしている。狡猾なエイドリアンは、ダイアンの知見が使えると目論んだのだ。レディック&ボーズマンにはダイアンの元同僚ルッカ・クイン(クシュ・ジャンボ)がいて、彼女もダイアンの採用を後押しした。

     
    ダイアンはマイアを引き連れてレディック&ボーズマンに加わる。強い絆で結ばれたダイアン、ルッカ、マイアだが、行く手には厄介な訴訟の山が待ち構えている。

     
    さらに、マイアの父親による巨額投資詐欺事件を追うFBIは執拗で、3人の前に大きく立ちはだかる。

     
    海千山千のアクターが集結!
    ダイアン・ロックハートを演じたクリスティーン・バランスキーは、トニー賞を2度受賞、エミー賞ノミネート15回(!)の大ベテラン、「タフでしぶといオバさん」を演じさせれば右に出る者がいない。最近では“The Good Wife”のダイアン役の他に、“The Big Bang Theory”の主人公レナードの母親役が当たり役で、やたら面白い。もう66歳だが、コメディもこなすこの人の才能は底なしだ。

     
    マイア役のローズ・レスリーは、“Game of Thrones”のファンには見覚えがあるはずだ。そう、彼女はあのジョン・スノウを翻弄し、同時に愛した野人イグリットだ! スコットランド出身のローズ・レスリーは、タフなイグリットとは正反対のマイアを達者に演じる。

     
    ルッカ・クイン役のクシュ・ジャンボは“The Good Wife”にシーズン後半加わり、本作でレギュラーとなった。ロンドン出身で舞台俳優からキャリアを築いただけあって演技力は抜群、今回はルッカのセクシーな一面も披露する。

     
    デルロイ・リンドーは、映画ファンなら一度は顔を見たことがあるベテラン俳優。「おれは人を負かすのも助けるのも好きなんだ」と豪語する、こわもてで強引だが器の大きいエイドリアン役を、圧倒的な存在感で演じた。

     
    他にもイーライの娘マリッサ(サラ・スティール)、ダイアンの夫で弾道分析の専門家カート(ゲイリー・コール)、ダイアンに恨みを持つ元州知事候補クレスティーバ(“Friends”のマシュー・ペリー)、破天荒な女性弁護士タシオニ(キャリー・プレストン)など、“The Good Wife”からお馴染みの顔ぶれがわきを固める。

     
    アメリカン・リーガルドラマの匠の技!
    白人富裕層から排除され、黒人中心の法律事務所でカムバックするダイアン。父親による投資詐欺事件の重圧に苦しみながら、弁護士として成長して行くマイア。ダイアンとマイアを支えながら自分の人生とキャリアを模索するルッカ。三者三様の人間ドラマが繰り広げられる。

     

    ストーリーの底辺には人種・性的差別、利益偏重主義の大企業による不正・不当解雇などが根太く横たわる。これにトランプ政権への反発、SNS犯罪、サイバー攻撃、訴訟ファイナンス (※2) の拡大など、今日的なトピックスがふんだんに取り入れられていて飽きさせない。
    (※2) ヘッジファンドなどによる特定の訴訟に対する投資。ハイリターンを求めて弁護士事務所への融資を行い、賠償金から一定の報酬を得る。

     
    こうしてヒューマンドラマ、社会派ドラマとしての質を保ちながら、高度な法律知識をもつ脚本家が詭弁、論理の飛躍、ユーモア、ツイストを駆使して第一級のエンターテインメントに仕上げる。これがアメリカン・リーガルドラマの匠の技なのだ!

     
    製作はCBS All Accessで、日本ではAmazon Primeでシーズン1を配信中。“The Good Wife”を観ていない人でも問題なく楽しめる。
    この女性三銃士と、“SUITS”のハーヴィー&マイクとの頂上対決が実現すればいいのに!

     

    <今月のおまけ> 「ベスト・オブ・クール・ムービー・ソングズ」 ㉒
    Title: “Groovy Kind of Love”
    Artist: Phil Collins
    Movie: “Buster” (1988)


    フィル・コリンズのバージョンはいいね。今回は主演映画のサントラからどうぞ。

     

     
    写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
     
     

     
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