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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第44回 “The Good Place”

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第44回 “The Good Place”
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    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

    “Viewer Discretion Advised!”
    これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
    Written by Shuichiro Dobashi 

    第44回“The Good Place”
    “Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系・ケーブル系に加えてストリーミング系が参戦、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。
     

    奇想天外で予測不能、「あの世」を舞台にしたスーパー・コメディ!
    馬鹿げているけど知的、笑っちゃうけど感動的、そのうえ奇想天外で予測不能。“The Good Place”は、「あの世」を舞台にしたスーパー・コメディだ!

     
    “Welcome! Everything is fine”
    気がつくと、エレノア・シェルストロップ(クリステン・ベル)は、どこかの待合室にいた。何が起きたのかはわからない。目の前の壁には大きく、“Welcome! Everything is fine.”と書かれている。

     
    すると個室のドアが開き、白髪で痩身の紳士(テッド・ダンソン)がエレノアの名前を呼ぶ。紳士はマイケルと名乗り、エレノアは自分が死亡したことを知らされる。バイアグラの宣伝トラックにはねられて即死したのだ。

     
    そこは善人だけが住む死後の世界、「グッドプレイス」だった。人は死ぬと、その価値が生前の善行と悪行によって綿密に計算され、行き先を「グッドプレイス」か「バッドプレイス」に振り分けられるのだ。(因みに、リンカーンを除く歴代の合衆国大統領と、すべてのミュージシャン・芸術家は「バッドプレイス」の住人)

     
    「グッドプレイス」の各コミュニティは人種・性別・年齢等が完璧にブレンドされ、争いのない理想的な状態に保たれている。エレノアが住むことになったコミュニティは、街並み、家、家具にいたるまで、すべてマイケルがデザインしたものだった。住人にはそれぞれソウルメイト(一心同体の生涯パートナー)がいて、全員が永遠に幸せに暮らせる!

     
    エレノアの生前は慈愛に満ちた人権擁護の弁護士で、無実の死刑囚を解放し、孤児たちの救済にも尽力してきた。だからこの地に住むことが許されたのだ。

     
    だが、ひとつ問題があった。
    エレノアは弁護士ではなく、老人に偽サプリを売りつける凄腕のセールスウーマンだった。しかも底意地が悪く、ジコチューで超無責任。「グッドプレイス」のシステムが、同姓同名のだれかと間違えたのだ!

     
    悪知恵のはたらくエレノアは、ソウルメイトのチディ・アナゴンエ(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)を利用して窮地を脱しようとたくらむ。チディはナイジェリア生まれの、底抜けに人が好い倫理学の教授だった。エレノアは自分が善人に変身すれば、恐ろしい「バッドプレイス」に送られずに済むと考えたのだ。

     
    テッド・ダンソン、再び輝く!
    エレノア役のクリステン・ベルは、学園推理ドラマ “Veronica Mars”(2004-2007)でタイトルロールの女子高校生探偵を演じてブレーク、最近では『アナと雪の女王』でアナの声を担当した。コメディもお手の物だ。

     
    ウィリアム・ジャクソン・ハーパーは、本作のチディがキャリア初の大役。決断力が完全に欠如している、くそ真面目な倫理学の教授というおいしい役どころを、嬉々として演じている。

     
    エレノアとチディに加わるのが、ジャミーラ・ジャミルが演じる裕福でウザいお嬢さんタハニと、マニー・ハシントが演じる実は何も考えていない沈黙の修行僧ジャニュ。2人はソウルメイトだ。
    ドラマに彩りを添えるのは、『アラジン』のジーニーのごとくパッと現れてパッと消える、バーチャル・アシスタントのジャネットで、コメディエンヌのダーシー・カーデンが達者に演じている。

     
    オフビートな神様(?)マイケル役のテッド・ダンソンは本作のハートだ。ダンソンは‘80年代の傑作sitcom “Cheers”で元レッドソックスの投手でプレイボーイのサム・マローンを演じてブレーク、最近では“CSI”の最後の4年間で主役を務めた。70歳の今でもチャーミングで、そのコメディセンスはまったく衰えていない。日本で最も過小評価されているアクターの一人だろう。

     
    倫理学の授業、さらに仰天のエンディングが!!!
    クリエーターは才人マイケル・シュア。“Saturday Night Live”のライターとしてスタートし、“The Office”、 “Parks and Recreation”、 “Brooklyn Nine-Nine”などの人気コメディに関わってきた。

     
    本作の舞台は死後の世界だが、宗教臭くないのがいい。
    堅物のチディは、ソウルメイトのエレノアを助ける義務と、マイケルへの通報義務の板挟みになり、悩みに悩む。一方タフなエレノアは、その場しのぎの言い訳と、持ち前の機転で「あの世」を生き抜いていく。

     
    エレノアが意地悪になるほど、チディが悩むほど、タハニがウザくなるほど、ジャニュが熟考するほど、4人の間にケミストリーが働き、エピソードは加速度的に面白くなる。4人の怪しい友情は、笑っちゃうけど時として感動的ですらある。

     
    また、エレノアはチディから大真面目な倫理学の講義を受け、善人のふりをするために善行について真剣に考える。本作は、視聴者がお茶の間で爆笑しながら倫理学を学べるという前代未聞のドラマなのだ!

     
    マイケルは人間観察の過程で感情移入して、次第に人間らしくなっていく。“Star Trek: The Next Generation”のアンドロイド、データのパロディみたいで笑える。

     
    そして驚くべきことに、シーズン1のエンディングに用意されているのは、東野圭吾もディクスン・カー(ちょっと古いか)も真っ青の仰天ツイスト!さらに、シーズン2のストーリーは予測不能で暴走が止まらない!

     
    制作はNBCで、日本ではNetflixがシーズン2まで配信中。シーズン2は映画サイトの“Rotten Tomatoes”で100%の支持率を獲得した。約23分の各エピソードは面白すぎて、あっという間に終わるよ!

     
    <今月のおまけ> 「ベスト・オブ・クール・ムービー・ソングズ」 ㉓
    Title: “Angel of the Morning”
    Artist: Juice Newton
    Movie: “DEADPOOL” (2016)

    このオープニング・クレジットは最高!
    よい子のみんな、“DEADPOOL 2”はもう観たかな?

     

     
    写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
     
     

     
    ◆バックナンバーはこちら
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