「SKIPシティアワード」と 「最優秀作品賞」を受賞しました!
JVTAが字幕制作でサポートしている国際コンペティション「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015」。その審査結果が発表され、修了生が英語字幕を手がけた長編ドキュメンタリー『あした生きるという旅』と短編映画『わたしはアーティスト』が見事受賞を果たしました! 審査員と観客をグッと引きつけた両作品。映像翻訳の現場では何が起きていたのか、修了生と共に字幕作りに携わった映像翻訳ディレクター2人に話を聞きました。
長編コンペティション部門・SKIPシティアワード受賞
『あした生きるという旅』(監督:内田英恵)
●48歳でALS(筋委縮性側索硬化症)を発症した宏とその妻・公子を追うドキュメンタリー。
今までやったことのない
字幕の作り方でした
「難病・ALSを発症した宏さんが、妻の公子さんと旅に出る話です。とにかく宏さんの愛情深さがすごくて、制作中に何度もウルッときてしまいました。表情すら作れない状態なのに一生懸命コミュニケーションを取ろうとする宏さんと、つらさを一切見せない公子さんの姿が印象的でした」。宏さんは“ひらがな表”と目の動きだけで意思を伝える。「その翻訳が一番難しく、修了生の方と何度も話し合いました。例えば、宏さんが『あ・い・し・て・る』と公子さんに伝えるシーンは、そのままローマ字で字幕にするべきか、セリフの最後に英語で解説を入れるべきか…。とても悩みましたね。最終的には文字数はあまり気にせず『I・L・O・V・E…』と英語を一文字ずつ当てました。今までやったことのない字幕の作り方です」。同作品ならではの苦労もあったそう。「病気にまつわる専門用語。お医者さんが話しているシーンでも登場するので、調べて確認することが多かったです。とはいえ、作品のメッセージが観客に伝わったからこその受賞。修了生の方と喜びを分かち合いたいです!」。(MTCディレクター ジェシー・ナス)
短編コンペティション部門・最優秀作品賞
『わたしはアーティスト』(監督:籔下雷太)
●ビデオアートに没頭する沙織は、撮影現場を同じクラスの健太に見られてしまう。
どういう感情で“変わってる”と言ったのか
修了生の方とじっくり考えました
「人付き合いが苦手な女子高生・尾崎沙織は、自分を主人公にした映像を撮ることに没頭する毎日。そんな沙織がある時、クラスメートの男の子に恋をして外の世界に踏みだそうとするのですが…。思春期の微妙な心情をうまく描いた作品です」。字幕作りでは、特に言葉のニュアンスを正確に訳すことに注意したそう。「例えば、沙織が同じクラスの健太と初めて放課後一緒に帰るシーン。健太は『尾崎さんって変わってるよなー』と言うのですが、この“変わってる”をstrangeと訳すのか、crazyがいいのか、それともuniqueにするべきかで議論をしました。決め手となったのは、健太が沙織にどういう感情でそう言ったのかということ。ストーリーは後半で思わぬ展開を見せますが、少なくともこの時の健太は沙織にちょっと好意を抱いていたはず。だから、ネガティブなニュアンスを持たず“個性的な”という意味のuniqueを選びました。たった一つの単語を訳すにも、作品全体の流れをしっかりと把握することがとても大切です。字幕を作りながら、全員で『この作品は面白い!』と話題にしていたので、納得の受賞です!」(MTCディレクター 板垣七重)
★SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015 公式サイト
http://www.skipcity-dcf.jp/
【info】
映画の字幕作りについてもっと知りたい! という方は、日本映像翻訳アカデミーのオープンスクールへどうぞ! 次回開催は9/13(日)、参加無料です。
https://www.jvta.net/?p=2504