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[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

今週の1本 『恋人たちの予感』

今週の1本 『恋人たちの予感』
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12月のテーマ:再会

 
初めて出会った男女が恋に落ちる。そんなストーリーの恋愛映画はどこにでもある。しかし、何年もの月日を経て、友情と愛情の間を行ったり来たりする映画はそれほど多くはない。その1つが『恋人たちの予感』だ。レンタルビデオ店が最盛期だった1990年代初めの頃、他の映画とは少し違うストーリーとメグ・ライアンの可愛らしさに引かれて何度も観た。恐らく店員は、「この人、また同じの借りてる」と思ったに違いない。

 
大学を卒業したサリー(メグ・ライアン)は、輝かしいキャリアを夢見て、車でシカゴからニューヨークへ。ニューヨークまでの道中を共に過ごすことになったのが友人のボーイフレンドのハリー(ビリー・クリスタル)だった。その日が初対面だった二人は、恋に落ちるどころか、意見が対立するばかり。その一方で、ふざけて口説こうとする場面も。友達という関係性を提案するサリーに対し、「男女の友情は成立しない」と言い切るハリー。恋に落ちる気配もないまま、ニューヨークに着き、それぞれの人生を歩み始める。それから5年後、空港でばったり会った二人だが、ここでも険悪な雰囲気に。さらに5年後、サリーは恋人と別れ、ハリーは離婚が間近という状況で再び出会いが訪れる。いろいろな経験を経て、お互いの気持ちを理解しあえるようになった二人は、心の穴を埋めるかのように何でも話し合える「友達」として過ごす時間が増えていく。果たして二人の関係は新たなステージへと向かうのか?

 
この映画は、監督のロブ・ライナーと脚本のノーラ・エフロンの友情がモデルになっているそうだ。二人の経験がベースになっているからか、ハリーとサリーの気持ちがバランスよく描かれている印象がある。どちらかの気持ちが軸になっているというより、同じくらいの強さで表されていている感じだ。原題は、”When Harry met Sally …”でハリーが主語になっているが、スタッフたちがコンテスト形式で決めたタイトルらしいので、内容との互換性は高くない。それに比べると、邦題は二人を意味する「恋人たち」という表現を使っているので、私が受けた印象にピッタリだ。そして、この映画でサリー役を演じたメグ・ライアンの魅力が全開となっている。この作品を皮切りに『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』(いずれもノーラが監督・脚本)など彼女のヒット作が続々と登場したと言える。彼女は、同年に公開された『マグノリアの花たち』の主演のオファーを蹴って、サリーを選んだそうだが、その選択はまさに人生の分かれ道となったのかもしれない。

 
また、作中でストーリーとは関係のない老夫婦たちが数組登場し、出会いの思い出を語る場面がある。彼らは役者ではなく実在する夫婦で、話している内容も実話だそうだ。出会い方はそれぞれで、ハリーとサリーの関係に1つの可能性が秘められていることを予感させる。

 
ちなみに私は「男女の友情」は成立すると信じている。先日、留学時代の「男友達」に数年ぶりに再会した。当時から男女の垣根を越えて、何でも話せる、気の置けない相手で、二人でよく出かけた。私の中では女友達と同じ枠の中にいる存在で、これからも変わらないだろう。皆さんは、「男女の友情」はあると思いますか?

 
『恋人たちの予感』
監督:ロブ・ライナー
脚本:ノーラ・エフロン
製作年:1989年
出演:ビリー・クリスタル、メグ・ライアンほか
製作国:アメリカ

 
Written by 小林由布子

 
〔JVTA発] 今週の1本☆ 12月のテーマ:再会
当校のスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。

 
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