アカデミー賞俳優のミシェル・ヨーが1人5役!『サンディワラ』の字幕を担当した映像翻訳者にインタビュー
JVTAは国際短編映画祭 「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)を20年以上にわたって字幕翻訳でサポートしている。今年、上映作品の字幕翻訳に携わった映像翻訳者は約140名。ジャンルも言語も違う、世界各国から集まった多種多様な作品の翻訳に一丸となって取り組んだ。
アカデミー賞受賞監督と俳優がコラボレーション!
今年のインターナショナルコンペティションでは、アカデミー賞受賞者同士のタッグで作られた作品『サンディワラ』が上映される。『ANORA アノーラ』(2024)のショーン・ベイカー監督が『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)のミシェル・ヨーを主演に迎えた作品だ。マレーシアを舞台にミシェル・ヨーが1人5役に挑んでいる。

本作の日本語字幕を担当したのは修了生の長井希海さん。長井さんは本作について「とても元気づけられる作品だった」という。
「混沌としていながらも、登場人物それぞれの人生を肯定する温かさが感じられる作品で、とても元気づけられました。また、マレーシアの料理のおいしそうな匂いや、服が肌にはりつくような湿度を画面越しにも感じられ、実際に現地を訪れてみたくなりました」(長井さん)
翻訳作業では、舞台が多民族共生であるマレーシアであることによる影響が随所にあったという。同作のメイン言語は英語だが、登場人物は英語に中国語の普通話(中国本土の公用語)や南方系の方言を自然に混ぜながら話し、マレー語で披露される歌もあった。また、独特の固有名詞も多数登場し、長井さんはそれらを一つひとつ丁寧に調べた。
実は映像翻訳では、映像に映るもの・ことについて「調べる」作業が多い。時には、翻訳者に提供されるスクリプト(台本あるいはセリフの文字起こし原稿)が完璧な状態でないこともある。実際、同作のスクリプトでは「ニョニャ料理」や「チャー・クイ・ティオ(平たい米麺をエビやニラなどと炒めた焼きそば風の料理)」など独特な固有名詞が十分に反映されてなかったという。そのため長井さんはセリフの原音や画面に映し出されている料理・看板などから見当をつけたり、作品の公式SNSや紹介記事をあたったりして一つひとつ丁寧に確認した。「文化的・歴史的背景をしっかりと調べた上で、異なるものが混じりあうからこそ生まれる力強さや魅力が伝わるよう心がけました」と長井さんはいう。
ミシェル・ヨーが1人5役!登場人物の描き分けも重要に
もう1つ意識したのは、登場人物の口調だ。本作では、ミシェル・ヨーが5人の女性を演じている。5人それぞれが演技や口調、ファッション、仕事への向き合い方などに大きく違いがあり、明確にキャラクターが描き分けられている。長井さんは、字幕でもその違いを明確に出せるように気を配った。
「インフルエンサーのセリフは軽快で親しみやすく、料理評論家は少し気取った言い回しに、屋台の料理人は無骨ながら料理への真摯さが伝わる口調にと、短いセリフの中でも人物像の違いが感じられるよう意識しました」(長井さん)
各登場人物の違いがどのように字幕に落とし込まれているか、ぜひ実際に本作を見て確認してほしい。
長井さんは今回、『サンディワラ』をはじめ4作品の翻訳を担当した。マレーシア、ペルーの貧困街、台湾の自然、アメリカの田舎町など、大作映画ではあまり焦点が当たらない地域や題材を描いた作品が多く、それらの翻訳には「自分の知らない世界をのぞき込むような感覚」があり、とても刺激的で楽しい経験だったそうだ。
世界中から集まった作品を数多く見られるのもSSFF&ASIAの魅力のひとつである。インターナショナルコンペティションにはこの他に、ベルギー、フィンランド、ヨルダン、リトアニアなどから作品が集まっている。ほとんどの作品がオンライン視聴可能なので、この機会に多種多様な文化・世界観を楽しんでみてはいかがだろうか。
『サンディワラ』上映情報
2026年6月8日(月)15:10-17:00 @WITH HARAJUKU HALL
2026年6月11日(木)~ 6月30日(火) @オンライン グランド シアター
【SSFF&ASIA 2026 開催概要】
ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2026
5月25日(月)~6月10日(水)アワードセレモニー
詳細は▶公式サイトから
オンライン上映
5月25日(月)~6月30日(火)
※期間により配信プログラムが異なります
オンラインシアターは▶こちらから
・アカデミー賞受賞者同士による作品も上映!ショートショートフィルムフェスティバル & アジア 2026を、今年も字幕翻訳でサポート

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