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これがイチ押し、アメリカン・ドラマ 第91回 “SANTA CLARITA DIET”

これがイチ押し、アメリカン・ドラマ  第91回 “SANTA CLARITA DIET”
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    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系、ケーブル系各社に[…]

    “Viewer Discretion Advised!”
    これがイチ押し、アメリカン・ドラマ
    Written by Shuichiro Dobashi 

    第91回“SANTA CLARITA DIET”
    “Viewer Discretion Advised”は海外の映画・テレビ番組等の冒頭で見かける注意書き。「バイオレンスやセックス等のコンテンツが含まれているため、視聴の可否はご自身で判断して下さい」という意味。

    今、アメリカ発のテレビドラマが最高に熱い。民放系・ケーブル系に加えてストリーミング系が参戦、生き馬の目を抜く視聴率レースを日々繰り広げている。その結果、ジャンルが多岐に渡り、キャラクターが深く掘り下げられ、ストーリーが縦横無尽に展開する、とてつもなく面白いドラマが次々と誕生しているのだ。このコラムでは、そんな「勝ち組ドラマ」から厳選した、止められない作品群を紹介する。

     
    知らなかった! ちょっと古い超オモシロドラマ第2弾!
    知らなかった!
    今回は“Atypical”(本ブログ第86回参照)に続く、ちょっと古くて超面白いドラマの第2弾。
    え、新作のオススメはないのかって?
    両手の指くらいあるけど、本作の方が面白いのだよ。
     

    “Santa Clarita Diet”(2017-2019)は、ゾンビ化するドリュー・バリモアのチャーミングな魅力が爆発する、Netflixオリジナル。グロいストーリーをロマコメの楽しさと底なしの優しさで包み込んだ、ホラーコメディ&ファミリードラマなのだ!
     

    “We’re gonna kill people, sweetheart”
    ―カリフォルニア州サンタクラリータ
    風光明媚な郊外にあるこの街は、安全で教育環境にも恵まれている。
     

    ジョエル(ティモシー・オリファント)とシーラ(ドリュー・バリモア)のハモンド夫妻は、高校時代からの仲良しカップル。2人には、16歳の活発な娘アビー(リヴ・ヒューソン)がいる。
     

    2人は不動産の仲介をして生計を立てている。
    今日、シーラはお客さんの前で、突然滝のようなゲロを吐き始めた。ジョエルは慌てて彼女を化粧室に移すが、吐くこと吐くこと。まるで、体の中身をすべて出し尽くしたみたいだ。
     

    シーラは落ち着きを取り戻したが、問題がひとつあった。彼女の心音が聞こえないのだ。
    アビーは、隣人で科学オタクの同級生エリック(スカイラー・ギソンド)に相談する。エリックによれば、シーラはゾンビ化しているという!
     

    もっとも本人は心身ともに絶好調で、気持ちも前向き。
    より魅力的になってきたシーラを狙って、会社の同僚ゲイリー(“Firefly”、“Castle”、“The Rookie”のネイサン・フィリオン)が、露骨にナンパしてきた。すると彼女は豹変してゲイリーに襲い掛かり、彼を食べ始めた!
     

    ジョエルは、シーラを殺人罪で刑務所に行かせるわけにはいかない。妻を守るためには手段を選ばない覚悟だ。だがよりによってハモンド家の両隣りには、良い警官のリックと、悪い副保安官のダンが住んでいる。
     

    もうひとつの問題はさらに厄介だった。今やシーラはフレッシュな人肉しか受けつけないのだ。
    2人は彼女の食料を確保すべく、人を殺す計画を立て始める。
    例えば独身で若いころのヒトラーのような悪人なら、殺しても問題ないだろう。
    ジョエルはシーラに優しく囁く。
    “We’re gonna kill people, sweetheart”
     

    シュールでグロい、キュートでセクシーなバリモア・ゾンビ!
    シーラ役のドリュー・バリモアは『E.T.』(1982)でブレークし、当時は天才子役と騒がれた。だが母親による搾取、アルコール&ドラック依存症、自殺未遂と、10代のころはトラブルの連続。
    20代でカムバックを果たし、「ロマコメの女王」として君臨する。
    『ウェディング・シンガー』(1998)『25年目のキス』(1999)『50回目のファースト・キス』(2004)『2番目のキス』(2005)の4作は、今では近代ラブコメの古典だ。またバリモアは映画プロダクション、アパレル会社、化粧品会社などを経営する辣腕の実業家でもある。
    本役ではシュールでグロい、チャーミングでセクシーなゾンビぶりを見せてくれる。もちろんバリモア・スマイル、高い演技力、抜群のコメディセンスも健在だ。
     

    ジョエルを演じたティモシー・オリファントは、硬派西部劇“Deadwood”(2004-2006)の保安官セス・ブロック役でブレーク。さらに“Justified”(2010-2015)の大ヒットで、「強面保安官」のイメージを決定づけた。最近では、スター・ウォーズのドラマ、“The Mandalorian”(第65回参照)と“The Book of Boba Fett”でコブ・ヴァンス(またもや保安官!)を演じた。
    オリファントは、スッとぼけたみごとなコメディアンぶりを披露してくれる。
     

    アビー役のリヴ・ヒューソンは、ノンバイナリー(性別を認識しない考え方)のオーストラリアン・アクター。おかしくて聡明なアビーは、エピソード毎に輝きを増す。
     

    エリックを演じるスカイラー・ギソンドは、地味だがコメディ経験は豊富にある。アビーに淡い想いを抱きながら彼女を支える、超不器用な科学オタク役に見事にハマった。
     

    バリモア&オリファント、ヒューソン&ギソンドには、それぞれケミストリーが働き、強烈な相乗効果を生んでいる。
     

    ブッ飛んだストーリーの中にヒューマニティと感動が!
    ショーランナー兼共同脚本のヴィクター・フレスコは、ヘレン・ハントがブレークした傑作シットコム“Mad about You”(1992-1999&2019、筆者のお気に入り)が代表作。本作では、「郊外の平和な町を舞台にした、ゾンビが登場するファミリードラマ」という自ら課した難題に、最適解で応えた。
     

    ストーリーは予測不能。脚本は気の利いた会話の波状攻撃。さらにシャープなギャグが絶妙のタイミングで決まる。
    全体のトーンはオフビートだが、スラップスティック一歩手前で抑えられている。本作の登場人物は血まみれの死体に出会っても、あまり騒がない。「ギャー、死体だ!」ではなく、「おや、死んでるの?」程度の反応。皆さん飄々としている。血みどろの光景と、各キャラのクールな反応とのギャップが笑いを誘う。
     

    ハモンド一家とエリックは結束する。シーラの治療法を求めて、決して希望を失わない。正しく人を殺すために、あるいはなるべく殺さないために、最善の努力をする。だが上手くいくはずもない。それでも状況が悪くなればなるほど、シーラとジョエルの夫婦愛は深まり、アビーとエリックの友情は強固になる。
    驚くべきことに、ブッ飛んだストーリーの中にヒューマニティと感動があるのだ。
     

    パイロット(第1話)のゲロと血まみれシーンを観てもドン引きしないこと。第2話以降、最近の言葉でいうとエクスポネンシャル(指数関数的)に面白くなるから。サクサク観ながらエピソードが進み、全30話はアッという間。もっとも食事前は(もちろん食事中も)視聴を避けた方がいい。
     

    “Santa Clarita Diet”は、グロいストーリーをロマコメの楽しさと底なしの優しさで包み込んだ、ホラーコメディ&ファミリードラマなのだ!
     

    邦題は『サンタクラリータ・ダイエット』。Netflixで全3シーズン(各話約30分×30話)を視聴できる。
    5年前に観て紹介すべきだった!
     

    <今月のおまけ> 「My Favorite Movie Songs」 #66
    Title: “A Man Alone -Back Home Someday”
    Artist: Sergio Endrigo
    Movie: “Massacre Time” (1966)

    発表!マカロニ・ウェスタンのテーマ・トップ3(ボーカル編)
    第2位はフランコ・ネロ主演の『真昼の用心棒』!
     
    写真Written by 土橋秀一郎(どばし・しゅういちろう)’58年東京生まれ。日本映像翻訳アカデミー第4期修了生。シナリオ・センター’87年卒業(新井一に学ぶ)。マルタの鷹協会会員。’99年から10年間米国に駐在、この間JVTAのウェブサイトに「テキサス映画通信:“Houston, we have a problem!”」のタイトルで、約800本の新作映画評を執筆した。映画・テレビドラマのDVD約1300本を所有。推理・ハードボイルド小説の蔵書8千冊。’14年7月には夫婦でメジャーリーグ全球場を制覇した。
     
     

    ◆バックナンバーはこちら
    https://www.jvta.net/blog/5724/


     

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    同コラム執筆の土橋秀一郎さんがJVTAのYouTubeチャンネルに登壇しました!
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