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【2025年12月】英日OJT修了生を紹介します

JVTAではスクールに併設された受発注部門が皆さんのデビューをサポートしています。さまざまなバックグラウンドを持つ多彩な人材が集結。映像翻訳のスキルを学んだことで、それぞれの経験を生かしたキャリアチェンジを実現してきました。今回はOJTを終え、英日の映像翻訳者としてデビューする修了生の皆さんをご紹介します。

◆K.O.さん(英日映像翻訳 実践コース修了)
職歴:食品メーカーに勤務

【映像翻訳を学ぶきっかけは?】
洋画鑑賞が趣味だったことと、学生時代から勉強してきた英語を活かす仕事をしてみたいという想いから映像翻訳に興味を持ちました。場所や時間を選ばず働くことができ、副業として始めやすいことも勉強を決意した要因です。

【今後どんな作品を手がけたい?】
海外旅行が好きで、旅番組や歴史番組等のドキュメンタリー作品に携わることが目標です。作品理解に少しでも繋がればと思い、現在世界遺産検定の勉強を進めております。また、映像翻訳を志すきっかけとなった長編の洋画作品にも挑戦したいです。

◆C.N.さん(英日映像翻訳 実践コース修了)
職歴:IT企業でコンビニエンスストアのシステム保守・開発、衛星通信事業会社のシステム運用・営業

【映像翻訳を学ぶきっかけは?】
幼少期から読書好きで、翻訳者にはずっと憧れがありました。映像翻訳に興味を持ったのは、大学で仏文学を専攻したことでフランスの映画・ドラマに触れる機会がぐっと増え、元の言語と日本語字幕の差異が気になったときです。興味本位で講座に申し込みましたが、映像翻訳の楽しさにどんどん引き込まれ、今に至ります。

【今後の目標】
目標の1つは、皮肉やブラックユーモアあふれるフレンチドラマの翻訳です。他にも旅や食にまつわるドキュメンタリー・リアリティショーにも挑戦したいです。そのために、技術面の向上はもちろんですが、仕事とプライベートの両面で幅広いものごとに触れるよう心がけ、そうした経験を糧とし続けられる翻訳者でありたいと思います。

◆H.N.さん(英日映像翻訳実践コース修了
職歴:国内営業11年

【映像翻訳の魅力】
調べものやストーリーの構成、適切な言葉選びなど、さまざまな要素を踏まえながら訳を作り上げていくプロセスにとても魅了されました。また、難民映画祭の翻訳に参加し、普段触れることの少ない世界を伝えられることに意義を感じました。

【今後どんな作品を手がけたい?】
子どもの頃に感動した「ハリー・ポッター」のように、感動や笑いを届けられる映画やドラマ作品の翻訳に携わりたいと考えています。また、自然や動物を取り上げたドキュメンタリーにも挑戦したいです。そのためにも、さまざまなジャンルの作品に携わり、自分の視野を広げていきたいと思います。

◆ルマー・レイラさん(映像翻訳Web講座 プロフェッショナルコース修了)
職歴: ロンドンの不動産会社で英文賃貸契約書作成などに携わり、現在はフランスでフリーランス翻訳者として活動。

【映像翻訳を学ぶきっかけは?】
小さいころから洋画に親しみ、来日した映画スターのレッドカーペットやプレミア上映に通うほど映画が大好きでした。高校卒業時は翻訳者を目指すか迷いましたが、「日本に字幕翻訳者は10人しかいない」と聞き一度断念。イギリス留学・就職を経てフランスへ移住し、知人の紹介で映画の下訳を担当。三人目の育児休暇を機に、夢を再燃させ受講を決意しました。

※現在、映像翻訳Web講座は日本国内のみの受講です。

【今後どんな作品を手がけたい?】
アカデミー賞が大好きで、中学生のころから毎年ノミネート作品を観て予想してきました。人の心を動かし、賞レースに名を連ねるような作品を担当するのが夢です。またリアリティーショーやシットコムも大好きで、軽妙な会話のニュアンスを活かし観る人を笑顔にできる字幕を目指しています。

★JVTAスタッフ一同、これからの活躍を期待しています!
◆翻訳の発注はこちら
◆OJT修了生 紹介記事のアーカイブはこちら

◆【英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ 日曜集中クラスを2026年1月開講!】ご興味をお持ちの方は無料の学校説明会へ!
2026年1月からの英日映像翻訳学習をご検討中の方を対象に、リモート・オープンスクール、リモート個別相談を実施しています。ご都合・ご希望に合わせてお選びください。
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【難民映画祭20周年】わたしと難民映画祭(字幕翻訳者編)

今年で20周年を迎えた難民映画祭は2006年にスタート。これまで270作品の映画が上映され、10万人以上の人たちが参加してきた(数字は2025年9月時点)。今年のポスターにデザインされている青いバラの花言葉は「奇跡」「夢が叶う」。20年にわたって映画祭を支えてきた人たちへの感謝と亡くなった人への哀悼の意がこめられている。

始まった当時は今よりも上映作品が多く、20本以上のラインナップをそろえ、中には、日本語字幕がついていない作品もあったという。しかし、それでは作品のすべてを日本の観客に伝えきれないと、第3回(2008年)からJVTAによる日本語字幕制作のサポートが始まった。以来、JVTAの修了生の有志が、プロボノ(職業の専門性に基づく知識や経験などを生かして行う無償の社会貢献活動)で字幕制作を担っている。毎年、JVTAのメールマガジンで修了生に字幕翻訳参加を呼びかけ、同映画祭のためのトライアルを特別に実施。合格者は映画祭関係者を招いたキックオフミーティングに参加し、難民問題に関する想いを共有したうえで字幕翻訳に取り組む。複数で翻訳チームを組み、各自の担当パートを翻訳した後にチーム全体で話し合いながらリライトを重ね、一つの字幕を作りあげている。

◆難民映画祭の歴史はこちら

◆難民映画祭とJVTAの歴史はこちら

難民映画祭の上映作品は、多言語のドキュメンタリー作品が多く、それぞれの国や地域の紛争や政治などの背景に関する入念なリサーチが必須だ。こうした多言語の作品にも基本、英語字幕があり、翻訳者はそれをもとに日本語字幕を制作する。翻訳者からは、「凄惨なシーンが続くドキュメンタリー作品を泣きながら翻訳した」「映像に映っていた人たちのその後をとても心配している」「この映画祭に携わって自分も意識が変わった」などの声が数多く聞かれる。また、新人時代に取り組んだ人も多く、これまで手掛けた中でも特に印象深い作品として難民映画祭の上映作品を挙げる翻訳者も少なくない。この映画祭の意義に共感し数年にわたり翻訳チームに参加した人もいる。

今回は、20周年という節目にあたり、過去に難民映画祭の字幕制作に携わった翻訳者にアンケートを実施。難民映画祭に寄せる12名の翻訳者の想いを紹介する。

①参加した年
②担当した作品とその背景
③翻訳作業を振り返って感じること
④難民映画祭に携わって意識が変わったことや何か始めたこと
⑤難民映画祭の字幕に参加する翻訳者へのメッセージ

◆Ogihara Atsukoさん
①第3回(2008年
②『レフュージニック』 ソビエトにおけるユダヤ人迫害 
『ニューイヤー・ベイビー』 カンボジアでのクメール・ルージュ虐殺

③今つくづく思うことは、歴史は繰り返されているということです。世界から人々が苦しむ原因を取り除くには、一体どうしたらいいのか。宗教、人種、偏見、その他もろもろのことが原因で、現在もなお世界のあちらこちらで、心が痛む戦いが続いています。また、チームで翻訳した喜びはいまだに忘れられません。メンバーが5人いれば、翻訳を終了した時の満足感は5倍になります。実際、翻訳チームに我が家に泊まっていただいて、合宿をし、翻訳の表記や流れが一つになるよう、顔を突き合わせて話し合った時間は、得難い、とても充実した時間でした。

④毎年、難民映画祭の開催の度に、かつて微力ですが翻訳で協力させていただいたことが、私の人生でとても大きなことであったと痛感します。機会があれば難民問題を扱っている催しを、友人を誘って見に行ったりしています。

⑤現在、全世界の人口の1%が、難民という名の下に、故郷を追われ避難を強いられています。絶えることのない、世界の難民問題を目にするにつけ、本当に無力感を覚えます。一体私たちに何ができるのか。映像翻訳者として、この問題を一人でも多くの人に伝えることは、貴重な意味のあることです。わずかでも問題意識を持ち人々と語り合い、伝えていく。それがいつか、平和な世界へのほんのわずかな一歩になりますよう、希望を持ち続けましょう。

◆結城あかねさん
①第4回(2009年)、第5回(2010年)、第6回(2011年)、第7回(2012年)、第8回(2013年)、第9回(2014年)
②『14 キロメートル』(2009)『遥かなる火星への旅』(2010)『イリーガル』(2011) 映画祭プロモーションビデオ(2012)『新たな壁の裏側で ― 東ヨーロッパに逃れた女性たち ―』(2013)『シャングリラの難民 ~幸福の国を追われて~』(2014)

6回参加のうち、『遥かなる火星への旅』(2010)の背景
ミャンマーからイギリスへ第三国定住するカレン族を追ったドキュメンタリー映画です。ちょうど日本でも2010年から第三国定住による難民の受け入れを開始したこともあり、日本にとってタイムリーな題材の映画でした。

③毎回難しく感じたのは、トーンや表現の仕方の統一です。複数名で作業することから、通しで見ると途中で明らかに翻訳者が変わったと感じられることもありました。また、解釈や訳語の選定で議論したことも多くあります。ある作品ではみんなでメンバーのお宅に泊まり徹夜で作業をしたこともありました。苦しかったですが、楽しい思い出でもあります。

④質問への直接的な回答ではないのですが、私はタイの北部に住む首長族の村に2回訪れたことがあります。彼らもミャンマーから逃れてきた難民で、その苦労や悲しみを直接聞いていたため、難民映画祭には特別な思い入れがありました。そしてその経験があったからこそ、この映画祭にはできるだけ参加しようと考え、6回参加させていただきました。

⑤エンターテインメントの映画と違い、難民映画祭は難民の方々の現状を伝え、広く知ってもらう強い目的があります。目を背けたくなる状況に苦しく思いながら作業することもありますが、映像翻訳を学んだ翻訳者にしかできない意義深い経験となります。作り手の想い、そして取り組む翻訳者の想いが、多くの方に届く大切な機会となるよう願っています。

◆松木香奈子さん
①第10回(2015年)
②『ヤング・シリアン・レンズ』
当時シリアの都市アレッポでは、政府軍と反体制派による激しい戦闘が繰り広げられていました。

③ニュース映像などとは違い、残酷な現実がそのまま映し出されていて、とにかくショッキングでした。

④微力ながら世界の現実を伝える手助けができることに意義を感じました。それ以来、マイノリティを題材にした作品などを積極的に担当しています。

⑤翻訳を通して社会貢献をできる素晴らしい機会になると思うので、ぜひ挑戦してみてください。

◆中嶋紋乃さん
①第13回(2018年)
②『アイ・アム・ロヒンギャ』
故郷ミャンマーから迫害され、カナダへと逃れたロヒンギャ難民の若者たちが、自分たちの体験を舞台劇として再現するドキュメンタリーです。ロヒンギャは世界一迫害された民族と呼ばれ、ニュースでも連日取り上げられていました。

③作品の重みを伝える責任を感じながら翻訳しました。自分たちの経験を再現する彼らの必死の思いや葛藤を、できるだけその温度を壊さないように字幕にする難しさがありました。その重厚なテーマも相まって、翻訳作業は非常に大変で、寝る間も惜しんでの作業になったことを今でも覚えています。

④難民映画祭に関わる前は、難民問題をテレビのニュースで目にしても、その背後で何が起きているのか具体的に思い描くことができませんでした。しかし、作品の翻訳に携わる中で、数字や文字としてではなく、“一人ひとりの物語”として受け止めるようになりました。

⑤修了直後の駆け出しの時期に、翻訳者として作品に携わるとはどういうことかを学んだ非常に貴重な経験でした。ぜひ、積極的に挑戦していただきたいです。

◆小畑愛沙子さん
①第13回(2018年)、第14回(2019年)
②『アイ・アム・ロヒンギャ』
主にミャンマー西部に暮らすロヒンギャ。彼らは差別と迫害を受け、多くが国外に逃れています。あるロヒンギャの若者たちは、命がけでバングラデシュに避難。その後カナダへ移住しました。演劇を通じて自分たちが受けてきた迫害や今直面する現実を伝えようとする姿が描かれています。

『難民キャンプで暮らしてみたら』
2人のアメリカ人が、シリア難民が暮らすヨルダンの難民キャンプで日常生活を体験するドキュメンタリーです。

③映像翻訳のコース修了後、すぐに携わった字幕作品で、ありとあらゆる力不足を実感しました。ただ、思い出すのもつらい経験を振り絞るように語る若者たちの言葉を、正確に、丁寧に伝えなければ、という使命感に駆られたのを覚えています。

④プロジェクト参加前は、何となく慈善活動を行うイメージでいたのですが、彼らの言葉を翻訳する中で、困難な状況でも力強く歩み続けるエネルギーをひしひしと感じ、助けてあげる、というより、社会が良くなるよう同じ方向を向いていきたい、と思うようになりました。

⑤字幕翻訳による支援は、実際に起きている切実な課題に対し、映像翻訳を学んだからこそ出来る、世界に希望を灯せる活動だと思います。

◆K.S.さん

①第14回(2019年)、第15回(2020年)、第16回(2021年)
②『イージー・レッスン 児童婚を逃れて』ソマリアの児童婚
『カオスの行方 ~ 安住の地を求めて』ヨーロッパへ命懸けで避難する難民
『戦火のランナー』スーダンの内戦

③難民映画祭では3作品に参加させていただきました。観客の中には、難民問題や各国のカルチャーになじみのない方もいらっしゃいます。誰にとっても分かりやすい言葉選びを意識しつつ、文化に関わるワードはできる限り尊重して出すなど、細かい気配りとバランスを意識しました。また、作品ごとに様々な難民の姿が多様な視点から描かれているため、背景情報を丁寧に把握し、製作者の意図や登場人物の気持ちに寄り添った字幕を付けることも心がけました。普段の映像翻訳の仕事に比べるとチーム規模が大きく、訳し終えた後に全員で全編の相互チェックを行う作業はかなりタフで特に苦労しましたが、いろいろなメンバーと意見を交わしながら完成度を高めていく作業は、とても勉強になり、刺激にもなりました。

④担当作品の背景となっていた国や情勢を中心に、ニュースなどを意識的に見るようになりました。映画祭に携わった経験を踏まえて、周りの人と話をすることもあります。難民問題だけでなく、様々な社会的問題を扱った映像作品にもアンテナを張るようになりました。また、UNHCR関連の字幕翻訳案件(教育動画など)を担当させていただき、微力ながら翻訳者として継続的にご縁をいただいていることも、ありがたく感じています。

⑤コースで学んだことを実践的に生かして、憧れの長編映画に字幕を付けるという経験は、それ自体とても貴重です。その上、翻訳を通じて難民問題に関わる意義は大きく、非常にやりがいのある映画祭だと思います。できる限り時間をかけて丁寧に作品と向き合い、受け身にならずメンバーと積極的にコミュニケーションを行えば、きっと何倍も価値のある思い出深い経験になるはずです。

◆谷山祐子さん
第16回(2021年)
②『カオスの行方 ~ 安住の地を求めて』
シリア。内戦で家を失い、欧州に不法入国の難民が押し寄せた時代。

③映像翻訳Web講座を修了したもののオープントライアルになかなか合格できず、くすぶっていた頃に参加したプロジェクトでした。その後もイバラの道は続くのですが、初めてのチーム翻訳であり、相互チェックなど大変勉強になりました。8人ほどの大所帯のチームを立派にまとめられたリーダー翻訳者さんがとても輝いてみえたことを覚えています。

④難民をテーマとしたニュースや話題に以前よりも関心を寄せるようになりました。また、同じ作品に携わった翻訳者さん数名と、「ともにトライアル合格を目指そう!」とお友だちになりました。トライアルのたびにそれぞれの字幕を見せ合って勉強したり、知識や情報をシェアしたり、同じ志を持つ仲間ができるきっかけになりました。

⑤制作した人々の思いが見る人すべてに届くよう、チームでより良いものが作れるよう、ぜひ頑張ってください。

◆石川萌さん
①第17回(2022年)
②『グレート・グリーン・ウォール~アフリカの未来をつなぐ緑の長城』
アフリカのサヘル地域において、気候変動による砂漠化を食い止めるための植林プロジェクトに関する作品

③音楽ドキュメンタリーなので、訳しながら歌っている時もあれば、強い信念でコミュニティを成功に導いたリーダーの言葉に勇気をもらうこともありました。サヘル地域の砂漠化について学ぶことのできる作品ですが、そもそもどんな文化がある地域なのかという点も音楽を通じて知ることができました。

④映画祭を通じて、難民の状況がそれぞれ違うように、必要な支援も様々であり、私たちができる支援も一人ひとり違っていいのだということを学びました。

⑤私が映画祭に参加したのは、2015年に欧州難民危機の渦中にあったハンガリーに住んでいながら、何もしなかった後悔からです。当時は、何か大きなことでないと支援にならないと思っていました。映画祭の翻訳を通じ、小さくても行動を起こすことが大切なのだと学びました。皆さんも、ぜひ何かできることから始めてみてください。

◆中野みな子さん
①第17回(2022年)
②『グレート・グリーン・ウォール~アフリカの未来をつなぐ緑の長城』
気候変動の影響に苦しむアフリカのサヘル地域

③作品の舞台となったサヘル地域や気候変動に関する信頼できる情報を入手するのに、苦労しました。自分ひとりでは限界があったと思いますが、チームの集合知で乗り切ることができたと感じています。

④作品を通じて気候変動が難民を生み出すということを知り、プラスチックをなるべく使用しないなど、自分にできることを続けています。

⑤自身の日常からは遠いと思っていた「難民」の存在ですが、自分にも難民を生み出す原因の一端があり、また状況を改善するためにできることがあると気づかされました。字幕を通じて世界とつながることができ、世界をほんの少しでも良くするお手伝いができたと感じています。また、難民映画祭に参加することでチーム翻訳の経験もできたことにも、感謝しています。

◆児山亜美さん
①第19回(2024年)
②『ザ・ウォーク~少女アマル、8000キロの旅~』
内戦や紛争によって故郷を追われたシリア難民の子どもたち

③作中に何度も出てくるhomeという単語の訳し方について、チームの皆さんと話し合ったことが印象に残っています。たった1つの単語とはいえ、難民問題の背景を伝えるためにはどの訳語が適切なのか、意見を出し合う過程で作品への理解が深まったように思います。

④地元の外国人コミュニティを紹介するイベントに参加し、外国人の日本語支援についてのセミナーを受講するなど、身近にいる外国人のことをもっと知りたいと思うようになりました。映画祭の広報サポーターの皆さんが紹介してくださっている飲食店も訪れてみたいです!

⑤難民映画祭に参加して一番心に残っているのは、上映会の会場で監督にお会いし、作品に込めた思いを直接聞けたことです。どんな状況にも希望はあるとお話されていたのですが、それは他の上映作品にも共通しています。現状を知るだけではなく、希望の灯を絶やさないために懸命に努力する人々の姿を見て、多くのことを感じられると思います。

◆萱場美晴さん
①第19回(2024年)
②『ザ・ウォーク~少女アマル、8000キロの旅~』
シリア国境から難民としてヨーロッパを横断するストーリー

③複数人で協力して訳したので、同じ単語でも場面に応じて訳し方をどう変えるかなど、皆さんと議論できたことが有意義でした。

④映画祭の映像ならではの良さを感じたことから、様々な映画祭で字幕ボランティアに参加しています。

⑤字幕作成の経験としてだけでなく、世界の現状を知る機会としても有意義だと思います。たくさん議論を重ね、学びを深めてください。

◆C.H.さん
①第20回(2025年)
②『見えない空の下で』
ロシアとの戦争による戦禍を逃れるため、ウクライナの地下鉄構内で暮らす人々

③字幕作成からしばらく離れていたため、新しい翻訳ソフトに慣れるのに苦労しました。また、戦争で使われた兵器に関する訳語に悩みました。例えば、「花びら地雷」という空から散布される地雷が出てくるのですが、地雷と聞くと地中に埋められているものというイメージもあるため、視聴者に伝わるかどうか迷いました。そんなとき、チームの皆さんに助けていただき、チーム翻訳の良さを実感しました。

④特に新たに始めたことはありませんが、近隣で行われている様々な難民支援の活動に目を向けるようになったように思います。(アメリカ在住)

⑤子どもたちの夏休みと字幕の作成期間が重なり、仕事や育児をしながら翻訳をするのは時間的に大変でしたが、家族で難民問題について話す機会を得られ、とても有意義でした。子育て中の皆さんも、ぜひ参加されてみて下さい。

「難民映画祭を字幕制作で支援する」
これは映像翻訳者ならでは社会貢献のカタチだ。難民となった人たちの想いを伝えようと真摯に翻訳に取り組むなかで翻訳者自身にも気持ちの変化が訪れたという。難民映画祭の上映作品を鑑賞する際は、そんな翻訳者たちの想いがこもった字幕にもぜひ注目してほしい。JVTAはこれからも難民映画祭のサポートを続けていく。

◆難民映画祭 
オンライン開催
2025年11月6日(木)~12月7日(日)
劇場開催
2025年11月 6 日(木) TOHOシネマズ 六本木ヒルズ(東京)   【上映作品】「ハルツーム」※終了
2025年11月13日(木) TOHOシネマズ なんば(大阪) 【上映作品】「ハルツーム」※終了
2025年12月 2 日(火) イタリア文化会館(東京) 【上映作品】「あの海を越えて」
2025年12月 3 日(水) イタリア文化会館(東京) 【上映作品】「ぼくの名前はラワン」

公式サイト:https://www.japanforunhcr.org/how-to-help/rff

【関連記事】

◆第20回難民映画祭が11月6日に開幕 青いバラにこめた思いを字幕で伝える

※同映画祭担当の山崎玲子さん(国連UNHCR協会・渉外担当シニアオフィサー)から翻訳者の皆さんにメッセージを頂きました。

◆2025年度 明星大学特別上映会/難民映画祭パートナーズ 特別サイト
『希望と不安のはざまで

12月6日(土)、JVTAが字幕翻訳を指導している明星大学で難民映画祭パートナーズの上映会が開催されます。

◆第20回難民映画祭・広報サポーターによる公式note 「みて考えよう!難民映画祭」

広報サポーターの活動や、作品レビュー、「わたしと難民映画祭」、各国の飲食店紹介などの情報が更新されています。字幕を担当した翻訳者の皆さんもぜひご覧ください。

◆【第20回難民映画祭】字幕翻訳と広報サポーターで修了生が活躍中!
今年のJVTAが携わる活動を一挙紹介しています。

◆【英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ 日曜集中クラスを2026年1月開講!】ご興味をお持ちの方は無料の学校説明会へ!
2026年1月からの英日映像翻訳学習をご検討中の方を対象に、リモート・オープンスクール、リモート個別相談を実施しています。ご都合・ご希望に合わせてお選びください。
※英日映像翻訳の時期開講は2026年4月予定です。ご検討中の方はリモート個別相談にお申込みください。

【2025年11月】英日OJT修了生を紹介します

JVTAではスクールに併設された受発注部門が皆さんのデビューをサポートしています。さまざまなバックグラウンドを持つ多彩な人材が集結。映像翻訳のスキルを学んだことで、それぞれの経験を生かしたキャリアチェンジを実現してきました。今回はOJTを終え、英日の映像翻訳者としてデビューする修了生の皆さんをご紹介します。

◆園田沙英さん(英日映像翻訳実践コース修了)
職歴:銀行(融資)、IT関連(テクニカルサポート、情報システム、社内IT研修の講師)

【映像翻訳を学ぶきっかけは?】
学生時代に映画館でアルバイトをするほど映画が好き。大学で英語を専攻するほど英語も好き。いつかは自分の好きなものに携わる仕事をしてみたいと思っていました。そんな中、見つけたのはYouTubeでJVTAの字幕作成動画。まさに自分の好きなものが詰まった仕事だと思い、すぐに映像翻訳を学ぶことを決意しました。

【今後どんな作品を手がけたい?】
まずは英語を好きになったきっかけである『ハリー・ポッターシリーズ』関連の映像に携わることが一つの目標です。他にもアメコミ作品やスパイアクションもの、ミステリーなど、ワクワクドキドキする作品も好きなので手がけてみたいです。観た人が作品に関わる何かを好きになれる、「好き」が生まれるきっかけになるような映像作品を日本中に届けたいと思います。

◆初谷亜希子さん(英日映像翻訳実践コース修了) 
職歴:ゼネコン(経理、現場事務、人事)

【JVTAを選んだ理由、JVTAの思い出】
映像翻訳に特化しており、定められた期間で計画的に学習できる点と、受発注部門が併設されている点を魅力的に感じJVTAを選びました。仕事と課題の両立は大変でしたが、同じ目標を掲げる素敵な仲間に出会い、1年半共に学べたのは大切な思い出です。

【今後どんな作品を手がけたい?】
イギリス留学経験があるため、イギリスの作品や、動物・芸術(アート、クラシック音楽、バレエ、建築など)・料理・陸上競技などに関する作品に携われると嬉しいです。また、様々な経験を積んでいつかは劇場公開作品を手がけたいです。

◆春木美果さん(英日映像翻訳実践コース修了 ロジカルリーディング力強化コース修了)
職歴:アメリカと日本でNPOスタッフ→NPO運営支援(フリーランス)、その他大学勤務など

【映像翻訳を学ぶきっかけは?】
昔から仕事で資料などの翻訳をすることがあり、「いつか翻訳者になりたい」と漠然と思っていました。コロナ禍で自分の行く末を考えるなかで翻訳者になる夢を思い出し、スクール情報を探していて映像翻訳を知りました。「自分には、独学でこのルールを会得するのは無理」と判断したのが、映像翻訳を学ぶきっかけです。

【今後の目標】
人権や平和の活動に関わってきたので、社会派作品の翻訳を手がけたいです。インド映画やタイポップスなどのエンタメや旅行など趣味の分野の作品にも携わりたいですが、どの作品でも翻訳があったことを忘れて作品を楽しんでもらえる映像翻訳者になることが目標です。パンフレットなど、文字コンテンツの翻訳にも関わりたいです。

◆山口真由さん(英日映像翻訳実践コース修了)
職歴:特許事務所⇒翻訳コーディネーター・チェッカー⇒フリーランス実務翻訳 / 翻訳会社勤務

【映像翻訳を学ぶきっかけ】
「英語を使って映画や音楽の仕事がしたい」。それが私の高校時代の夢でした。大人になり、特許や実務の翻訳に携わってきましたが、心のどこかでずっと「映画に関わりたい」という思いがありました。そんな中、映画館で観た『カモンカモン』の字幕に衝撃を受け、松浦美奈さんのような翻訳者になりたいと強く思ったことが、映像翻訳を学ぶきっかけとなりました。

【今後どんな作品を手がけたい?】
ヒューマンドラマ、ロマンス、アクション、SF、スプラッター、リアリティ番組、ドキュメンタリー、南米映画が好きで、今後ぜひ手がけていきたいです。また、30カ国以上を旅した経験を生かし、旅や料理のコンテンツも担当してみたいです。好奇心旺盛で調べものも好きなため、多様なジャンルの案件に積極的に挑戦していきたいと思っています。

★JVTAスタッフ一同、これからの活躍を期待しています!
◆翻訳の発注はこちら
◆OJT修了生 紹介記事のアーカイブはこちら

◆【英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ 日曜集中クラスを2026年1月開講!】ご興味をお持ちの方は無料の学校説明会へ!
2026年1月からの英日映像翻訳学習をご検討中の方を対象に、リモート・オープンスクール、リモート個別相談を実施しています。ご都合・ご希望に合わせてお選びください。
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【第20回難民映画祭】字幕翻訳と広報サポーターで修了生が活躍中!

第20回難民映画祭が11月6日に開幕。JVTAは今年も上映作品の字幕制作で協力しています。さらに今年は映画祭が公募した広報サポーターに、JVTAの修了生7名(青井夕子さん、中島唱子さん、中原美香さん、梶原阿子さん、長谷川睦さん、丸山綾さん、松井敏さん)とJVTAの広報スタッフが参加し、チラシやポスターの設置の交渉や送付といったPR活動や記事コンテンツの制作などを手掛けています。JVTAが関連したものをこちらで紹介していきます。また、映画祭広報サポートによる公式noteにはサポーターの皆さんによる作品のレビューも掲載されています。映画祭を初めて知ったからはもちろん、字幕を担当された翻訳者の皆さんも要チェックです!

◆第20回難民映画祭が11月6日に開幕 青いバラにこめた思いを字幕で伝える

同映画祭担当の山崎玲子さん(国連UNHCR協会・渉外担当シニアオフィサー)から翻訳者の皆さんにメッセージを頂きました。

※TBSラジオ『アフター6ジャンクション 2』に同映画祭担当の山崎玲子さんが出演
JVTAの字幕協力についてお話ししてくださいました。番組公式Youtubeにリンクします。


◆【難民映画祭20周年】わたしと難民映画祭(字幕翻訳者編)

2008年からの歴代翻訳者の皆さん12名の声を紹介しています。


◆2025年度 明星大学特別上映会/難民映画祭パートナーズ 特別サイト
『希望と不安のはざまで

『希望と不安のはざまで』


12月6日(土)、JVTAが字幕翻訳を指導している明星大学で難民映画祭パートナーズの上映会が開催されます。ゲストとして山崎やよい氏(NPO法人Stand with Syria Japan監事)が登壇予定。このイベントでは学生が翻訳字幕の制作からイベントの運営まで行っています。今年の上映作品『希望と不安のはざまで』はアサド大統領による独裁政権が崩壊し、歴史的な岐路にあるシリアの様子を追ったドキュメンタリー。イベントの公式サイトには学生たちによる作品解説なども掲載されています。ぜひ、ご覧ください。

JVTAは、青山学院大学と明星大学の大学生に字幕制作の指導や監修を行っています。この度、その様子を国連UNHCR協会に取材していただき、記事として紹介されました。

第20回難民映画祭 字幕でつなぐ難民支援の輪  ー 大学生による字幕制作の裏側をお届け!青山学院大学編 ー

第20回難民映画祭 字幕でつなぐ難民支援の輪  ー 大学生による字幕制作の裏側をお届け!明星大学編ー


◆第20回難民映画祭・広報サポーターによる公式note みて考えよう!難民映画祭」

noteには広報サポーターの活動や、作品レビュー、「わたしと難民映画祭」、各国の飲食店紹介などの情報が更新されています。

▶JVTA修了生の広報サポートによる第20回難民映画祭の作品レビューをチェック!

JVTAの修了生を含む広報サポーターの皆さんのレビューも掲載されています。作品がどのように視聴者に届いたのか?どの作品を観ようか迷っている方におすすめです。

『バーバリアン協奏曲』

▶字幕翻訳チームの青井夕子さんがnoteで執筆しています。各記事を読みたい方は下記からご覧いただけます。

『バーバリアン狂騒曲』翻訳の裏話①

『バーバリアン狂騒曲』翻訳の裏話②

『バーバリアン協奏曲』翻訳の裏話③

▶ジュリー・デルピー監督のメッセージ動画はこちら
※青井夕子さんが字幕を翻訳しています。

『アナザー・プレイス』

▶字幕翻訳チームの長谷川睦さん、松井敏さん、丸山綾さんにJVTAがインタビュー。

『アナザー・プレイス』翻訳秘話】 “字幕翻訳者はまるで探偵” その真意とは?

◆【英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ 日曜集中クラスを2026年1月開講!】ご興味をお持ちの方は無料の学校説明会へ!
2026年1月からの英日映像翻訳学習をご検討中の方を対象に、リモート・オープンスクール、リモート個別相談を実施しています。ご都合・ご希望に合わせてお選びください。
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【映文連 国際短編映像祭】昨今増えている企業のPR映像を訳すポイントとは

11月27日(木)、映文連 国際短編映像祭/International Corporate Film Showing 2025が東京池袋の新文芸坐で開催される。このイベントで上映されるのは、企業や団体のPR映像をテーマにした短編18作品。The WorldMediaFestivals(ドイツ)、 US International Awards(アメリカ)、Cannes Corporate Media & TV Awards(フランス)、AutoVision Awards(ドイツ)といった世界を代表する企業映像祭において今年度受賞した作品を中心にラインナップされている。JVTAは全18本の日本語字幕と公式サイトの作品紹介の解説文の作成とその英訳を担当し、9人の翻訳者が手がけた。(一部字幕のない作品もあり)。

翻訳者の小山史子さんは、今回5本の短編作品(『This is the rhythm of Swift』『The Broken Heart』『Am Wörthersee』『Visit the Original Sweden』『Close-ups of clean-ups』)の日本語字幕と作品解説の作成を手がけた。小山さんはこれまで、スポーツドキュメンタリー、アクション・サスペンスドラマ、企業PR映像などを担当している。アメリカ在住歴が長いため、エンタメ関係の案件を手掛けることも多く、現地の文化や空気感を肌で感じながら楽しく取り組んでいると話す。一方、政府関連の広報業務の経験もある。企業のカンファレンスのスピーチの翻訳などを手がける際は、企業独特のグロッサリー(専門用語)やスタイルガイドがあるため、丁寧に確認しながら作業を進めることに気を遣うという。

「その企業や団体の魅力を簡潔に分かりやすく伝えることを常に意識しています。特に企業ものの場合、その企業のことを知らない方が見ても理解できるよう、専門用語を避けて平易な言葉を選ぶようにしています。」(小山史子さん)

この映像祭の特徴はどれも10分にも満たない短い映像であること。例えば、スパイスをテーマにしたスイスの作品『Close-ups of clean-ups』はわずか53秒だ。字幕の数がわずかなうえに、1つの字幕の文字数も少なかったため、小山さんは言葉の選択に最後まで迷ったという。

「特に、味覚や触感を表現する形容詞が連続する作品だったため、似たような言葉が並ばないように辞書で類義語を調べたり、語尾の活用を工夫したり、最後まで頭を悩ませました。」(小山さん)

今回小山さんは映像の字幕だけでなく、クライアントからのシノプシスを元にして公式サイトに掲載される作品解説の作成も担当した。100字という限られたボリュームの中で、単なる説明に終わらせないことを心掛けた。

「まだ映像を見ていない方がこの解説文を読んで、『ぜひ見てみたい』と興味を持っていただけるような文章を目指しました。作品解説は映像への入り口となる文章ですので、作品の魅力や見どころを端的に、かつ印象的に伝えることに工夫を凝らしました。」(小山さん)

公式サイトには、作品解説が日本語と英語で併記されている。この英訳のほとんどを手がけたのが、日英翻訳者の下平里美さんだ。下平さんは、配信用コンテンツの吹き替え・字幕翻訳を中心に活躍。実写ドラマやアニメ、リアリティショー、邦画やドラマ・アニメのトレーラー、企業内研修の字幕、映画祭出品用の短編作品やトーク映像など幅広いジャンルの作品を手がけている。企業VPに特化したこのイベントではどんな工夫をしたのだろうか。

「まず制作側が提供する資料を最重視しました。そこに作品の意図や要素が凝縮されているからです。資料からターゲット層とメッセージを明確にし、核となるキーワードを精査しました。必要に応じてSNS投稿や記事、関連映像も確認し、背景を丹念に調べました。英語表記は一般的なものよりも資料の中で採用されている表記を優先し、制作側の思いが反映されるよう心がけました。」(下平里美さん)

今回、下平さんが担当した英語の作品解釈は17作品にも及ぶ。決められた字数制限の中で、多くの作品の概要をそれぞれの特徴を盛り込みながら書き分ける作業となった。下平さんが最も苦労したのは、要素を盛り込みすぎると、ネタバレに近づいてしまうということだったという。

「字数制限があるため文の密度が高く、メッセージが強くなりがちです。偏った解釈に陥っていないか時間を置いて何度も読み直しました。日本語版の解説も適宜参照し、乖離が生じないよう注意しました。読んで映像を『見たい』と思っていただける文章を最後まで意識しました。」(下平里美さん)

字幕や吹き替えというと映画やドラマのイメージが強いが、昨今はJVTAでも企業関連の案件を担当する機会が増えている。そのため、下平さんも受講したJVTAの日英映像翻訳コースでも、企業VPの英訳の授業が盛り込まれた実践的な内容となっている。

「企業映像の解説はドラマやアニメと異なり、脚本を単に要約するだけでは十分ではありません。企業の立場を理解し、意訳を通してメッセージを正確に伝える力が求められます。キーとなるメッセージが明確であることも大きな特徴です。それを正確に捉えるため、背景を丁寧に調べ、まっすぐに且つ魅力的に伝える姿勢は、授業で培われた基礎であり、今もジャンルを問わず実務の土台になっています。」(下平里美さん)

企業のPR動画は短い尺の中に企業の想いが凝縮されている。同じ字幕といっても映画やドラマとは違うトーンや言葉の選び方も求められ、その企業や業界に関するリサーチなども欠かせない。動画配信が主流の今、こうした翻訳のニーズはますます高まっている。このイベントは、世界の映像祭の受賞作品の数々が見られる貴重な機会、ぜひ会場に足を運んでほしい。

◆映文連 国際短編映像祭/International Corporate Film Showing 2025
2025年11月27日(木)19:00~21:00
新文芸坐
公式サイト:https://www.eibunren.or.jp/icfs/icfs2025.html

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【第3回ヘルヴェティカ・スイス映画祭が神戸で開催】主催の松原美津紀さんと翻訳者に聞く今年の見どころ

「第3回ヘルヴェティカ・スイス映画祭」が11月22日(土)に神戸の元町映画館で開幕する。JVTAは第2回となる昨年から日本語字幕制作を担当しており、今年は全6作品のうち、日本初公開となる4作品の字幕を7人の翻訳者が手がけた。

この映画祭を主催するのは、スイスで新旧の日本映画を上映する唯一の日本映画祭「GINMAKU日本映画祭」を2014年から開催する松原美津紀さん。スイスと日本に関する映画を上映する映画祭を両国で、しかもたった一人で運営するという稀有な存在だ。今年の上映作品は、スイスという国を、映画を通して多面的に見てもらうという視点から選定したという。全ての上映の前後にトークの時間を設け、作品の背景や、スイス社会の現在の姿を伝えたいという松原さん。今年の見どころを聞いた。

松原美津紀さん

◆注目は決してハッピーエンドではない名作

松原さんがまず注目の1本に挙げるのは、『バガー・ドラマ』。舞台芸術を手がけ、今年の「サン・セバスティアン国際映画祭」では新人監督賞も受賞したピート・バウムガルトナー監督の初長編映画だ。「GIINMAKU 日本映画祭」では、決してハッピーエンドではない作品を上映することが多いそうだが、同作もその一つだという。

「美しい映像の中に潜む小さな不協和音。完璧な家庭のように見えるけれど、どこかずっと心がざわつく。その違和感の描き方が本当に見事で、“家族が壊れていくことが、結果的に良かった”と思えるような作品です。」(松原さん)

観終わった後、しばらく席を立てなかった感動作

また、松原さんは心に深く残る作品として『マイ・スイート・ホーム』を挙げる。取り壊しのために団地から退去を迫られる二人の高齢女性の姿を追ったというドキュメンタリーだ。

「高齢化が進むスイスで、どう生きるのか、家族の気持ちと自分の心の声の間で揺れる姿が、静かに胸に迫ります。観終わった後、しばらく席を立てなかったほど深く感動を覚えた大切な作品です。」(松原さん)

何気ないひと言ほど、大切に翻訳する

『マイ・スイート・ホーム』の字幕は板垣麻衣子さんと中野真梨子さんが手がけた。スイスにはドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の四つの公用語があり、多様な文化が根付いている。この作品のオリジナル言語はドイツ語だが、字幕は英語字幕から翻訳した。板垣さんはドイツ語の翻訳者でもあるが、スイス・ドイツ語はアクセントが強く、登場人物たちが高齢なこともあって聞き取りに苦労したそうだ。しかし、控えめで実直でチャーミングな2人の人生を、翻訳を通じて垣間見ることができたのは得がたい体験だったと話す。

「プロデビューして初めて手がけた映画作品が、この静謐なドキュメンタリーでした。カメラが追いかけるのは、スイス・チューリッヒ郊外に暮らす2人のお年寄り。保険会社の利益追求のために、思い出の詰まった住まいが取り壊されることになったハンニとロサは、大切にしてきた家財道具や本、旅先で縫った思い出のスカートなど、彼女たちの人生そのものといっていい品々を手放さなければならなくなります。そこにあからさまな暴力や不正はありませんが、人生最後の日々を住み慣れた家で暮らすこともやはり人間の尊厳に関わっているのだということを、視聴者はほろ苦いラストシーンで直感します。」(板垣麻衣子さん)

また、翻訳者の中野真梨子さんは、映像の中のセリフ以外に状況を説明する要素がなく、登場人物が置かれた状況を理解するために、集合住宅の仕組みがスイスで生まれた背景を含め、歴史や文化に関する情報を確認した。移民の増加や地価の高騰、洗濯機の共同利用が一般的であることを確認したり、番地や映像に映る建物を地図上で確認したり、できる限り把握することに努めたという。また、セリフだけを追っていると薄い内容の字幕になってしまうため、何気ないひと言ほど、どう表現するか悩んだと話す。

「この作品の見どころはハンニとロサが時折見せる穏やかな眼差しです。変えられない状況があっても、家族や思いを受け止める理解者がいれば前を向くためのささやかでも確かな力になることを教えてくれます。彼女たちが何を感じ、何を思い出しながら言葉を発しているのか目の表情や声のトーンを意識して翻訳するようにしましたが、行き詰まったときは監督のインタビューを読んだり映画のレビューを読んだりして、他の人の視点を知るようにしました。同じように、相互チェックをしてくださった板垣さんとチェッカーの方々のフィードバックが丁寧かつ的確でとても助けられました。」(中野真梨子さん)

スイスと日本を結ぶ“不思議なご縁”

元町映画館15周年記念上映と銘打った『要塞』にも注目したい。2008年に35mmフィルムで撮影された同作は、同映画館のプレオープンの時に最初に上映されたという特別な作品だ。松原さんは、準備の段階である“不思議なご縁”を感じることになる。実は「元町映画館」と、スイスで「GINMAKU 日本映画祭」を開催している映画館「Houdini」の開館日が、全く同じ日、8 月 21 日だったのだという。

「スイスと日本、それぞれの映画館が同じ誕生日だなんて、本当に不思議なご縁で、ちょっと涙が出ました。この『要塞』という作品は“過去”の難民受け入れ施設を見つめるドキュメンタリーなのですが、同じく今回上映する『ロツロッホ』という“現代”の難民を映すドキュメンタリーと両方ご覧いただくことで、“時代とともに何が変わり、何が変わっていないのか”を感じていただけたらと思っています。」(松原さん)

JVTAへのメッセージ

昨年は関西在住の翻訳者が元町の映画館に駆けつけ、松原さんと直接お会いすることができた。今年も翻訳者とともに大きなスクリーンで作品を鑑賞できることを楽しみしていると松原さん。JVTAにメッセージを頂いた。

「今年も、一つひとつの作品に心を込めて丁寧に向き合ってくださり、心より感謝申し上げます。作品の背景や専門的な理解を要するシーンに至るまで、さまざまな場面を見事に汲み取り翻訳していただき、昨年に続き字幕作成をお願いして本当によかったと感じております。翻訳者の方々へお繋ぎいただき、スムーズなコミュニケーションが叶いましたのは、いつも迅速にご対応くださる麻野さん(翻訳ディレクター)のお力添えあってのことです。ありがとうございました。」(松原さん)

◆手作り感あふれるおもてなしは初の試み

今年は初の試みとしてイスラーム映画祭主宰の藤本高之さんをゲストに迎え「ひとりで映画祭を運営するということ」をテーマにしたトークイベント(https://www.motoei.com/post_event/hsff03_talk/)も開催される。さらに、映画祭開催中は、部数限定で「松原セット」が販売されるという。これは不定期で発行している手書き新聞「松原ニュース」のアーカイブと、全上映作品が神戸での上映が叶うまでの舞台裏や作品の魅力を語る「松原コラム」をセットにしたもの。こうした松原さんの手作り感あふれるおもてなしもこの映画祭の大きな魅力だ。映画祭会場で松原さんは着物姿で観客を迎えるという。ぜひ、会場に足を運んでスイスの映画の世界を堪能してほしい。

◆第3回 ヘルヴェティカ・スイス映画祭
2025年11月22日(土)~11月28日(金)
神戸・元町映画館

公式サイト:https://www.h-sff.com

【関連記事】

・【「ヘルヴェティカ・スイス映画祭」代表 松原美津紀さんインタビュー】映画でスイスと日本を繋いだ10年の軌跡

・【ヘルヴェティカ・スイス映画祭に字幕で協力】映画を通してスイスの多様性を知る

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【難民映画祭『アナザー・プレイス』翻訳秘話】 “字幕翻訳者はまるで探偵” その真意とは?

現在開催中の難民映画祭は今年で20回を迎える。JVTAは2008年の第3回から字幕制作という翻訳者ならではのカタチでこの映画祭の支援を続けてきた。

今年の上映作品『アナザー・プレイス』は、戦争や迫害を逃れて、コンゴ、シリア、アフガニスタンからヨーロッパにたどり着いた3人の難民の人生を追ったドキュメンタリー作品。日本語字幕はJVTAで学んだ8名の翻訳者がチームを組んで完成させた。

【字幕翻訳チーム】
ウェスト知佐さん
長谷川睦さん
松井敏さん
丸山綾さん
宮城久美さん
盛岡雅恵さん
森田朝美さん
渡邊有花さん

翻訳チームの中の丸山綾さんと長谷川睦さん、松井敏さんは今年、広報サポーターとして同映画祭のPRにも取り組んでいる。3人に翻訳秘話を聞いた。まず、この作品のタイトルの解釈や見どころを、松井敏さんと長谷川睦さんが、簡潔に解説してくれた。

「本来の自分の居場所である“マイ・プレイス”に対する“アナザー・プレイス”。それぞれの事情から、それぞれの母国を離れる厳しい運命を負った若い3人(撮影時は全員20代)が、それぞれ別の地で自分の居場所を求める葛藤と努力を、自身も6歳の時に難民としてアメリカに渡った監督が、自分の複雑な過去を織り交ぜながら、現実のものとして映し出します。」(松井敏さん)

「日本に住んでいる私たちは『難民』について受け入れる側の視点でニュースを通じて知りますが、この作品では国外に避難した時のこと、避難先での生活や苦労が一人ひとりの経験に基づいてリアルに語られており、『難民』を社会問題の1つとしてではなく、『一人の人間』としてどんな経験をし、何を感じているのかということを知ることができます。」(長谷川睦さん)

字幕づくりは、まず8人の翻訳者がそれぞれの担当箇所の字幕を作り、それらを統合し全員で話し合いながら一つの字幕に仕上げていく。松井敏さんは、「チーム翻訳の苦労(面白さ)は、基本語彙から話し方に至るまで、各人物のセリフの統一」と話す。特に重要となる単語(“祖国”、“ふるさと”、“居場所”、など)や表記方法に一定の統一ルールがあり、場面によっては例外で対応するなど、それぞれの訳者の感性、個性の匙加減で微妙に変わる結果を、全員でチェックしながら言葉を統一していった。

「お互いの考えをぶつけ合って最善値を出す作業でした。チーム翻訳(共同作業)の難しさと面白さは最高の経験になりました。これが面白いと思えることが字幕翻訳者の適性かもしれません」(松井敏さん)

難民映画祭の作品はさまざまな国が背景となっており、多言語の作品が多いが、翻訳者は英語字幕から日本語字幕を作成する。この作品では横下の位置に英語字幕が表示されるため、日本語字幕は縦位置に併記されている。縦字幕はスペースの関係から横位置より文字数が少なくなり、翻訳の難易度は高くなる。長谷川睦さんは厳しい字数制限の中でチームのメンバーと試行錯誤しながら全員で一丸となり、より良い表現を探したという。

「話者の伝えたいことを限られた文字数の中でいかに表現するかという点に苦労しました。避難した時のエピソードや心情について語られているシーンでは、正しく訳すだけでなく臨場感が欠けてしまわないような言葉選びを強く意識しました。」(長谷川睦さん)

『アナザー・プレイス』写真の女性がアフガニスタン人ザハラ

丸山綾さんは、翻訳時に特に印象に残ったセリフを具体的にあげてくれた。アフガニスタン人の女性ザハラのセリフ “It’s the only gift God ever gave me” の “the only gift” の訳については、二転三転どころか八転したという。直訳では「神様がくれた唯一の贈り物です」だが、その後のセリフが「心はボロボロに疲れ果てています」と続く。前後がうまく繋がらず、このgiftの意味は何か?という疑問が生まれた。

「神からの『試練』を指しているのか、ザハラ自身の『成長』や『経験』のことなのか、あるいは若さゆえの『美』を意味しているのか――チーム内でも意見が分かれ、相互に訳をチェックし合うスプレッドシートの記入欄が上限に達するほど、熱のこもった議論が続きました。」(丸山綾さん)

最終的には、サブリーダーの長谷川さんの案が監督からのメディア向け資料との整合性も取れていたため、全員が納得して、「若さ」と訳したという。一見シンプルな英文でも実は翻訳者がこれだけの労力をかけてセリフを訳しているという好例と言えるだろう。

丸山さんの解説は続く。ドイツに逃れたザハラ一家だが、ザハラだけ家族とは別の場所で暮らしていた。その後、同じ場所に移動できる機会が訪れた時のセリフ“I can move to their building”もまた意見が分かれた。直訳だと「彼らの(住む)ビルに引っ越せる」だが、丸山さんはあるメンバーから「原文どおり、家族と同じ建物に引っ越しただけで、同居ではないのでは?」という指摘を受ける。

「実は私も当初は同じ疑問を抱いたので、映像を穴があくほど見返し、『今回は確かに同居だ』と言える根拠を見つけていました。ヒントはベッドとクローゼットです。そのシーンのキャプチャとともに、同居だと考える理由をメンバーに共有し、『私たち、探偵みたいですね』とメッセージを添えたところ、『探偵の先輩と呼ばせてください!』とノリのいい返信をいただき、思わず頬が緩みました。」(丸山綾さん)

これだけ本気で「セリフ」を共に磨いたチームだが、実はすべてオンライン上での交流であり、実際に顔を合わせたことはないそうだ。しかし、「作品をより良くしたい」という思いがリーダーを中心に共有され、誰もが遠慮なく意見を言い合える雰囲気で、今では心から信頼できる仲間だと丸山さんは感じている。

難民となった人たちの想いを伝えようと翻訳に取り組むなかで翻訳者自身にも気持ちの変化が訪れた。長谷川さんは、これまで「他国での出来事」と思ってどこか他人事のように感じていたが、自国の情勢などで困難に苦しむ人たちを少しでも減らしたいと、自分の意識が変わったことを実感している。

「今までは難民問題を受け入れる側の立場でしか考えていませんでした。この作品に携わり、密入国業者を頼って国から避難する子どもや、命の危険があると知りながらも子を見送らざるをえない親など、一人ひとりがどんな思いで生きているのかということを知り、難民問題が私にとってより現実味のあるものになりました。私にも5歳の娘がおり、同じ親としてその様な経験をしている人たちのことを思うと胸が張り裂けそうになります。当然のことですが、立場が変われば見方が変わるということを改めて気付かせてもらえました。」(長谷川睦さん)

一方松井さんは、早速、UNHCRのマンスリー・サポーターに登録、これからも微力ながら生涯支援を継続してゆくという。

「伝わる字幕を目指し、チーム全体の字幕に込める熱意、セリフへの思いが凄く、自分も登場人物の気持ちの理解に集中することができました。この作品に映しだされる、今まさに進行中の葛藤や思いを実感することで、難民一人ひとりの置かれている現実を、隣人のこととして思い始めることができました。」(松井敏さん)

自国を離れて生きていくとはどういうことなのか。『アナザー・プレイス』は当事者の視点で描いていく。翻訳者が登場人物に寄り添い、膨大な議論を交わして作り上げた字幕にもぜひ注目しながら、作品を鑑賞してほしい。

難民映画祭 

オンライン開催
2025.11.6(木)~12.7(日)

劇場開催
2025.11. 6 (木) TOHOシネマズ 六本木ヒルズ(東京)   【上映作品】「ハルツーム」※終了
2025.11.13(木) TOHOシネマズ なんば(大阪) 【上映作品】「ハルツーム」※終了
2025.12. 2 (火) イタリア文化会館(東京) 【上映作品】「あの海を越えて」
2025.12. 3 (水) イタリア文化会館(東京) 【上映作品】「ぼくの名前はラワン」

公式サイト https://www.japanforunhcr.org/how-to-help/rff

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◆難民映画祭広報サポーターの皆さんによる『アナザー・プレイス』のレビューを紹介

◆【英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ 日曜集中クラスを2026年1月開講!】ご興味をお持ちの方は無料の学校説明会へ!
2026年1月からの英日映像翻訳学習をご検討中の方を対象に、リモート・オープンスクール、リモート個別相談を実施しています。ご都合・ご希望に合わせてお選びください。
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【フィンランド映画祭】姉妹の口調や関係の変化、縦字幕の厳しい字数制限、解釈の相違などを4人で精査した字幕翻訳秘話とは

フィンランド映画祭が11月8日(土)渋谷のユーロスペースで開催される。JVTAは毎年、この映画祭に字幕制作で協力。上映作品には、今フィンランドで話題の選りすぐりの傑作がラインナップされており、今年も全5作品の日本語字幕を担当した。

『100リットルのゴールド』(テーム・ニッキ監督)はニッキ監督の地元であるフィンランド中西部シュスマを舞台にした風刺コメディだ。主人公は、フィンランド名産である濃厚なビール、サハティを自家醸造する中年の姉妹、タイナとピルッコ。ある日、二人の妹、パイヴィの結婚式に100リットルのサハティを届ける依頼を受けるが、仲間と大騒ぎするうちに在庫をすべて飲み干してしまう…。結婚式まであと24時間。妹に贈る100リットルのサハティを求めて二人の豪快で無鉄砲な珍道中が始まる!ニッキ監督は、この作品で2026年アカデミー賞最優秀国際長編映画賞のフィンランド代表に選出された。ちなみに、ニッキ監督もシュスマの養豚農家の息子で家族がサハティを醸造しているそうだ。

『100リットルのゴールド』

日本語字幕は、JVTAで学んだ翻訳者、赤井雅美さん、川原田仁美さん、濱本佐宮良さん、福地奈緒子さんの4人がチームを組んで手掛けた。4つのパートに分けて各自が作った字幕を統合し、4人で話し合いながら細かい精査を行い、一つの字幕として完成させた。

「プロデビューしたばかりの翻訳者さん4人が、持てる力をすべて出し切って全身全霊で取り組んでくれました。どの字幕をとっても、一つひとつが選び抜かれた言葉で作られていていきいきとした表現が、キャラクターとストーリーにまさに命を吹き込んでくれています。ご覧になった方たちにきっと楽しんでいただけると思います。」(先崎進・JVTAディレクター)

翻訳チームで最も話し合ったのは、姉妹の口調だという。セリフを訳す映像翻訳の場合、口調は人物のキャラクターを表す重要なポイントとなる。基本的には全体を通して統一していくが、同じ人物でも相手やシチュエーションによって語尾などが変わってくる。

「特にタイナをどう描くかで意見が割れましたが、最終的には語尾をそろえるより、そのシーンの感情に合わせてトーンを考えることにしました。人間らしい感情の振れ幅があるキャラクターなので、場面に合った自然な口調を大事にしました。」(赤井雅美さん)

「物語が展開していく中で、登場人物にも変化が訪れるので、各パートでのキャラクター像も当然変わってきます。全体を通しての統一感を維持するために、“木を見て林を見て森を見て…”を繰り返すことを心掛けました。また、セリフの翻訳は感覚に頼りがちです。正しい日本語を使いながらも、硬すぎず、砕けすぎず、クセの強いキャラクターに合った表現を探すことに苦心しました。」(福地奈緒子さん)

濱本佐宮良さんは、一つの作品に4人で向き合う中で、ストーリーの解釈にも意見が分かれることがあったと話す。濱本さんが担当したパートでも別の解釈を提案された箇所もあり、改めて自身の解釈について深く考え直し、自分の伝えたいポイントが字幕にしっかり反映されているかどうかを徹底的に検討する、よい機会になったという。

「翻訳をするにあたっては当然自分なりに作品をしっかり観てから臨むわけですが、作業をするうちに自分のパートに集中しすぎて大局的な視点を失ってしまわないようにすることが大切だと感じました。」(濱本佐宮良さん)

各自が訳した言葉を一つの字幕にまとめるには、全体のトーンや言葉の統一も不可欠だ。川原田仁美さんは、各パートに出てくる同じ単語やフレーズの訳語を統一するのか、状況に応じた訳語にするのかなど、チームで細かく訳語をすり合わせたと振り返る。

「解釈が分かれる訳語については、納得がいくまでとことん意見を交わしました。その甲斐あってリライトを重ねるうちに訳がどんどん磨かれていき、最終的に無駄を削ぎ落とした濃い字幕になったのではないかと思います。」(川原田仁美さん)

オリジナルの言語はフィンランド語だが、こうした多言語の作品が映画祭で上映される場合、ほとんどが英語字幕を元に日本語に翻訳される。映画祭では英語字幕と日本語字幕は併記されることも珍しくない。この作品でも横字幕で英語字幕が表示されるため、必然的に日本語字幕は縦字幕となり、文字数がさらに限られ、翻訳者には難易度が増すことになった。

例えば、少ない文字数の中で、姉妹を馬鹿にしたような英語の言葉遊びを「タイナ タイナ めでたいな」と日本語にもうまく反映し傍点で強調した。また、作中に何度か出てくるキーワード「クルナ」に関しては、初出時に「ろ過槽」にクルナとフリガナをつけ、その後は「クルナ」に統一するなど簡潔ながら作品のニュアンスが伝わるための工夫も字幕に垣間見える。

「各セリフのメッセージやニュアンスを過不足なく伝える字幕を作ることに力を注ぎました。文字数が多いほうが伝えられる内容は増えますが、少ない文字数の中に本当に伝えなければいけない内容をぎゅっと凝縮する作業は翻訳者冥利に尽きる幸せな苦悩でしたし、最終的に無駄のない美しい字幕ができたのではないかと思っています。」(濱本佐宮良さん)

大量のサハティを手に入れるために姉妹はハチャメチャな作戦を繰り返すが、やがて父や親せき、地元の仲間などとのやり取りの中で二人が抱える問題が見えてくる。川原田さんは、「見どころは、サハティ騒動の中で描かれる姉妹の関係性や心情の変化。酒にだらしないのにどこか憎めない二人を応援したくなる」という。

「自分以外のパートをチェックしながら、思わずホロリとさせられるシーンもありました。ただのコメディではなく、心が揺さぶられる作品だと思います。」(川原田仁美さん)

「豪快な姉妹ですが、妹のために必死になる理由がそれぞれにあり、約束を果たすまでの過程で描かれる葛藤や決意など、心の動きにもご注目いただきたいです。」(福地奈緒子さん)

北欧の映画は静かな日常の中にシュールな笑いがあり、翻訳者の間でも人気がある。仲が良かった姉妹だが次第にほころび始め、最後には気持ちをぶつけ合う。その過程がすごく人間味があり、心に残ったと話すのは、赤井雅美さんだ。

「作品のいたるところにふっと笑える瞬間があって、静かなユーモアがフィンランドらしい作品だと思いました。字幕を通して、登場人物の息づかいや、フィンランドの空気のようなものが少しでも伝わればうれしいです。」(赤井雅美さん)

「フィンランドの片田舎の風景や素朴なインテリアなども印象的でした。散らかった部屋の壁に飾られた絵や置かれた小物たちがどれもかわいくて、北欧好きな方なら心をくすぐられるのではないでしょうか。」(濱本佐宮良さん)

福地さんは、最終稿が完成して全体を見た時に、始めに英語字幕だけで観たときとは比較にならないほど作品の魅力が伝わってきて、日本語字幕の持つパワーを強く感じたという。トラブルだらけの姉妹は妹のためにサハティを手に入れられるのか?

ぜひ、劇場で見届けてほしい。

◆フィンランド映画祭
2025年11月8日(土)~ 14日(金)
ユーロスペース
公式サイト:http://eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000934

【東京国際映画祭が開催】映画祭ガイドと公式プログラムの英訳でも映像翻訳者が活躍

10月27日(月)、第38回東京国際映画祭(TIFF)が開幕する。TIFFは、1985年に日本ではじめて大規模な映画の祭典として誕生。才能溢れる新人監督から熟練の監督の作品まで、世界中から厳選された映画が集結し、毎年メディアでも大きく報道される人気のイベントだ。JVTAは今年も公式プログラムの英訳やデイリーペーパーの翻訳などを担当し、JVTAで映像翻訳を学んだ翻訳者が活躍している。公式プログラムと映画祭ガイドの英訳を手がけたキンチョ・コスタさんに話を聞いた。

東京国際映画祭 トレイラー

歴史ある国際映画祭とあって、公式プログラムと会場で配布される映画祭ガイドは2カ国語となっており、昨今JVTAがその英訳を担当している。映画祭ガイドでは、作品名、監督名、出演者、作品の解説などが英語と日本語で併記されているが、2つの言語は同じスペースに配置され、同じ字数制限に合わせることが必須だ。英訳には漢字が使えないうえ、題名や人名の場合は字数がすでに決まっている。キンチョ・コスタさんは、なるべく簡潔に情報を伝えようとしたが、結局、英訳には情報を省略することが必須だったと話す。

東京国際映画祭の映画祭ガイド

「最も難しかったのは、作品に関するネタを徹底的に調べながら、その情報を取捨選択し、文章のトーン、そして書き手が伝えたいことをきちんと守りつつ、情報を削ることでした」(キンチョ・コスタさん)

映画祭では、プレミア上映作品、初めて英語字幕付きで上映される作品、過去の古い名作などさまざまな作品が上映される。翻訳者はただ日本語のテキストを訳すだけではなく、各作品の背景やストーリーの詳細を詳しく調べたうえで英訳に反映していく。コスタさんは、JVTAの授業で学んだテキスト翻訳やストーリー分析などの知識を活かし、リサーチで得た情報をもとに作品とキャラクターを理解し、最も中心的な情報を抜き出した。

「日本語のガイドには載っていない情報をリサーチで得た場合、英語でそのニュアンスを伝えるべきか、それともネタバレになるのかという判断も難しかったです。」(キンチョ・コスタさん)

東京国際映画祭  公式プログラム

また、会場で販売される公式プログラムには、作品の概要だけでなく、映画祭関係者の挨拶や上映プログラムの解説なども記載されている。こうした英訳には、コスタさんが日頃手がけるビジネス系動画の字幕制作やアニメプロジェクトの経験も役立った。

「映画祭関係者の挨拶などを英訳する際には、英語の自然さを保ちながら、一人ひとりの個性的な文章の表現や口調を伝えることを大切にしました」(キンチョ・コスタさん)

◆東京国際映画祭 映画祭ガイド

※下記からダウンロードはこちら(映画祭公式サイトにリンクします)

東京国際映画祭では、国内外の映画祭の受賞作品も上映される。コスタさんは、今年の「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2025」に出品され、コンペティション部門SKIPシティアワードを受賞した『長い夜』(草刈悠生監督)の英語字幕制作にも携わった。2年前に海に消えたカイと恋人の真理、親友の光一の複雑な心の動きを追った注目作。この作品についてコスタさんは、演出が繊細で、メインキャストの自然主義的な演技も素晴らしかったと振り返る。

◆『長い夜』(草刈悠生監督)
詳細はこちら (映画祭公式サイトにリンクします)

「長い夜」Yui Kusakari©

字幕を作るうえでチャレンジングだったのは、非常にゆっくりとした対話のペースだという。セリフの間に長いポーズが挟まれているがセリフ自体は短く簡潔で、日本語のニュアンスを英語でも簡潔に伝える必要があった。

「3人のチームで字幕を担当したのですが、私のパートでは真理と光一の喧嘩のシーンも含まれていました。そのシーンの対話やキャラクターの怒りが非常にリアルに感じられたので、そのクオリティを英語字幕でも保ちたいと思いました。しかし、このシーンではセリフがパパパと続くため、それまでのゆっくりしたペースで読める字幕のリズムを崩さないよう、さまざまな工夫を凝らしました」(キンチョ・コスタさん)

キャラクターの立場に立って、彼らの「声」を探す過程で、欠点も含めて各キャラクターに親しみを感じるようになったというコスタさん。最後の海のシーンで彼らを見て心が浄化されるような気持ちになったと話す。

今年の東京国際映画祭では、ほかにもJVTAで学んだ翻訳者が字幕を手掛けた作品が上映される。国内外の映画祭の受賞作品にも注目したい。

◆『空回りする直美』(中里ふく監督)
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「空回りする直美」©『空回りする直美』製作委員会/東放学園映画専門学校

父親と発達障害のある兄、慎吾と暮らす直美の日常を描いた同作は、ぴあフィルムフェスティバル(PFF)「PFFアワード2025」でグランプリを受賞。英語字幕は、リー・スタビングスさんが手掛けている。スタビングスさんは、クリエイティブなライティングに注力し、映画やドラマの字幕翻訳だけでなく、ビデオゲームの翻訳やプロジェクト・マネージャーなど幅広く活躍中だ。

「この映画は一緒に暮らすことに苦悩する兄妹の関係を描いていますので、翻訳では登場人物の感情をできるだけ汲み取り、英語でも忠実に表現することを心がけました。特に兄によるラップの部分は、兄の創造性とユーモアのセンスを示す重要な要素であり、時間をかけて翻訳しました。」(リー・スタビングスさん)

◆『Little Amélie or the Character of Rain(英題)』(メイリス・ヴァラード監督、リアン=チョー・ハン監督)
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『Little Amélie or the Character of Rain(英題)』© 2025 Maybe Movies, Ikki Films, 2 Minutes, France 3 Cinéma, Puffin Pictures, 22D Music

アヌシー国際アニメーション映画祭2025審査員賞受賞作品。日本語字幕を担当したのは、JVTAで学んだベテラン翻訳者、今井祥子さんだ。今井さんは東京国際映画祭のプログラミンググループのスタッフとして、運営に携わっている。今井さんによると、原作者のアメリー・ノートンはフランス語圏では大人気の作家で、原作は、ベルギーの外交官の娘として神戸で幼少期を過ごした彼女の自伝的小説だという。それをレミ・シャイエ(『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』『カラミティ』の監督)の下で経験を積んだフランス人アニメーターコンビが映画化したという注目作だ。

「アニメーションならではの色彩・光・サウンドで描かれる70年代の日本の風景が、なんとも郷愁を誘います。自分も子どもの頃はこんなふうに世界が見えていたのかもしれないなぁ、と思いながら翻訳しました。」(今井祥子さん)

東京国際映画祭に出かけたら、ぜひ映画祭ガイドも手に取って2カ国の解説も注視してほしい。

◆東京国際映画祭
2025年10月27日(月)~11月5日(水)

シネスイッチ銀座(中央区)、角川シネマ有楽町、TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 日比谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、丸の内ピカデリー、ヒューリックホール東京、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場、LEXUS MEETS…、三菱ビル1F M+サクセス、東京宝塚劇場(千代田区)ほか、都内の各劇場及び施設・ホールを使用

公式サイト:https://2025.tiff-jp.net/ja/

◆【英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ 日曜集中クラスを2026年1月開講!】ご興味をお持ちの方は無料の学校説明会へ!
2026年1月からの英日映像翻訳学習をご検討中の方を対象に、リモート・オープンスクール、リモート個別相談を実施しています。ご都合・ご希望に合わせてお選びください。
※英日映像翻訳の時期開講は2026年4月予定です。ご検討中の方はリモート個別相談にお申込みください。

【ロジカルリーディング力強化コース 修了生インタビュー】翻訳者として何を受け取って、どう訳すのか

小池陽子さんは英日映像翻訳 実践コース修了後、1年ほどトライアルを受験するがなかなか合格できず悩んでいた。クラスメートの勧めもあり、2024年4月期の「ロジカルリーディング力強化コース」を受講し修了後に見事トライアルに合格、2025年7月にプロとしてのキャリアをスタートした。現在は企業研修用映像の翻訳、配信映画の字幕などを手掛けている。「もっと良い翻訳をしたい。そのためには何をどう考え、どんな取り組みが必要なのか、そのヒントが欲しい」という切実な思いが、同コース受講の原動力だったという小池さんが、このコースで何を身につけたのか、話を聞いた。

◆先に合格したクラスメートの勧めが受講のきっかけ

小池さんは、トライアルの突破口が見つからないとき、先に合格したクラスメートの数人が「ロジカルリーディング強化コースを受講して、とても勉強になった」と話していたことを思い出す。メールマガジンで友人の同コースの体験談を読み、受講を具体的に検討するようになった。

さらに背中を押したのは、小池さんにJVTAを教えてくれた友人の存在だった。小池さんと同じようにトライアルに挑戦していた彼女が同コースを受講すると聞き、自身も受講を決めたという。

「不合格続きでどんよりとした気持ちでのスタートでしたが、毎回授業のテーマに沿って課題に取り組むうちに、『翻訳が好き』という気持ちを思い出すことができました。受講して本当に良かったです。」(小池陽子さん)

◆翻訳者として何を受け取って、どう訳すのか

小池さんが授業で特に印象に残っているのが、「翻訳者として何を受け取って、どう訳すのか」という山根克之講師の言葉だ。原文の構文や単語、表現がすでに知っているものであっても、安易に済ませてはいけない。特に、その単語で最初に覚えた訳語は危険だということを学んだ。

例えば、受講し始めて間もない授業には、「英語のクセや日本語との距離を考える」というテーマがあり、比喩表現やユーモアを含む文章の課題に取り組んだ。英語圏で暮らした経験のない小池さんには、この課題は特に難しく感じられたという。

ある問題に出てきた「In fact」の訳し方は印象に残っている出来事の一つだ。一般的には「実際に(は)」や「要するに」など、前文の内容を補足・強化する訳がまず思い浮かぶが、その課題文では「それどころか、むしろ」というように、前文を否定・訂正する意味で使われていた。

また、ある課題では、特定の単語が使われている意図を考えることの大切さを学んだ。野球チームの監督の業績を語る場面で出てきた「sail」という動詞を、文脈から「チームを監督する、指揮する」という意味合いで捉え、「指揮官」と訳したところ、山根講師から「それならなぜ ‘manage’ ではなく、野球と関係ないと思われる ‘sail’ が使われているのか?もっと全体を見て考えて、訳すように」という指摘を受けた。

「この課題文は大航海時代の話から始まって、この監督の話に行き着くユニークなものでした。それまでの話の流れと絡めて『sail』が使われている意図を汲み取り、それが伝わるように訳すことが大切だと教わりました。シンプルな単語でもどう訳すかは翻訳者の技術であり、それを磨いていくことが大切なのだと学びました。」(小池陽子さん)

和やかなクラスで疑問点をその場で解決

平日午後のクラスだったこともあり、ロジカルリーディング力強化コースでは4名、さらに進級したロジカルリーディング・アディショナル5では3名という少人数でのクラスで学んだ小池さん。質問の時間も十分にあり、疑問点をその場で解消しながら進めることができたという。

「毎回、授業の冒頭に山根先生がアイスブレイクとして面白い話をしてくださるので、自然と和やかな雰囲気になり、リラックスして学ぶことができました。また、クラスメートの訳と自分の訳を比較できるのはもちろん、他者の調べものに対する向き合い方や情報の探し方にも学ぶ点が多くありました。」(小池陽子さん)

原文の情報を正確に理解できるようになった

受講を通じて、原文に使われている単語や文法、表現といった細部はもちろん、作品全体の流れやシーンの役割といった構造にも目を向けるようになり、一つひとつの言葉を丁寧に受け取る意識が芽生えたと小池さんは話す。

「受講前より、原文の情報を正確に理解できるようになったと感じています。教えていただいたことがきちんとできているかを自分に問いかけながら、今後も一作品一作品に向き合い、丁寧に訳していきたいと思っています。」(小池陽子さん)

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