映像翻訳は過去の経験すべてを活かせる仕事 目指すのに遅すぎることはない
映像翻訳は、インターネットとPCがあれば世界のどこにいてもできる職能だ。修了生でプロの映像翻訳者として活躍する春木美果さんは、「翻訳者になるのに年齢は関係なく、学び始めるのに遅すぎることはない」と話す。春木さんは、アメリカでの留学やNPO研修の経験に加え、日本でも国際人権団体や大学で勤務していた時に仕事で英語を使う機会があり、「老後は在宅で翻訳者」という想いがあったという。JVTAに入学したのは50代になってから。コロナ禍もあり、人生後半の自分の働き方を考え、翻訳者になる夢を叶えるタイミングは今だと感じた。決め手は、トライアル合格後にOJTがあるなどプロデビューへのサポートの手厚さだった。プロデビュー後、春木さんが実際に手掛けた仕事や、映像翻訳者という仕事の魅力について話を聞いた。
◆映画祭で短編映画の字幕づくりを経験 JVTAは毎年多くの映画祭に字幕翻訳で協力しており、修了生の活躍の場となっている。映画祭の上映作品は短編映画も多く、新人翻訳者の登竜門ともいえる。春木さんもプロデビュー後、沖縄で開催される「Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際映画祭」や、心に響く短編作品を集めた「ダマー国際映画祭」、アジア最大級の短編映画の祭典「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア」、「ひろしまアニメーションシーズン2026」などの上映作品を手がけた。短編ならではの翻訳の難しさはどんな点にあるのだろうか?
「長編に比べ、短編ではダイナミックなストーリー展開や演出よりも、登場人物(人ではないこともありますが)の心情に、短い時間で強くフォーカスされていると思います。時には『伝えたいことはなんだったのだろう?』とメッセージが分かりにくい場合もあります。短編の方が作品や登場人物を理解するための情報が少ないので、何回も見直し、とにかく映像から読み取れるものをくまなく探す工夫が必要だと感じています。」(春木美果さん)
◆映画祭会場で翻訳者ならではの醍醐味を味わう 春木さんは今年、ダマー国際映画祭に足を運び、字幕を担当した映画を初めて観客と共に鑑賞した。映画祭の会場では監督や俳優など関係者と観客の距離が近く、会話をする機会もあったことに驚いたと話す。
ダマー国際映画祭の会場にて
「私が字幕を担当した短編映画『Side A: A Summer Day』は、台湾に住む小学校5年生の男の子とお母さんの関係を描いた作品です。上映が開始した時は、なんだか自分の子どものピアノや学芸会の発表会に来たような気分で、ストーリーはわかっているのに登場人物に『そう、その調子』と、謎のエールを心の中で送っていました(笑)。作品の最後に自分の名前がスクリーンに表示されるのを初めて見た時、自分は映像翻訳者なんだという実感が湧くと同時に、改めて責任も感じました。映像翻訳者として、この日は一生忘れられない日になったと思います。」(春木美果さん)
◆映像翻訳者は常に新たなジャンルや作品と出会えるやりがいのある仕事 JVTAの映像翻訳コースで学ぶ過程で、受講生は様々なジャンルやテーマの映像と向き合う。その後プロデビューすると、さらに幅広い作品と作品が描く世界にふれるチャンスが増える。作品の世界観を正しく伝えるために、翻訳者は、入念なリサーチを行う。翻訳を通して、自身の知見が豊かになるのもこの仕事の大きな魅力だ。課題では英語の作品を日本語に翻訳することがほとんどだが、実務では映画祭上映作品など世界各国の作品がある。オリジナルの言語が英語以外の作品の場合、すでに付いている英語字幕から日本語に訳すことも少なくない。
「多言語の場合、オリジナルの言語からいったん英語に翻訳された段階で、字数制限により途中で抜け落ちてしまう情報や文化的なニュアンスなどもあります。それでも、丁寧な調べものをして、映像をくまなく見つめることで少しでも作品が伝えたいことを読み取っていきます。ですから英語さえ分かっていれば何でも訳せるというものではありません。まず自分が作品の魅力を理解して日本語の字幕をつくり、1人でも多くの視聴者に作品を届ける。とてもやりがいのある仕事だと実感します。」(春木美果さん)
◆映像翻訳者になるのに遅すぎることはない
春木さんは現在、プロの映像翻訳者として情報番組や、音楽アワード番組、建物の紹介、韓流ドラマやサスペンスアクションなどの映画、スポーツの試合の実況や解説など幅広いジャンルに取り組み、字幕を中心に活躍。最近はミュージカル台本の参考訳なども手がけている。2025年は、JVTAが字幕制作で長年サポートする難民映画祭の広報サポーターにボランティアとして参加した。人権団体に勤務したこともある春木さんにとって、ぜひ関わりたい映画祭だったという。サポーターの中には、映像翻訳の話に関心を持ってくれる人や映画好きの人も多く、映画祭が終わった今でも難民をテーマにした映画やイベントの情報を交換するなど映画祭を超えたつながりができたと振り返る。今年も広報サポーターとして活動中だ。
「翻訳者になるのに年齢は関係なく、遅すぎることはありません。映像翻訳のニーズは幅広いため、過去の経験や知識が作品の解釈や調べものに活かせます。遅咲きのデビューでも日々、未知の分野の作品にワクワクできる仕事です。」(春木美果さん)
春木さんの体験談は、「映像翻訳者は、これまでの経験や知識を活かせる職能」ということを実証してくれた。年齢を重ねたからこそできる解釈や表現もあるはずだ。「いまから始めるのは遅いかな?」と迷っている人もぜひ挑戦し、自分の得意分野や経験を活かして活躍してほしい。
◆春木美果さん
アメリカ留学時代にNPOの活動に関わり、帰国後は人権に関する取り組みやNPO運営支援、大学で学生の国内外のボランティア活動を支援する活動などに従事。JVTAの英日映像翻訳コースおよびロジカルリーディング強化コースを受講後、2025年にプロデビュー。現在は、ヒューマンドラマやライフスタイル、アワード番組などの映画やドラマ、ドキュメンタリーなどの字幕を手がける。今後は、平和やサステナビリティに関する作品のほか、様々な国や町の文化やグルメの紹介、そして大好きなインド映画やアートなどに関する作品、さらに吹き替え翻訳にも多く携わることが目標。
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【憧れの北欧映画の字幕を担当】閉ざされた療養所で暮らす女性たちの想いを丁寧に伝えたい
10月17日、フィンランド映画祭が渋谷のユーロスペースで開幕する。今年も全5作品の字幕制作をJVTAで学んだ翻訳者14名が手がけている。翻訳者の中にも北欧映画ファンは多い。今年の上映作品『みんなに伝えて』(アッリ・ハーパサロ監督・2026年)の字幕を担当した横溝藍子さんも、個人的にこの映画祭に足を運んでいた一人だ。学生時代、フィンランド語のルーツに興味を持ったことがきっかけだという。今回字幕に携わるにあたり、とても嬉しく思うと同時に、大きな責任も感じたと話す。
「ヨーロッパの多くの言語がインド・ヨーロッパ語族に属する一方、フィンランド語はウラル語族に属しています。それをきっかけに、フィンランドの言語や文化に惹かれるようになり、以来、フィンランドの映像作品も大好きです。アキ・カウリスマキ監督の『過去のない男』を初めて観たときの衝撃は、今でも忘れられません。フィンランド映画祭にも毎年気になる作品が多く、以前から密かに憧れていた映画祭でした」(横溝藍子さん)
『みんなに伝えて』の舞台は19世紀後半のフィンランド。社会的に『不都合』と見なされた女性たちが、“精神病患者”として理不尽に隔離された離島だ。
『みんなに伝えて』(アッリ・ハーパサロ監督・2026年)
「諦めの漂う他の患者や施設スタッフたちとは対照的に、主人公のアマンダは自由を求め立ち向かいます。作品のテーマは女性の尊厳や社会の抑圧というシリアスなものですが、静かで美しい風景や、アマンダと他の患者たちとの交流に、息苦しさだけではない本作の魅力を感じられると思います。」(横溝藍子さん)
横溝さんと共に字幕を手がけたラムスデン多夏子さんは、今回初めて北欧映画に触れたが、翻訳を進めるうちに登場人物にどんどん感情移入していったと話す。
「全体的にセリフが少なく、映像や登場人物の表情や沈黙が多くを語る作品であり、それも引き込まれた理由の一つかも知れません。今では男女平等が進んでいる北欧にも、女性が不当に扱われた時代があったこと、そして、この頃の問題が現代と無関係ではないことに気づかせてくれます。少ないセリフで、美しい映像とともに静かに物語が進んでいく作品で、見た後もいろいろと考えさせられ、余韻の残る映画です。」(ラムスデン多夏子さん)
横溝さんとラムスデンさんが字幕翻訳をした後、チェッカーとして字幕チェックを担当した近藤希実さんもまた、かつて北欧5か国の作品を集めた映画祭「トーキョーノーザンライツフェスティバル」によく足を運んでおり、フィンランド映画祭に携わることは個人的にとても感慨深かったと話す。近藤さんにも、北欧映画の魅力を聞いてみた。
「スウェーデン生まれのイングマール・ベルイマンが大好きで、北欧映画には元々興味がありました。ベルイマンの時代は白黒映画で、暗闇や影をシャープに描く映像表現は何度見てもため息をついてしまうほどの美しさです。北欧映画には北欧の空気が取り込まれているというか、独特の光と影がスクリーンに宿っており、そこに強く惹きつけられるのだと思います。」(近藤希実さん)
◆史実に基づく当時の社会を慎重にリサーチして字幕に落とし込む 『みんなに伝えて』は、女性の登場人物が多いので、横溝さんは字幕でもそれぞれの口調や個性が伝わるよう配慮しながら、キャラクターに合った言葉遣いを考えていったという。また、映像や人物の表情に語らせる作品で、セリフもシンプルなものが多いため、近藤さんもチェックの際は翻訳の過不足(原文を補足しすぎること、原文の含意を落としすぎること)にはいつも以上に注意を払ったそうだ。
「翻訳者のお二人は、繊細なセリフにとても気を配り、主人公アマンダの意志の強さや、アマンダたち入所者を管理する立場にいる事務長のグレタが抱く複雑な感情を、とても丁寧に字幕に落とし込んでいました。」(近藤希実さん)
この作品は、史実に基づく原作の映画化であり、翻訳者には慎重なリサーチも必要だった。当時の女性の権利やフィンランドの社会状況は日本語や英語の資料が少なく、時には機械翻訳を使ってフィンランド語の資料を読んだり、画像検索をしたりすることもあったという。
「当時の歴史や社会背景を調べる中で、劇中の糸紡ぎが持つ強制労働の象徴としての意味や、黒いウェディングドレスで結婚式を挙げる習慣など、新しい発見もありました。横溝さんとも情報を共有し、調べたことをどこまでセリフに反映するべきかなど、二人で話しあいました」(ラムスデン多夏子さん)
◆注目は美しい風景に思いを馳せた歌詞の翻訳 作品の後半に、施設の女性たちがフィンランドの歌を歌うシーンがある。歌詞の翻訳は字幕翻訳の中でも難しいポイントでもある。このパートはラムスデンさんの担当だったが、横溝さんも作業中に何度も観てはその度に泣いてしまったという印象的な場面だ。歌詞の中には実在の山や湖などが登場する。チェッカーの近藤さんは、セリフや歌詞に出てくる地名をGoogleマップで探して、島が点在する湖水地方をストリートビューで確認。孤立した環境でありつつも美しい風景が広がる物語の舞台を感じ、登場人物たちが見つめていた景色に思いを馳せたという。とても美しいシーンだが、字幕チェックにはとても悩んだ箇所でもあるそうだ。
「『カンガサラの夏の日』の歌詞の訳出では、どんな心象風景を描いているかを探るために、歌の中に登場する『ハルユラの丘』に当たりをつけ、展望台のYouTube映像を見たりしました。」(近藤希実さん)
「この歌詞の翻訳では、チェックを担当された近藤さんの詩的なセンスに助けられました。美しい自然の情景を伝える言葉選びがとても参考になりました。」(ラムスデン多夏子さん)
◆過酷な時代を生き抜いた女性たちに贈る讃歌 「『みんなを伝えて』は過去に実在した女性の隔離施設を題材にした作品ではありますが、悲惨な史実を伝える以上に、過酷な時代を生き抜いた女性たちに贈る讃歌だと感じました。彼女たちの笑い声や歌い声が見る人の心に響けば、字幕制作に携わったひとりとして何よりうれしいです。」(近藤希実さん)
近藤さんがお気に入りのシーンがある。施設から逃走するため騒ぎを起こそうと企てたアマンダが自分のドレスを施設内の女性たちにすべて分けてあげるという場面だ。カラフルなドレスを身にまとい、踊ったり、歌ったり、ポーズを取ったり、走り回ったり、普段は閉鎖的、抑圧的な環境にある女性たちがここでは解放され、とても生き生きとしていている。騒ぎを聞きつけた管理係のグレタが女性たちの名前を呼びながら収めようとするのだが、結果的に一連のシーンは女性一人一人を名のある人間として紹介するような形になっていると近藤さんは話す。そこで、ここにしか登場しない女性の名前もあえて入れたいと、省略せずに訳出したという。
「最後にアマンダが下す選択について、ご覧になった方がそれぞれ何を感じ、どう受け止めるのか。上映後の反応をとても楽しみにしています。」(横溝藍子さん)
「普段は英米の映画を中心に見ていますが、作品を通じて、その土地の歴史や社会を知ることのできる映画が好きです。本作との出会いをきっかけに、英語圏以外の映画ももっと積極的に見てみようと思います。関西在住ですが今回、東京の映画祭会場に足を運ぶ予定です。」(ラムスデン多夏子さん)
北欧映画ならではの魅力を知る翻訳者だからこそ、じっくりと作品に向き合い、女性たちの想いを丁寧に汲み取ることができた。皆さんもぜひ、会場に足を運び、その想いを受け取ってほしい。
◆フィンランド映画祭 2026年10月17日(土)~10月23日(金) 渋谷 ユーロスペース 公式X https://x.com/FinlandFilmFes
【取材協力】
◆横溝藍子さん 恋愛系リアリティショーの字幕翻訳を数多く担当。他に、映画祭向けのアニメーション映画や配信向け旧作映画などのフィクションの字幕などを手がける。今後は、フランス語とイタリア語の知識、ワインエキスパートと学芸員の資格などを活かせる作品を翻訳するのが目標。
◆ラムスデン多夏子さん アフリカ映画祭や、50年代や80年代といった過去のアメリカ映画の字幕制作にチーム翻訳として携わる。またICT分野の先端技術を紹介する映像のポストエディットなども手がける。
◆近藤希実さん 2021年から字幕翻訳に携わる。動画配信サイトのドラマやドキュメンタリー等、幅広く担当。映画祭が好きでよく足を運ぶほか、ショートショート フィルムフェスティバル & アジアやレインボー・リール東京、ひろしまアニメーションシーズン、Cinema at Sea – 沖縄環太平洋国際映画祭等の上映作品の字幕なども手がけている。
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【ロジカルリーディング力強化コース修了生 磯崎留実さん】“考える”から“考え抜く”へ思考をアップデート
修了生の磯崎留実さんは高校卒業後、アメリカの大学に進学。英語の習得に関しては、現地での実生活から学ぶ、いわゆる「たたき上げ」スタイルだったという。そのため、英語を感覚的に捉える方向に偏ってしまい、論理的に読み解くという作業から長らく離れていた。そんな磯崎さんが、JVTAで映像翻訳の授業を受けながら、「やはりテクニカルな部分の補強が必要だ」と感じた時に出会ったのが、山根克之講師のコラム「ロジカルリーディング力を鍛える」 だった。
「このコラムには多くの学びが詰まっていて、夢中になり一気に読破しました。同時に、翻訳者としてこの強化コースを受けるしかないと思いました。ちゃんと取り組めば弱点を克服できるに違いないと、心が躍ったのを覚えています。」(磯崎留実さん)
◆「説明できないものは原稿にしない」 磯崎さんは、ロジカルリーディングの授業のなかで、何度となく「そこまで考えるのか!」と衝撃を受ける。特に山根講師の「説明できないものは原稿にしない」という言葉を聞き、目が覚める思いだったと振り返る。翻訳者としてどうあるべきか、襟を正すことができた瞬間だったそうだ。それ以来、自分がこの作品の一番の理解者になるんだという気持ちで、とことん作品と向き合うようにしているという。
「まず、驚愕したのは『細部を見逃さない鋭い解釈力』でした。原文で使われている単語、記号、構成、段落など、それぞれの要素が持つ役割を正確に拾い上げること。どこに着目し何に気付けばいいかを教わったことで、今まで自分がどれだけ見落としていたかを知ることができました。
そしてもう一つが、『視野の広さと奥行き』です。“一歩引いて全体を見る”のも、私が思っていた位置よりさらにもう一歩引いた所でしたし、“もう一歩踏み込んで考える”のも、思っていたよりもさらにもう一歩踏み込んだ所でした。そして、その奥行きは確実に訳ににじみ出ることを痛感しました。」(磯崎留実さん)
◆「もしこれがロジカルの授業だったら」というイメージでトライアルに取り組む ロジカルリーディングの授業では、なぜ、その訳語に辿り着いたのかという根拠を徹底的に問われる。なんとなくでは通用しない。授業中、いつも山根講師にそれを問われたことで、コース修了後にトライアルに取り組む際にも、磯崎さんの頭の中で、山根講師が要所要所で問いかけてくるようになったのだという。
「それってどういうこと?作者はなぜあえてこの単語を使っている?Butだからって“しかし”でいいの?何を印象づけたくてこの構成になっている?このダブルクオーテーションは何?この伝え方だと違う絵を浮かべちゃう人いない?などなど…。この他にもあらゆる問いが頭を駆け巡りました。その一つひとつを考え抜き、納得できる理屈を見い出すことで翻訳原稿の完成度を上げることができました。」(磯崎留実さん)
◆デビューしたてのタイミングで“悪の芽”を摘み、ちゃんと武装できた ロジカルリーディングを受講したことで、脳内に新しいアンテナを設置できたように感じたという磯崎さん。そのアンテナが何に反応すればいいのか、それをどう出力すればいいのかを具体的に学び、そのノウハウを駆使した結果トライアルにも合格する。この結果から、プロデビュー直後という忙しいタイミングだったが、アディショナル5も受講することにした。ロジカルリーディングでは、テキスト翻訳に取り組むが、アディショナル5ではより映像翻訳に特化した内容となっている。
「アディショナル5では、さらなる弱点の潰し込みができました。1つ例を挙げると、自分の大ざっぱな性格が翻訳の中でも時々顔を出してしまうことに気付けたことです。私の場合はそれが目的語の欠落という形で現れやすいという傾向を、山根講師は的確に見抜いてくださいました。デビューしたてのこのタイミングで“悪の芽”を摘むことができて本当に良かったです。他にもたくさんの武器を授けていただいたことで、これからプロの世界で戦っていくにあたり『ちゃんと武装できた』という強い気持ちになれました。今後も学びを止めず、レベルアップし続けたいです。(磯崎留実さん)
ロジカルリーディングを学んだ修了生の多くがその後、トライアルに合格。実務でも山根講師の教えが役立っていると話す。磯崎さんのように、プロデビューのタイミングで確かな英文解釈力で武装できたことは今後、映像翻訳者としての基盤となるに違いない。英語力に不安があるという人には、ぜひ早い段階で苦手意識を克服することをおすすめしたい。
◆ロジカルリーディング力強化コースの詳細はこちら
◆山根講師による無料体験レッスンの詳細・お申し込みはこちら
豊富な海外経験があっても英語力に自信がない… トライアル合格後、プロデビュー前にロジカルリーディングを学ぶ
修了生の宮城久美さんは、3人の子育てをしながらJVTAで映像翻訳を学び、2024年12月にプロデビュー。現在は、映画祭の上映作品や動画配信サイトの映画やドラマ、ドキュメンタリーなどさまざまなジャンルの作品の字幕を手がけている。しかし、意外にも受講中は英語力に自信がなかったという。そんな宮城さんが、トライアル合格後、プロデビュー前に確かな英語力を身につけたいと受講したのが、ロジカルリーディング力強化コースだ。このコースを受けたきっかけや受講後に変わったことを聞いた。
◆海外生活の経験が豊富 でも英語力に自信がなかった 宮城さんは大学院で1年間イギリスに留学、その後、家族の帯同で東アフリカ(ケニア、タンザニア)に5年滞在と海外生活の経験が豊富だ。しかし、JVTAに入学する際は英語力に自信がなかった。それでも入学を決めた理由は、説明会で受けた「毎回提出する課題に取り組むなかで英語力は上がっていく」というアドバイスだったという。JVTAの映像翻訳のカリキュラムでは、字幕だけでなく吹き替えの手法も学ぶ。また、課題となる素材も映画やドラマ、ドキュメンタリーなどジャンルも多様だ。さらに英文解釈力や日本語表現力に特化した授業もある。宮城さんも多くの課題と向き合い、実践的なスキルを身につけていった。
◆プロデビュー前にロジカルリーディングを受講 JVTAでは、映像翻訳の本科以外に、英文解釈に特化した「ロジカルリーディング力強化コース」 や日本語のアウトプット力を磨く「日本語表現力強化コース」 を開設している。宮城さんは、映像翻訳のコースで学ぶなかで課題の誤訳を指摘されることもあり、修了後にこのままデビューすることにまだ不安があったため、トライアル合格直後に「ロジカルリーディング力強化コース」を受講した。
「約3カ月で集中的に学べるこのコースでは、『なぜこの訳に辿り着いたのか』を論理的に考えるトレーニングを受けました。クラスの中でも訳文の根拠を山根講師から細かく問われます。そのおかげで英語に引きずられず、その場面で何が言いたいのかを考える癖がつき、今もお仕事の際に役立っています。受講前は、流れで何となく英文を読んで、思い込みでミスをすることが多かったのですが、授業を受けてみて一つひとつの英文の中で、その単語や代名詞などが何を指しているかを全体の中できっちり考えていくことが正確な理解につながるのだと分かり、一歩立ち止まって考えるようになりました。」(宮城久美さん)
◆3カ月の集中講座で英文解釈を学び直すことができた ロジカルリーディングは文字通り、英文の文法および構成を理解した上で論理的に読み解いていくというスキル。字幕や吹き替えとは違い、原文をすべて訳す全訳に取り組むのが特長だ。授業では英字新聞や雑誌、歴史ドキュメンタリー番組のスクリプトなどを題材に、英文解釈にフォーカスして学ぶ。各授業には、原文の中の「対の概念」「引き継ぎと展開」「段落のテーマ」などの主題があり、それについて細かく考察しながら理解を深めていく。
「山根講師の脳内でどういう風に考え、調べ、その訳に至っているかを、詳しく説明していただけたのがとても勉強になりました。『対の概念』は特にわかりやすかったので、翻訳の際は常に意識したいと思っています。また、これまでも、流れが大事ということはずっと教わってきましたが、この授業でさらにその理解が深まりました。」(宮城久美さん)
◆ロジカルリーディングの学びが映像翻訳の実務で役に立っていると実感 宮城さんはプロデビュー後、即時性が問われるアワード番組など納期も短い特急案件や映画祭の上映作品なども担当。チーム翻訳のリーダーとして複数の翻訳者の字幕をまとめて一つの字幕として整える大役も果たした。
★宮城さんのプロデビュー後の仕事についてのインタビューはこちら
「ロジカルリーディングの授業で、『細部まであやふやなままにせず、いろいろな視点から自分で納得できるまで調べたり考えたりすれば訳せる』ということを叩き込んでいただいたことが、今でも実務で大変役に立っていると思います。より深く調べものができるようになり、一つひとつの訳語選びをより慎重に出来るようになりました。」(宮城久美さん)
ロジカルリーディングを学んだ修了生の多くが、「この授業を受けたことで、今まで自分はなんとなく分かったつもりで訳していたことに気づいた」と話す。原文をしっかり理解せずに曖昧なまま、字数制限に囚われて言葉を整えても視聴者に伝わる字幕は作れない。ロジカルリーディングの授業では、まず自分自身で英文を深く解釈し、論理的な思考に基づいて翻訳するという実践的なトレーニングを繰り返すことで、プロの映像翻訳者に必要なスキルを身につけていく。ライブ配信の授業なのでその場で山根講師に質問できることも魅力だ。
トライアルを受け続けているがなかなか結果に結びつかない、プロデビューした今だからこそ、もう一度英文解釈力をきちんと高めたいという人にもおすすめだ。
宮城久美さん イギリスの大学院で国際開発を学び、卒業後、外務省で有給インターンとして勤務。結婚後は、開発援助に従事する夫に随伴し、東アフリカ(ケニア、タンザニア)に計5年以上滞在。3人の子育てをしながら映像翻訳を学び、2024年12月にプロデビュー。世界の現状や問題を伝えられるような作品や、滞在経験のあるアフリカ関連の作品、また、大好きなエンタメ系の作品など、幅広く手がけていきたいと考えている。
◆「ロジカルリーディング力強化コース」の詳細はこちら ※オンラインのライブ配信の授業です。
◆次期は2026年11月24日から順次開講 山根克之講師による無料体験レッスンを開催中 詳細・お申し込みはこちら
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子育てをしながら映像翻訳者としてプロデビュー 映画祭の会場で担当作品の監督と対面
JVTAの特徴は、映像翻訳を学ぶスクールに、翻訳の仕事を受発注するエージェント部門が併設されていることにある。字幕や吹き替えをつくる専門的な職能を身につけた修了生にはプロ化試験(トライアル)が用意されており、合格者には翻訳案件が発注される。修了生の宮城久美さんは、3人の子育てをしながら映像翻訳を学び、2024年12月にプロデビュー。子育てと両立できるよう、在宅作業が可能な翻訳を選択したという宮城さんがJVTAに入学した決め手は、OJTなどプロデビュー前のサポートに加え、仕事に直結するということだった。「この業界に全く未知であった私にはとても心強く、安心できる制度だった」と話す。プロデビュー後、宮城さんがどのような仕事に携わっているのか、具体的に話を聞いた。
◆プロデビュー後は多彩なジャンルや媒体で翻訳を担当 「映像作品はテーマもジャンルも様々なので、毎回大変ながらも、次にどんな作品が来るのかという楽しみが常にある」という宮城さん。プロデビュー後は、動画配信サイトの映画(戦争、ラブコメ、ドラマ)の字幕などを手がけてきた。チェッカー(翻訳原稿の誤訳や表記、事実確認などの校正作業)の仕事から始まり、国際機関のPR動画、ドキュメンタリー番組(グルメ、インテリアなど)の字幕や吹き替えなど手掛けるジャンルは多岐にわたる。
「以前、長く続くシリーズのドキュメンタリー番組でボイスオーバー台本の作成を担当させていただいたことがあります。また、アワードの受賞式などチームで分担する短納期の特急案件も何度か経験しました。私はまだ作業スピードがとても遅いので、時間内に納品できるのか…というものすごい緊張感がありますが、大勢の翻訳者さんやディレクターさんと一緒に駆け抜ける、お祭りのようで楽しい作業です。」(宮城久美さん)
◆多くの映画祭を翻訳者としてサポート JVTAは毎年、多くの映画祭を翻訳でサポートしており、修了生の活躍の場となっている。宮城さんも、「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」や「難民映画祭」「ヘルヴェティカ・スイス映画祭」など多くの映画祭の上映作品の字幕を担当。また、コース受講中は、個人的に東京国際映画祭で観客の誘導やチラシ配布などボランティアを経験し、映画関係者や舞台裏に触れるというという貴重な経験もした。
ダマー国際映画祭の会場の様子
「映画の規模に関わらず、映画の制作には多くの人が携わっており、制作している方々には、それぞれ世の中に伝えたい強い思いがあります。映画祭に参加すると、その思いを直に感じられるのが醍醐味だと思います。そして、それぞれの作品が持つ思いやメッセージを、最終的に日本の皆様にお伝えできるのは字幕しかないということに、改めて責任を感じ、毎回身が引き締まります。また、映画祭では、これまで全く未知だった国や地域、テーマの作品に出会うことも多く、その作品に触れなければ生涯知ることがなかったような世界を垣間見ることができるのも、大きな魅力だと思います。」(宮城久美さん)
◆難民映画祭ではチーム翻訳のリーダーという大役に抜擢 2025年の難民映画祭では、『アナザー・プレイス』というドキュメンタリー作品のチーム翻訳でリーダーを務め、数日間食事ものどを通らないほどのプレッシャーを経験。熱意と意欲満々の8名のメンバーとともに2カ月近くどっぷり翻訳に取り組むという、得難い経験をした。
「作品も本当に素晴らしく、1人でも多くの人に見てもらいたいと、チーム全員で心を一つにして取り組むことができました。個人的には、大学院で国際開発を学び、いつかこうしたテーマの映画を翻訳してみたいと考えていたので、それが叶ったのも嬉しかったです。実はその後、ヘルヴェティカ・スイス映画祭という別の映画祭で、同じく難民を扱った作品を、難民映画祭の同じチームでサブリーダーを務めて下さった方と2人で翻訳しました。これもご褒美をいただいたようで嬉しかったです。」(宮城久美さん)
◆ダマー国際映画祭では担当作品の監督と対面 映画祭の会場には主催者はもちろん、制作スタッフや出演者なども訪れる。宮城さんは2026年にはダマー国際映画祭の上映作品『Spooky Encounters of the Sad Kind』の字幕を担当し、上映会場で同作のJonathan Wilhelmsson監督と対面することができた。
字幕担当作品の監督と対面
「翻訳を担当した作品の関係者とお会いできたのは、初めての経験でした。制作時の話を直接聞いたり、自分が感じたことを直接話したりできたことに、とても感激しました。また、映画祭主催者の方ともお会いし、『映画祭にとって字幕は重要、やはりプロに任せるべき』という有難いお言葉をいただいたことも、強く心に残っています。」(宮城久美さん)
◆一番大切なのは、その作品を自分自身が楽しむこと プロの映像翻訳者としてデビュー後、さまざまな作品に向きあってきた宮城さんに、自身が大切にしている教えや学習中の皆さんへのメッセージを聞いてみた。
「ある翻訳ディレクターさんのお言葉によると、“その時の自分の心の状態が字幕にも反映する”とのこと。私もへこみそうな時、いつも自分にこの言葉を言い聞かせています。翻訳者自身がその作品を楽しめなければ、字幕や吹き替えで視聴者にその魅力伝えることはできません。めげずにまず自分自身が楽しむことが一番だと常に思っています。受講中も、今まで興味がなかったジャンルやテーマの課題でも、無理だとか難しそうだと思わず、毎回楽しんで取り組むと、結果的に伝わる字幕になるはずです。また、デビュー後は新人であってもスポッティング(※)の正確さが求められ、私は未だに苦労しているので、今学習の方は、授業や課題以外でも機会を見つけて練習しておくことを、自戒も込めてお勧めします。」(宮城久美さん)
※スポッティング:字幕を表示する『始まり』と『終わり』の時間(タイミング)を決める作業
プロデビュー後の目標として「映画のエンドロールに自分の名前がクレジットされること」を掲げる人は多い。映像翻訳者にとって映画祭はその夢を叶え、制作者や観客の皆さんと作品を見られる貴重な場となっている。翻訳者の皆さんは、ぜひ宮城さんのように会場に足を運んで、その醍醐味を味わってほしい。JVTA は職業訓練校として、今後もスキルを身につけた皆さんにさまざまな活躍の場を提供していきます。
◆現在は、プロの映像翻訳者として活躍する宮城さんですが、受講中は英語力に自信がなかったそうです。そんな宮城さんがトライアル合格後に受講したのが「ロジカルリーディング力強化コース」でした。同コースで何が変わったのか。インタビューをこちらで紹介しています。あわせてご覧ください。
★豊富な海外経験があっても英語力に自信がない… トライアル合格後、プロデビュー前にロジカルリーディングを学ぶ
宮城久美さん
イギリスの大学院で国際開発を学び、卒業後、外務省で有給インターンとして勤務。結婚後は、開発援助に従事する夫に随伴し、東アフリカ(ケニア、タンザニア)に計5年以上滞在。3人の子育てをしながら映像翻訳を学び、2024年12月にプロデビュー。世界の現状や問題を伝えられるような作品や、滞在経験のあるアフリカ関連の作品、また、大好きなエンタメ系の作品など、幅広く手がけていきたいと考えている。
◆【映像翻訳VODプログラムを2026年10月より開講!】 ~VOD授業×個別サポートで、より効果的かつ効率的にプロを目指す~ 映像翻訳VODプログラムは毎月入学可能!無料のリモート個別説明会を随時開催しています。プログラムの詳細はもちろん、映像翻訳業界の最新情報やプロまでの具体的な道のりなどをマンツーマンでご説明します。お気軽にご参加ください。 ※詳細・お申し込みは▶こちら
【2026年9月】英日OJT修了生を紹介します
JVTAではスクールに併設された受発注部門が皆さんのデビューをサポートしています。さまざまなバックグラウンドを持つ多彩な人材が集結。映像翻訳のスキルを学んだことで、それぞれの経験を生かしたキャリアチェンジを実現してきました。今回はOJTを終え、英日の映像翻訳者としてデビューする修了生の皆さんをご紹介します。
◆H. A.さん(英日映像翻訳 実践コース修了) 職歴:旅行会社(MICE事業のサポート等)、電気機器メーカー(秘書)など
【映像翻訳を学ぶきっかけは?】
昔から映画が好きで字幕の作り方などに興味を持っていて、漠然と映像翻訳者に憧れをいだいていましたが、長い間学ぶ機会を持てずにおりました。コロナ禍時に前職を退職したのを機に昔からの夢にチャレンジしようと思い、映像翻訳を学び始めました。
【今後どんな作品を手がけたい?】 好きなジャンルは、音楽・スポーツ・美術・医療系などですが、音楽はとりわけ学生時代にザ゙・ビートルズにはまっていたので、関連の作品に携われたらうれしいです。イタリア語/文化が好きでイタリア留学も経験。いつかイタリア語の作品に挑戦できるようになることも目標の一つです。
◆金原真悠さん(英日映像翻訳 実践コース終了) 職歴:語学講師、日本語版制作会社にて制作のアシスタント等
【映像翻訳を学ぶきっかけは?】 大学時代、地元の図書館で字幕や吹き替えに関する本に出会ったことが、映像翻訳という職業に興味を持ったきっかけです。それ以来、「自分ならこのセリフをどう訳すだろう」と自然と考えながら映画や海外ドラマを観るようになり、本格的に映像翻訳を学びたいという思いが強くなりました。作品を通して自分の知らない世界に触れられること、そして自分の言葉でその魅力を届けられることが、映像翻訳の面白さだと感じています。
【今後の目標】 趣味で続けている洋楽の訳詞作りでは、原曲が持つニュアンスを繊細にくみ取り、心に響く日本語表現を追求する楽しさを実感しています。こうした経験を生かし、今後は音楽関連の映像作品をはじめ幅広いジャンルの作品に携わり、作品の魅力を最大限に引き出して視聴者に届けられる映像翻訳者を目指していきます。まだ知らない作品や世界に出会い、自分の言葉でその魅力を届けられることが楽しみです。
◆K.K.さん(映像翻訳Web講座 プロフェッショナルコース修了) 職歴:素材メーカーに勤務
【映像翻訳を学ぶきっかけは?】 映画に興味を持ち始めた中学生の頃には、将来は字幕翻訳者になりたいと思っていました。結局は会社員となり、その夢も諦めかけていましたが、子供の育休を機にオンラインで通訳や翻訳の勉強を始め、子供が見ていたアニメのエンドロールでJVTAの存在を知り、映像翻訳を学んでみようと思ったのがきっかけです。
【今後どんな作品を手がけたい?】 大学の専攻や仕事の経験から、異文化交流や人の心理・パーソナリティなどに関心があり、多少の専門知識もあります。そうした経験・知識を活かし、フィクション・ノンフィクションを問わず、旅行記やヒューマンドラマ、ドキュメンタリーなどの翻訳に挑戦したいです。
◆S.S.さん(映像翻訳Web講座プロフェッショナルコース修了) 職歴:システムエンジニア、IT監査、企業でのITガバナンス担当
【映像翻訳を学ぶきっかけは?】 もともと映画やドラマなどの映像作品が好きで、字幕翻訳や吹き替え翻訳に興味を持ったのがきっかけです。通信のWeb講座なら自分のペースで学べそうだと感じ、まずは気軽な気持ちで受講を始めました。課題に取り組むうちに、楽しさや映像翻訳の奥深さを実感し、プロデビューを意識するようになりました。
【今後の目標】 幅広いジャンルの作品に対応できる翻訳者を目指しています。作品の内容を正確に理解するだけでなく、背景や文脈まで丁寧に調べたうえで、視聴者に自然に伝わる日本語に落とし込めるよう、経験を積んでいきたいと思っています。
◆松本悠里さん (英日映像翻訳 実践コース修了) 職歴:直島にてアート施設の運営に約7年間従事。現在はフリーランスの通訳案内士・翻訳者
【映像翻訳を学ぶきっかけは?】 トム・クルーズに夢中な母の影響で幼少期から洋画に親しみ、外国語の作品が日本語でも味わえることが不思議でおもしろいと感じていました。その興味をずっと持ち続けたまま会社員になりましたが、コロナ禍で自分の仕事を見つめ直したとき、「できることをするのではなく、したいことをしたい」と感じて、JVTAのコース受講を決めました。
【今後どんな作品を手がけたい?】 直島での経験を活かして、現代アートや建築に関する作品を手がけてみたいです。また、留学中に日本ではあまりなじみのない食材(ザリガニやナマズ、ワニなど…)で偏食を克服して以来、食べることが大好きになったので、料理番組やグルメ旅行記にも強い関心があります。幼少期の愛読書が自然系・動物系の図鑑だったこともあり、飼っている猫の生態観察を趣味としています。
★JVTAスタッフ一同、これからの活躍を期待しています! ◆翻訳の発注はこちら ◆OJT修了生 紹介記事のアーカイブはこちら
【修了生・青井夕子さんインタビュー】プロデビューに必要なことはすべて、授業と講師のアドバイスにあった
JVTAでは2026年10月期より、映像翻訳コースがリニューアル。「映像翻訳VODプログラム」として、“オンデマンド授業+個別サポート”の新形式へと生まれ変わる。30年の映像翻訳者育成で培ったノウハウを詰め込んだ「VOD授業」と、JVTAが大切にしてきた“個別に寄り添う指導”をパワーアップさせたトレーナー&メンターによる面談で、プロの映像翻訳者を育成する。
JVTAでは課題のフィードバック、コース修了毎の個別面談、プロ化試験(トライアル)受験者への個別の評価表配布など、これまでも受講生一人ひとりのサポートに力を入れてきた。「映像翻訳VODプログラム」は、その個別サポートを“さらに手厚くする”ということになる。
JVTAの英日映像翻訳科を修了し、プロの映像翻訳者として活躍する青井夕子さんは、1年半の学習期間中に全ての課題や疑問に対して真摯に向き合ったことが、プロとしての仕事に直結していたと振り返る。受講中は、課題に取り組む中で疑問に思ったことをメモして授業や個別面談で講師に質問することでその都度解決。そのすべてを丁寧に書き残してきたノートが、現在も仕事の指針となっている。敢えて手書きで書いたことも記憶の定着に繋がったそうだ。
青井さんが、受講中にぶつかった大きな3つの壁 ・吹き替えの尺合わせが苦手。 ・納品前のチェックが不安。 ・課題の提出までに時間がかかりすぎる。
これらを克服するために役立ったのは講師から受けた親身で具体的なアドバイスだったという。具体的に話を聞いた。
◆吹き替え翻訳の尺合わせは、キッチンで音声を聞きながらトレーニング 字幕に字数制限があるように、吹き替え翻訳にも尺合わせ(原語の映像で登場人物が声を出し始めてから話し終えるまでの時間に、日本語訳の長さをピッタリと合わせる作業)がある。字幕には1秒に4文字という基本的なルールがあるが、吹き替えの場合、翻訳者はナレーターや声優のように自ら翻訳原稿を映像と合わせて読み上げながら言葉の長さ(尺)を調整していく。青井さんの悩みは早口だということだった。自分で読み合わせをすると、どうしてもセリフが長くなる。英語の原文は元々速いので、つられて日本語の吹き替えのセリフを読む速さがさらに速くなってしまい、視聴者には聞き取りづらいものになっていたと振り返る。
「ある面談で、吹き替え講座を担当されていた板垣七重講師に尺合わせの悩みを相談したところ、『5分でいいから毎日必ず日本語吹き替えを聞き、1文ごとに映像を止めて真似て声に出すという練習をすることで頭に叩き込んでください』というアドバイスを頂きました。早速キッチンで料理や洗い物をしながら、イヤホンでドキュメンタリー作品の音声を聞きながら毎日実践。すると本当に一定の速さがキープできるようになっていきました。おかげで次のコースに進級する頃には大分自信がついた気がします。」(青井夕子さん)
青井さんにとって、日々一定の時間を費やすキッチンは、有効な学習の場でもある。冷蔵庫の大きな扉も有効に活用。原稿を大きな用紙に印刷しマグネットで貼ると、全体の構成を可視化することができて見直しに役立っていたという。受講中は、とにかく翻訳のことを常に考えていた青井さんの熱心な姿勢がうかがえるエピソードだ。
◆納品前の最終確認をするチェックリストでミスを防ぐ 字幕制作には、視聴者が読みやすいように、表記や言葉の統一などの細かいルールがある。例えばテロップは「斜体」、画面情報は「斜体+引用符」など、ルールに従って全体の表記を整えることも映像翻訳者の重要な作業だ。しかし、青井さんは受講中、多くのルールを把握しきれず、課題提出前にいつも混乱していたと話す。この悩みを面談で相談したところ、板垣講師から課題提出前に最終確認するためのチェックリストを作ることを勧められた。板垣講師のアドバイスを青井さんは今もしっかり覚えている。「デビュー後は小さなミスでも1つあると信頼を失いかねないので、受講中に完璧に覚えてしまうべきです。ルールだけでなくこれまで指摘された部分を抽出したリストを作りましょう。課題提出前にはそのリストを確認し、同じ間違いは絶対にしない意気込みで臨んでください」。青井さんは、すぐにチェックリストの作成に取り組んだ。
「授業の中で学んだ字幕のルールと、指摘された事柄を全部抽出したチェックリストを作成し、その後もどんどん追記していきました。例えば、「『の』は繰り返さない(例:私の姉の~)」、「『すし詰め状態』『お陀仏だ』など和風な言い回しはNG」など、たくさんの具体例が可視化されたこのチェックリストは最強でした。提出前にこのリストを確認するようにしたら、字幕のルールやそれ以外のことも自然に頭に入るようになりました。」(青井夕子さん)
字幕用、VO用、リップシンク用、申し送り用など用途別にファイルを作成。今も実務で役に立っている。
実は青井さんは、かつて医療機器監査の監査員として「チェックリストを作成して細部を確認する」という業務を担当していた。その経験が思いがけない形で今実務に活かせているのだという。青井さんは字幕だけでなく、ボイスオーバーやリップシンク、申し送り用などジャンルや用途に合わせた複数のチェックリストを作成し、プロになった現在も時折見返している。
◆課題にかけた時間は、後から必ず活きてくる プロの翻訳者になって実務に取り組む際に、重要なのが納期(締切)だ。どんなによい原稿でも納期に間に合わないことは許されない。職業訓練校であるJVTAでは、学習中から自らの対応力を把握できるよう、授業で提出する課題完成までにかけた時間を明記するよう指導している。青井さんは、提出前に毎回長い時間を費やしていることに不安を感じていた。長い時間が必要だった理由は、授業で質問するために課題で悩んだことや疑問に感じたことを細かく整理していたことにある。しかし、板垣講師の「課題にはできるだけ時間をかけるべき」という言葉に自信を取り戻す。
「『多くの時間を費やしたことはそれだけ翻訳について考え悩み本気で向き合った時間なので、あとから必ず活きてきます。そして講義では、悩んだことをどんどん質問し、講師に教えてもらうべきです。プロデビューしてからはもう教えてくれる人はいないので。」という板垣講師のアドバイスに励まされました。実際に課題で悩んで講師に質問した内容は今でも記憶に残っているので、実務でも『あの時にこの質問してこんなことを教えてもらったな』と思い出しながら作業しています。今でもひとつの案件には可能な限りの時間をかけています。」(青井夕子さん)
映像翻訳は答えが一つではないことが、面白さでもあり、難しさでもある。それは、悩み始めたらきりがないということでもある。しかし、綿密なリサーチや表現の考察を重ねたからこそ、生み出せる言葉がある。時間をかけることは決して無駄ではないのだ。
◆教科書にはない実践的な指導を身につけ幅広いジャンルで活躍中 熱心な姿勢が功を奏し、コ―ス修了後にトライアルに合格した青井さんは、OJTを経てプロデビュー。現在は、ドキュメンタリー作品の字幕やボイスオーバー、映画祭の上映作品の字幕などさまざまな仕事を手がけている。受講中には苦手だった吹き替えの仕事も担当しており、先日は料理番組のボイスオーバーの収録現場に立ち会うという機会を得た。
「現場で声優さんが原稿を読み上げる中で、表現の変更や言い換えなどの依頼に対して翻訳者としてその場で対応するという貴重な経験でした。自分が翻訳原稿を納品した後、どのような工程を経て視聴者の基に届けられるのかを目の当たりにできたことは、身が引き締まる想いでしたし、その後仕事に取り組む際も現場での反応を意識するようになりました。」(青井夕子さん)
青井さんは、映画祭の上映作品の字幕も担当し、上映会場にも積極的に足を運び、観客と共に担当作品を会場で観たり、制作担当者と交流したりするなど原稿の納品後も積極的にその作品に向き合っている。国連UNHCR協会が主催する難民映画祭では、上映作品のチーム翻訳で2度にわたり、リーダーを務めたほか、広報サポーターとして、翻訳秘話のコラムの執筆 やインタビュー記事の取材協力 などを体験したことも貴重だったと話す。
◆人生を振り返ってもあの時ほど集中して学んだことはない 「マズイものはマズそうに訳すべし」「ひとつの表現を360度から考えよ」「仕事になったらどんな作品でも全力で応援せよ」「そのジャンルの“ぽさ”を出すべし」「原文にはなくても『接続詞』を入れてうまく流れを作るべし」…。青井さんが今も大切にしている資料には、授業中にメモした講師の言葉がぎっしりと書き込まれている。授業で教えてもらった内容はどれも実践的で生きた知識だったとプロになった今、実感している。
「大人になってからの学びは驚くほど楽しいです。その時間を最高に充実したものにするために、受講期間は家族の理解も得て可能な限り自分の勉強時間に充てられるような体制を整えるとベストだと思います。JVTAでは全講座を自宅で受けられたので、子育てや家事とも両立しながら、映像翻訳のスキルを身につけ、プロデビューすることができました。いつか動物系のドキュメンタリー作品にも携わりたいという夢も叶いました。」(青井夕子さん)
JVTAの「映像翻訳VODプログラム」では、これまで行ってきた個別サポートを「メンターの個別カウンセリング」「トレーナーのトレーニング・セッション」と明確に定義し、さらに強化して行っていく。青井さんのように疑問や不安をその都度解決できる学習環境が整うので、自身のライフスタイルに合わせてプロに必要なスキルを習得し、映像翻訳者としてのデビューを目指してほしい。
青井夕子さん
大学時代はハワイとアラスカで動物科学を学びながら、イルカの研究所の勤務やクジラウォッチングツアーのガイドなど経て、卒業後は医療機器メーカーの品質保証部にて監査業務を担当。結婚、出産を経てJVTAに入学し、映像翻訳者としてプロデビュー。ドキュメンタリー作品の字幕やボイスオーバー、映画祭の上映作品の字幕などさまざまな仕事を手がけている。難民映画祭では字幕翻訳のほか、広報サポーターとしても活躍している。
【関連記事】 ・【『バーバリアン狂騒曲』がオンライン上映】字幕翻訳チームリーダー、青井夕子さんが翻訳裏話と見どころをじっくり解説 ・俳優・中島唱子さんと翻訳チームが語る!『バーバリアン狂騒曲』の魅力 ※国連UNHCR協会にサイトにリンクします。
◆【映像翻訳VODプログラムを2026年10月より開講!】 ~VOD授業×個別サポートで、より効果的かつ効率的にプロを目指す~ 映像翻訳VODプログラムは毎月入学可能!無料のリモート個別説明会を随時開催しています。プログラムの詳細はもちろん、映像翻訳業界の最新情報やプロまでの具体的な道のりなどをマンツーマンでご説明します。お気軽にご参加ください。 ※詳細・お申し込みは▶こちら
※受付終了※受講生・修了生限定【2026年9月】映像翻訳者としてのこれからを考えるセミナー
※この講座は受講生・修了生限定です。
~英日・日英の合同開催!~ 字幕・吹き替え・マンガ・バリア… 多彩なジャンルで活躍の幅を広げる!
JVTA開校以来、毎期開講している「映像翻訳者としてのこれからを考えるセミナー」は、受講生やトライアル合格を目指す修了生の皆さまにぜひご参加いただきたい課外講座です。第一線で活躍中の修了生をゲストにお迎えし、毎回大好評を博しています。
プロとして活躍する先輩の生の声や貴重なエピソードは、本セミナーだからこそ手に入る貴重な情報ばかり。皆さまのご参加を心よりお待ちしております!
<イベント概要 > 今回は、英日映像翻訳科と日英映像翻訳科の修了生を各1名ずつお招きし、モデレーターの藤田奈緒(JVTA講師/JVTA翻訳事業推進部ディレクター)とジェシー・ナス (JVTA日英映像翻訳コースディレクター)が「トライアル合格からデビューまで」、「映像翻訳の具体的なお仕事」、「仕事の幅の広げ方」、「日々のタイムスケジュール」…などについて伺っていきます。
<多様なジャンルで実績を重ね、翻訳者としての幅を広げる! > 最近では特定の領域にとどまらず、字幕や吹き替えをはじめ、バリアフリー字幕やマンガ翻訳など、多様な案件を柔軟にこなして精力的に活躍する修了生が増えてきています。ジャンルや形式を問わず幅広い仕事に対応できれば、映像翻訳者としての可能性がさらに広がることは間違いありません。今回は、様々な案件にチャレンジし、キャリアの幅を大きく広げている翻訳者をお招きします。現場で培われた貴重な経験談を聞き、ご自身の今後のステップアップにぜひお役立てください。
<パネラー>
◆八木真琴さん(英日映像翻訳者)
学生時代から映画と英語が好きで、大学卒業後は児童英語講師、語学スクールアシスタントマネジャー、通訳コーディネーターなど、語学関係のキャリアを積む。映像翻訳に興味を持ち、2017年にJVTA東京校に入学。2019年3月に英日映像翻訳科 実践コースを修了、同年8月に映像翻訳者としてデビュー。現在はフリーランスとして、主に配信系ドラマ・映画・アニメなどの字幕翻訳やチェックの他、バリアフリー字幕や吹き替えの仕事も始め、実績を積んでいる。主な作品は『コブラ会 シーズン3~6』(字幕)、『ペーパー・ハウス パート5』(字幕)、『ジャズマンズ・ブルース』(字幕)、『マーダー・ミステリー2』(字幕)など。
◆マーディ三宅さん(日英映像翻訳者)
日本在住のフリーランスの日英翻訳者。映画、アニメ、ドキュメンタリー、マンガ、アート・デザイン出版などの翻訳に携わる。字幕翻訳や吹替台本の翻訳、ローカライズなどを手がけている。作品のニュアンスやキャラクター、声を大切にしながら、日本のクリエイティブ作品を海外の観客に届けることに取り組んでいる。主な作品は、『♡≠2』『ぷにるんず』『First Virtual Suit』『ランポ』(漫画、全4巻)など。
<モデレーター> ■藤田奈緒(JVTA講師/JVTA翻訳事業推進部ディレクター)
「映像翻訳者としてのこれからを考えるセミナー」(通称:これセミ)は、参加する皆さん自身がどのように映像翻訳者としてキャリアを築いていくのかを、“皆さん自身で考える”ためのセミナーです。皆さんと同じようにJVTAのクラスで学びプロデビューした先輩翻訳者をお招きし、様々な角度からお話を伺っていきます。参加したあとにはきっと、プロになってからの自分自身をより明確にイメージできるようになるはずです!
■ジェシー・ナス (JVTA日英映像翻訳コースディレクター)
日本のメディアコンテンツが世界中で人気を集めている今、日英映像翻訳のニーズはますます高まっています。日英翻訳の世界をまだよく知らない方にとって、その活躍の場の広さは想像以上かもしれません。今回のこれセミでは、多くの日英プロジェクトに携わってきたJVTA日英映像翻訳科の修了生も登壇し、日英翻訳のリアルについてお話しします。ぜひお気軽にご参加ください!
【開催概要】 ■日時 2026 年9月29日(火)19:30‐21:15(日本時間) ■定員 なし ■受講料 3,300 円(税込) ■受講対象 全受講生・修了生 ■支払い方法 クレジットカード、銀行振込(※詳細は受付後の自動返信メールに記載)
【参加条件】 パソコンやタブレットなどで安定して動画視聴のできる環境が整っていれば、ご参加いただけます。 また、音声を聞き取りやすくするために、イヤホン・ヘッドホンの使用をお勧めします。また質疑応答のタイミングもありますので、マイクをお持ちでしたらご用意ください。
※リモート受講(JVTAライブ)FAQ ~よくある質問~▶こちら ※リモート受講を体験した受講生・修了生の声▶こちら
【お申し込みの流れ】 ・下記お申し込みフォームよりお申し込みください。 ・お申し込み後に自動返信メールが届きます。もし届かない場合は、迷惑フォルダをご確認の上、お早目にご連絡ください。 ・前日17時まで申し込み受付可。それ以降は電話でお問い合わせください。 ※その他のお問い合わせはこちらのアドレスにてメールで受け付けております。 kouza(at)jvtacademy.com ※(at)は@に置き換えてください。
【キャンセルについて】 ・ご入金後はご返金をおこなっておりません。やむを得ない事情によるキャンセルの場合は別途対応をいたしますので、開催日前日までに必ずお電話もしくはメールでご連絡をお願いいたします。
※本セミナーの申込受付は終了しました。※
◆変化の時代にこそ「これセミ」の知識が役立つ! 日本映像翻訳アカデミーグループ代表/新楽直樹
「映像翻訳者としてのこれからを考えるセミナー」、通称「これセミ」。日本映像翻訳アカデミー(JVTA)の設立時から30年の間、1つの期も欠かさず開催されている唯一の課外講座です。「これセミ」に参加した受講生・修了生やプロの皆さん、パネラーとして登壇した皆さんの歩みは、JVTAの発展そのものです。
今、フリーランスの働き方は大きく変化しています。国が支援に乗り出し、大手企業が副業を推奨する時代。映像翻訳業界も例外ではありません。クライアント企業では法令や商取引ルールの見直しが進み、映像翻訳者に対する評価やつき合い方も変わってきています。そんな環境下でデビューを果たした方、日々活躍するプロの皆さんは、どんな課題をどんな方法で乗り越えているのか--。日常得難いリアルな情報と最新の話題に触れることができるのが「これセミ」です。
それらに加え、時間の使い方や仕事場の様子、同業の仲間とのつき合い方などについて、本音や楽しいエピソードが飛び出すのもこのセミナーの魅力の一つです。
30年欠かさず行われているのには「学習効果や訓練へのモチベーションを高めるのはもちろん、プロとなった後も支えとなる知見を得られる」という明確な理由があります。
ぜひ積極的に参加して、日々の学習・訓練や実務に役立ててください。
【修了生 加々美ヘナタさん】 映像翻訳者、字幕ガイドライターとして幅広く活躍中
修了生の加々美ヘナタさんは、英日映像翻訳科を修了後、字幕ガイド講座を受講、現在は、翻訳の日本語字幕と字幕ガイド(SDH、CC、バリアフリー字幕)の両方の分野で活躍している。
加々美ヘナタさん
◆乳児の育児中に字幕ガイドに助けられた 加々美さんは出産後、乳児がそばにいて、ドラマや映画を観るときに大きな音を出せない環境で邦画や日本のドラマを観る際に、字幕ガイドをよく利用していた。字幕ガイドでは、セリフだけでなく、話者名や音の情報も字幕にする。さらに「雨音」「ノック」などに加え、必要に応じて音楽の情報も入れることがある。加々美さんは、静かな部屋で映像の音が聞こえづらくても画面と字幕で作品を堪能できて育児の息抜きになっていたと振り返る。
「字幕ガイドは本来、聴覚障害当事者のために始まったものかと思いますが、私のように音を小さくして、もしくは無音で作品を見るしかない状況の人でも楽しめるのが魅力的だと感じました。翻訳字幕を一度習った私ならより習得しやすいのでは?と思い受講を決めました。」(加々美ヘナタさん)
◆聞こえる音すべてを字幕にすればいいというわけではない 映像翻訳や字幕ガイドの制作には、作品解釈のための念入りなリサーチと情報の取捨選択が欠かせない。字幕ガイドならではの難しさについて、加々美さんは音情報を挙げる。
「字幕ガイドだからといって聞こえる音すべてを字幕にすればいいというわけではなく、制作者はこのシーンで何を視聴者に伝えたいのか?という視点を常に持ちながら音情報の取捨選択をしています。また、字幕ガイドにおいては基本的に擬音語を使わないため、表現に悩むことが多々あります。例えば、ドアをドンドンと叩く音は(ノック)、ピンポーンは(チャイム)などと置き換えますが、どう言語化すればいいのか悩む時はインターネットで検索して適切な表現を探ったりします。」(加々美ヘナタさん)
◆字幕ガイド4割、翻訳字幕6割という割合で活躍中 字幕ガイドは、翻訳字幕とも親和性が高い。作品の魅力を余すところなく、視聴者に伝えるという役割は、映像翻訳も字幕ガイドも同じだ。加々美さんは現在、4割が字幕ガイド、6割が翻訳字幕という割合で、動画配信サイトのアニメ、ヒューマンドラマ、ロマンス、スリラー、アクション、お笑い、吹き替え作品のSDHなどさまざまな作品に携わっている。両方を手がけることで相互に役立つこともあるという。
「物語の展開をきちんと理解することが大事なのは両方に共通しています。翻訳ではここぞというシーンの訳文を練りに練って考えたりしますが、字幕ガイドではここぞという場面での、音情報を出すタイミングや表現に頭を悩ませます。どちらも、映像の隅々まで注意深く観察し、セリフ以外の情報や俳優さんの表情、演技からも制作者側の意図を汲み取って字幕に落とし込むようにしています。また、翻訳ではセリフがないシーンの映像は飛ばしながら作業しがちですが、字幕ガイドでは全編を注意深く見ながらどのタイミングで音情報を出すかという判断を下さなければならないので、翻訳の作業時も、セリフがない場面の映像の中に字幕に反映すべき情報がないか、以前よりも注意深く見るようになりました。」(加々美ヘナタさん)
◆海外作品の吹き替え版の字幕ガイドも手がける さまざまなポイントを熟考しながら、作品本来の魅力をそのまま伝えられるように、効果的かつ自然な字幕作りを心がけているという加々美さん。字幕ガイドは、主に日本語の作品に日本語の字幕をつけるニーズが高いが、昨今は海外の作品の吹き替え版に日本語の字幕ガイドをあわせて制作するケースもある。映像翻訳と字幕ガイドの両方のスキルがある加々美さんは、こうしたニーズにも対応できる人材として着実に活躍の場を拡げてきた。
「海外作品の吹き替えにつける字幕ガイドでは世界中に注目されるような人気作品を任されることもあり、やりがいを感じます。注目度の高い作品であれば洋画や海外ドラマの吹き替え版にも日本語の字幕ガイドが付くことがまれにありますが、吹き替えがない翻訳字幕作品にも字幕ガイドがついたら、もっとたくさんの人が多種多様な映像作品を楽しめるようになるのになあ、と思う時があります。」(加々美ヘナタさん)
加々美さんのように、映像翻訳者のキャリアに加えて字幕ガイドライターとしてのスキルを身につければ、受注できる仕事は確実に広がる。言葉のプロとしてフリーランスを目指す人はぜひ、挑戦してみてほしい。
◆メディア・アクセシビリティ科 字幕ガイドコース 次期は2026年9月2日に開講
※コースの詳細はこちら ※無料説明会の詳細とお申し込みはこちら
【『バーバリアン狂騒曲』がオンライン上映】字幕翻訳チームリーダー、青井夕子さんが翻訳裏話と見どころをじっくり解説
映画『バーバリアン狂騒曲』は、フランスの田舎町でシリアからの難民一家を受け入れることになったことから始まる騒動を描いた作品だ。主演・監督は映画『ビフォア』シリーズで人気のフランス人俳優のジュリー・デルピー氏。2025年の難民映画祭で上映され、一番人気を集めたという同作が現在、「世界難民の日」の関連企画としてオンライン上映されている。この作品の日本語字幕をJVTAの修了生11名がチームを組んで手がけた。
字幕翻訳チームでリーダーを務めた青井夕子さんは、難民映画祭の広報サポーターとしても活動し、翻訳秘話のコラムを執筆している。青井さんによると、101分の作品のなかで台本上のセリフは1571個。それを11人で割り1人あたり142~143個のセリフを担当した。10日ほどの作業時間の中でそれぞれが担当箇所の字幕を作り、全員で相互チェック。さらにリライトを重ねて、一つの字幕として完成させた。
VIDEO
字幕翻訳では、作品に込められた意図を正しく読み解くための入念なリサーチが不可欠だ。青井さんのコラムには、翻訳作業の中で知ったデルピー監督の想い、タイトルバックに映し出される絵画や人物の名前に秘められた意味、下ネタの訳し方…などチームでじっくり話し合った過程が丁寧に解説されている。青井さんは先日、文京シビックホールで行われた「難民映画祭パートナーズ上映会2026第2部」に翻訳チーム3人と共に参加し、初めて同作を劇場で鑑賞。エンドロール後に翻訳チーム全員の名前がスクリーンに映された時は、胸がいっぱいになり、両隣に座っていた翻訳チームの仲間と、小さく拍手を送りあったという。
◆ジュリー・デルピー監督のメッセージ動画はこちら ※こちらの字幕も青井さんが担当
青井さんが綴った『バーバリアン狂騒曲』の字幕翻訳秘話と視聴者のレビューは「難民映画祭広報サポーターの公式note『みて考えよう!難民映画祭』の中で紹介されている。作品をすでに観た人もこれから観る人も要チェックだ。そして字幕にもぜひ注目してほしい。
◆難民映画祭広報サポーターの公式note「みて考えよう!難民映画祭」 ・「バーバリアン狂騒曲」関連記事まとめ ※青井さんのコラムや視聴者のレビューが紹介されています。
◆『バーバリアン狂騒曲』のチャリティオンライン上映は2026年7月31日まで開催中! 詳細・お申し込みはこちら
【関連記事】 ・難民映画祭とJVTAの字幕制作のサポートの詳細はこちら ・【難民映画祭20周年】わたしと難民映画祭(字幕翻訳者編)
◆【映像翻訳VODプログラムを2026年10月より開講!】 ~VOD授業×個別サポートで、より効果的かつ効率的にプロを目指す~ 映像翻訳VODプログラムは毎月入学可能!無料のリモート個別説明会を随時開催しています。プログラムの詳細はもちろん、映像翻訳業界の最新情報やプロまでの具体的な道のりなどをマンツーマンでご説明します。お気軽にご参加ください。 ※詳細・お申し込みは▶こちら