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英文校正をJVTAが担当 書籍『Beautiful Message ココロに響く映画の名セリフ』改訂版が発売 

英文校正をJVTAが担当 書籍『Beautiful Message ココロに響く映画の名セリフ』改訂版が発売 
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映画の名セリフは、人生を変えるほどのパワーを秘めています。映像翻訳を学ぶ皆さんなら、誰もが忘れられないセリフがあるでしょう。66作品から選りすぐりのセリフをピックアップした書籍『Beautiful Message ココロに響く映画の名セリフ』(山下俊樹著、雷鳥社)の改訂版が発売されました。改訂版の制作にあたり、これまでの日本語訳のセリフに加え、オリジナルの英語のセリフの校正と校閲をJVTAの修了生2名が担当。まず、翻訳者の久保史子さんがリサーチして校正した英語のセリフを指定のエクセルに書き込み、アメリカ出身で日英映像翻訳科の講師も務める横山治奈さんがさらにネイティブチェックをするという作業をしました。いわゆる書籍翻訳とは違う、校正という作業について、お2人に聞いてみました。

 
●今回の校正・校閲作業の流れを教えてください。
久保史子さん(以下、久保さん) 本に掲載されている英文のセリフの校正・校閲は、初めての作業でしたが、今まで携わってきた翻訳プロジェクトで得た知識が役に立ちました。

 
まず、既刊の本とそのテキストデータをPDFでいただき、英文のセリフを確認。そしてスクリプトを扱う信頼性のあるサイトを3つ、比較するために探しました。スクリプトの中から特定のセリフを探すために、キーワードとなる言葉を検索にかけて、対象のセリフを見つけ出します。

 
ベンジャミンメッセージ_page-0001

提供された作業用のエクセルシートには、サイトで見つけたスクリプトにある該当のセリフを全て列挙し、本のセリフと一語一句、合致しているか、誤字はないか、句読点の位置確認をして、その旨を申し送りました。オリジナルのあるものなので勝手な判断で変えてはいけないと常に意識していました。

 
見つけ出したセリフが複数ある場合、わずかながら表記の違いがあるので、一番妥当なものを代案として挙げました。

 
横山治奈さん(以下、横山さん)今回は、「英語ネイティブスピーカーの観点から英文を再度チェックし、本に掲載する際のレイアウト(改行)などのアドバイスをしてほしい」との依頼でした。書籍ということもあり、エクセルで頂いた英文テキストをさらに慎重に確認するという作業です。
ベンジャミンバトン書影_page-0001

 
●特に苦労したポイントは?
久保さん 映画のセリフは、全てスクリプトに載っているものだと思っていたので、なかった時は正直驚き、「どうやって見つけ出すか」に悩みました。

 
そこで、動画配信サービスを利用。これは該当する映画が配信されていることが前提で、かなりマニアックな方法でもあり根気がいります。何しろ2時間近くある映画の中から、ピンポイントで探すのは大変なことです。そこで、セリフの映像さえ分かれば、映画をスクロールしてセリフを見つけ出せるのではないかと思い、YouTubeや❝YARN❞(https://getyarn.io/)という、テレビ番組、映画、MVの単語やフレーズを集めたサイトを活用しました。そして、事実確認をした旨を、映像のタイムコードと共に申し送りに記載しました。

 
ララランドメッセージ_page-0001
1つのセリフに対して、3つのサイトからセリフを比較したので、約70ものセリフがあれば、かなり長いリストになります。サイトに掲載されているセリフと、本のセリフとの間で単語や句読点に違いがあれば、それぞれ色分けをして、見やすく工夫をしました。

 
横山さん エクセルでの作業だったことですね。エクセルだと間違いを見つけるのが難しいこともあるので、ワードにコピペして、スペルチェックやpunctuationチェックをしました。書籍としてきちんとした英文になるよう、スペースや記号などの相違がないかも、何度も何度も見直しました。書籍なので、レイアウトの際は改行位置も重要なポイントになります。ネイティブが見て違和感がない改行になるよう、調整をしました。
ララランド書影_page-0001

 
●個人的に印象に残ったセリフは?
久保さん 『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』の “The important thing is it brought us back here. Together. Back to our senses. And to our home.”です。モーガン・フリーマンとダイアン・キートン主演のこの映画は、ブルックリンにある、エレベーターのないアパートの最上階に40年住み続けた熟年夫婦が、老後のことを考え新居を探すという物語。人は理想を求めて、慣れた親しんだ環境の外に目を向けようとしますが、実は「すでに持っている」というメッセージが込められています。残された人生を、幸せに過ごすために新居を探すふたりの姿と、40年前、アパートに住み始めた頃の回想シーンを織り交ぜながら、最後にふたりが納得のいく答えを出した時のセリフに心が和みます。
眺めのいい部屋売ります

 
横山さん いろいろありますが、一番響いたのは『ペイ・フォワード 可能の王国』の「日々の暮らしに慣れきった人たちは、よくないこともなかなか変えられない。ダメだってあきらめてる。でも、あきらめたら負けなんだ。」

 
今は特に母国のアメリカで国民が怒りをあらわにし、社会を変えようとしています。国が壊れていくようにも見えますが、私には誰もが住みやすい国になるようあきらめずに頑張っているんだと感じ、感動しています。
ペイ・フォワード

 
◆この本のおすすめポイントを教えてください。
久保さん この本の中には、私も見た映画がいくつかありますが、一般的にキャッチコピーとなるようなセリフでないものに、著者が着目した点が興味深かったです。人生での迷いや不安、落ち込みそうになった時に、「心に響く」セリフが集められています。セリフに秘められたメッセージを、著者が独自に読み解いているページも読みどころです。そのような視点は、翻訳をする際に重要な「作品の解釈」をする上で、とても勉強になりました。

 
横山さん 今年は特に自然災害、ウイルス、暴動…。次から次へと辛いニュースばかりで皆さんちょっと暗くなっているのでは? やる気を無くしていたり、恋で悩んでいたり、社会に不満を感じていたり、ちょっとブルーな気持ちになっている方々に読んでほしいですね。映像翻訳者としては押さえておきたい作品で詰まっているのでいい勉強にもなると思います。

 
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皆さんもぜひ、お気に入りのセリフを探してみてください!

 
映画本_改訂_オビあり
『Beautiful Message ココロに響く映画の名セリフ』
http://www.raichosha.co.jp/book/other/ot44.html
★著者の山下俊樹さんによる映画のセリフを読み解くブログ
「恋も仕事もあきらめない。がんばるアナタを照らす映画の中の深イイ言葉」
http://blog.livedoor.jp/yamamanman-eiga/
★著者の山下俊樹さんがネット書店「honto」にて映画に関する本を紹介した記事でも紹介されています。
https://honto.jp/booktree/detail_00010609.html?cid=ip_item_bt_1

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