普段見ないジャンルにチャレンジするも良し!ゴールデンウイークは映像作品を楽しもう

JVTAの映像翻訳科では、JVTAの受発注部門で活躍する映像翻訳ディレクターをはじめ、フリーの映像翻訳者、映像以外にも幅広い分野を手掛ける翻訳者、さらに脚本家や日本語ライティングのプロフェッショナルなど、映像翻訳に必要とされる様々なスキルを指導できる講師陣が教鞭をとっています。
今回は2024年10月から加わった新講師の4名に、連休中に見たい映像作品やおすすめの映像作品についてリサーチ。映像翻訳のプロはどんな作品を見ているのか?映像翻訳者として“つい見てしまう”ポイントは?などを聞きました。「連休中に映像作品を何か見たいな」と思っている人は、ぜひ参考にしてみてください!
英日映像翻訳科 講師

伊原実希
英日映像翻訳科 総合コース・Ⅰ
「字幕翻訳の基礎①」担当
Q1.このゴールデンウイークに見たい映像作品は?
今さらながら数年前に大ブームになったドラマ『silent』(2022)を一気見したいです。
主題歌の「Subtitle」は、私自身が案件やプライベートを問わず、伝えたい思いが空回ってうまくいかない時によく聴いていたので、本作も自ずと見たいリストに入っていました。最近、吹き替え台本をもとにバリアフリー字幕を作る案件に携わるようになり、本作を思い出しました。作品内では手話に字幕がつくシーンも多いので、ながら見ではなく集中して見られそうなこのゴールデンウイークにどっぷり作品に浸かりたいと思います。
Q2.子どもの頃や若い頃に影響を受けた映像作品は?
ディズニーの『ムーラン』(1998)。型に囚われず、なりふり構わず、知恵とユーモアで道を切り開くムーランに憧れ… 学生時代はビン底メガネにお下げ髪、色違いのムーミンのトレーナー2枚を着まわして、27時間ぶっ通しで受験勉強に明け暮れる生活を送りました。全力だからこそ見える景色があると信じさせてくれた人です(JVTAではそんなムーランの実写版みたいな人にたくさん出会いました)。くじけそうになったら40:18~のシーンを見つつ、学生時代を思い出して、「私もムーラン!」と自分を奮い立たせています!
Q3. 映像作品を見るとき、「職業病」でついつい見てしまうポイントは?
休憩しようと思って見始めたドラマや映画でも、改行位置、表記揺れ、3枚字幕などがついつい気になってしまうことはあるのですが、JVTAのYouTube番組「JVTA+」で聞いたとある発言をきっかけに「いいところ探し」をする習慣をつけるようになりました。誰よりも作品と言葉に向き合ってきた人が紡いだ字幕を大切にできる人でありたいです。

田中葵
英日映像翻訳科 実践コース
「スポッティングの演習」担当
Q1.このゴールデンウイークに見たい映像作品は?
『アマチュア』(2025):アカデミー賞で主演男優賞を受賞したラミ・マレック主演作品。妻を殺された殺し屋の “アマチュア”が、持ち前の頭脳を武器に復讐をしていく新感覚のスパイ映画。アクションが大好きなので、予告映像を見て絶対に劇場で見たい!と思いました。また、『マトリックス』シリーズでおなじみのローレンス・フィッシュバーンも出演しているので、アクションファンは必見かと思います!
『52ヘルツのクジラたち』(2024):原作は町田そのこさんの小説です。映画化されたとは知らずに、原作を今ちょうど読んでいる最中です。“ヤングケアラー”“児童虐待”“ジェンダー”など日本で今問題になっていることがリアルに描かれている様子がテキストから伝わってきて、ぜひ映像でも確認したいと思いました。
Q2.子どもの頃や若い頃に影響を受けた映像作品は?
『トイ・ストーリー』シリーズは全部大好きですが、中でも『トイ・ストーリー3』(2010)は別格です。
「おもちゃって動けるし、話せるんだ!」と、当時人形が大好きだった私は、人形が生きていると信じていました(笑)。この作品のクライマックスで大学生になったアンディがウッディやバズなど、おもちゃを手放す様子が描かれています。人形たちを捨てるのではなく、小さい頃のアンディと同じようにずっと一緒にいてくれる新しい持ち主を見つけて引き継ぐというアンディの人形を思う気持ちに心を打たれました。人形だけではなく、モノを大切に扱うということをアンディから教わったと思います。
Q3. 映像作品を見るとき、「職業病」でついつい見てしまうポイントは?
「あんた」「あなた」などある人物に対する呼び方が揺れていたり、「全て」「すべて」など用語の表記が揺れていたりしないかは見てしまうかもしれません。あとは、3枚字幕になっていないか(たまに4枚字幕とかも見ますが…)も見てしまいますね。

片柳伊佐
英日映像翻訳科 実践コース
「模擬発注 ボイスオーバー②」担当
Q1.このゴールデンウイークに見たい映像作品は?
気になっていたのに見られていなかった作品を見たいです。日本語作品では、新たにドラマ化された『阿修羅のごとく』(2025)。原作、ひいては向田邦子ファンなので!見始めたら止まらないと思って避けていましたが、全7話を一気見したいです。海外作品ならドラマシリーズ『メディア王~華麗なる一族~』(2018~2023)。(理由は次の質問への回答をご覧ください。)実在のメディア王マードックがモデルと言われており、その内幕をのぞき見る気持ちになりそうです。
Q2.子どもの頃や若い頃に影響を受けた映像作品は?
NHK教育テレビの『海外ドキュメンタリー』(1982~1999)(現在の『ドキュランドへようこそ』の前身の番組)の一作品です。今回調べたところ、「メディアと権力」という3回シリーズの「(2)テレビがアメリカ政界を変える」の回だったようです(1993年5月放送)。メディアが社会に与える影響に衝撃を受け、のちに大学でメディア論を専攻するに至りました。今でもメディアやジャーナリズムがテーマの作品に強く惹かれます。(古くは『大統領の陰謀』(1976)、最近だと『セプテンバー5』(2024)。)
Q3. 映像作品を見るとき、「職業病」でついつい見てしまうポイントは?
日本のドキュメンタリーで、海外の有識者や専門家へのインタビューに日本語字幕が付いている場合、1行文字数を数えてしまいます。「結構文字数多いけど、意外と読み切れる」なんて思うことも。一方、吹き替え作品で気になるのは、セリフの言い回しやスピード、間の取り方などです。ちょっとした変化でニュアンスが出たり、キャラクター間の違いが際立ったりするのが、魔法を見ている(聞いている?)ようです。
日英映像翻訳科 講師

麻野祥子
日英映像翻訳科 総合コース
「スポッティング実習」担当
Q1. What visual media content do you want to watch over the Golden Week?
I have been meaning to watch Adolescence, a British series that has been streaming on Netflix since March this year. It is a four-part mini-series about a 13-year-old boy who is arrested for the murder of his classmate, and the show has received rave reviews – it is said to be a major contender for this year’s Emmys. I have also recently been trying to watch award-winning films that I hadn’t yet watched, including Everything Everywhere All at Once (2022) and Spider-Man: Across the Spider-Verse (2023). Both are, at the time of writing, available on Netflix in Japan, so I’d like to tick them off my to-watch list.
Q2. What visual media content were you influenced by in your childhood or youth?
Shindler’s List (1993), because it was one of the films that I had to study for English class at college (high school). These film study classes were the first time I learned to look closely at a film and think about what the intention behind each scene or dialogue or camera angle etc. was, so I think it left a lasting impact on me. On a more personal level, I remember watching Frances Ha (2012) as a uni student, and it becoming one of my favourite films. I think it’s a film that a lot of young people can relate to.
Q3. How does your work influence what points you tend to focus on when watching visual media content?
This isn’t a specific “point” that I tend to notice, but I like to watch German shows or films from time to time, and whenever I do, I usually put English subtitles on. Sometimes, when there is a particular phrase in the original dialogue, such as a joke or something that would be difficult to translate, I go back to the beginning of the scene, switch the subtitles to Japanese, and play the scene again to see how they translated it in the Japanese version. Then I switch back to the English subtitles and resume watching the show. It’s interesting to compare the English and Japanese translations, so I can’t help but go back and check, even if it takes longer for me to finish watching the episode.
皆さんが「見てみたい」と思う作品はありましたか?
好きなジャンルの映像作品はもちろん、普段あまり見ないタイプの作品を見ることも、映像翻訳の学習に大いに役立ちます。連休中も楽しみながら、映像翻訳のセンスを磨いていきましょう!

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