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映像翻訳のスターティングノート 新しい学びを始める前に知っておきたい“リアル”②

映像翻訳のスターティングノート 新しい学びを始める前に知っておきたい“リアル”②
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好きな映像作品に携わる「映像翻訳者」は“憧れの仕事”といわれる職業の一つ。
しかし、メディアでは語られない苦労があることも事実です。「なかなかトライアルに受からない」「日英映像翻訳者に求められる力の本当のところって?」「出産や子育てと映像翻訳は両立できる?」――さまざまなテーマについて“映像翻訳者のリアル”を体験した先輩たちに話を聞きました。
 

Note.2
簡単ではないプロトライアル。私が諦めずにデビューを勝ち取るまで
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語り手:映像翻訳者・Mさん
2014年、映像翻訳Web講座プロフェッショナルコース修了。デビュー1年目。家族の留学に伴い渡米。生活のための英語や、日本以外の文化を学ぶうちに、今まで楽しんでいた映画には、さまざまな社会的背景やメッセージがあることに気づく。作品に込められた製作者の想いを伝えるような仕事を探して、映像翻訳者の道を選んだ。
 

* * *
 

私が映像翻訳Web講座を修了したのはおよそ6年前。2020年に入って、プロデビューを果たすことができました。
 

突然言い渡された“長期療養”
トライアルを受けられたのは修了して3年後だった

映像翻訳Web講座を修了した後、すぐに健康診断を受けました。「翻訳のお仕事が始まってから病気で寝込まないように」と気軽に受けたのですが、治療に専念する必要があると判明。ようやくトライアルを受けられる健康状態になった時点で、3年が経っていました。「ブランクがある自分が受験してもいいのか?」という葛藤もありましたが、JVTAの「難民映画祭(現・WILL 2 LIVE映画祭)」字幕翻訳ボランティアに参加するなど、少しずつ体を慣らしながらトライアルを受け始めました。
 

しばらく不合格が続き、結果は散々。「これじゃあ、次点にも全然届かないじゃないか…」と思えてくるような点数と、すごく真剣に書いたものに対する、グサグサと突き刺さるようなコメントが返ってきます。トライアルになかなか合格できず、プロデビューを諦めてしまう人がいるのは、評価に向き合うことのつらさがあるからです。
 

「傷ついている場合じゃない」
指摘を消化するために始めた“研究”

私がまず考えたのは、プロデビューするために「これをどう乗り切ろう」ということ。「こんなことに傷ついていてはだめだ。厳しい指摘を消化しなきゃうまくならない」と思ったんです。
 

まずはエクセル表を作るところから始めました。トライアル課題の訳のサンプルと、自分の訳文を並べて、指摘があった箇所に色付けをする。自分の訳文とサンプルがどう違うのかを、とにかく研究しました。「このコメントは、どういう意図で書かれたのか」――悲惨な評価がグサグサと刺さるのを感じ続けました(笑)。でも、それを続けると自分の中で上達していくのが感じられて。実際に、点数も上がっていったんです。挑戦するたびにいろいろなコンテンツに出会い、指摘いただいた弱点を研究し続けることで、自分なりに技を磨いている実感がありました。
 

“早く成果を出したい”から
“いい翻訳者になろう”へ

トライアルを受け始めて1年を過ぎた頃から、「せっかくここまで頑張ったんだから、合格するまで諦めずにやり続けよう」という気持ちに切り替わりました。評価表を見て落ち込んでいた時期は“早く成果を出したい”という気持ちだったけど、だんだん自分の弱点をつぶしていくのが楽しくなってきたし、「絶対なるんだ」と決めたら、時間をかけてでも人前に出て恥ずかしくない字幕を作れる、いい翻訳者になろう、と思うように。すると、何年掛かっていようが、トライアル何回目だろうが、全然、気にならなくなってきたんです。「まだ仕事を始めていない」からこそできることを、やっていこうと思うようになりました。例えばメールでのコミュニケーションのトレーニング。お礼の伝え方や、何かを断る時の文面を考える力は、プロになった時絶対に必要だなって。デビューできた時に、「準備万端!」と言えるようにしようと思いました。初めて次点に入った時は、必ず映像翻訳者になると決めて、高価なプロ用の字幕制作ソフトを買いました。
 

挑戦を続けるためには
無理のない程度のお金をかけるべき

私は、挑戦を続けるためには無理のない程度にお金を掛けるべきだと思います。本当に、「無理がない程度」ということが大切です。なぜなら、無理してお金を掛けると、人は傲慢(ごうまん)になるから。身の丈以上に使うと、あせりが出て、「こんなにお金を掛けているのに、なんで――」という気持ちになってしまいます。素直に受け止めなきゃいけないことがいっぱいある仕事だからこそ、無理をすると焦りが出て、早く結果が欲しくなってしまう。語学学習の無料コンテンツが多い時代ですが、それでは自分を追い込むことができません。だから、自分の苦手分野などに絞ってお金を掛けて、「やりきらなくては」という意識で取り組むことをお勧めします。
 

時間を忘れるほど
翻訳を楽しむ気持ちを持ち続けたい

落ち込んでいるよりも、「少しずつ翻訳がうまくなる自分」を楽しんだ方がずっといい。私は40歳近くになって、ここまで好きな仕事をこれから見つけられる自信がありませんでした。だから、何が何でも、誰に『向いていない』って言われようとも、私にはこれしかないんだって決めて、いろいろと工夫しました。
 

その結果、プロデビューした今は寝るのがもったいないくらい毎日が楽しいです。時間をかけて勉強したことでもらう仕事は、なんでも嬉しい。時間を忘れるほど翻訳を楽しむ気持ちは、これからもずっと持ち続けていきたいです。
 

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Note. 3
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