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【JVTA修了生が英語字幕を担当!】濱口竜介監督の『偶然と想像』と工藤梨穂監督の『裸足で鳴らしてみせろ』が、第22回ニッポン・コネクションで上映!

【JVTA修了生が英語字幕を担当!】濱口竜介監督の『偶然と想像』と工藤梨穂監督の『裸足で鳴らしてみせろ』が、第22回ニッポン・コネクションで上映!
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ドイツで開催される世界最大級の日本映画祭「ニッポン・コネクション」では、新作短編・長編あわせて約100本の日本映画が上映される。そのうち、『偶然と想像』と『裸足で鳴らしてみせろ』の2作品の英語字幕をJVTA修了生が担当した。
 

■『偶然と想像』(2021、濱口竜介監督)

『ドライブ・マイ・カー』(2021)が第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞したことも記憶に新しい濱口竜介監督の『偶然と想像』が、2022年のニッポン・コネクションで上映される。本作は第71回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門で審査員大賞(銀熊賞)を受賞。濱口監督自身が手がけたオリジナル脚本に基づき、「偶然」と「想像」をテーマにした3つの短編からなるオムニバス作品だ。

 

第1話『魔法(よりももっと不確か)』は、モデルの芽衣子(古川琴音)がヘアメイクのつぐみ(玄理)に、彼女が最近会った気になる男性(中島歩)との話を聞かされたことから展開する物語。英語字幕は修了生の本郷みほさんが担当した。
 

本郷さんは第1話について「「言葉のマジックがストーリーを動かしているエンジン」のようなイメージが浮かんだ」と言う。「偶然の出来事に翻弄される人々が言葉を発し、自分の運命を形作っていく様を描かなければいけないのだと思って翻訳に臨みました。期日がなければ今でも修正を繰り返しているかもしれないお仕事でした」(本郷さん)
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第2話『扉は開けたままで』は、作家で教授の瀬川(渋川清彦)が、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取得を認めなかったことから、佐々木と彼の同級生の奈緒(森郁月)の2人で瀬川にスキャンダルを起こさせようとする物語。英語字幕を担当したのは、修了生でありJVTAで日英映像翻訳コースの講師も務める横山治奈さん。横山さんは、第1話と第3話の字幕チェックも担当した。
 

横山さんは第2話の英語字幕制作について、登場する大学教授の台詞解釈が難しかったと言う。「この大学教授は文学賞を受賞する作家でもあったため、学生に比べて、台詞の解釈がとても難しく、翻訳に苦労したのを覚えています。クライアントからのフィードバックでやはり解釈が間違っていたことが判明し、自分の箇所を修正しました」(横山さん)
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第3話『もう一度』は、高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)が、友人のあや(河井青葉)と20年ぶりの再会。やがて想像し得なかった変化が訪れるという物語。英語字幕を修了生の勝呂悠香さんが担当した。
 

第3話は特殊な時代設定が基盤にあるため、世界観が伝わるよう気をつけたとのこと。「一見すると日本での普通の日常を舞台にした物語ですが、特殊な時代設定が基盤にあるので、冒頭の画面テロップによる背景説明は簡潔に分かりやすく世界観が伝わるよう気をつけました。物語が進むにつれて、登場人物2人の距離感やお互いへの感情が絡み合い、二転三転しながらどんどん変化していくので、その面白さを的確に伝えられるよう細心の注意を払いながら翻訳に臨みました」(勝呂さん)
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JVTAではこれまでも、『ハッピーアワー』『なみのおと』『親密さ』『不気味なものの肌に触れる』など、いくつもの濱口監督の作品を英語字幕でサポートしてきた。また、濱口監督が脚本を手掛け、第77回 ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品され、黒沢清監督が銀獅子賞(監督賞)を受賞した『スパイの妻』の英語字幕とイタリア語字幕をJVTAが担当している。
 

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◆『偶然と想像』公式サイト https://guzen-sozo.incline.life/

 

■『裸足で鳴らしてみせろ』(2021、工藤梨穂)

『裸足で鳴らしてみせろ』は、世界旅行に憧れを抱いていたものの行けなくなってしまった盲目の祖母のため、世界の音を届けようとする2人の青年の物語。世界旅行を音声録音で演出するうちに2人が互いに惹かれあう、繊細なLGBTQのドラマだ。
英語字幕は、修了生の前野有香さんと鈴木みきさんが担当した。
 

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本作を最初に見た時、前野さんも鈴木さんも「感情」の独特な描き方が印象に残ったと言う。
「登場人物の背景や感情が直接は表現されていないのですが、台詞や表情、雰囲気を通じて、じわじわと伝わってくるような作品だと感じました。」(前野さん)
「初めて見たときの感情や情緒の描き方が絶妙に美しく繊細な映画だと感じました。青年たちの純粋さや脆さや危うさ、そういった瑞々しさに惹きつけられました。何度も見ていくうちに物語の奥行きがさらに感じられる作品だと思いました。」(鈴木さん)
 

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そんな繊細な魅力のある作品だからこそ、英語字幕制作もその空気が伝わることを意識して行われた。
「台詞や表情、雰囲気を通じて感情や背景が伝わってくることが大きな魅力なので、英語字幕でも、直接的になり過ぎない表現にすること、また、台詞に込められた意味が失われないようにすることを意識しながら作業しました。」(前野さん)
「感情や情景の描写がとても繊細だと思ったので行間も含めて空気感を大切に訳しました。主人公達が自分の内面を語っているシーンは詞的な表現も多かったのでできる限り台詞を変えずに、かつ海外のオーディエンスにも伝わるよう何度も書き換えながら訳を付けていきました。」(鈴木さん)
 

台詞の翻訳だけでなく、作品の英語タイトルの提案も大切な翻訳者の仕事だ。『裸足で鳴らしてみせろ』の英語タイトルは『Let Me Hear It Barefoot』。このタイトルの英訳にも試行錯誤があったようだ。
「「裸足で鳴らしてみせろ」という言葉は、映画のタイトルになっていますが、これは台詞でもあります。字幕としても、タイトルとしても成り立つもの、また、この作品の大きなテーマの一つである「音」に関連する言葉を入れる、という条件をすべて満たした英訳を考えるのは、簡単ではありませんでしたが、とても楽しかったです。」(前野さん)
◆『裸足で鳴らしてみせろ』公式サイト https://www.hadashi-movie.com/

 

『偶然と想像』は5月27日(金)、『裸足で鳴らしてみせろ』は5月26日(木)と27日(金)にドイツのフランクフルトで上映される。残念ながら日本で見ることはできないが、フランクフルトでのオーディエンスの反応が楽しみである。
 

映画祭のプログラム部門長であるフロリアン・ヘア氏は、「字幕がなければ、日本の映画品を海外で上映することは不可能」と言う。英語字幕がつくことで、国際的な映画祭での上映が可能になる。そしてそれは、日本の映像作品の魅力が世界に広がっていくことにつながるだろう。
 

◆「ニッポン・コネクション」公式サイト https://nipponconnection.com/ja/start/
 

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