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警察とのゲームに挑む男 ダニエル・ウー in 『香港国際警察/NEW POLICE STORY』

警察とのゲームに挑む男 ダニエル・ウー in 『香港国際警察/NEW POLICE STORY』
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【最近の私】『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開が再延期で2021年4月に。楽しみにしていたので、残念です。

 
今年の8月に香港の映画監督ベニー・チャンが上咽頭がんのため58歳で亡くなった。チャン監督は90年代から監督としてのキャリアをスタートし、数多くの映画を手がけてきた。今回は彼の監督作『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(2004年)でダニエル・ウーが演じた悪役を紹介したい。

 
香港で武装グループが銀行を襲い、人質を取る事件が発生した。グループは人質に警察に通報させ、現場に到着した警官たちと激しい銃撃戦の末、逃亡する。犯人は首謀者のジョー(ダニエル・ウー)と4人の若者たち。彼らは誰がどれだけ警官を撃って倒せたかを競っているのだ。

 
香港警察特捜班のチャン警部(ジャッキー・チェン)は、部下たちを連れてジョーたちのアジトを見つけて逮捕に向かう。だがチャンたちはジョーの罠にはまり、チャンの部下が全員死亡する。しかも部下の1人はチャンの恋人の弟だった。ジョーたちは逃亡。この事件がトラウマとなり、チャンはアルコール依存症となってしまう。そんなチャンに若い相棒(ニコラス・ツェー)が登場し、彼らは再びジョーを追うことになる。

 
本作を観た時、香港映画界の重鎮であるジャッキー・チェンが、若い俳優たちと組み、アクション映画を継承しようとしていると感じた。犯罪グループのリーダーであるジョーは、お金が目的ではない。犯罪を起こし、そこで警官と撃ち合うことにスリルを味わっている。警官が犠牲者となるオンラインゲームを作成し、インターネットに流す“悪趣味さ”も持っている。

 
ジョー率いるグループの若者たちは、財界や会社経営をしている親の子どもたちだ。裕福だが、その暮らしに満足できず、銃器を持って事件を起こすことに喜びを見出している。ベテラン刑事であるチャンには理解できない、新しい世代の犯罪者という点が、今までのジャッキー映画にない新機軸といえる。

 
今回、悪役を演じたダニエル・ウーは1974年にアメリカで生まれた中国系アメリカ人である。1997年に香港に渡り、俳優としてキャリアを始める。ダニエルは1999年にジャッキー・チェン制作総指揮、ベニー・チャン監督作『ジェネックス・コップ』に出演。『香港国際警察/NEW POLICE STORY』で台湾の金馬奨助演男優賞を受賞する。本作で犯罪グループの知的で凶悪なキャラクターを演じているが、ただ悪だけではなく、心の闇を抱えて犯罪に走るようになった若者を演じており、その点が評価されての受賞だと思う。

 
その後、ハリウッド映画『トゥームレイダー ファーストミッション』(2017年)にも出演し、TVドラマ『バッドランド~最強の戦士~』(2015年~2019年)に主演するなど、活躍の場を広げている。個人的にはハリウッドだけではなく、香港で映画にも出演してほしいです。ベニー・チャンはまだ若く、今後も香港アクション映画を牽引する作品を作ってくれると思っていたので、本当にショックだ。これからもチャン監督作品をDVDで繰り返し観ることにします。

 
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Written by 鈴木 純一(すずき・じゅんいち)
映画を心の糧にして生きている男。『バタリアン』や『ターミネーター』などホラーやアクションが好きだが、『ローマの休日』も好き。
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戦え!シネマッハ!!!!
ある時は予告編を一刀両断。またある時は悪役を熱く語る。大胆な切り口に注目せよ!

 
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