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世界的ベストセラー文学の翻訳と映像翻訳スキルのつながりは?

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日本映像翻訳アカデミー(JVTA)は、開校25周年記念 特別講演として、「翻訳家・児童文学作家、JVTA修了生の小松原宏子さんに聞く=世界的名作を翻訳する。『不思議の国のアリス&鏡の国のアリス』新訳版に込めた、7つの仕掛け~映像翻訳の学びから得た、ことばを紡ぎ、物語を編む力~」を開催した。

登壇者の小松原宏子さんはJVTAの英日映像翻訳コースの修了生。翻訳だけでなく大学や高校で翻訳を教え、さらに児童文学作家としても活躍している。そんな小松原さんがこの度翻訳したのが、世界的名作である『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』だ。聖書やシェイクスピア作品に次いで最も読まれていると言われる、言わずと知れた世界的ベストセラー作品である。

小松原さん曰く、「JVTAで映像翻訳を学び、培ったスキルが役立った」とのこと。講演会では、実際に映像翻訳のスキルがどのように今回の翻訳に役立ったのか、世界的名作を訳すことになるまでの道のり、そしてアリスならではの言葉遊びや世界観を現代の読者に伝えるための工夫などを伺った。

◆知っトクポイント◆アリスの翻訳時に役立った「映像翻訳のスキル」とは?

翻訳に重要な『日本語の特徴を意識する』

『不思議の国のアリス&鏡の国のアリス』
ルイス・キャロル 作/ミナリマ デザイン&イラスト/小松原 宏子 訳/静山社刊

◆『日本語の特徴を意識する』パートの様子を動画で見たい方は▶コチラ

進行役 藤田奈緒(以下、「藤田」):こちら(※画像)は日本語と英語の違いが顕著な例ですね。簡単に説明してもらっていいでしょうか?

登壇者 小松原宏子(以下、「小松原」):英語の文章だと「…said」がとても多いんです。それをそのまま訳すと、語尾が「~と言った」ばかりになってしまいます。

藤田:単調になってしまうんですね。

小松原:そうです。それでつまらなくなってしまう。だから文脈に合わせて、「~とつぶやいた」「促した」「とげとげしく言った」などのように言葉を足していきました。

藤田:そういった手法は映像翻訳の世界でもよくありますよね。そのまま訳すのでは日本語ならではのリズムや繋ぎ方にならない。語尾の話に限らず、例えば原文のセリフには接続詞がないけれど、日本語にする時には「そして」を追加したり、“but”と言っているけどこの流れでは「しかし」だとおかしくなるから変えて…、等々、いっぱいありますよね。

小松原:いーっぱいありますね。

藤田:最終的には日本語になって世に出ます。原文に沿うことは前提だけれども、日本語の読み物や映像として視聴者や読者に届けるために、日本語表現として自然なものをということですね。

長い歴史の中で、数多くの日本語訳が存在する『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』。だからこそ「他とは違うオリジナリティ」と「いま翻訳する意味」を追求して作業にあたったことが、小松原さんの講演内容から伺えた。その試行錯誤と工夫の連続に、参加者からは「『今の子供が読んで面白い』訳がどのようにされたのか、具体的な説明でとても参考になった」「『不思議の国のアリス』に興味があり参加した。(英語力に自信がなく)翻訳は無理かなと思っていたが、小松原さんの話を聞いて『挑戦してみたい』と思った」などの感想が届いた。

また「40歳を過ぎて映像翻訳の学習をはじめ、60歳を過ぎてこのアリスの新訳という大役を担うことになった。次は80歳までに英語をネイティブレベルに話せるようになりたいと思っている」と、次々に新しい夢に向かう小松原さんの姿に「自分よりも歳上の方が夢を叶える姿に大変感銘を受けた」という声も多かった。「何事も始めるのに遅すぎることはない」という小松原さんのイキイキと夢に向かう姿に、視聴者全員が刺激を受けた。

最後に、動画で小松原さんからメッセージをいただいた。

◆小松原宏子さんからのメッセージは▶コチラ

翻訳の奥深さから夢を追って楽しく生きる大切さまで幅広く語られた本講演会。映像翻訳学習者のみならず、夢に向かって進んでいるあらゆる人が勇気づけられる講演だった。

『不思議の国のアリス&鏡の国のアリス〈ミナリマ・デザイン版〉』(静山社)の情報はコチラ

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