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【プロになるための「思考法」を学ぼう!】第4回 情報の取捨選択を適切に行う

【プロになるための「思考法」を学ぼう!】第4回 情報の取捨選択を適切に行う
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プロになれる人となれない人とでは、英文を見た時からその見え方が違っています。
映像翻訳者に必要な「英文解釈力」とは、文法の理解や構文の把握といった英語の基本的なことだけではありません。最も大切なのは「プロの思考法」を身につけることなのです。

 
情報の取捨選択を適切に行う

 
第4回目となる今回のテーマは、「情報の取捨選択を適切に行うこと」。
字幕を作成する際に苦労する点の一つが、原文の内容を限られた文字数の日本語で表現しなければならないことです。体言止めや助詞止めを使って文字数を削るだけでは不自然な字幕ができあがるだけ。無理なく制限文字数に収めるためには、情報の取捨選択を適切に行うことが大事なのです。

 
下記は、前回「段落のテーマを見つける」でも取り上げたヒラリー・クリントン元アメリカ国務長官のセリフです。前回は字数を気にせずに正しく全訳することを考えました。今回は最終段階として、次のように4枚に分けた字幕にしてみましょう。カッコ内の数字は制限文字数を表します。なお、1枚目のitはヒラリーの知名度の高さを指します。まず、各文の意味を復習しましょう。

 
I think it helps a lot. (8)
知名度の高さは私にとって大きな力になります。

 
I don’t want to just talk to leaders I want to talk to people. (12)
私は各国の指導者だけでなく、国民にも語りかけたいのです。

 
And that celebrity gives me the opportunity to get on the television shows that people are actually watching. (26)
私は知名度があるおかげで人々が普段からよく見ている番組に出る機会がめぐってきます。

 
I mean most people in the world don’t watch news programs, with all due respect, I mean I’m a junkie I watch them. But most people don’t. (27)
こう言っては失礼ですが、多くの人はニュース番組を見ませんよね。私は大好きだから見ますよ。でもたいていの人は見ません。

 
訳文をそのまま入れたら字数オーバーになるのは明らかですね。そこで情報の取捨選択を行います。どの情報を残すべきかを判断する際に基準となるのが、前回取り上げた「段落のテーマ」です。この段落のテーマは「国民に語りかけたい」というヒラリーの政治姿勢です。このテーマに沿って4枚の字幕がつながるように考えてみましょう。

 
◆まずヒラリーの政治姿勢と明らかに無関係であると思われる部分は削る。
→「私は大好きだから見ますよ。でもたいていの人は見ません」は不要な情報

 
◆次に残された情報とヒラリーの政治姿勢の関連性を考えて、必要ならば言葉を補足する。
→「知名度が高いおかげで人々がよく見る番組に呼ばれること」と「国民に語りかけたい」というヒラリーの政治姿勢はどのようにつながるのか?

 
→「ニュースを普段あまり見ない人でもよく見ているような番組に出演することで国民に語りかけることができる」と解釈することができる。

 
→以上を受けて、原文にはないけれども、ヒラリーの政治姿勢を明確に伝えるために「ニュースを見ない国民にも声を届ける」という言葉を補って訳す。

 

情報を削る時、常に「今何の話をしているんだっけ?」と自分に問いかけてみてください。テーマに沿って正しく情報の取捨選択を行えば、たとえ字数を減らしても分かりやすい字幕を作ることができます。こうしたプロの思考法を身につけることがトライアル合格への大きな一歩となるのです。

 
〇プロになれない人は、とにかく制限文字数に収めることだけを考える。

 
〇プロの映像翻訳者は、テーマに沿って情報の取捨選択を適切に行う。


 
<上記を踏まえた訳例>
私は政治家として(8)
国民に語りかけたいのです(12)
私は知名度があるおかげで
様々な番組に呼ばれます(23)
それがニュースを見ない国民にも
声を届ける機会となるのです(27.5)

 
(Text by English Clock 主任講師 山根克之)

 
いかがでしたか?

 

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