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祝!『カランコエの花』グランプリ受賞! 英語字幕担当者が監督や出演者と喜びの対面!

祝!『カランコエの花』グランプリ受賞! 英語字幕担当者が監督や出演者と喜びの対面!
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7月17日(祝・月)、青山のスパイラルホールで行われていた第26回レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~が、大盛況のうちに閉幕しました! セクシュアル・マイノリティをテーマにした作品を上映するこの映画祭の主旨に賛同し、JVTAは毎年、字幕翻訳で協力。今年も長編7本、短編9本の字幕を修了生が担当しました。この日は日本の監督が手がけた6本の短編を上映する「レインボー・リール・コンペティション 2017」が開催。修了生の磯貝さおりさんが英語字幕を担当した『カランコエの花』が見事グランプリを獲得しました!
 
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『カランコエの花』

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修了生の磯貝さおりさんも前列最左に参加

 
「レインボー・リール・コンペティション 2017」では3本の英語字幕をJVTAの修了生が担当。学校を舞台にした青春ものやシリアスな大人のラブストーリー、中村中さんが声を担当したアニメーション、笑いながらも泣けるコメディなど多彩な傑作が続々と上映され、会場では爆笑や拍手、すすり泣きなどが湧きあがっていました。会場全体が一体となって映画を存分に楽しめるのがこの映画祭の魅力です。

 
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上映後には、日本の女装パフォーマーでエッセイストのブルボンヌさんと映画評論家のよしひろまさみちさんが登壇し、その場で観客による投票がスタート。さらに、6作品の監督や出演者10数人が登壇し、一気に華やかな雰囲気に包まれました。これだけ多くの登壇者は同映画祭史上、初とのこと! 

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関係者の皆さんによるトークの後、グランプリが発表されました!『カランコエの花』の英語字幕を手がけた磯貝さおりさんも会場を訪れ、中川駿監督や出演者の皆さんと共に喜びを分かち合いました!

 

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『カランコエの花』は、ある高校のクラスで行われたLGBTについての授業をきっかけに広がる困惑を描いた作品です。カランコエの花言葉は「あなたを守る」。自分たちのクラスのみでこの授業が行われたことを知った男子生徒が「このクラスにLGBTがいるに違いない」と騒ぎ立てるなか、言いだせない想いを抱えた女子高生とそれを取り巻く環境がリアルに描かれています。受賞後の舞台で中川監督が「笑いを意識してつくったところはちゃんと笑ってくれて、シリアスな場面では涙ぐむ人もいました。会場が大きなリアクションでこの作品をしっかり受け止めてくれた」と語っていたのが印象的でした。学生時代に同じような体験をしたという司会のブルボンヌさんも涙が溢れたそうです。
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『カランコエの花』より

 
受賞後、中川監督とお話することができた磯貝さん。翻訳時に心がけたことや、当日の感想を聞いてみました!

 
◆『カランコエの花』の翻訳時に心がけていたことはありますか?
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磯貝さおりさん

 
磯貝さおりさん 女子高校生のプラトニックな切ない想い、社会的なメッセージ性を伝えることに注力しました。またこの作品には、「時制の表示」「英語のスペルミス」「先生のクセ」「手作りのクッキー」「シュシュ」「カランコエの花言葉」」などラストに繋がっていくさまざまな伏線があります。それが英語でもきちんと伝わることを意識しました。この作品が受賞されて、翻訳者として少しホッといたしました。

 
◆会場で観客の皆さんと一緒に鑑賞した感想を教えてください。
磯貝さおりさん お隣の方が英語圏の方でしたので、その表情などを気にしながら、スクリーンを観ていました。「うーん」とうなったり、「ふっ」と笑ったりと、さまざま反応がありました。自分の字幕以上に、オーディエンスの様子がとても気になりました。

 
◆中川監督とはどんなお話をしましたか?
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『カランコエの花』より
磯貝さおりさん 私が英語字幕翻訳者と知った中川監督は、「女子高生の会話を英語にするのは難しくなかったですか?」と聞いて下さいました。私は、「女子高生の持つ独特の弾みを考え、リズム感、スピード感、ポップ感を重視しました」とお答えしました。

 
◆青春ものとしてさわやかな作品でありながらも、根底にあるのは考えさせられるテーマですね。
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磯貝さおりさん この作品のメッセージである「LGBTの存在に社会はどう対応していくか」という問いに対して、男子学生が「腫れ物にさわるように存在を見て見ぬふりをすることこそ、差別ではないか」というニュアンスを話す場面があります。そのメッセージ性を伝えられるよう、言葉選びには本当に気を使いました。この想いを監督にもお伝えしました。

 
このクラスにいるって分かってんのに、知らんぷりすんの?
You want to pretend
the person doesn’t exist?

 
腫れ物に触るみたいに?
Like an elephant in the room

 
◆確かにはっとさせられるセリフが多く、言葉選びが問われたと思います。他にも特に意識したシーンがあったら教えてください。
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磯貝さおりさん LGBTに関する授業の中で、日本の人口の推定7.6%がLGBTであるというセリフがあり、正直少し驚きました。しかし、教員は生徒たちの問いに「このクラスにLGBTの生徒がいるから、授業を行ったのではない」と明言してしまいます。このセリフは大人の言い逃れであり、LGBTの問題への取り組みがまだ、ad hocであることを監督は表現されたのではないでしょうか。

 
一方で、LBGTの授業を行った保健室の教員は、“I believe love transcends sexual boundaries!“と呼び掛けます。どんな生徒にも優しく寄り添おうとする彼女の姿勢に心を打たれました。女子生徒が自分の思いを打ち明けるとき、聞き手である彼女の相槌の一つひとつが大切だと考え、流れを逃さない範囲で訳しました。Diversityが叫ばれる中、「自分が理解されている」と安心できることが、“Inclusion”に繋がるという想いで取り組みました。昨年、この映画祭で英語字幕を担当させていただいた『ハイヒール革命』でも、LGBTへの理解者の存在の大切さを実感しました。その経験が大きかったですね。

 
◆中川監督と磯貝さんの想いはしっかり伝わってきました。受賞後、中川監督と出演者の皆さんとの公式な集合写真にも入れてもらえましたね! 
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前列最左が磯貝さんです

 
磯貝さおりさん お写真の撮影に私も入れていただき、監督が「翻訳をしてくださった方で、スタッフです」 と出演者の皆さんにご紹介くださったときは、本当に嬉しかったです。私が「(優勝されて)少し、ほっとしました。訳させていただいて、有難うございました」と申し上げたところ、「いやいや、“少し”ではないですよ!」とのお言葉。翻訳者としてこうした場に立ち会えて本当に光栄です。この受賞をきっかけに、もっと多くの方に観ていただきたいですね。

 
◆お疲れさまでした!

 
『カランコエの花』の詳細はこちら
http://rainbowreeltokyo.com/2017/program/rainbow_reel_competition2017

 
★レインボーカラーに彩られた会場の様子を写真でご紹介します。

 
◆今年もスパイラルホールにフラッグが飾られました!
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◆受付やBARもレインボーカラーです!
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◆レインボー・リール東京恒例、レインボーカラーのグッズ。今年は缶バッジやカードフォルダー、トートバッグが特に人気だったそう。
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◆クロージング作品『17歳にもなると』の上映前、映画祭代表の宮沢英樹さん、ブルボンヌさん、よしひろまさみちさんが再び登壇。宮沢さんによると、今年は新宿の会場で初の立ち見が出る盛況ぶり、トータルで約4,000人が来場したそうです!
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★レインボー・リール東京
http://rainbowreeltokyo.com/2017/

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